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公開番号2024173184
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023091420
出願日2023-06-02
発明の名称仮設移動堤防および仮設移動堤防の施工方法
出願人大成建設株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類E02B 3/06 20060101AFI20241205BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】設置および撤去が容易で、効果的に波の影響を抑えることができる仮設移動堤防および仮設移動堤防の施工方法を提案する。
【解決手段】下面が開口している箱型の堤防本体2と、堤防本体2の内部に挿入された袋体3とを備える仮設移動堤防1である。堤防本体2の上部には、袋体3に連通した複数の給排孔27,27が形成されている。袋体3は、給排孔27から空気Aを入れることで膨張し、給排孔27から排気することで収縮する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下面が開口している箱型の堤防本体と、
前記堤防本体の内部に挿入された袋体と、を備える仮設移動堤防であって、
前記堤防本体の上部には前記袋体に連通した複数の給排孔が形成されており、
前記袋体は、前記給排孔から空気を入れることで膨張し、前記給排孔から排気することで収縮することを特徴とする、仮設移動堤防。
続きを表示(約 560 文字)【請求項2】
前記堤防本体の側壁は、隙間をあけて並設された二つの壁部材からなる二重壁であり、
前記隙間内の圧力が調整可能であることを特徴とする、請求項1に記載の仮設移動堤防。
【請求項3】
請求項1に記載の仮設移動堤防を所定の位置に設置する仮設移動堤防の施工方法であって、
前記仮設移動堤防を曳航により所定の位置に移動させる運搬工程と、
前記仮設移動堤防を沈降させて、海底に着底させる着底工程と、を備え、
前記運搬工程では、前記袋体に空気を入れ、前記袋体に作用する浮力を利用して前記仮設移動堤防を水に浮かせ、
前記着底工程では、前記袋体から空気を排気することで前記仮設移動堤防を沈降させることを特徴とする、仮設移動堤防の施工方法。
【請求項4】
前記着底工程後に、前記袋体に土砂を投入する土砂投入工程をさらに備えていることを特徴とする、請求項3に記載の仮設移動堤防の施工方法。
【請求項5】
前記堤防本体の側壁は、隙間をあけて並設された二つの壁部材からなる二重壁であり、
前記隙間内を負圧にすることで、前記側壁の下端部を前記海底に貫入させる貫入工程をさらに備えていることを特徴とする、請求項3に記載の仮設移動堤防の施工方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、海上工事に使用する仮設移動堤防および仮設移動堤防の施工方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
起重機船やクレーン船等を使用する海上工事では、波が高い場合(例えば、波高1m以上の場合)には海上作業ができなくなり、作業効率が低下する。そのため、起重機船やクレーン船等を使用する場合に、仮設の防波堤などを設置することができれば、波の影響を抑えて作業船の稼働率の向上が図れる。
一般的な防波堤は、捨石マウンド等により平らにした海底にコンクリートのケーソンを設置することにより形成する。ところが、この防波堤は、短期間での設置や撤去は困難であり、海上工事において一時的に使用するには不向きである。
また、特許文献1には、設置および撤去が容易な仮設消波堤として、水面に浮かぶ箱型の浮消波堤本体と、浮消波堤本体を係留する係留手段とを備え、浮消波堤本体への入射波を消波することにより、浮消波堤本体の後方に静穏水域を形成する浮消波堤が開示されている。ところが、浮消波堤は、波長が大きな波の透過率が大きく、作業船の動揺に最も影響する長周期の波(うねり)に対しては効果が低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2004-360305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、設置および撤去が容易で、効果的に波の影響を抑えることができる仮設移動堤防および仮設移動堤防の施工方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決する本発明の仮設移動堤防は、下面が開口している箱型の堤防本体と、前記堤防本体の内部に挿入された袋体とを備えるものである。前記堤防本体の上部には前記袋体に連通した複数の給排孔が形成されている。前記袋体は、前記給排孔から空気を入れることで膨張し、前記給排孔から排気することで収縮する。
