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公開番号
2024170243
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-06
出願番号
2023087292
出願日
2023-05-26
発明の名称
打設空間計測装置及び計測方法
出願人
大成建設株式会社
,
K’zシステム株式会社
代理人
弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類
E21D
11/10 20060101AFI20241129BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約
【課題】トンネルの天端部において打設空間の容積を精度良く計測することができ、残コンクリートの発生を効果的に抑える打設空間計測装置及び計測方法を提案する。
【解決手段】打設空間計測装置1は、トンネルTの天端部において覆工コンクリートCの打設空間S1の容積を計測する。型枠14の頂部14a1の外面に設置されトンネルTの軸方向に延在するレール2と、レール2に沿って走行しトンネルTの軸方向を法線方向とする面内において打設空間S1の形状を計測する2次元スキャナ3と、2次元スキャナ3を牽引する牽引機構4と、2次元スキャナ3の位置を計測するエンコーダ5と、2次元スキャナ3とエンコーダ5とによって計測された計測結果に基づいて、打設空間S1の容積を算出する制御部6と、を備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
トンネルの天端部において、セントルの型枠の外面とトンネルの内面との間に形成される覆工コンクリートの打設空間の容積を計測する打設空間計測装置であって、
前記型枠の頂部の外面に設置され前記トンネルの軸方向に延在するレールと、
前記レールに沿って走行し、前記トンネルの軸方向を法線方向とする面内において前記打設空間の形状を計測する2次元スキャナと、
前記2次元スキャナを牽引する牽引機構と、
前記2次元スキャナの位置を計測するエンコーダと、
前記2次元スキャナと前記エンコーダとによって計測された計測結果に基づいて、打設空間の容積を算出する制御部と、を備えたことを特徴とする打設空間計測装置。
続きを表示(約 350 文字)
【請求項2】
前記牽引機構に前記エンコーダが一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の打設空間計測装置。
【請求項3】
前記レールは、前記型枠の頂部の外面に対して磁石で固定されていることを特徴とする請求項1に記載の打設空間計測装置。
【請求項4】
トンネルの天端部において打設空間の容積を計測する計測方法であって、
セントルの型枠の褄部側に牽引機構及びエンコーダを設置するとともに、前記型枠のラップ部側に2次元スキャナを配置し、前記牽引機構により前記ラップ部側から前記褄部側に向けて前記2次元スキャナを牽引し、前記2次元スキャナと前記エンコーダとによって計測された計測結果に基づいて、打設空間の容積を算出することを特徴とする計測方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル施工における打設空間計測装置及び計測方法に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル施工における打設空間を計測する技術として特許文献1,2に開示されたものが知られている。特許文献1は、覆工コンクリートを打設するための巻立空間の確認、及びこの巻立空間の覆工コンクリートの打設ボリュームの把握に用いる巻立空間測定方法に関するものである。特許文献1の技術では、トンネル内にセントルを据え付ける前に、トンネルの内壁面の出来形を三次元スキャナで計測してトンネルの内壁面の座標を取得し、トンネル内にセントルを据え付けた後に、セントルに設けた複数点のプリズムの三次元座標をトータルステーションで計測することにより、セントルの型枠表面の座標を取得している。そして特許文献1の技術では、トンネルの内壁面の座標とセントルの型枠表面の座標との差分から、覆工コンクリート打設前の巻立空間及び巻立空間における覆工コンクリートの打設ボリュームを測定している。
また、特許文献2は、打設管理システムに関するものである。特許文献2の技術では、打設空間の三次元モデルに基づいてコンクリートの最終天端位置を特定する最終天端位置特定処理と、打設中の打設現場を撮像装置が撮像した撮像情報に基づいて、打設中の打設現場の点群情報を取得する点群情報取得処理と、三次元モデルと群情報とに基づいて、打設中のコンクリートの天端位置を特定する天端位置特定処理と、三次元モデル、点群情報、天端位置、および、最終天端位置に基づいて、最終天端位置まで打設するのに必要な必要量を算出する必要量算出処理と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-61417号公報
