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公開番号2025073664
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-13
出願番号2023184629
出願日2023-10-27
発明の名称割岩工具および当該工具を用いた破砕方法
出願人株式会社神島組
代理人個人,個人
主分類E21C 27/28 20060101AFI20250502BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】岩石、岩盤やコンクリート構造物などの処理対象物を優れた効率で割岩することができる割岩工具および当該工具を用いて処理対象物を効率的に割岩することができる破砕方法を提供する。
【解決手段】この発明では、第1傾斜部位および第2傾斜部位を互いに摺接させた状態で上方側楔部材が削孔の深さ方向に沿って移動するのに伴って、下方側楔部材に対して第1羽根部材が押し当てられたまま下方側楔部材および第1羽根部材が一体的に上記深さ方向と直交する方向に移動して第1羽根部材により削孔の内壁を押圧して削孔の周囲を割岩している。したがって、第1羽根部材および第2羽根部材がそれぞれ第1傾斜部位および第2傾斜部位に押し当てられた状態のまま割岩処理が開始される。つまり、割岩処理の初期段階から割岩に大きな力が作用し、処理対象物を効率的に破砕することができる。
【選択図】図5

特許請求の範囲【請求項1】
処理対象物に形成された削孔の開口に向けて先細り形状に仕上げられた第1傾斜部位を有し、前記削孔内に挿入可能に設けられた下方側楔部材と、
前記削孔の底面に向けて先細り形状に仕上げられた第2傾斜部位を有するとともに、前記第2傾斜部位を前記削孔に挿入された前記下方側楔部材の前記第1傾斜部位に摺接させた状態で前記削孔の深さ方向に沿って移動自在に設けられる上方側楔部材と、
前記深さ方向と直交する直交方向において、前記第1傾斜部位と前記第2傾斜部位とが互いに摺接する摺接領域を前記削孔内で挟み込むように設けられた第1羽根部材および第2羽根部材と、
前記第1羽根部材および前記第2羽根部材をそれぞれ前記第1傾斜部位および前記第2傾斜部位に押し当てるように付勢力を与えながら前記第1羽根部材および前記第2羽根部材を相互に連結する連結機構と、を備え、
前記上方側楔部材に対して前記底面に向けて外力が付与されることで前記上方側楔部材が前記底面に向かって摺動するのに伴って、前記付勢力に抗いながら前記削孔内で前記下方側楔部材および前記第1羽根部材が一体的に前記直交方向に移動して前記第1羽根部材により前記削孔の内壁を押圧する
ことを特徴とする割岩工具。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
請求項1に記載の割岩工具であって、
前記下方側楔部材は、前記削孔の開口側において前記第1傾斜部位に隣接して設けられた第1規制部位を有し、前記第1規制部位により前記第1羽根部材が前記開口側に移動するのを規制する、割岩工具。
【請求項3】
請求項1に記載の割岩工具であって、
前記上方側楔部材は、前記底面側において前記第2傾斜部位に隣接して設けられた第2規制部位を有し、前記第2規制部位により前記第2羽根部材が前記底面側に移動するのを規制する、割岩工具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の割岩工具であって、
前記削孔に全体的に挿入された前記上方側楔部材に対して前記削孔の開口側で前記削孔に沿って延設される長軸体をさらに備え、
前記長軸体の両端面のうち前記上方側楔部材と対向する第1端面が前記上方側楔部材と当接する一方、前記第1端面の反対側の第2端面が前記外力を受けることで、前記長軸体が前記外力を前記上方側楔部材に伝達する割岩工具。
【請求項5】
請求項1に記載の割岩工具を、前記連結機構により前記第1羽根部材および前記第2羽根部材をそれぞれ前記第1傾斜部位および前記第2傾斜部位に押し当てながら前記第1傾斜部位および前記第2傾斜部位を互いに摺接させた状態で、前記削孔に挿入して前記下方側楔部材を前記削孔の底面上に載置する工程と、
