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公開番号2025101218
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-07
出願番号2023217894
出願日2023-12-25
発明の名称パッカー装置および湧水圧測定方法
出願人大成建設株式会社,鉱研工業株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類E21B 47/06 20120101AFI20250630BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】削孔距離が長距離(例えば100~150m程度)の場合であっても、簡易に設置および回収できるパッカー装置と、このパッカー装置を利用することで切羽前方の湧水区間の水圧を迅速に測定して、速やかにトンネル施工を再開できる湧水圧測定方法を提供する。
【解決手段】ボーリング孔BHに配管されたケーシング2の先端部に設けたパッカー装置1によりボーリング孔BH先端部の湧水をケーシング2内に取り込んで測定する。パッカー装置1は、ケーシング2の先端から先端部が突出するように配置される採水管3と、採水管3の先端部に周設されてボーリング孔BH先端部で拡張する前方パッカー4と、前方パッカー4の後方で採水管3に周設されてケーシング2内で拡張する後方パッカー5とを備えている。採水管3の外面部には、採水管3とケーシング2との隙間を遮蔽あるいは縮小する減圧機構6が設けられている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ボーリング孔に配管されたケーシングの先端部に設けられて、ボーリング孔先端部の湧水を前記ケーシング内に取り込むパッカー装置であって、
前記ケーシングの先端から先端部が突出するように配置される採水管と、
前記採水管の先端部に周設されて前記ボーリング孔先端部で拡張する前方パッカーと、
前記前方パッカーの後方で前記採水管に周設されて前記ケーシング内で拡張する後方パッカーと、を備え、
前記採水管は、前記前方パッカーよりも先端側において開口する取水口から取り込まれた湧水を基端側に誘導する通水流路と、前記後方パッカーよりも基端側において開口する流出入口から流入した水を前記前方パッカーおよび前記後方パッカーに誘導するパッカー流路と、前記流出入口から流入した水の圧力により前記流出入口と前記パッカー流路または前記通水流路との接続を切り替える切替弁とを有し、
前記採水管の外面部には、前記流出入口と前記後方パッカーとの間に、前記採水管と前記ケーシングとの隙間を遮蔽あるいは縮小する減圧機構が設けられていることを特徴とする、パッカー装置。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記減圧機構は、前記ケーシングの基端側から圧送した水の圧力により前記採水管の外面に対して立設するように変形するリング状部材を有していることを特徴とする、請求項1に記載のパッカー装置。
【請求項3】
前記リング状部材は、断面V字状または断面L字状の樹脂製部材であることを特徴とする、請求項2に記載のパッカー装置。
【請求項4】
前記減圧機構は、複数の前記リング状部材が間隔をあけて配設されたものであることを特徴とする、請求項2に記載のパッカー装置。
【請求項5】
前記採水管は、前記前方パッカーが周設された第一管材と、前記後方パッカーが周設された第二管材とを備えており、
前記第一管材と前記第二管材は、前記前方パッカーおよび前記後方パッカーが拡張した状態で前記ケーシングに孔口側から引張力が作用した際に離間するように連結されていて、
前記パッカー流路は、前記第一管材と前記第二管材とが離間した際に分断することを特徴とする、請求項1に記載のパッカー装置。
【請求項6】
ボーリング孔を削孔するとともに前記ボーリング孔にケーシングを配設する削孔工程と、
前記ボーリング孔の先端部に請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のパッカー装置を配設する装置配設工程と、
前記パッカー装置の先端から前記ボーリング孔内に流入する湧水の圧力を測定する測定工程と、
前記パッカー装置を回収する装置回収工程と、を備える湧水圧測定方法であって、
前記装置配設工程では、
前記ケーシングを後退させて前記ケーシングの先端と前記ボーリング孔の先端面との間に隙間をあける作業と、
前記ケーシングの孔口側から圧送した水の圧力により前記パッカー装置の先端部を前記ケーシングの先端から突出させた状態で前記ケーシングの先端部に前記パッカー装置を配置させる作業と、
前記ケーシングの孔口側から圧送した水の圧力により前記切替弁を切り替えて、前記水を前記パッカー流路に誘導して前記前方パッカーおよび前記後方パッカーを拡張させる作業と、
を行い、
前記測定工程では、前記ケーシングの孔口側から圧送した水の圧力を減少させることで前記切替弁を切り替えて前記前方パッカーおよび前記後方パッカーの拡張状態を維持した状態で前記取水口から取り込まれた湧水を前記通水流路を介して前記ケーシング内に取り込むことを特徴とする、湧水圧測定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル工事において湧水圧の測定に使用するパッカー装置および湧水圧測定方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
