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公開番号2024169004
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-05
出願番号2023086167
出願日2023-05-25
発明の名称混焼用電子制御装置
出願人株式会社日立製作所
代理人弁理士法人開知
主分類F02D 45/00 20060101AFI20241128BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】第一コントローラのソフトウェアの変更を抑制しつつ、事前取得のマップデータなしでエンジンの運転条件に適した混焼を実施することができる混焼用電子制御装置を提供する。
【解決手段】混焼用電子制御装置は、第一燃料の燃焼を制御する第一コントローラ11と、第一燃料と第二燃料の混焼を制御する第二コントローラ12と、を備える。第二コントローラ12は、エンジンの運転条件ごとに第一燃料の燃焼タイミングに対応する観測値(例えば、クランク軸の回転速度の極値と極値タイミング)を記憶する(S504)。第二コントローラ12は、それぞれの運転条件に適する第一燃料の燃焼タイミングに対応する観測値を学習する(S503)。第二コントローラ12は、現在の運転条件及び学習状況から、混焼を実施するか判定する(S505)。第二コントローラ12は、混焼を実施すると判定した場合、学習した観測値を用いて混焼を制御する(S506)。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
第一燃料の燃焼を制御する第一コントローラと、前記第一燃料と第二燃料の混焼を制御する第二コントローラと、を備え、
前記第二コントローラは、
エンジンの運転条件ごとに前記第一燃料の燃焼タイミングに対応する観測値を記憶し、
それぞれの前記運転条件に適する前記第一燃料の燃焼タイミングに対応する観測値を学習し、
現在の前記運転条件及び学習状況から前記混焼を実施するか判定し、
前記混焼を実施すると判定した場合、学習した前記観測値を用いて前記混焼を制御する
ことを特徴とする混焼用電子制御装置。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
請求項1に記載の混焼用電子制御装置であって、
前記観測値は、クランク軸の回転速度の極値と、前記回転速度が前記極値となるタイミングを示す極値タイミングであり、
前記第二コントローラは、
前記極値と前記極値タイミングを検出し、
前記運転条件ごとに前記極値と前記極値タイミングを記憶し、
それぞれの前記運転条件に適する前記極値と前記極値タイミングを学習する
ことを特徴とする混焼用電子制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の混焼用電子制御装置であって、
前記第二コントローラは、
前記混焼を実施すると判定した場合、現在の前記運転条件の前記混焼の燃焼タイミングに対応する前記極値タイミングが、前記運転条件に適する前記第一燃料の燃焼タイミングに対応する前記極値タイミングに近づくように点火タイミングを決定する
ことを特徴とする混焼用電子制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の混焼用電子制御装置であって、
前記第二コントローラは、
現在の前記運転条件の前記極値タイミングが前記運転条件に適する前記極値タイミングより遅い場合、点火タイミングを進角させる指令を含む制御信号を第一コントローラへ出力し、
現在の前記運転条件の前記極値タイミングが前記運転条件に適する前記極値タイミングより早い場合、点火タイミングを遅角させる指令を含む制御信号を第一コントローラへ出力し、
前記第一コントローラは、
前記制御信号に含まれる指令に応じて点火タイミングを制御する
ことを特徴とする混焼用電子制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載の混焼用電子制御装置であって、
前記第二コントローラは、
前記混焼を実施すると判定した場合、現在の前記運転条件の前記混焼の燃焼タイミングに対応する前記極値タイミングが前記運転条件に適する前記第一燃料の燃焼タイミングに対応する前記極値タイミングに近づくように混焼率を決定する
ことを特徴とする混焼用電子制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の混焼用電子制御装置であって、
前記第二燃料の燃焼速度は、前記第一燃料の燃焼速度より大きく、
前記第二コントローラは、
現在の前記運転条件の前記極値タイミングが前記運転条件に適する前記極値タイミングより遅い場合、前記第二燃料の混焼率を大きくし、
現在の前記運転条件の前記極値タイミングが前記運転条件に適する前記極値タイミングより早い場合、前記第二燃料の混焼率を小さくする
ことを特徴とする混焼用電子制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載の混焼用電子制御装置であって、
前記第二コントローラは、