前記削孔に挿入された前記割岩工具の前記上方側楔部材に対して前記底面に向かう外力を与えることで、前記付勢力に抗いながら前記削孔内で前記下方側楔部材および前記第1羽根部材を一体的に前記直交方向に移動させることにより前記第1羽根部材により前記削孔の内壁を押圧して前記削孔の周囲を破砕する工程と
を備えることを特徴とする破砕方法。
【請求項6】
請求項1に記載の割岩工具と同一構成を有する第1割岩工具を、前記連結機構により前記第1羽根部材および前記第2羽根部材をそれぞれ前記第1傾斜部位および前記第2傾斜部位に押し当てながら前記第1傾斜部位および前記第2傾斜部位を互いに摺接させた状態で、前記削孔に挿入して前記下方側楔部材を前記削孔の底面上に載置する工程と、
前記削孔への前記第1割岩工具の挿入に続いて、請求項1に記載の割岩工具と同一構成を有する第2割岩工具を、前記連結機構により前記第1羽根部材および前記第2羽根部材をそれぞれ前記第1傾斜部位および前記第2傾斜部位に押し当てながら前記第1傾斜部位および前記第2傾斜部位を互いに摺接させた状態で、前記削孔に挿入して前記第2割岩工具の前記下方側楔部材を前記第1割岩工具の前記上方側楔部材の上に載置する工程と、
前記削孔に挿入された前記第2割岩工具の前記上方側楔部材に対して前記底面に向かう外力を与えることで、前記削孔の内部で前記第1割岩工具および前記第2割岩工具の各々において前記付勢力に抗いながら前記削孔内で前記下方側楔部材および前記第1羽根部材を一体的に前記直交方向に移動させることにより前記第1羽根部材により前記削孔の内壁を押圧して前記削孔の周囲を破砕する工程と
を備えることを特徴とする破砕方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、岩盤、岩石、コンクリート構造物などの処理対象物を割岩する割岩工具および当該工具を用いて処理対象物を破砕する破砕技術に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来、岩石、岩盤やコンクリート構造物などの処理対象物を割岩するための割岩工具として、楔部材(ウェッジと称されることもある)と羽根部材(ライナーと称されることもある)を用いた、いわゆるセリ矢が知られている。例えば特許文献1では、楔部材と羽根部材を組み合わせた割岩工具により処理対象物を割岩する技術が記載されている。より詳しくは、岩盤に削岩機で予め削孔を形成し、削孔内に楔部材と羽根部材を組み合わせた割岩工具を挿入し、楔部材の後端部をブレーカで打撃して割岩して岩盤を破砕している。
【0003】
上記割岩工具では、各羽根部材および楔部材を削孔に挿入する作業、ならびに岩盤の破砕後に各羽根部材および楔部材を回収する作業については、作業機械を補助的に使用することは可能である。しかしながら、割岩工具を用いた破砕作業では、人手による作業が数多く存在している。例えばブレーカによる打撃前に削孔に対して羽根部材を個別に挿入し、しかも削孔内で羽根部材を相互に離間させて楔部材の先端部を挿入するための隙間を形成する必要があった。また、破砕が完了して楔部材を羽根部材から引き抜いた後で破砕領域において互いに分離している各羽根部材の位置を確認し、それぞれを個別に回収する際にも、人手が必要となる。このような人手作業を割岩毎に行う必要があり、これが割岩工具を用いた破砕処理の効率を低下させる主要因の一つとなっていた。
【0004】
そこで、本願出願人は、ベース側楔部材に対して第1羽根部材および第2羽根部材がベース側連結部により削孔の径方向に移動自在に連結されるとともに、プレート側楔部材に対して第1羽根部材および第2羽根部材がプレート側連結部により削孔の径方向に移動自在に連結された割岩工具を創作した(特許文献2参照)。この割岩工具では、外力の付与に応じて可動プレート部とともにプレート側楔部材が底面に向かって移動するのに伴って、第1羽根部材が第1ベース側傾斜面および第1プレート側傾斜面に沿って摺動しながら第1径方向に移動して削孔の内壁を押圧するとともに、第2羽根部材が第2ベース側傾斜面および第2プレート側傾斜面に沿って摺動しながら第2径方向に移動して削孔の内壁を押圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2006-225925号公報(図3)
