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公開番号2024177872
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-24
出願番号2023096255
出願日2023-06-12
発明の名称RC壁架構
出願人大成建設株式会社
代理人園田・小林弁理士法人
主分類E04B 1/20 20060101AFI20241217BHJP(建築物)
要約【課題】RC壁にRC梁を接合するに際し、RC梁の曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁の端部から中央部側に移動させて、地震時におけるRC壁の損傷を抑制可能なRC壁架構を、コストを低減しつつ実現する。
【解決手段】RC壁架構1Aは、RC壁2と、RC壁2に接合されたRC梁3と、を備えるRC壁架構1Aであって、RC梁3は、RC梁3の長さ方向に延在するように、長さ方向の中央部側に配置された第1梁主筋31と、RC梁3の端部3s側に配置された第2梁主筋32を備え、第1梁主筋31と第2梁主筋32は、鉄筋継手部37で連結され、RC壁2は、当該RC壁2の内部に水平方向に配置される壁横筋23を備え、第2梁主筋32は、第1梁主筋31に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋であり、RC壁2の内部に延伸して配置され、壁横筋23に対して、重ね継手部5またはあき重ね継手部を介して接合されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
RC壁と、当該RC壁に接合されたRC梁と、を備えるRC壁架構であって、
前記RC梁は、当該RC梁の長さ方向に延在するように、前記長さ方向の中央部側に配置された第1梁主筋と、前記RC梁の端部側に配置された第2梁主筋を備え、前記第1梁主筋と前記第2梁主筋は、鉄筋継手部で連結され、
前記RC壁は、当該RC壁の内部に水平方向に配置される壁横筋を備え、
前記第2梁主筋は、前記第1梁主筋に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋であり、前記RC壁の内部に延伸して配置され、前記壁横筋に対して、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されていることを特徴とするRC壁架構。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
前記第1梁主筋と前記第2梁主筋は、前記RC梁の、上端部側と下端部側の各々に設けられ、
前記RC梁の端部では、上端部側の前記第2梁主筋と下端部側の前記第2梁主筋との間に第3梁主筋が配置されており、
前記第3梁主筋は、前記RC壁の内部に延伸して配置され、前記壁横筋に対して、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されていることを特徴とする請求項1に記載のRC壁架構。
【請求項3】
前記第3梁主筋は、上下方向に複数段に設けられ、
前記RC梁の端部に、
上端部側の前記第2梁主筋と、下端部側の前記第2梁主筋、及び各段の前記第3梁主筋とを囲んで設けられる閉鎖型のせん断補強筋と、
上端部側の前記第2梁主筋と最上段の前記第3梁主筋を囲んで設けられる閉鎖型の上部拘束筋と、
下端部側の前記第2梁主筋と最下段の前記第3梁主筋を囲んで設けられる閉鎖型の下部拘束筋と、を備え、
前記第2梁主筋と前記第3梁主筋は、前記せん断補強筋と、前記上部拘束筋、または前記下部拘束筋によって、2重に囲まれていることを特徴とする請求項2に記載のRC壁架構。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、RC壁と当該RC壁に接合されるRC梁とを備えるRC壁架構に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造の柱梁架構の構造設計では、RC(鉄筋コンクリート)梁の曲げ降伏ヒンジが、RC梁とRC柱との接合部、より具体的には、RC梁の端部とRC柱との境界面に形成されるように設計されるのが一般である。しかし、この場合においては、地震が生じた際に、設計時における計算上のRC梁の曲げ耐力が発揮されず、柱梁接合部内に埋設されたRC梁の主筋とRC柱の主筋の双方が柱梁接合部内で降伏することで、柱梁接合部が先行して破壊されることがある。
