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公開番号2024159184
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023075019
出願日2023-04-28
発明の名称切拡げ掘削面の支保構造の設計方法
出願人大成建設株式会社
代理人個人,個人
主分類E21D 9/00 20060101AFI20241031BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】三次元掘削解析を実施せずに比較的簡便に、さらには、いなし効果を定量的に評価しながら切拡げ掘削面の支保構造を設計できる、切拡げ掘削面の支保構造の設計方法を提供する。
【解決手段】トンネルの弾塑性理論に基づく円孔理論解を用いて、先進導坑の掘削に伴う地山の応力解放と先行変位を考慮した、切拡げ掘削面の支保構造の設計方法であり、導坑掘削面地山特性曲線作成工程、導坑掘削面支保特性曲線作成工程、導坑掘削面地山特性曲線と導坑掘削面支保特性曲線の交点を求める第1釣合点特定工程、切拡げ掘削面地山特性曲線作成工程、第1釣合点における切拡げ掘削面での地山応力を、切拡げ掘削面における切拡げ掘削面初期応力として設定する、切拡げ掘削面初期応力設定工程、切拡げ掘削面支保特性曲線作成工程、切拡げ掘削面地山特性曲線と切拡げ掘削面支保特性曲線の交点を求める第2釣合点特定工程、切拡げ掘削面支保構造照査工程を有する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
トンネルの弾塑性理論に基づく円孔理論解を用いて、先進導坑の掘削に伴う地山の応力解放と先行変位を考慮した、切拡げ掘削面の支保構造の設計方法であって、
前記先進導坑の掘削を想定した導坑掘削面地山特性曲線を作成する、導坑掘削面地山特性曲線作成工程と、
前記先進導坑の導坑掘削面に応じた導坑掘削面支保構造に関する導坑掘削面支保特性曲線を作成する、導坑掘削面支保特性曲線作成工程と、
前記導坑掘削面地山特性曲線と前記導坑掘削面支保特性曲線の交点である第1釣合点を求める、第1釣合点特定工程と、
前記先進導坑の周囲の切拡げ掘削を想定した切拡げ掘削面地山特性曲線を作成する、切拡げ掘削面地山特性曲線作成工程と、
前記第1釣合点における前記切拡げ掘削面での地山応力を、前記切拡げ掘削面における切拡げ掘削面初期応力として設定する、切拡げ掘削面初期応力設定工程と、
前記切拡げ掘削面に応じた切拡げ掘削面支保構造に関する切拡げ掘削面支保特性曲線を作成する、切拡げ掘削面支保特性曲線作成工程と、
前記切拡げ掘削面地山特性曲線と前記切拡げ掘削面支保特性曲線の交点である第2釣合点を求める、第2釣合点特定工程と、
前記第2釣合点における切拡げ掘削面支保構造の応力及び/又は変位と、支保耐力及び/又は地山の許容変位量とを対比し、該応力及び/又は変位が該支保耐力及び/又は地山の許容変位量以下となるように切拡げ掘削面支保構造を設計する、切拡げ掘削面支保構造照査工程とを有することを特徴とする、切拡げ掘削面の支保構造の設計方法。
続きを表示(約 920 文字)【請求項2】
地山の応力解放率にて前記切拡げ掘削面初期応力を補正して補正後切拡げ掘削面初期応力を求める、切拡げ掘削面初期応力補正工程をさらに有し、
前記切拡げ掘削面支保特性曲線作成工程では、前記補正後切拡げ掘削面初期応力に対応する変位を前記切拡げ掘削面支保特性曲線の開始点とすることを特徴とする、請求項1に記載の切拡げ掘削面の支保構造の設計方法。
【請求項3】
前記第1釣合点における導坑掘削面支保構造の応力及び/又は変位と、支保耐力及び/又は地山の許容変位量とを対比し、該応力及び/又は変位が該支保耐力及び/又は地山の許容変位量以下となるように導坑掘削面支保構造を設計する、導坑掘削面支保構造照査工程をさらに有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の切拡げ掘削面の支保構造の設計方法。
【請求項4】
地山の応力解放率にて地山の初期応力を補正して補正後導坑掘削面初期応力を求める、導坑掘削面初期応力補正工程をさらに有し、
前記導坑掘削面支保特性曲線作成工程では、前記補正後導坑掘削面初期応力に対応する変位を前記導坑掘削面支保特性曲線の開始点とすることを特徴とする、請求項3に記載の切拡げ掘削面の支保構造の設計方法。
【請求項5】
前記切拡げ掘削面支保構造照査工程において、前記応力及び/又は変位が前記支保耐力及び/又は地山の許容変位量以下とならない場合であって、前記切拡げ掘削面支保構造の支保仕様の変更のみで対応可能な場合に、該支保仕様の変更を行う、切拡げ掘削面支保構造仕様変更工程をさらに有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の切拡げ掘削面の支保構造の設計方法。
【請求項6】
前記切拡げ掘削面支保構造照査工程において、前記応力及び/又は変位が前記支保耐力及び/又は地山の許容変位量以下とならない場合であって、前記切拡げ掘削面支保構造の支保仕様の変更のみで対応不可能な場合に、前記導坑掘削面支保構造の支保仕様の変更を行う、導坑掘削面支保構造仕様変更工程をさらに有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の切拡げ掘削面の支保構造の設計方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、切拡げ掘削面の支保構造の設計方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