前記仮設移動堤防を所定の位置に設置する仮設移動堤防の施工方法は、前記仮設移動堤防を曳航により所定の位置に移動させる運搬工程と、前記仮設移動堤防を沈降させて海底に着底させる着底工程とを備えている。前記運搬工程では、前記袋体に空気を入れ、前記袋体に作用する浮力を利用して前記仮設移動堤防を水に浮かせる。また、前記着底工程では、前記袋体から空気を排気することで前記仮設移動堤防を沈降させる。
かかる仮設移動堤防および仮設移動堤防の施工方法によれば、堤防本体の内部に設けられた袋体への空気の給気および排気により、仮設移動堤防を運搬および設置に適した状態に変化させることができるため、施工性に優れている。すなわち、袋体を空気で膨張させて仮設移動堤防を水に浮かべると、曳航し易くなる。また、袋体の空気を排気すれば、袋体が収縮し、袋体に作用する浮力が小さくなるため、仮設移動堤防の重量により沈降させることができる。さらに、仮設移動堤防は、海底に着底した状態で設置されるため、波の影響を効果的に抑制できる。
【0006】
なお、前記堤防本体の側壁が隙間をあけて並設された二つの壁部材からなる二重壁であり、前記隙間内の圧力が調整可能である場合には、前記隙間内を負圧にすることで、前記側壁の下端部を前記海底に貫入させるのが望ましい。このように、側壁の一部を海底に貫入させることで、安定化を図ることができる。
また、前記着底工程後に、前記袋体に土砂を投入する土砂投入工程をさらに備えていれば、土砂の重量によりさらなる安定化を図ることが可能となる。こうすることで、大きな波等により堤防本体が傾くことを抑制できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の仮設移動堤防によれば、設置および撤去が容易で、効果的に波の影響を抑えることができる。また、本発明の仮設移動堤防の施工方法によれば、前記仮設移動堤防を容易に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施形態に係る仮設移動堤防の概要を示す断面図である。
季節毎の仮設移動堤防の設置例を示す平面図であって(a)は夏季、(b)は冬季である。
仮設移動堤防の施工方法の手順を示すフローチャートである。
運搬工程を示す断面図である。
着底工程を示す断面図である。
貫入工程を示す断面図である。
土砂投入工程を示す断面図である。
排土工程を示す断面図である。
(a)および(b)は給気工程を示す断面図である。
堤防転倒時の対処方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態では、起重機船等の作業船を使用する海上工事において、作業船への波の影響を抑制する仮設移動堤防について説明する。図1に仮設移動堤防1を示す。
仮設移動堤防1は、図1に示すように、下面が開口している箱型の堤防本体2と、堤防本体2の内部に挿入された袋体3とを備えている。
堤防本体2は、コンクリート製または鋼製の函体からなる。堤防本体2の側壁21は、隙間をあけて並設された二つの壁部材(外壁22,内壁23)からなる二重壁である。外周側の壁部材である外壁22の上端は堤防本体2の天井24の縁に接続されていて、内周側の壁部材である内壁23の上端は天井24から所定の間隔を有している。一方、外壁22および内壁23の下端は、同一高さに位置している。側壁21内の隙間(外壁22と内壁23の隙間)は、周方向に所定の間隔をあけて設けられた仕切壁(図示せず)により複数の気圧調整室25に分割されている。各気圧調整室25は、下端が開口していて、上端部(本実施形態では上端)にバルブ26が設けられている以外は遮蔽されている。また、外壁22および内壁23の下端部は、先端が刃形になっている。外壁22(側壁21)の上部であって、内壁23の上端よりも高い部分には、複数の給排孔27,27(図1では、2箇所のみ表示)が形成されている。給排孔27は、外壁22の上部を内外方向に貫通している。
【0010】
袋体3は、例えば、ゴム(ラテックス等)、塩化ビニルやポリエチレン等からなり、気密性および水密性を有しているとともに、耐摩耗性や破れ難い強度も備えている。袋体3の上部には、給排孔27に連通している給排口31,31が形成されている。袋体3は、給排口31を除き密封されている。そのため、袋体3は、給排口31(給排孔27)から空気を入れることで膨張し、給排口31(給排孔27)から排気することで収縮する。袋体3を自由に膨張させた際の容積は、堤防本体2の内部空間の容積以上である。
(【0011】以降は省略されています)

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