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公開番号2025106656
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-16
出願番号2024000042
出願日2024-01-04
発明の名称基礎杭の損傷程度推定システム
出願人大成建設株式会社
代理人園田・小林弁理士法人
主分類E02D 33/00 20060101AFI20250709BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】地震が生じた際におけるコンクリート製基礎杭の損傷の程度を容易かつ簡便に推定する。
【解決手段】損傷程度推定システム1は、構造物10の上部構造を支持するコンクリート製の基礎杭の、損傷の程度を推定するものであって、上部構造に設置されて、上部構造の鉛直方向の地震情報を取得するセンサ17と、鉛直方向の地震情報から上部構造の鉛直変位量を算出する鉛直変位量算出部22と、上部構造の鉛直変位量に基づいて、基礎杭の損傷の程度を推定する損傷程度推定部23と、を備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
構造物の上部構造を支持するコンクリート製基礎杭の損傷の程度を推定する、損傷程度推定システムであって、
前記上部構造に設置されて、前記上部構造の鉛直方向の地震情報を取得するセンサと、
前記鉛直方向の地震情報から前記上部構造の鉛直変位量を算出する鉛直変位量算出部と、
前記上部構造の鉛直変位量に基づいて、前記基礎杭の損傷の程度を推定する損傷程度推定部と、
を備えていることを特徴とする基礎杭の損傷程度推定システム。
続きを表示(約 610 文字)【請求項2】
前記基礎杭は、上下方向に延在する鉄筋と、前記鉄筋を埋設するコンクリートと、を備え、
地震が生じた際における前記基礎杭の杭頭部の曲率が、終局限界に達した場合の前記基礎杭の杭頭部の曲率と一致した場合に対応する、前記上部構造の鉛直変位量が、第1の閾値として設定され、
前記損傷程度推定部は、
前記上部構造の鉛直変位量が前記第1の閾値以上である場合に、終局限界に達した、前記基礎杭に重度の損傷がある状態であると推定し、
前記上部構造の鉛直変位量が第2の閾値以上、かつ前記第1の閾値より小さい場合に、前記基礎杭に軽微の損傷がある可能性があると推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の基礎杭の損傷程度推定システム。
【請求項3】
前記基礎杭の下側における鉛直方向の地震情報を取得する、基礎杭センサを更に備え、
前記鉛直変位量算出部は、前記基礎杭の前記下側における前記鉛直方向の地震情報を基に、前記基礎杭の前記下側における鉛直変位量を、基礎杭鉛直変位量として算出し、前記上部構造の前記鉛直方向の地震情報を基に、暫定的な前記上部構造の鉛直変位量である暫定鉛直変位量を算出し、前記暫定鉛直変位量から前記基礎杭鉛直変位量を減算することで、前記上部構造の鉛直変位量を算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の基礎杭の損傷程度推定システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の上部構造を支持するコンクリート製基礎杭の損傷の程度を推定する、基礎杭の損傷程度推定システムに関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
地震発生後に、構造物の被災度合い等を把握することができる技術が種々提案されている。特にコンクリート製の基礎杭においては、地震発生時にコンクリート部に損傷が生じると、構造物に残留沈下や残留傾斜が生じる可能性がある。このため、構造物の被災度合い等を把握するだけでなく、基礎杭の損傷の有無や、損傷の程度を、容易に確認できることが望まれる。
【0003】
例えば特許文献1には、耐圧版下の地盤に埋設された杭体の調査を行う杭調査方法が開示されている。この杭調査方法は、耐圧版に孔を形成する工程と、孔に通したロッドを用いて、地盤を鉛直方向に掘削する工程と、孔から地盤に挿入されたロッドを用いて、ロッドと杭体の間の地盤を水平方向に掘削する工程と、掘削された地盤を排出し、杭体の調査用空間を形成する工程と、孔から調査用空間に挿入されたロッドに取り付けられた調査装置を用いて、杭体の調査を行う工程と、を具備する。
