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公開番号2025079201
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-21
出願番号2023191743
出願日2023-11-09
発明の名称基礎振動推定システム
出願人大成建設株式会社
代理人園田・小林弁理士法人
主分類G01H 17/00 20060101AFI20250514BHJP(測定;試験)
要約【課題】地盤振動が基礎の上面へと伝達して生じる基礎振動を、短時間で、かつ高い精度で推定する。
【解決手段】基礎振動推定システムは、地盤振動が基礎の上面へと伝達して生じる基礎振動を推定するものであり、基礎の形状と地盤の特性を含む入力情報に基づき、地盤振動に対する基礎振動の比である振動伝達率を、周波数の関数として立式することで、暫定振動伝達率として、暫定的に推定する、暫定振動伝達率推定部2と、地盤と前記基礎の各々の、振動波が伝播する際の抵抗物理量である波動インピーダンスを用いて、地盤振動が基礎の上面へと伝達する際の振動透過率を算出する、振動透過率算出部3と、周波数ごとに、暫定振動伝達率と、振動透過率を基にした値と、を比較して、大きい方の値を、振動伝達率として確定する、振動伝達率確定部4と、推定対象となる地盤振動の振幅に、推定対象となる地盤振動の周波数に対応する、確定した振動伝達率を乗算することで、基礎振動を推定して出力する、基礎振動推定部5と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
地盤振動が基礎の上面へと伝達して生じる基礎振動を推定する、基礎振動推定システムであって、
前記基礎の形状と地盤の特性を含む入力情報に基づき、前記地盤振動に対する前記基礎振動の比である振動伝達率を、周波数の関数として立式することで、暫定振動伝達率として、暫定的に推定する、暫定振動伝達率推定部と、
前記地盤と前記基礎の各々の、振動波が伝播する際の抵抗物理量である波動インピーダンスを用いて、前記地盤振動が前記基礎の前記上面へと伝達する際の振動透過率を算出する、振動透過率算出部と、
前記周波数ごとに、前記暫定振動伝達率と、前記振動透過率を基にした値と、を比較して、大きい方の値を、前記振動伝達率として確定する、振動伝達率確定部と、
推定対象となる前記地盤振動の振幅に、推定対象となる前記地盤振動の周波数に対応する、確定した前記振動伝達率を乗算することで、前記基礎振動を推定して出力する、基礎振動推定部と、
を備えることを特徴とする基礎振動推定システム。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
前記振動透過率算出部は、
前記地盤と前記基礎の各々において、構成物質の密度と、振動伝播速度と、を乗算して、前記波動インピーダンスを計算し、
前記地盤の前記波動インピーダンスZ

と、前記基礎の前記波動インピーダンスZ

と、を用いて、下記の振動透過率算出式
TIFF
2025079201000009.tif
31
170
によって、前記振動透過率τ

を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の基礎振動推定システム。
【請求項3】
前記基礎の前記形状は、前記基礎の長さを含み、
前記基礎の長さと、振動の減衰定数との対応関係が記録されたデータベースを更に備え、
前記暫定振動伝達率推定部は、前記入力情報から推定対象となる前記基礎の長さを取得し、当該基礎の長さに対応する前記減衰定数を前記データベースから取得し、前記減衰定数を基にして、前記暫定振動伝達率を推定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の基礎振動推定システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤振動が基礎の上面へと伝達して生じる基礎振動を推定する、基礎振動推定システムに関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
