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公開番号2024178595
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-25
出願番号2023096853
出願日2023-06-13
発明の名称中折れシールド掘削機
出願人大成建設株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類E21D 9/06 20060101AFI20241218BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】地山との間に作用する摩擦力を低減可能な中折れシールド掘削機を提供する。
【解決手段】前胴2が後胴3に対して屈曲可能である中折れシールド掘削機1において、前胴2の外周部に滑材を供給する滑材供給装置21と、前胴2のスキンプレート5を貫通する滑材注入口22と、スキンプレート5の外周面にトンネル軸方向に沿って形成された前胴溝23と、を備え、滑材注入口22は、前胴溝23に連通していることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
前胴が後胴に対して屈曲可能である中折れシールド掘削機において、
前記前胴の外周部に滑材を供給する滑材供給装置と、前記前胴のスキンプレートを貫通する滑材注入口と、前記スキンプレートの外周面にトンネル軸方向に沿って形成された前胴溝と、を備え、
前記滑材注入口は、前記前胴溝に連通している
ことを特徴とする中折れシールド掘削機。
続きを表示(約 460 文字)【請求項2】
前記前胴溝の後端部は、前記前胴の前記スキンプレートと前記後胴のスキンプレートとの間に形成された凹部に近接している
ことを特徴とする請求項1に記載の中折れシールド掘削機。
【請求項3】
前記前胴溝は、複数本形成されており、前記前胴溝の前端部には、前記前胴溝に形成された前記滑材注入口と、隣り合う前記前胴溝とを連通する連通溝が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の中折れシールド掘削機。
【請求項4】
前記後胴の前記スキンプレートの外周面にトンネル軸方向に沿って形成された後胴溝をさらに備え、
前記後胴溝の前端部は、前記凹部に繋がっている
ことを特徴とする請求項2に記載の中折れシールド掘削機。
【請求項5】
前記前胴溝および前記後胴溝は、前記スキンプレートの外周面のうち、トンネル横断面視で最下点を含む中心角120°の円弧上に形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の中折れシールド掘削機。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、中折れシールド掘削機に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
急曲線のトンネルを掘削するシールド掘削機として、前胴が後胴に対して屈折する中折れシールド掘削機が知られている。中折れシールド掘削機では、前胴が重く前重心となるため、前端部が下がり易い。このため、地山とシールド掘削機との周面摩擦力が大きくなり、振動が発生するという問題があった。この振動を抑制するために、オーバーカットにより地山との周面摩擦力を低減していたが、オーバーカットがなくなると、地山とシールド掘削機との周面摩擦力が増加してしまう。
推進工法においては、推進管と地山との間に作用する摩擦力を低減する構成として、推進管の管外周部にらせん状溝を形成し、らせん状溝に滑材を流すものが知られている(特許文献1参照)。また、推進管体の外周に周方向に延びる溝を形成し、溝に滑材を流すものもあった(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2008-2079号公報
特開2019-60079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中折れシールド掘削機においては、胴部の外周に溝を形成してその溝に滑材を流すものはなかった。仮に、特許文献1のらせん状溝や、特許文献2の周方向に延びる溝を、中折れシールド掘削機の胴部の外周に形成したとしても、胴部の重量が大きく、滑材が後方に流れ難いので、地山とシールド掘削機との間に作用する摩擦力が効率的に低減できず、振動が発生する虞がある。
このような観点から、本発明は、地山との間に作用する摩擦力を低減可能な中折れシールド掘削機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するための本発明は、前胴が後胴に対して屈曲可能である中折れシールド掘削機において、前記前胴の外周部に滑材を供給する滑材供給装置と、前記前胴のスキンプレートを貫通する滑材注入口と、前記スキンプレートの外周面にトンネル軸方向に沿って形成された前胴溝と、を備えている。そして、前記滑材注入口は、前記前胴溝に連通していることを特徴とする。
