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公開番号2024161788
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-20
出願番号2023076811
出願日2023-05-08
発明の名称液状化対策構造および構築方法
出願人大成建設株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類E02D 27/34 20060101AFI20241113BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】施工手間と費用を軽減できるとともに、効率的な液状化対策を行うことができる液状化対策構造を提供する。
【解決手段】主建物2に隣り合う附属建物3を支持する附属地盤5の液状化を抑制するための液状化対策構造1である。液状化対策構造1は、主建物2の下方に設けられた地盤改良部10と、附属地盤5の外周縁部を拘束する地盤拘束部20とを備えており、地盤拘束部20の一部は、地盤改良部10のうち附属地盤5に対向する部位であることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
主建物に隣り合う附属建物を支持する附属地盤の液状化を抑制するための液状化対策構造であって、
前記主建物の下方に設けられた地盤改良部と、前記附属地盤の外周縁部を拘束する地盤拘束部とを備えており、
前記地盤拘束部の一部は、前記地盤改良部のうち前記附属地盤に接する部位である
ことを特徴とする液状化対策構造。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
前記地盤拘束部は、前記附属地盤に形成された地中壁を備えており、
前記地中壁は、前記附属建物が前記地中壁に直接支持されることなく、前記附属建物の荷重が前記附属地盤に伝達されるように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液状化対策構造。
【請求項3】
前記地盤拘束部は、前記地中壁と前記附属建物との間に介設された緩衝体をさらに備えており、
前記緩衝体の剛性または強度は、前記附属地盤の剛性または強度よりも小さい
ことを特徴とする請求項2に記載の液状化対策構造。
【請求項4】
前記地中壁は、平面視格子状に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の液状化対策構造。
【請求項5】
前記附属地盤に形成された前記地中壁と、前記主建物の下方に設けられた前記地盤改良部との接続部には、補強部が形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の液状化対策構造。
【請求項6】
前記主建物の下方に設けられた地盤改良部は、前記主建物の下方の地盤の全面を地盤改良した全面改良体であり、
前記地盤拘束部の一部は、前記全面改良体の外周面のうち前記附属地盤に接する面である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液状化対策構造。
【請求項7】
請求項1に記載の液状化対策構造の上に建物を構築する構築方法であって、
主建物を構築する主建物構築工程と、
前記主建物を少なくとも上棟まで施工した後に前記主建物の下方の主地盤の沈下に伴って傾斜した附属地盤を整地する整地工程と、
整地した前記附属地盤の上に附属建物を構築する附属建物構築工程と、を備える
ことを特徴とする構築方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、液状化対策構造および構築方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
地震時における地盤の液状化を抑制する液状化対策としては、例えば、特許文献1または2に記載されたものが知られている。
特許文献1の液状化防止方法は、建物を支持する地盤中に建物の周囲を囲む地中周壁を形成し、地中周壁の内側の地盤上にカウンターウェイトを設置している。カウンターウェイトと建物の荷重で、地盤を締め付けることで、地盤を拘束し液状化を阻止している。
特許文献2の液状化対策構造は、平面視格子状に形成された地中壁と、地中壁の上方に構築した構造物と、地中壁と構造物との間に介設された緩衝体と、を備えている。緩衝体の剛性は、構造物の直下の地盤の剛性よりも小さく設定されており、地中壁に作用する構造物の鉛直荷重を減少させて、直下の地盤に作用する鉛直荷重を増加させている。これによって、せん断変形を抑制する地中壁を構造物の下方に配置していながらも、構造物の鉛直荷重による地盤の拘束効果を期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2009-7894号公報
特開2011-190645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、規模が大きい建物(主建物)の隣りに立体駐車場等の附属建物が建築されることがあるが、主建物に対して、附属建物は規模が小さい場合が多い。この場合、附属建物の液状化対策構造を、主建物の液状化対策構造と同じ仕様にすると、過剰な性能となり、施工手間や費用が余分にかかってしまうという問題があった。
このような観点から、本発明は、施工手間と費用を軽減できる効率的な液状化対策を行える液状化対策構造および構築方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するための第一の本発明は、主建物に隣り合う附属建物を支持する附属地盤の液状化を抑制するための液状化対策構造であって、前記主建物の下方に設けられた地盤改良部と、前記附属地盤の外周縁部を拘束する地盤拘束部とを備えている。前記地盤拘束部の一部は、前記地盤改良部のうち前記附属地盤に接する部位であることを特徴とする。