このような柱梁接合部の先行破壊を抑制するために、RC梁において、柱梁接合部側、すなわち梁の長さ方向において梁の端部側に位置する梁主筋の強度を、梁の中央部側に位置する梁主筋の強度よりも高くすることによって、曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁の端部とRC柱との境界面から中央部側に移動させる、いわゆるヒンジリロケーションが行われることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、柱と接合される梁用の主筋が、普通強度部分と、普通強度部分よりも強度が大きい高強度部分とを有した構成が開示されている。この構成において、高強度部分は、柱梁接合部から梁長さ方向に沿った領域に配置され、普通強度部分は、高強度部分を挟んで柱梁接合部と反対側に配置されている。柱梁接合部から梁長さ方向に沿った領域の高強度部分は、普通強度部分と同じ強度の普通鉄筋を部分焼入れすることで形成されている。
また、特許文献2には、鉄筋コンリート造柱・梁接合部において、梁主筋の柱との交差部から梁端部を高強度鉄筋とし、梁中間部の普通鉄筋と機械的継手にて連結することにより、梁主筋の降伏域を梁中間側へ移行させる構成が開示されている。
更に、特許文献3には、鉄筋コンクリート造の梁における鉄筋の配筋において、追加鉄筋を梁の中央位置を挟んで左右両側にそれぞれ別に配筋する構成が開示されている。
【0004】
上記のような、鉄筋コンクリート造の柱梁架構における、RC梁のヒンジリロケーションは、RC梁の接合対象がRC壁である場合においても有効である。例えば、同一平面内に位置するように離間して並べられた2つのRC壁の間に、RC梁が架設されるような場合においては、RC梁の中央部側の主筋を、より径が太く高強度な端部主筋に、機械式継手によって接合し、端部主筋をRC梁の端部からRC壁の内側へと突出させて、RC壁内に埋設させることにより、RC壁に接合されたRC梁のヒンジリロケーションが実現され得る。このような構造によってRC壁にRC梁を接合する場合においては、端部主筋のRC壁内への埋設長を十分に長くし、あるいは端部主筋にプレートナットやアンカーを設けることで、端部主筋がRC壁に十分に定着されるようにする必要がある。このため、RC壁にRC梁を接合するのに要するコストの上昇を招いてしまう。
RC壁にRC梁を接合するに際し、RC梁の曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁の端部から中央部側に移動させて、地震時におけるRC壁の損傷を抑制可能なRC壁架構を、コストを低減しつつ実現することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2016-69926号公報
特開平1-244040号公報
特開2018-145595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、RC壁とRC梁が接合されるRC壁架構において、RC梁の曲げ降伏ヒンジの位置をRC梁の梁端部から中央部側に移動させることで、地震発生時にRC梁の材端部やRC梁と接合されるRC壁の損傷を抑制可能な、耐震性能に優れたRC壁架構を、コストを低減しつつ実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のRC壁架構は、RC壁と、当該RC壁に接合されたRC梁と、を備えるRC壁架構であって、前記RC梁は、当該RC梁の長さ方向に延在するように、前記長さ方向の中央部側に配置された第1梁主筋と、前記RC梁の端部側に配置された第2梁主筋を備え、前記第1梁主筋と前記第2梁主筋は、鉄筋継手部で連結され、前記RC壁は、当該RC壁の内部に水平方向に配置される壁横筋を備え、前記第2梁主筋は、前記第1梁主筋に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋であり、前記RC壁の内部に延伸して配置され、前記壁横筋に対して、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、RC梁の長さ方向において中央部側に設けられた第1梁主筋は、鉄筋継手部によって、第1梁主筋に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋による第2梁主筋が連結されている。第2梁主筋は、前記RC壁の内部に延伸して配置され、壁横筋に対して、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されている。このため、RC梁を構成する第1梁主筋及び第2梁主筋に作用する応力は、RC壁の内部において、第2梁主筋と壁横筋が重ね継手部またはあき重ね継手部で接合されていることで、RC壁に伝達される。
