TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025075923
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-15
出願番号2023187442
出願日2023-11-01
発明の名称RC壁構造
出願人大成建設株式会社
代理人園田・小林弁理士法人
主分類E04H 9/02 20060101AFI20250508BHJP(建築物)
要約【課題】地震時における、RC(鉄筋コンクリート)柱梁架構の変形性能を高めつつ、RC壁の損傷を抑制可能であり、かつRC壁の鉛直荷重、地震時の面外荷重に効率的に抵抗することができる、RC壁構造を提供する。
【解決手段】RC(鉄筋コンクリート)壁構造1は、RC柱梁架構2とRC構面3からなるRC壁構造1であって、RC柱梁架構2を構成する柱21及び梁22と、RC構面3を形成するRC壁30と、を備え、梁22とRC壁30との境界部分には、水平スリット42A、42Bが形成され、柱21とRC壁30との境界部分には、鉛直スリット41A、41Bが形成され、水平スリット42A、42B及び鉛直スリット41A、41Bは、RC壁30の全周に設けられ、RC壁30と柱21及び梁22は、水平スリット42A、42B及び鉛直スリット41A、41Bを跨いで設けられる接続材50で接続されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
RC柱梁架構とRC構面からなるRC壁構造であって、
前記RC柱梁架構を構成する柱及び梁と、
前記RC構面を形成するRC壁と、
を備え、
前記梁と前記RC壁との境界部分には、水平スリットが形成され、
前記柱と前記RC壁との境界部分には、鉛直スリットが形成され、
前記水平スリット及び前記鉛直スリットは、前記RC壁の全周に設けられ、
前記RC壁と前記柱及び前記梁は、前記水平スリット及び前記鉛直スリットを跨いで設けられる接続材で接続されていることを特徴とするRC壁構造。
続きを表示(約 390 文字)【請求項2】
前記RC壁の下方の前記梁と、前記RC壁の下側とを接続する前記接続材は、
鉛直方向に延在して設けられ、前記下方の梁と前記RC壁の各々に材端が埋設されている下部鋼棒と、
前記下方の梁に対して前記RC壁が水平方向に相対移動可能となるように、前記RC壁を支持する滑り支承体と、
のいずれか一方または双方を備えていることを特徴とする請求項1に記載のRC壁構造。
【請求項3】
前記柱と、前記RC壁とを接続する前記接続材は、前記鉛直スリットを跨って設けられ、前記柱と前記RC壁との各々に接合されたプレート部材を含む、柱接合部材を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のRC壁構造。
【請求項4】
前記RC壁の表面には、仕上げ材が貼り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のRC壁構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、RC柱梁架構とRC構面からなるRC壁構造に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート(以下、RCと記載する)造の建物においては、地震時における変形性能を高めるために、建物を形成するRC柱梁架構と、RC柱梁架構内に設けられてRC構面を形成するRC壁と、の間に、スリットを設けることがある。
例えば、特許文献1には、板状のスリット材本体と、底板部の両側に溝部が延在した支持部材とから成り、スリット材本体の両端部のうちの少なくとも一端部に、支持部材の一方側の溝部を嵌着させた耐震用スリット材が開示されている。この耐震用スリット材においては、スリット材本体または支持部材に一部が固定されていると共に、該スリット材本体または該支持部材に固定されていない部分が、壁型枠間に該耐震用スリット材が設置された際に壁型枠を貫通して該壁型枠の外方に突出する紐状体が設けられている。特許文献1の耐震用スリット材は、柱と、これに連設される非構造壁との境界部分に形成される、垂直スリットである。
【0003】
特許文献1のような構成に対し、地震時における変形性能を高めるために、水平方向にスリットを設けることがある。
例えば、特許文献2には、非構造壁である外壁と柱との間に垂直スリット材が設けられ、外壁と下層階の梁との間に水平スリット材が設けられた構成が開示されている。
更に、特許文献3には、2本の柱と壁との間に形成された鉛直方向のスリットと、壁と下階の床スラブとの間に形成された水平方向の水平スリットと、が設けられ、壁と柱との拘束が絶たれている構成が開示されている。
【0004】
特許文献2、3においては、壁の両側方と下方との、計3方に、スリットが設けられている。このような構成においては、壁と上方の梁との間にはスリットが設けられていないため、この部分にねじれや応力集中が生じ、壁が破損する可能性がある。これに対し、壁と上方の梁との間にもスリットを設けることが考えられるが、この場合においては、壁の鉛直荷重や、地震時に壁に作用する面外荷重に対し、抵抗することが容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2018-71208号公報
特開2011-32862号公報