例えば都市部においては、交通振動等により、地盤が振動することが多い。このような地盤に施工された建物においては、建物の外部における地盤振動に起因して、建物の内部で振動が生じる可能性がある。このため、例えば直接基礎方式で基礎を新たに建設する場合に、地盤振動が基礎へとどのように伝達するかを事前に検討し、基礎の上面における基礎振動が目標値以下となるように、基礎を設計することが、行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、外部振動に起因する環境振動による建物の床上の鉛直方向の振動の応答値を予測する建物の鉛直振動予測方法が記載されている。この鉛直振動予測方法においては、計画する建物と同一の躯体システムを有する建物における床を支持する床梁の鉛直方向のたわみ量と、環境振動量に対する床上の鉛直方向の振動の増幅量との関係を予め求めておき、計画する建物の床梁の鉛直方向のたわみ量を前記関係にあてはめることで環境振動量に対する床上の鉛直方向の振動の増幅量を求め、該増幅量に建物の基礎上または建物の近傍地盤上で測定された鉛直方向の環境振動量を加算することで床上の鉛直方向の振動の応答値を予測する。
また、特許文献2には、建物の固有振動数を算出し、予め得られた建物の固有振動数と建物の入力振動レベルの増幅量の関係から建物の入力振動レベルの増幅量を演算し、交通振動等による地盤の微小振動レベルを測定し、建物の入力振動レベルの増幅量に地盤の微小振動レベルを加算することで、立地条件に則した建物の振動レベルを予測し、これにより快適な居住性を確保する建物の設計を行うように構成した、建物の振動レベル予測方法が開示されている。
【0004】
特許文献1においては、床上の鉛直方向の振動の増幅量は、上記のように、予め求められた、計画する建物と同一の躯体システムを有する建物における床を支持する床梁の鉛直方向のたわみ量と、環境振動量に対する床上の鉛直方向の振動の増幅量との関係を基に、求められる。
また、特許文献2においては、建物の入力振動レベルの増幅量は、上記のように、予め得られた建物の固有振動数と建物の入力振動レベルの増幅量の関係から演算して求められる。
このように、特許文献1、2は、建物の部屋の広さ等に基づいて床の振動性能を評価するものではない。
これに対し、特許文献3には、建物の部屋の広さと、上記部屋の床構造に所定の鉛直荷重が生じる際の当該床構造のたわみ値とを掛け合わせて得られる床たわみ係数を用いて建物の床の振動性能を評価することを特徴とする床の振動性能評価方法が記載されている。
【0005】
上記のような、地盤振動が基礎へとどのように伝達するかの検討に際しては、振動伝達率を指標として計算することで、基礎の具体的な性能を評価することがある。振動伝達率は、地盤振動に対する、地盤振動が基礎の上面へと伝達して生じる基礎振動の比であり、振動伝達率を正確に評価できれば、地盤振動を基に、基礎振動を推定することが可能である。振動伝達率は、地盤振動が基礎に入力されて基礎の上面から基礎振動として出力された際に、基礎によって振動がどの程度減衰して損失したか、ということを表現するという観点から、基礎の入力損失とも呼称される。
このような振動伝達率を導出する際には、剛体基礎簡易予測式を用いて推定する手法(以下、簡易式を用いる手法と記載する)と、詳細な解析によって推定する手法(以下、詳細解析法と記載する)の、2種類の手法が、主に用いられている。
【0006】
前者の簡易式を用いる手法は、剛体とした基礎の平面寸法と地盤振動の波長によって定まる簡易式を用いるものである。より具体的には、均質な地盤上に剛体の基礎が設けられている場合において、Lを基礎の平面寸法、λを波長とし、これら平面寸法Lと波長λによって表されるξ(=L/λ)を用いて、振動伝達率ηが次式として表現される。
η=|sin(πξ)/(πξ)|
図10は、上式を表現したグラフである。本グラフにおいては、振動伝達率は、地盤振動が減衰されずに伝達した場合(すなわち図10における縦軸の値が0の場合)を基準とした大きさとして、デシベル(dB)で表現されている。
上式は簡単な表現となっており、振動伝達率を概算する際に適している。しかし、上式は基礎が剛体であることが条件であるところ、例えば基礎がべた基礎のような平板基礎になると、この剛体という条件から乖離してしまう。この場合には、基礎が曲げの影響等を受けることで、上式から得られる値よりも振動伝達率が大きくなり、想定したように振動が減衰しないことがある。したがって、上式から得られる値を基に基礎を設計すると、地盤振動は、実際には想定したよりも大きな振動として、建物の内部に伝達してしまう可能性がある。
【0007】