特開2022-174364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の巻立空間測定方法は、躯体のように設計通りに型枠を組む工種を対象とした空間測定を行う場合に適している。一方、トンネル覆工を対象とした空間測定では、型枠の一部となる支保工仕上がり面(吹付けコンクリートの表面等)の出来形が施工の狙いに対して数cm程度の施工誤差を有することがあるため、特許文献1の測定方法に基づいて設計3Dモデルから残り体積を算出したとしても、バッチ式ミキサにおいて調整可能となる容量(0.25m
3
)に収まらない可能性がある。したがって、トンネル覆工を対象とした空間測定に対して適用性が低い。
また、特許文献2では、メタルフォームに基づく設計3Dモデルをベースとしているため、箱抜きを施工する区間に適用する場合に課題がある。トンネルは、線状構造物であるため、同一断面をトンネル線形(平面・縦断)に基づいて延伸して設計3Dモデルを作成することが多い。しかし、箱抜き部は、縦断・横断方向に断面変化を有するため、詳細に設計3Dモデルに反映することが難しく、特許文献2の手法を箱抜き部に適用しようとすると、高度な3Dモデルが必要となるため、その3Dモデルの作成に高度な技術と手間を要する。それに加え、箱抜き部は、一般的に、セントルに木製の箱抜き用型枠を取り付けて施工することとなるが、これらの取り付けは作業員の手作業で行うため、セントルセット誤差と箱抜き用型枠の施工誤差も積算される。
また、打設前に算出した1スパン分の予定数量が例えば100m
3
である場合には、4m
3
の生コン車25台分の運搬になるが、実際のところ、生コン車1台あたりの正確な体積は確認することができない(例えば、空気量の管理基準値:±2.5%、製造プラントの計量設備の精度:水±1%、セメント±1%、骨材±3%)。また、生コン車からコンクリートを荷下ろしする際、ドラム内にコンクリートが付着して残留する。そのため、出荷時のコンクリート数量と躯体に打設した真のコンクリート数量は一致しない。このため、多数の運搬を伴う打設では、これらの誤差が積算されるため、最終的な誤差がバッチ式ミキサにおいて調整可能となる容量(0.25m
3
)に収まらず、残コンクリートを低減するに至らないことが推察される。
本発明は、前記した課題を解決し、トンネルの天端部の打設作業において、打設空間の容積を精度良く計測することができ、残コンクリートの発生を効果的に抑えることができる打設空間計測装置及び計測方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の打設空間計測装置は、トンネルの天端部において、セントルの型枠の外面とトンネルの内面との間に形成される覆工コンクリートの打設空間の容積を計測するものである。打設空間計測装置は、前記型枠の頂部の外面に設置され前記トンネルの軸方向に延在するレールと、前記レールに沿って走行し、前記トンネルの軸方向を法線方向とする面内において前記打設空間の形状を計測する2次元スキャナと、前記2次元スキャナを牽引する牽引機構と、前記2次元スキャナの位置を計測するエンコーダと、前記2次元スキャナと前記エンコーダとによって計測された計測結果に基づいて、打設空間の容積を算出する制御部と、を備えている。
本発明では、打設作業の最終段階となるトンネルの天端部の打設作業において、覆工コンクリートの残必要量を精度良く計測することができるので、生コンクリートの発注や運搬に係る積算誤差の影響が小さく、残コンクリートの発生を効果的に抑えることができる。このことは、コンクリートガラの処分費の低減、コンクリート生産に伴うCO
2
排出量の削減に寄与する。
また、2次元スキャナ及びエンコーダによる計測結果と、簡単な演算処理とによって容積を算出できるので、短時間で精度良く覆工コンクリートの残必要量を把握できる。また、算出した容積に基づいて、生コンクリート車の台数調整を行うことができるので、生コンクリート車の待ち時間を削減することが可能となり、生産性の向上を図ることができる。
前記牽引機構に前記エンコーダが一体に設けられていることが好ましい。この構成では、牽引機構へのエンコーダの取り付けや調整が不要となるので、覆工コンクリートの残必要量をスムーズに精度良く計測できる。また、トンネルの天端部への機器の設置及び計測後の撤去が容易である。