トンネル工事では、切羽前方の地質や湧水区間の状況を事前に把握することが、地山の安定性確保や工事の安全管理のうえで重要である。切羽前方の地質や地下水状況(水理特性等)の探査方法として、水平調査ボーリングを行う場合がある。水平調査ボーリングにより地下水圧を測定する場合には、ボーリング孔先端の湧水区間の近傍においてパッカーを拡張することで他の区間と区切り、パッカーにより区切られた湧水区間における湧水を測定する。
【0003】
このような地下水圧測定方法として、例えば、特許文献1に開示された方法がある。特許文献1の地下水圧測定方法では、先端にパッカーを有する管材を、基端側に継ぎ足されたロッドにより押し込むことで所定の位置に配設した後、パッカーを拡張させている。ロッドは、複数のロッド部材(管材)を連結することにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2019-011622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
削孔距離が長い(例えば、百メートル以上)中長距離の調査ボーリングでは、パッカー挿入時のロッドの継ぎ足し作業や、パッカー回収時のロッドの取り外し作業に手間がかかり、切羽前方の湧水区間の水圧を迅速に測定することができない。そのため、水平調査ボーリングがトンネル工事の工期に影響を及ぼす場合や、詳細な湧水圧測定を断念せざるを得ない場合があった。
【0006】
本発明は、ボーリング孔の削孔距離が長距離(例えば100~150m程度)の場合であっても、簡易に設置および回収できるパッカー装置と、このパッカー装置を利用することで切羽前方の湧水区間の水圧を迅速に測定して、速やかにトンネル施工を再開できる湧水圧測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のパッカー装置は、ボーリング孔に配管された削孔ロッド(ケーシング)の先端部に設けられて、ボーリング孔先端部の湧水を前記ケーシング内に取り込むものであって、前記ケーシングの先端から先端部が突出するように配置される採水管と、前記採水管の先端部に周設されて前記ボーリング孔先端部で拡張する前方パッカーと、前記前方パッカーの後方で前記採水管に周設されて前記ケーシング内で拡張する後方パッカーとを備えている。前記採水管は、前記前方パッカーよりも先端側において開口する取水口から取り込まれた湧水を基端側に誘導する通水流路と、前記後方パッカーよりも基端側において開口する流出入口から流入した水を前記前方パッカーおよび前記後方パッカーに誘導するパッカー流路と、前記流出入口から流入した水の圧力により前記流出入口と前記パッカー流路または前記通水流路との接続を切り替える切替弁とを有している。また、前記採水管の外面部には、前記流出入口と前記後方パッカーとの間に、前記採水管と前記ケーシングとの隙間を遮蔽あるいは縮小する減圧機構が設けられている。
【0008】
また、本発明の湧水圧測定方法は、ボーリング孔を削孔するとともに前記ボーリング孔にケーシングを配設する削孔工程と、前記ボーリング孔の先端部に前記パッカー装置を配設する装置配設工程と、前記パッカー装置の先端から前記ボーリング孔内に流入する湧水の圧力を測定する測定工程と、前記パッカー装置を回収する装置回収工程とを備えている。前記装置配設工程では、前記ケーシングを後退させて前記ケーシングの先端と前記ボーリング孔の先端面との間に隙間をあける作業と、前記ケーシングの孔口側から圧送した水の圧力により前記パッカー装置の先端部を前記ケーシングの先端から突出させるようにして前記ケーシングの先端部に前記パッカー装置を配置させる作業と、前記ケーシングの孔口側から圧送した水の圧力により前記切替弁を切り替えて、前記水を前記パッカー流路に誘導して前記前方パッカーおよび前記後方パッカーを拡張させる作業とを行う。また、前記測定工程では、前記切替弁を切り替えてパッカーを拡張させる際に前記ケーシングの孔口側から圧送した水の圧力を減少させることで前記前方パッカーおよび前記後方パッカーの拡張状態を維持した状態で前記取水口から取り込まれた湧水を前記通水流路を介して前記ケーシング内に取り込む。
【0009】
かかるパッカー装置およびこのパッカー装置を使用した湧水圧測定方法によれば、削孔距離が長距離(例えば100~150m程度)の場合であっても、簡易にパッカー装置の設置および回収が可能となり、また、切羽前方の湧水区間の水圧を迅速に測定して、速やかにトンネル施工を再開できるようになる。すなわち、ケーシング内の水圧の調整で、パッカー装置の送り込み、パッカーの拡張および湧水の取り込みが可能となる。そのため、パッカー装置用の押込みロッドを用いる必要がなく、所定位置における湧水圧の測定を迅速に実施できる。
【0010】
また、パッカー装置が減圧機構を備えているため、ケーシング内に送り込まれた水の圧力が減圧機構の前方において小さくなる。すなわち、ケーシング内に送り込まれた水が減圧機構を超える際の圧力損失によって、後方パッカーの周囲の水圧が減圧機構よりも後方の水圧よりも減少するため、後方パッカーの拡張をより確実に行うことができる。そのため、パッカー装置の設置および湧水の取り込みをより確実に行うことができる。
(【0011】以降は省略されています)

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