前記混焼を実施すると判定した場合、現在の前記運転条件の前記混焼の燃焼タイミングに対応する前記極値タイミングと、前記運転条件に適する前記第一燃料の燃焼タイミングに対応する前記極値タイミングを比較し、前記混焼の燃焼状態を判定する
ことを特徴とする混焼用電子制御装置。
【請求項8】
請求項2に記載の混焼用電子制御装置であって、
前記第二コントローラは、
現在の前記運転条件の前記混焼の燃焼タイミングに対応する前記極値及び前記極値タイミングと、前記運転条件に適する前記第一燃料の燃焼タイミングに対応する前記極値及び前記極値タイミングを比較し、前記混焼の燃焼状態を判定する
ことを特徴とする混焼用電子制御装置。
【請求項9】
請求項6に記載の混焼用電子制御装置であって、
前記第一燃料の流量を調整する第一燃料流量調整装置への前記第一コントローラからの第一制御信号と、前記第一燃料流量調整装置への前記第二コントローラからの第二制御信号と、を切り替える切替装置を備え、
前記第二コントローラは、
前記混焼率を変更する場合、前記切替装置を制御し、前記第一制御信号から前記第二制御信号へ切り替えさせる
ことを特徴とする混焼用電子制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の混焼用電子制御装置であって、
前記エンジンは、発電機を駆動し、
前記運転条件は、
発電電力、発電電流、空気過剰率、エンジン回転数、トルクのうち1つ以上を含む
ことを特徴とする混焼用電子制御装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、混焼用電子制御装置に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
化石燃料の使用を削減するための脱炭素システムとして、再生可能エネルギーで生成した燃料を活用した混焼エンジンシステムについて、発電用途やコジェネレーション用途で検討されている。再生可能エネルギー由来燃料として、水素やアンモニアがあるが、水素は燃焼速度が従来の炭化水素燃料の約7倍以上であり、アンモニアは燃焼速度が従来の炭化水素燃料の1/5であり、燃焼特性が大きく異なる。
【0003】
水素は燃焼速度が速いために早期着火やバックファイアといった異常燃焼が発生しやすい。またアンモニアは失火や、燃焼タイミングが遅いことで熱効率低下につながる。そのような背景から、再生可能エネルギー由来燃料と従来燃料との混焼時は、燃焼タイミング等の制御が必要となる。
【0004】
燃料の混焼率に応じて燃焼タイミングを適切に制御するには、コントローラの実装マップや開発コストが増大する。また燃焼タイミングのオンボード検出には、燃焼圧力センサの設置が必要であり、追加搭載のハード改造、コスト増加を伴う。
【0005】
以上より、炭化水素燃料と燃焼性の異なる燃料(水素やアンモニア等)を一部燃料とする混焼エンジンにおいて、異常燃焼や失火を抑制するために、リアルタイムに燃焼状態を検出する必要がある。燃焼状態を検出する技術は、特許文献1に開示されている。
【0006】
特許文献1には、追加改造無しで燃焼タイミングを検出する手段について記載されている。具体的にはエンジンのクランク軸の回転センサを活用する手法である。クランク回転センサを用いて、クランク角速度の極値タイミングから燃焼重心を推定する手法である。この手法は追加センサレスで燃焼重心を推定できるが、事前に諸条件で取得した燃焼タイミングとの相関マップが必要となるため、既存コントローラ実装ソフトの大幅変更が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2021-161904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
再生可能エネルギー由来燃料との混焼エンジンシステムを成立させるために、エンジンの大幅改造無しで、かつ、コントローラの実装ソフトの大幅変更を伴うことなく、オンボードに燃焼検知して、制御することが求められる。そのためには、ベース燃料システムの既存コントローラのソフト変更無しで、かつ、追加センサレスにて混焼の燃焼タイミング検知・制御を行うことができることが求められる。
【0009】
本発明の目的は、第一コントローラのソフトウェアの変更を抑制しつつ、事前取得のマップデータなしでエンジンの運転条件に適した混焼を実施することができる混焼用電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の混焼用電子制御装置は、第一燃料の燃焼を制御する第一コントローラと、前記第一燃料と第二燃料の混焼を制御する第二コントローラと、を備え、前記第二コントローラは、エンジンの運転条件ごとに前記第一燃料の燃焼タイミングに対応する観測値を記憶し、それぞれの前記運転条件に適する前記第一燃料の燃焼タイミングに対応する観測値を学習し、現在の前記運転条件及び学習状況から、前記混焼を実施するか判定し、前記混焼を実施すると判定した場合、学習した前記観測値を用いて前記混焼を制御する。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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