特許文献1の構成においては、耐圧版に孔を形成し、なおかつ地盤を掘削する必要があるため、杭体の損傷の有無や損傷の程度を判定するのに、多くのコストと時間を要する。
【0004】
また、特許文献2には、構造物(建物)を模擬した1質点系振動モデルにおける等価高さの位置に相当する第1の階層に設置した無線式加速度計または無線式ひずみ計により取得した地震情報を用いることで、第1の階層における地動に対する相対変位量である第1の層間変形角を算出し、地震情報を基に建物所在地の震度を算出し、地動に対する第1の層間変形角と所定の閾値とを比較して、地震後の構造物の被災度を推定する構成が開示されている。
特許文献2に開示されたような構成は、構造物において、地盤中の基礎部に支持された上部構造(上部構造)の被災度を推定するものであり、基礎部を構成する基礎杭の損傷の有無を判定するためのものではない。
このような特許文献2の構成を基礎杭に適用しようとして、無線式加速度計または無線式ひずみ計を既存の基礎杭に取り付けたとしても、地盤は地震時の挙動が複雑であり、地盤に接する基礎杭の挙動も上部構造の挙動に比べるとより複雑なものとなるため、これに対応したより複雑な実装が必要となる。したがって、本構成を用いて基礎杭の損傷の有無を判定することは困難である。
【0005】
上記のような特許文献1、2に開示された構成以外にも、杭頭をハンマー等で軽打して弾性波を発生させ、杭頭に設置した加速度計から得られた反射波形を測定することで、ひび割れ等の損傷の有無を確認することも行われている。しかし、このためには杭頭近傍を露出させる必要があるため、基礎杭の上に構造物が構築されている状態においては実施が困難である。
【0006】
これに対し、特許文献3には、構造物の上部構造を支持するコンクリート製の基礎杭の損傷の有無を判定する、損傷判定システムが開示されている。本損傷判定システムは、上部構造に設置されて、上部構造の水平方向の地震情報と鉛直方向の地震情報とを取得する、複数のセンサと、水平方向の地震情報と鉛直方向の地震情報とから、水平加速度の振動数と鉛直加速度の振動数を計算し、水平加速度の振動数に対する鉛直加速度の振動数の比で表される振動数比を算出する振動数比算出部と、振動数比が、1.8以上2.2以下である場合に、基礎杭に損傷があると判定する、損傷判定部と、を備えている。
特許文献3の構成においては、基礎杭の損傷の有無を、容易かつ簡便に判定可能であるが、損傷があると判定された場合に、基礎杭の損傷の程度までは推定することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2016-11492号公報
特許第7343380号公報
特開2022-113191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、地震が生じた際におけるコンクリート製の基礎杭の損傷の程度を、容易かつ簡便に推定可能な、基礎杭の損傷程度推定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、基礎杭の損傷程度推定システムとして、基礎杭と連結される上部構造にセンサを設定し、当該センサで得られる地震情報から鉛直変位量を算出し、その鉛直変位量を終局限界に対する基礎杭頭部の曲率から算定される基礎杭の鉛直変位量と比較することで、基礎杭周りの地盤を掘削して基礎杭を目視で確認することなく、基礎杭の損傷程度を推定できる点に着眼し、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、構造物の上部構造を支持するコンクリート製基礎杭の損傷の程度を推定する、損傷程度推定システムであって、前記上部構造に設置されて、前記上部構造の鉛直方向の地震情報を取得するセンサと、前記鉛直方向の地震情報から前記上部構造の鉛直変位量を算出する鉛直変位量算出部と、前記上部構造の鉛直変位量に基づいて、前記基礎杭の損傷の程度を推定する損傷程度推定部と、を備えていることを特徴とする基礎杭の損傷程度推定システムを提供する。