ここで、第2梁主筋は、第1梁主筋に比べて、太径鉄筋、または高強度鉄筋である。このため、地震が生じた際には、RC梁に発生する曲げ降伏ヒンジは、RC梁とRC壁が接合される、第2梁主筋が設けられたRC梁の端部側ではなく、第2梁主筋よりも細径鉄筋、あるいは強度が低い第1梁主筋が設けられた、RC梁の中央部側に形成される。このようにして、RC梁に発生する曲げ降伏ヒンジの位置を、RC梁の端部側から中央部側に移行させることで、地震発生時には、曲げ降伏ヒンジから進展するひび割れの発生を防止して、RC梁の材端部、またはRC梁と接合されるRC壁の損傷を抑制でき、耐震性能を高めることができる。
特に、上記のように、第2梁主筋が、RC壁の壁横筋に、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されている。これにより、第2梁主筋のRC壁への定着性能が高められるため、第2梁主筋の、RC壁内部への埋設長を低減することができる。更には、第2梁主筋に、プレートナットやアンカー等の定着具を設ける必要性も低減する。これにより、RC壁架構を構築するのに要するコストを低減することができる。
このようにして、RC壁とRC梁が接合されるRC壁架構にあっては、RC梁の曲げ降伏ヒンジの位置をRC梁の梁端部から中央部側に移動させることで、地震発生時にRC梁の材端部やRC梁と接合されるRC壁の損傷を抑制可能なRC壁架構を、コストを低減しつつ実現することができる。
【0008】
本発明の一態様においては、本発明のRC壁架構では、前記第1梁主筋と前記第2梁主筋は、前記RC梁の、上端部側と下端部側の各々に設けられ、前記RC梁の端部では、上端部側の前記第2梁主筋と下端部側の前記第2梁主筋との間に第3梁主筋が配置されており、前記第3梁主筋は、前記RC壁の内部に延伸して配置され、前記壁横筋に対して、重ね継手部またはあき重ね継手部を介して接合されている。
このような構成によれば、RC梁の端部では、上端部側の第2梁主筋と下端部側の第2梁主筋との間に第3梁主筋が設けられている。これにより、RC梁の端部側の梁主筋の本数が、RC梁の中央部側の梁主筋の本数よりも多くなる。したがって、RC梁の曲げ降伏ヒンジが形成される位置を、RC梁の端部から中央部側に、より効率的に移動させ、地震発生時におけるRC壁の損傷を抑制することができる。
また、RC壁内では、第3梁主筋と壁横筋とが、重ね継手部またはあき重ね継ぎ手部を介して接合されている。これにより、第3梁主筋のRC壁への定着性能が高められるため、第3梁主筋の、RC壁内部への埋設長を低減することができる。更には、第3梁主筋に、プレートナットやアンカー等の定着具を設ける必要性も低減する。これにより、RC梁の梁主筋量が梁中央部に比べて、梁端部側が多くなることで、地震発生時におけるRC梁の梁端部、またはRC壁の損傷を抑制でき、耐震性能を高めることができる。また、第3梁主筋を設けることによるコストの増加を抑制することができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記第3梁主筋は、上下方向に複数段に設けられ、前記RC梁の端部に、上端部側の前記第2梁主筋と、下端部側の前記第2梁主筋、及び各段の前記第3梁主筋とを囲んで設けられる閉鎖型のせん断補強筋と、上端部側の前記第2梁主筋と最上段の前記第3梁主筋を囲んで設けられる閉鎖型の上部拘束筋と、下端部側の前記第2梁主筋と最下段の前記第3梁主筋を囲んで設けられる閉鎖型の下部拘束筋と、を備え、前記第2梁主筋と前記第3梁主筋は、前記せん断補強筋と、前記上部拘束筋、または前記下部拘束筋によって、2重に囲まれている。
このような構成によれば、RC梁の端部側に配置された第2梁主筋と第3梁主筋は、これら第2梁主筋と第3梁主筋を囲む閉鎖型の上部拘束筋と、下部拘束筋と、せん断補強筋によって、2重に囲まれている。これにより、RC梁の端部側の梁断面を形成するコンクリート部分が拘束される。よって、コンクリートの圧縮破壊に対する強度が増大し、地震時におけるRC壁の損傷を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、RC壁とRC梁が接合されるRC壁架構において、RC梁の曲げ降伏ヒンジの位置をRC梁の梁端部から中央部側に移動させることで、地震発生時にRC梁の材端部やRC梁と接合されるRC壁の損傷を抑制可能なRC壁架構を、コストを低減しつつ実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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