特許第6963718号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の割岩工具では、割岩処理の初期段階、つまり外力の付与に応じた可動プレート部およびプレート側楔部材の移動開始段階では、各羽根部材がベース側傾斜面およびプレート側傾斜面と摺接している面積が小さく、割岩処理の進行にしたがって摺接面積が徐々に増大して割岩処理が進行する。したがって、割岩処理の効率化を図る上で改善の余地があった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、岩石、岩盤やコンクリート構造物などの処理対象物を優れた効率で割岩することができる割岩工具および当該工具を用いて処理対象物を効率的に割岩することができる破砕方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の態様は、割岩工具であって、処理対象物に形成された削孔の開口に向けて先細り形状に仕上げられた第1傾斜部位を有し、削孔内に挿入可能に設けられた下方側楔部材と、削孔の底面に向けて先細り形状に仕上げられた第2傾斜部位を有するとともに、第2傾斜部位を削孔に挿入された下方側楔部材の第1傾斜部位に摺接させた状態で削孔の深さ方向に沿って移動自在に設けられる上方側楔部材と、深さ方向と直交する直交方向において、第1傾斜部位と第2傾斜部位とが互いに摺接する摺接領域を削孔内で挟み込むように設けられた第1羽根部材および第2羽根部材と、第1羽根部材および第2羽根部材をそれぞれ第1傾斜部位および第2傾斜部位に押し当てるように付勢力を与えながら第1羽根部材および第2羽根部材を相互に連結する連結機構と、を備え、上方側楔部材に対して底面に向けて外力が付与されることで上方側楔部材が底面に向かって摺動するのに伴って、付勢力に抗いながら削孔内で下方側楔部材および第1羽根部材が一体的に直交方向に移動して第1羽根部材により削孔の内壁を押圧することを特徴としている。
【0009】
また、この発明の第2の態様は、破砕方法であって、割岩工具を、連結機構により第1羽根部材および第2羽根部材をそれぞれ第1傾斜部位および第2傾斜部位に押し当てながら第1傾斜部位および第2傾斜部位を互いに摺接させた状態で、削孔に挿入して下方側楔部材を削孔の底面上に載置する工程と、削孔に挿入された割岩工具の上方側楔部材に対して底面に向かう外力を与えることで、付勢力に抗いながら削孔内で下方側楔部材および第1羽根部材を一体的に直交方向に移動させることにより第1羽根部材により削孔の内壁を押圧して削孔の周囲を破砕する工程とを備えることを特徴としている。
【0010】
さらに、この発明の第3の態様は、破砕方法であって、上記割岩工具と同一構成を有する第1割岩工具を、連結機構により第1羽根部材および第2羽根部材をそれぞれ第1傾斜部位および第2傾斜部位に押し当てながら第1傾斜部位および第2傾斜部位を互いに摺接させた状態で、削孔に挿入して下方側楔部材を削孔の底面上に載置する工程と、削孔への第1割岩工具の挿入に続いて、請求項1に記載の割岩工具と同一構成を有する第2割岩工具を、連結機構により第1羽根部材および第2羽根部材をそれぞれ第1傾斜部位および第2傾斜部位に押し当てながら第1傾斜部位および第2傾斜部位を互いに摺接させた状態で、削孔に挿入して第2割岩工具の下方側楔部材を第1割岩工具の上方側楔部材の上に載置する工程と、削孔に挿入された第2割岩工具の上方側楔部材に対して底面に向かう外力を与えることで、削孔の内部で第1割岩工具および第2割岩工具の各々において付勢力に抗いながら削孔内で下方側楔部材および第1羽根部材を一体的に直交方向に移動させることにより第1羽根部材により削孔の内壁を押圧して削孔の周囲を破砕する工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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