本発明の中折れシールド掘削機によれば、前胴溝が掘削機の軸方向に沿って形成されているので、滑材が軸方向に沿って後方に流れ易く、地山との摩擦力を低減することができる。
【0006】
そして、本発明の中折れシールド掘削機においては、前記前胴溝の後端部は、前記前胴の前記スキンプレートと前記後胴のスキンプレートとの間に形成された凹部に近接しているものが好ましい。このような構成によれば、前胴溝から流れた滑材が凹部で周方向に広がって、滑材が広い範囲に供給される。
また、本発明の中折れシールド掘削機においては、前記前胴溝は、複数本形成されており、前記前胴溝の前端部には、前記前胴溝に形成された前記滑材注入口と、隣り合う前記前胴溝とを連通する連通溝が形成されているものが好ましい。このような構成によれば、一か所の滑材供給装置と滑材注入口から複数の前胴溝に効率的に滑材を流すことができる。
さらに、本発明の中折れシールド掘削機においては、前記後胴の前記スキンプレートの外周面にトンネル軸方向に沿って形成された後胴溝をさらに備え、前記後胴溝の前端部は、前記凹部に繋がっているものが好ましい。このような構成によれば、後胴溝に沿って滑材が流れるので、前胴だけでなく後胴においても、地山との摩擦力を低減することができる。
また、本発明の中折れシールド掘削機においては、前記前胴溝および前記後胴溝は、前記スキンプレートの外周面のうち、トンネル横断面視で最下点を含む中心角120°の円弧上に形成されているものが好ましい。このような構成によれば、地山との摩擦力が大きくなるシールド掘削機の底部に滑材を供給することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の中折れシールド掘削機によれば、地山との間に作用する摩擦力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施形態に係る中折れシールド掘削機の下半部を示した側面図である。
本発明の実施形態に係る中折れシールド掘削機を示した底面図である。
本発明の実施形態に係る中折れシールド掘削機を示した図であって、(a)は図1のIIIA-IIIA線断面図、(b)は図1のIIIB-IIIB線断面図である。
本発明の実施形態に係る中折れシールド掘削機の前胴溝を示した図であって、図3の(b)のIV部分の拡大図である。
本発明の実施形態に係る中折れシールド掘削機を示した図であって、図1のV-V線断面図である。
本発明の実施形態に係る中折れシールド掘削機の滑材供給装置と滑材注入口を示した図であって、(a)は側面図、(b)は前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る中折れシールド掘削機について、添付した図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る中折れシールド掘削機の下半部を示した側面図、図2は中折れシールド掘削機を示した底面図、図3は中折れシールド掘削機を示した図であって、(a)は図1のIIIA-IIIA線断面図、(b)は図1のIIIB-IIIB線断面図、図4は前胴溝を示した図であって、図3の(b)のIV部分の拡大図、図5は中折れシールド掘削機を示した図であって、図1のV-V線断面図、図6は滑材供給装置と滑材注入口を示した図であって、(a)は側面図、(b)は前面図である。
【0010】
図1および図2に示すように、中折れシールド掘削機1は、前胴2と後胴3とを備えている。前胴2は、シールド本体の前部に配置されており、後胴3に対して屈曲可能に接続されている。前胴2は、外殻を構成するスキンプレート5を備えている。前胴2の前端部には、地山を掘削するカッタヘッド6が回転可能に設けられている。カッタヘッド6で掘削された土砂は、チャンバー7を区画する隔壁8の下端部に開口するスクリュコンベヤ(図示せず)にて後方に排出される。
後胴3は、前胴2の後方に配置されている。後胴3は、外殻を構成するスキンプレート9を備えている。後胴3のスキンプレート9の径は、前胴2のスキンプレート5と同径である。後胴3の前端部の外周面には、凸円弧状曲面部10が形成されている。凸円弧状曲面部10の外周面は、球面であり、パッキン(図示せず)を介して前胴2の後端部内周面に摺接している。前胴2と後胴3とは、凸円弧状曲面部10を介して互いに屈折可能に接続されている。凸円弧状曲面部10の後端部には、凹部11が形成されている。凹部11は、後胴3の周方向に沿って延在する溝形状を呈しており、前胴2が屈曲した際に、スキンプレート5の後端部が入り込むスペースとなる。前胴2と後胴3との接続部内側には、前胴2を後胴3に対して屈曲させるための中折れジャッキ(図示せず)が設けられている。中折れジャッキは、シールド本体の軸方向に沿って延在しており、前端部が前胴2に接続され、後端部が後胴3に接続されている。中折れジャッキは、シールド本体の周方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。中折れジャッキを適宜伸縮させることで、前胴2を所望の方向へ屈曲させる。
(【0011】以降は省略されています)

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