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公開番号
2024179056
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-26
出願番号
2023097560
出願日
2023-06-14
発明の名称
ブレース材
出願人
大成建設株式会社
代理人
園田・小林弁理士法人
主分類
E04B
1/58 20060101AFI20241219BHJP(建築物)
要約
【課題】ブレース材としてH形鋼を用いた場合において、補強プレートを端部に接合して補剛しつつ、架構へのボルト接合のためのボルト挿通孔を設けた場合における、へりあき部分での破断を効率的に抑制する。
【解決手段】ブレース材40Aは、H形鋼により形成された芯材45と、芯材45の端部において、フランジ41、42の外側表面41f、42fに接合された補強プレート48A、48Bと、を備え、補強プレート48A、48Bは、芯材45の軸線方向に沿って設けられ、補強プレート48A、48Bの軸線方向に延在する端辺48aのうち芯材45のフランジ41、42側には斜めに開先加工した側面小口48sが設けられており、補強プレート48A、48Bは、側面小口48sと、フランジ41、42の外側表面41f、42fとの間において、部分溶込み溶接で接合されている。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
鋼製の柱梁架構と接合されるブレース材であって、
フランジとウェブとを備えるH形鋼により形成された芯材と、当該芯材の軸線方向における端部において、前記フランジの外側表面に接合された補強プレートと、を備え、
前記補強プレートは、前記芯材の前記軸線方向に沿って設けられ、当該補強プレートの前記軸線方向に延在する端辺のうち前記芯材の前記フランジ側には斜めに開先加工した側面小口が設けられており、
前記補強プレートは、前記側面小口と、前記フランジの前記外側表面との間において、部分溶込み溶接で接合されていることを特徴とする、ブレース材。
続きを表示(約 320 文字)
【請求項2】
前記補強プレートは、前記フランジと同幅であることを特徴とする請求項1に記載のブレース材。
【請求項3】
前記芯材の中間部を外方から覆うように設けられる、筒状の外側鋼材と、
前記外側鋼材と前記芯材との間に設けられたセメント系充填部と、
を備える座屈補剛部を、更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載のブレース材。
【請求項4】
前記補強プレートの、前記軸線方向において前記芯材の中央部側に位置する、前記軸線方向に直交する幅方向に延在する端縁は、前記フランジの前記外側表面との間において、隅肉溶接で接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブレース材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製の柱梁架構と接合されるブレース材に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
建築構造物においては、柱や梁により構成された架構内に、ブレース材が設けられることがある。
例えば、特許文献1には、鋼管とその内部に配置された低降伏点鋼材との間にコンクリートを充填して座屈拘束ブレースを構成し、その座屈拘束ブレースを、高降伏点鋼材製柱および高降伏点鋼材製梁からなる鉄骨構造物に架設した構成が記載されている。この座屈拘束ブレースにおいては、高降伏点鋼材製梁に固着された鋼製取付金具に対し、座屈拘束ブレースの端部が、鋼製継手板及びボルトによって、連結されている。
このように、ブレース材は、ボルトにより、架構に接合されることが多い。しかし、ボルトによってブレース材を接合する際には、ブレース材の端部にボルト挿通孔を設ける必要がある。このため、ボルト挿通孔が設けられた部分における断面積が、ボルト挿通孔が設けられていない、ブレース材を構成する鋼材の中間部よりも、小さくなる。したがって、地震の際には、ブレース材が、ボルト挿通孔が設けられた部分において早期に降伏し、破断してしまう可能性がある。
【0003】
これに対し、特許文献2には、H型鋼からなる鋼製芯材の長さ方向の中間部の外周を、アンボンド層を介して、コンクリートまたはモルタル部材で覆うと共に、コンクリートまたはモルタル部材の外周を鋼管で覆って補強し、H形鋼の両端部の各フランジの外面に補強プレートを重ねて合わせて溶接した軸降伏型弾塑性履歴ブレースが記載されている。特許文献2の軸降伏型弾塑性履歴ブレースにおいては、補強プレートは、フランジの幅より小さい幅を有しており、隅肉溶接によりフランジに一体に接合されることで、鋼製芯材の両端部の断面積が高められている。
このように、フランジの表面に補強プレートを接合すれば、フランジと補強プレートを挿通するようにボルト挿通孔を設けたとしても、ボルト挿通孔が設けられた部分における断面積が、ボルト挿通孔が設けられていない、ブレース材を構成する鋼材の中間部よりも、小さくなることが抑制される。
しかし、特許文献2の構成においては、補強プレートをフランジに隅肉溶接するために、補強プレートの幅をフランジの幅よりも、少なくとも隅肉溶接のビード幅として必要とされる分だけ、小さくしている。このため、補強プレートにおいては、ボルト挿通孔から部材端までの最小距離であるへりあきが小さくなる。したがって、仮に、補強プレートを設けることで、ボルト挿通孔が設けられた部分における断面積を、ボルト挿通孔が設けられていない、ブレース材を構成する鋼材の中間部の断面積と、同等な状態としたとしても、小さくなったへりあきの部分において、地震時に作用する力に十分に抗することができず、早期に破断が生じる可能性がある。
【0004】
また、特許文献3には、材軸方向に圧縮又は引張の荷重を受けたとき塑性変形する領域を含む第1部分と第1部分の両端に設けられた第2部分とを有する芯材と、少なくとも第1部分の周囲を囲繞する補剛材と、を備えた座屈拘束ブレースが記載されている。この座屈拘束ブレースは、第2鋼材のフランジの外面に接合された鋼製の第2補強板を備えている。第2補強板は、芯材の長手方向に沿って設けられる。