後者の詳細解析法においては、モデル化された基礎と地盤の各々に対し、それぞれ有限要素法と薄層要素法によって、地盤振動の伝達の態様が計算され、解析される。したがって、基礎振動を高い精度で算出することができる。しかし、建物の規模が大きくなると、それだけ基礎のモデルが大きなものとなるため、解析時間が大きくなってしまう。
地盤振動が基礎の上面へと伝達して生じる基礎振動を、短時間で、かつ高い精度で推定することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2009-42224号公報
特開平11-140967号公報
特開2014-218846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、地盤振動が基礎の上面へと伝達して生じる基礎振動を、短時間で、かつ高い精度で推定することができる、基礎振動推定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、地盤振動が基礎の上面へと伝達して生じる基礎振動を推定する、基礎振動推定システムであって、前記基礎の形状と地盤の特性を含む入力情報に基づき、前記地盤振動に対する前記基礎振動の比である振動伝達率を、周波数の関数として立式することで、暫定振動伝達率として、暫定的に推定する、暫定振動伝達率推定部と、前記地盤と前記基礎の各々の、振動波が伝播する際の抵抗物理量である波動インピーダンスを用いて、前記地盤振動が前記基礎の前記上面へと伝達する際の振動透過率を算出する、振動透過率算出部と、前記周波数ごとに、前記暫定振動伝達率と、前記振動透過率を基にした値と、を比較して、大きい方の値を、前記振動伝達率として確定する、振動伝達率確定部と、推定対象となる前記地盤振動の振幅に、推定対象となる前記地盤振動の周波数に対応する、確定した前記振動伝達率を乗算することで、前記基礎振動を推定して出力する、基礎振動推定部と、を備えることを特徴とする基礎振動推定システムを提供する。
上記のような構成によれば、暫定振動伝達率推定部は、基礎の形状と地盤の特性を含む入力情報に基づき、地盤振動に対する、地盤振動が基礎の上面へと伝達して生じる基礎振動の比である振動伝達率を、周波数の関数として立式することで、暫定振動伝達率として、暫定的に推定する。また、振動透過率算出部は、地盤と基礎の各々の、振動波が伝播する際の抵抗物理量である波動インピーダンスを用いて、地盤振動が基礎の上面へと伝達する際の振動透過率を算出する。そして、振動伝達率確定部は、周波数ごとに、暫定振動伝達率と、振動透過率を基にした値と、を比較して、大きい方の値を、振動伝達率として確定する。すなわち、暫定振動伝達率推定部において、基礎の形状と地盤の特性を基に推定された振動伝達率は、暫定的なものとして扱われ、この暫定振動伝達率と、別途算出された振動透過率を基にした値とを比較して、大きいほうの値が、実際の振動伝達率として使用される。このように、暫定振動伝達率が、過剰に小さな値として推定されることがあったとしても、別途算出された振動透過率を基にした値が暫定振動伝達率より大きければ、暫定振動伝達率は実際には、振動伝達率としては使用されず、替わりに振動透過率を基にした値が、振動伝達率として使用される。このようにして、振動透過率を基にした値は、振動伝達率の下限値として使用される。したがって、振動伝達率が過小評価されて、これを基に基礎が設計、施工され、地盤振動が、実際に想定したよりも大きな振動として、建物の内部に伝達してしまうことが、抑制される。
また、地盤振動が基礎の上面へと伝達する際の振動透過率は、振動波が伝播する際の抵抗物理量である波動インピーダンスを用いて算出される。したがって、上記の下限値として使用される、上記のようにして算出された振動透過率を基にした値は、下限値として使用されるのが適切な値となっている。
更に、上記のような、基礎振動の推定に要する一連の処理は、基本的に簡易で、小規模な計算量で行うことができるものであり、例えば有限要素法や薄層要素法を用いた場合に比べると、基礎振動を、短時間で、計算することができる。
このようにして、地盤振動が基礎の上面へと伝達して生じる基礎振動を、短時間で、かつ高い精度で推定することができる、基礎振動推定システムを提供することが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

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