特開2021-32050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、地震時における、RC柱梁架構の変形性能を高めつつ、RC壁の損傷を抑制可能であり、かつRC壁の鉛直荷重、地震時の面外荷重に効率的に抵抗することができる、RC壁構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、RC柱梁架構とRC構面からなるRC壁構造において、梁とRC壁の接合部分に水平スリットを形成し、柱とRC壁の接合部分に鉛直スリットを形成することで、RC壁構造の構造全体の一体性を保ちつつ、RC壁の損傷を防止可能である点に着眼し、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のRC壁構造は、RC柱梁架構とRC構面からなるRC壁構造であって、前記RC柱梁架構を構成する柱及び梁と、前記RC構面を形成するRC壁と、を備え、前記梁と前記RC壁との境界部分には、水平スリットが形成され、前記柱と前記RC壁との境界部分には、鉛直スリットが形成され、前記水平スリット及び前記鉛直スリットは、前記RC壁の全周に設けられ、前記RC壁と前記柱及び前記梁は、前記水平スリット及び前記鉛直スリットを跨いで設けられる接続材で接続されていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、RC(鉄筋コンクリート)柱梁架構を構成する柱及び梁と、RC構面を形成するRC壁との間には、水平スリット及び鉛直スリットが、RC壁の全周に設けられている。このように、RC壁と柱及び梁は、RC壁の全周にわたって水平スリットと鉛直スリットで分離された構造となっているため、地震時において、RC柱梁架構の変形をRC壁が制限することが抑制される。したがって、RC柱梁架構の靱性能を向上させ、変形性能を高めることができる。
また、RC壁と柱及び梁は、RC壁の全周にわたって、水平スリットと鉛直スリットで分離されている。このため、地震時にRC柱梁架構が変形しても、その変形がRC壁へと及ぶことが、RC壁の全周において、抑制される。したがって、地震時におけるRC壁の損傷を、効率的に抑制することができる。
更に、RC壁と柱及び梁は、水平スリット及び鉛直スリットを跨いで設けられる接続材で接続されている。この接続材により、RC壁の鉛直荷重が支持される。また、地震時に、RC壁に対して面外方向への荷重が作用したとしても、当該接続材によって、これに抵抗することが可能である。
その結果、地震時における、RC柱梁架構の変形性能を高めつつ、RC壁の損傷を抑制可能であり、かつRC壁の鉛直荷重、地震時の面外荷重に効率的に抵抗することができる、RC壁構造を提供することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記RC壁の下方の前記梁と、前記RC壁の下側とを接続する前記接続材は、鉛直方向に延在して設けられ、前記下方の梁と前記RC壁の各々に材端が埋設されている下部鋼棒と、前記下方の梁に対して前記RC壁が水平方向に相対移動可能となるように、前記RC壁を支持する滑り支承体と、のいずれか一方または双方を備えている。
このような構成によれば、下方の梁と、RC壁の下側とを接続する接続材として、鉛直方向に延在して設けられ、下方の梁とRC壁の各々に材端が埋設されている下部鋼棒を備えている場合には、下部鋼棒は、下方の梁とRC壁の間に、水平スリットを跨ぐようにして設けられている構造となる。この下部鋼棒により、RC壁の、面外方向への移動が拘束される。また、柱や梁の剛性に比べると、鋼棒の剛性は小さいので、地震時に、RC柱梁架構が変形しようとした際においては、RC壁と下部鋼棒は、この変形を大きくは拘束しない。このため、下部鋼棒によりRC壁と下方の梁とを接続したとしても、RC柱梁架構の変形性能は、大きくは損なわれない。
また、下方の梁と、RC壁の下側とを接続する接続材として、下方の梁に対してRC壁が水平方向に相対移動可能となるように、RC壁を支持する滑り支承体を備えている場合には、滑り支承体によって、RC壁の荷重を下方の梁へと伝達することができる。更に、上記のように、地震時にRC柱梁架構が変形しようとした結果、RC壁が下方の梁に対して相対移動しようとする場合には、滑り支承体はこの相対移動を許容し、RC柱梁架構の変形をRC壁が制限することが抑制される。
このようにして、RC壁を支持しつつも、RC壁によりRC柱梁架構の変形が損なわれることを抑制可能であり、かつRC壁の鉛直荷重、地震時の面外荷重に効率的に抵抗することができる構造を、実現することができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記柱と、前記RC壁とを接続する前記接続材は、前記鉛直スリットを跨って設けられ、前記柱と前記RC壁との各々に接合されたプレート部材を含む、柱接合部材を備えている。
このような構成によれば、プレート部材によって、RC壁の面外応力を負担することができる。
【0010】
本発明の一態様においては、前記RC壁の表面には、仕上げ材が貼り付けられている。
このような構成によれば、全周にわたって水平スリット及び鉛直スリットが設けられたRC壁を有するRC構面が設けられることで、地震時に、RC柱梁架構が変形しても、これがRC壁へと及ぶことが抑制され、RC壁の損傷が抑制される。したがって、RC壁に仕上げ材が貼り付けられている場合において、仕上げ材が損傷することも抑制される。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許