地震が生じると、特に上部構造のアスペクト比(構造物幅に対する構造物高さの比、塔状比)が高い構造物では、上部構造の慣性力によって生じる転倒モーメントにより、地盤近くの部分を中心として、より上側が左右に揺動して傾斜、回転する、ロッキング振動が生じる。このロッキング振動に抵抗するため、上部構造が傾斜する側、すなわち揺れの進行方向に位置する、上部構造を支持する基礎杭には、基礎杭を押し込むように、圧縮軸力が作用する。また、その反対側に位置する基礎杭には、基礎杭を引き抜くように、引張軸力が作用する。
ここで、コンクリート製の基礎杭において、基礎杭のコンクリートが、ひび割れや断面欠損等により損傷すると、ロッキング振動によって生じる、基礎杭に作用する引張軸力が、当該基礎杭に常時作用する構造物の自重分の軸力を上回る場合、あるいは基礎杭に水平力が作用することで杭頭部が曲げ変形して基礎杭のひずみが大きくなった場合等に、基礎杭に対して上部構造が一時的に浮き上がる。これにより、ロッキング振動に連動して、上部構造に鉛直方向の変位が発生する。基礎杭のコンクリートのひび割れや断面欠損等の損傷が重度なものとなるほど、引張軸力に対してコンクリートで抵抗することができなくなり、結果として、鉛直方向の変位量がより大きくなるものと考えられる。
これに対し、上記のような構成においては、上部構造に設置されたセンサによって取得された上部構造の鉛直方向の地震情報から、上部構造の鉛直方向の変位量である鉛直変位量を算出し、これを基に、基礎杭の損傷の程度を推定する。このように、基礎杭の損傷が重度なものとなるほど値が大きくなると考えられる鉛直変位量を基にして、基礎杭の損傷の程度が推定されるため、損傷の程度が、適切に推定される。
このような基礎杭の損傷程度推定システムにおいては、基本的には、上部構造にセンサを設置するのみで、実現することが可能である。したがって、設置が容易である。また、基礎杭の損傷の程度は、センサにより取得された地震情報に対して一定の演算を行うのみで推定することができる。したがって、基礎杭の損傷の程度を、容易、かつ簡便に、推定することができる。
このようにして、地震が生じた際におけるコンクリート製の基礎杭の損傷の程度を、容易かつ簡便に推定可能な、基礎杭の損傷程度推定システムを提供することが可能となる。
【0010】
本発明の一態様においては、前記基礎杭は、上下方向に延在する鉄筋と、前記鉄筋を埋設するコンクリートと、を備え、地震が生じた際における前記基礎杭の杭頭部の曲率が、終局限界に達した場合の前記基礎杭の杭頭部の曲率と一致した場合に対応する、前記上部構造の鉛直変位量が、第1の閾値として設定され、前記損傷程度推定部は、前記上部構造の鉛直変位量が前記第1の閾値以上である場合に、終局限界に達した、前記基礎杭に重度の損傷がある状態であると推定し、前記上部構造の鉛直変位量が第2の閾値以上、かつ前記第1の閾値より小さい場合に、前記基礎杭に軽微の損傷がある可能性があると推定する。
上記のように、地震が生じて、転倒モーメントにより、上部構造が左右に揺動して傾斜、回転し、基礎杭の杭頭部に損傷が生じる過程において、損傷の程度と、杭頭部の曲率との間が、関連することがわかった。具体的には、杭頭部の曲率は、地震動がある程度の大きさになるまでは小さいが、地震動が大きくなり、基礎杭の、引張軸力が作用する鉄筋が降伏すると、急激に大きくなる。更に大きな地震動が作用すると、基礎杭の、圧縮軸力が作用するコンクリート部分が終局限界に達し、杭頭部の曲率はより顕著に増加する。
上記のような構成によれば、杭頭部の曲率と、上部構造の鉛直変位量とを関連付けて、地震が生じた際における基礎杭の杭頭部の曲率が、コンクリートが終局限界に達した場合の基礎杭の杭頭部の曲率と一致した場合に対応する、上部構造の鉛直変位量を、第1の閾値として設定した。これにより、上部構造の鉛直変位量が第1の閾値以上である場合に、コンクリートが終局限界に達した、杭頭部の曲率がより顕著に増加した状態となっており、基礎杭に重度の損傷がある状態であると推定することが可能となる。
また、第2の閾値を、第1の閾値より小さくなるように適宜設定して、上部構造の鉛直変位量が第2の閾値以上、かつ第1の閾値より小さい場合に、基礎杭に軽微の損傷がある可能性があると推定することも可能である。このようにすることで、基礎杭の損傷の程度を、より詳細に、推定することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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