特許文献3においても、特許文献2と同様に、第2補強板のへりあきが小さくなり、この部分において、地震時に作用する力に十分に抗することができず、早期に破断が生じる可能性がある。
ブレース材としてH形鋼を用いた場合において、補強プレートを端部に接合して補剛しつつ、架構へのボルト接合のためのボルト挿通孔を設けた場合における、へりあき部分での破断を効率的に抑制することが、望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平6-57820号公報
特開2014-31654号公報
特開2020-165239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ブレース材としてH形鋼を用いた場合において、補強プレートを端部に接合して補剛しつつ、架構へのボルト接合のためのボルト挿通孔を設けた場合における、へりあき部分での破断を効率的に抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、芯材にH形鋼を用いたブレース材であって、H形鋼材のフランジの外側表面に、フランジ幅と同一幅を有する、板厚面を傾斜させた補強プレートとを部分溶込み溶接することで、鋼製の柱梁架構と接合されるブレース材の材端部であっても、ブレース材中央部のフランジと同等の降伏耐力を確保できる点に着眼し、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のブレース材は、鋼製の柱梁架構と接合されるブレース材であって、フランジとウェブとを備えるH形鋼により形成された芯材と、当該芯材の軸線方向における端部において、前記フランジの外側表面に接合された補強プレートと、を備え、前記補強プレートは、前記芯材の前記軸線方向に沿って設けられ、当該補強プレートの前記軸線方向に延在する端辺のうち前記芯材の前記フランジ側には斜めに開先加工した側面小口が設けられており、前記補強プレートは、前記側面小口と、前記フランジの前記外側表面との間において、部分溶込み溶接で接合されていることを特徴とする。詳細には、補強プレートに形成される側面小口は、前記補強プレートの、前記軸線方向に延在する端辺は、前記フランジの側端面に沿って設けられ、当該端辺には、前記軸線方向に直交する幅方向で端に向かうにつれて、前記フランジの前記外側表面からの距離が漸次大きくなるように傾斜表面が形成されている。
上記のような構成においては、ブレース材の芯材となるH形鋼の端部の、フランジの外側表面に、芯材の軸線方向に沿って、補強プレートが接合されている。この補強プレートの、軸線方向に延在する端辺の、芯材のフランジ側には、斜めに開先加工した側面小口が設けられている。この側面小口と、フランジの外側表面との間において、部分溶込み溶接を行うことで、補強プレートがフランジに溶接される。
このように、上記のような構成においては、補強プレートを隅肉溶接ではなく部分溶け込み溶接でフランジに溶接するため、補強プレートの幅を、隅肉溶接する場合に比べると、大きくすることができる。これにより、補強プレートに設けられるボルト挿通孔のへりあきを、例えばフランジと同等の、十分な大きさに確保することが可能となる。
このようにして、ブレース材としてH形鋼を用いた場合において、補強プレートを端部に接合して補剛しつつ、架構へのボルト接合のためのボルト挿通孔を設けた場合における、へりあき部分での破断を効率的に抑制することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記補強プレートは、前記フランジと同幅である。
このような構成によれば、補強プレートが、フランジと同幅である。このため、通常なされるように、補強プレートの軸線方向に延在する端辺を、フランジの外側表面に、隅肉溶接によって溶接することはできない。しかし、側面小口と、フランジの外側表面との間において、部分溶込み溶接を行うことで、補強プレートがフランジに溶接される。
このように、上記のような構成においては、補強プレートを隅肉溶接ではなく部分溶け込み溶接でフランジに溶接するため、補強プレートの幅を、隅肉溶接する場合に比べると、大きく、フランジと同幅とすることができる。これにより、補強プレートに設けられるボルト挿通孔のへりあきを、フランジと同等の、十分な大きさに確保することが可能となる。
【0009】
本発明の一態様においては、本発明のブレース材は、前記芯材の中間部を外方から覆うように設けられる、筒状の外側鋼材と、前記外側鋼材と前記芯材との間に設けられたセメント系充填部と、を備える座屈補剛部を、更に備える。
このような構成によれば、ブレース材が、筒状の外側鋼材と、セメント系充填部とを備える座屈補剛部を更に備えることで、芯材の座屈を抑えることができる、いわゆる座屈拘束ブレースが構成される。このような座屈拘束ブレースにおいても、ブレース材の芯材となるH形鋼の端部の、フランジの外側表面に、補強プレートを接合することで、補強プレートを端部に接合して補剛しつつ、架構へのボルト接合のためのボルト挿通孔を設けた場合における、へりあき部分での破断を効率的に抑制することが可能となる。
【0010】
本発明の一態様においては、前記補強プレートの、前記軸線方向において前記芯材の中央部側に位置する、前記軸線方向に直交する幅方向に延在する端縁は、前記フランジの前記外側表面との間において、隅肉溶接で接合されている。
このような構成によれば、補強プレートは、軸線方向に延在する端辺が、フランジに対して部分溶込み溶接されるとともに、軸線方向において芯材の中央部側に位置する、幅方向に延在する端縁が、フランジに対して隅肉溶接されることで、フランジに接合されている。このため、補強プレートを、より強固に、フランジに接合することができる。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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