山岳トンネルの施工方法のうち、中央導坑先進工法は、小断面の導坑を先進させた後に正規の断面にて切拡げ掘削を行う工法である。中央導坑先進工法では、導坑掘削による応力解放に伴い、地山の初期応力が減少した応力場を切拡げることから、導坑を先進させない一般的な掘削方法に比べて、切拡げ掘削時のトンネル変位や支保応力が低減される効果(一般に、いなし効果と称される)が期待される。
中央導坑先進工法では、上記するいなし効果に加えて、切拡げ掘削時における切羽の安定性が向上し、導坑貫通後の換気効果が期待でき、導坑を先進させた際に地質確認を行うことができ、必要に応じて水抜きを行うこともできる。また、発破工法の場合は、芯抜きが不要であることから騒音振動対策に繋がる。
【0003】
上記する中央導坑先進工法に関し、例えば、特許文献1には、本坑の設計断面内において、本坑の切羽掘削に先行して先進導坑を形成した後、先進導坑内に吹付け機を設置しておき、本坑の発破掘削の後、ズリ出し作業に併行して先進導坑内に位置する吹付け機により、新たに露出したトンネル壁面に対する吹付け作業を行う、先進導坑を利用したトンネル掘削方法が記載されている。
【0004】
ところで、導坑と切拡げ断面の支保構造設計においては、導坑掘削と切拡げ掘削といった三次元的かつ複雑な掘削過程を模擬した三次元掘削解析を用いる場合がある。ただし、三次元解析を実施する場合は、モデルの作成と解析の実行、解析結果の整理等に多くの労力と時間が必要になる。また、上記するいなし効果を定量的に評価して、支保構造設計に反映した設計手法は現状確立されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2001-323773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、三次元掘削解析を実施せずに比較的簡便に、さらには、いなし効果を定量的に評価しながら切拡げ掘削面の支保構造を設計することのできる、切拡げ掘削面の支保構造の設計方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明による切拡げ掘削面の支保構造の設計方法の一態様は、
トンネルの弾塑性理論に基づく円孔理論解を用いて、先進導坑の掘削に伴う地山の応力解放と先行変位を考慮した、切拡げ掘削面の支保構造の設計方法であって、
前記先進導坑の掘削を想定した導坑掘削面地山特性曲線を作成する、導坑掘削面地山特性曲線作成工程と、
前記先進導坑の導坑掘削面に応じた導坑掘削面支保構造に関する導坑掘削面支保特性曲線を作成する、導坑掘削面支保特性曲線作成工程と、
前記導坑掘削面地山特性曲線と前記導坑掘削面支保特性曲線の交点である第1釣合点を求める、第1釣合点特定工程と、
前記先進導坑の周囲の切拡げ掘削を想定した切拡げ掘削面地山特性曲線を作成する、切拡げ掘削面地山特性曲線作成工程と、
前記第1釣合点における前記切拡げ掘削面での地山応力を、前記切拡げ掘削面における切拡げ掘削面初期応力として設定する、切拡げ掘削面初期応力設定工程と、
前記切拡げ掘削面に応じた切拡げ掘削面支保構造に関する切拡げ掘削面支保特性曲線を作成する、切拡げ掘削面支保特性曲線作成工程と、
前記切拡げ掘削面地山特性曲線と前記切拡げ掘削面支保特性曲線の交点である第2釣合点を求める、第2釣合点特定工程と、
前記第2釣合点における切拡げ掘削面支保構造の応力及び/又は変位と、支保耐力及び/又は地山の許容変位量とを対比し、該応力及び/又は変位が該支保耐力及び/又は地山の許容変位量以下となるように切拡げ掘削面支保構造を設計する、切拡げ掘削面支保構造照査工程とを有することを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、導坑掘削面地山特性曲線と導坑掘削面支保特性曲線の交点である第1釣合点における切拡げ掘削面での地山応力を、切拡げ掘削面における切拡げ掘削面初期応力として設定した後、切拡げ掘削面地山特性曲線と切拡げ掘削面支保特性曲線の交点である第2釣合点における切拡げ掘削面支保構造の応力及び/又は変位と、支保耐力及び/又は地山の許容変位量とを対比して切拡げ掘削面支保構造を設計することにより、導坑掘削後の周辺地山の地山応力と先行変位を定量的に求め、これらの応力と変位の状態を踏まえることでいなし効果を定量的に評価しながら、三次元掘削解析を実施せずとも、弾塑性理論に基づいて比較的簡便に切拡げ掘削面の支保構造を設計することができる。
ここで、「比較的簡便に設計できる」とは、例えばエクセル等の表計算ベースで設計できることを意味している。また、「応力及び/又は変位と支保耐力及び/又は地山の許容変位量とを対比する」とは、応力と支保耐力のみを対比する方法、変位と地山の許容変位量を対比する方法、及び双方を対比する方法を含む意味である。
【0009】
また、本発明による切拡げ掘削面の支保構造の設計方法の他の態様は、
地山の応力解放率にて前記切拡げ掘削面初期応力を補正して補正後切拡げ掘削面初期応力を求める、切拡げ掘削面初期応力補正工程をさらに有し、
前記切拡げ掘削面支保特性曲線作成工程では、前記補正後切拡げ掘削面初期応力に対応する変位を前記切拡げ掘削面支保特性曲線の開始点とすることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、地山の応力解放率にて切拡げ掘削面初期応力を補正し、補正後切拡げ掘削面初期応力に対応する変位を切拡げ掘削面支保特性曲線の開始点とすることにより、切拡げ掘削に伴う応力解放と先行変位を反映した、より一層精度の高い切拡げ掘削面の支保構造の設計を実現できる。
(【0011】以降は省略されています)

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