また、前記レールは、前記型枠の頂部の外面に対して磁石で固定されていることが好ましい。このように構成することで、型枠の頂部の外面に対するレールの設置及び計測後の撤去が容易である。
【0006】
前記課題を解決するための本発明の計測方法は、トンネルの天端部において打設空間の容積を計測する方法である。セントルの型枠の褄部側に牽引機構及びエンコーダを設置するとともに、前記型枠のラップ部側に2次元スキャナを配置し、前記牽引機構により前記ラップ部側から前記褄部側に向けて前記2次元スキャナを牽引し、前記2次元スキャナと前記エンコーダとによって計測された計測結果に基づいて、打設空間の容積を算出することを特徴とする。
本発明では、ラップ部側から褄部側に向けて2次元スキャナを牽引して計測するので、打設済覆工コンクリートに隣接する打設空間の容積を計測できる。これにより、生コンクリートの発注や運搬に係る積算誤差の影響が小さくなり、残コンクリートの発生を効果的に抑えることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の打設空間計測装置及び計測方法によれば、トンネルの天端部の打設作業において、打設空間の容積を精度良く計測することができ、残コンクリートの発生を効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の第1実施形態に係る打設空間計測装置が適用されるトンネルを示す概要断面図である。
本発明の第1実施形態に係る打設空間計測装置が設置されたトンネルの天端部付近を示す拡大断面図である。
本発明の第1実施形態に係る打設空間計測装置を示す図であり、(a)は全体構成を示す側面図、(b)は要部を拡大して示した側面図である。
本発明の第1実施形態に係る打設空間計測装置の2次元スキャナを示す拡大側面図である。
本発明の第1実施形態に係る打設空間計測装置の2次元スキャナを褄部側から見た状態を示す拡大図である。
本発明の第1実施形態に係る打設空間計測装置の牽引装置及びエンコーダを示す拡大図である。
本発明の第1実施形態に係る打設空間計測装置の容積算出システムを示すブロック図である。
本発明の第1実施形態に係る打設空間計測装置の制御部による容積の算出手順を説明するための図であり、(a)は2次元スキャナを用いてトンネルの断面積を算出する際の説明図、(b)は2次元スキャナ及びエンコーダの計測結果に基づいて打設空間の容積を算出する際の説明図である。
本発明の第2実施形態に係る打設空間計測装置の2次元スキャナを示す拡大側面図である。
本発明の第2実施形態に係る打設空間計測装置の2次元スキャナを褄部側から見た状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の打設空間計測装置及び計測方法について適宜図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、打設空間計測装置及び計測方法について「前後」「左右」「上下」を言うときは図1,図2等に示す方向を基準とするが、打設空間計測装置の使用方法(設置方向)を限定する趣旨ではない。また、各実施形態において、共通する部分には共通の符合を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る打設空間計測装置1が適用されるトンネルTを示す概要断面図である。
図1に示すように、打設空間計測装置1が適用されるトンネルTの抗内には、セントル(スライドセントル)10が設置されている。セントル10は、トンネルTの軸方向に敷設された移動用レール11cに沿って移動可能である。セントル10は、ガントリ11と、ガントリ11に支持された型枠14とを備えている。
トンネルTは、発破や機械掘削等により地山Gに造成された、例えば図示例のような馬蹄形や円形等の孔壁T1を備えている。孔壁T1と型枠14との間に覆工コンクリートCが打設される打設空間Sが形成される。なお、孔壁T1の内周面に吹付けコンクリートが施工されている場合は、型枠14と吹付けコンクリートとの間に打設空間Sが形成される。
ガントリ11は、形鋼等を適宜組み合わせることにより門型に形成された枠組み部材である。ガントリ11は、左右一対の支持脚11a,11aと、支持脚11a,11aの上端部に架設された梁部材11bと、を備えている。支持脚11a,11aの下端部には、移動用レール11cを走行するための図示しない車輪が設けられている。また、ガントリ11は、打設時の作業員の足場や資材機器等の仮置き場として機能する作業足場13を備えている。セントル10の内空には、コンクリート打設管15a~15dが配設されている。
(【0011】以降は省略されています)
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