本発明の液状化対策構造によれば、附属建物の地盤拘束部の一部を、主建物の地盤改良部の一部と共用しているので、地盤拘束部の施工手間と費用を軽減できる。
本発明の液状化対策構造においては、前記地盤拘束部は、前記附属地盤に形成された地中壁を備えており、前記地中壁は、前記附属建物が前記地中壁に直接支持されることなく、前記附属建物の荷重が前記附属地盤に伝達されるように配置されているものが好ましい。このような構成によれば、地中壁による附属地盤のせん断変形抑止、および附属建物の荷重による附属地盤の有効応力の増加による液状化抑制効果を期待できるとともに、附属地盤の支持力を強化することができる。
【0006】
本発明の液状化対策構造においては、前記地盤拘束部は、前記地中壁と前記附属建物との間に介設された緩衝体をさらに備えており、前記緩衝体の剛性または強度は、前記附属地盤の剛性または強度よりも小さいものが好ましい。このような構成によれば、地盤よりも変形し易い緩衝体を配置したことにより、地中壁で直接構造物を支持する場合に比べて、地中壁に作用する鉛直荷重(建物重量に起因する荷重)が減り、建物直下の地盤(地中壁で囲まれた領域に位置する地盤)に作用する鉛直荷重が増えるようになるので、せん断変形を抑制する地中壁を構造物の下方に配置していながらも、建物重量による地盤の拘束効果を期待することができる。
本発明の液状化対策構造においては、前記地中壁は、平面視格子状に配置されているものが好ましい。このような構成によれば、地中壁による附属地盤のせん断変形抑止、および附属建物の荷重による附属地盤の有効応力の増加による液状化抑制効果をさらに高めることができるとともに、附属地盤の支持力をより一層強化することができる。
本発明の液状化対策構造においては、前記附属地盤に形成された前記地中壁と、前記主建物の下方に設けられた前記地盤改良部との接続部には、補強部が形成されているものが好ましい。このような構成によれば、主建物の重量と附属建物の重量との差によって地盤沈下量の差が発生した場合であっても、接続部に発生するせん断力に対抗することができる。
本発明の液状化対策構造においては、前記主建物の下方に設けられた地盤改良部は、前記主建物の下方の地盤の全面を地盤改良した全面改良体であり、前記地盤拘束部の一部は、前記全面改良体の外周面のうち前記附属地盤に接する面であるものが好ましい。このような構成によれば、全面改良体の側面を、地盤拘束部の一部として利用することができる。
【0007】
前記課題を解決するための第二の本発明は、液状化対策構造の上に建物を構築する構築方法であって、主建物を構築する主建物構築工程と、前記主建物を少なくとも上棟まで施工した後に前記主建物の下方の主地盤の沈下に伴って傾斜した附属地盤を整地する整地工程と、整地した前記附属地盤の上に附属建物を構築する附属建物構築工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の構築方法によれば、主建物の重量による地盤の沈下によって傾斜が発生した附属地盤を平坦にした後に附属建物を施工することができる。したがって、附属建物の構築の施工手間および費用を軽減できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液状化対策構造および構築方法によれば、施工手間と費用を軽減でき、効率的な液状化対策を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の第一の実施形態に係る液状化対策構造を示した図であって、(a)は全体平面図、(b)は要部拡大平面図である。
本発明の第一の実施形態に係る構築方法を説明するための図であって、(a)は主建物構築工程を示した断面図、(b)は整地工程を示した断面図、(c)は附属建物構築工程を示した断面図である。
本発明の第一の実施形態に係る液状化対策構造の三次元有限要素法による解析のメッシュモデルである。
建物自重による鉛直荷重を示した図である。
(a)は主建物を先に上棟させた場合の沈下量のコンター図、(b)は附属地盤の整地後に附属建物を構築した場合の沈下量のコンター図である。
(a)は主建物を先に上棟させた場合の地盤の上載圧のコンター図、(b)は附属地盤の整地後に附属建物を構築した場合の地盤の上載圧のコンター図である。
(a)は主建物を先に上棟させた場合の地中壁の最大せん断応力のコンター図、(b)は附属地盤の整地後に附属建物を構築した場合の地中壁の最大せん断応力のコンター図である。
(a)は附属地盤に形成された地中壁と主建物の下方に設けられた地盤改良部との接続部の補強部を示した平面図、(b)は変形例に係る補強部を示した平面図である。
本発明の第二の実施形態に係る液状化対策構造を示した図であって、(a)は全体平面図、(b)は断面図である。
本発明の第三の実施形態に係る液状化対策構造を示した図であって、(a)は全体平面図、(b)は断面図である。
本発明の第四の実施形態に係る液状化対策構造を示した図であって、(a)は全体平面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第一の実施形態に係る液状化対策構造および構築方法について、添付した図面を参照しながら説明する。本実施形態では、主建物に附属建物が隣り合って構築されており、主建物が格子状に形成された地盤改良部にて支持された場合を例に挙げて説明する。
図1は第一の実施形態に係る液状化対策構造を示した図であって、(a)は全体平面図、(b)は要部拡大平面図、図2は構築方法を説明するための図であって、(a)は液状化対策構造構築工程を示した断面図、(b)は主建物構築工程および整地工程を示した断面図、(c)は附属建物構築工程を示した断面図である。
(【0011】以降は省略されています)

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