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公開番号2024163535
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-22
出願番号2023079245
出願日2023-05-12
発明の名称離型シート、その製造方法、及び該離型シートを用いるセラミック部材の製造方法
出願人国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C04B 35/64 20060101AFI20241115BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】より薄く、十分な保形強度を有する離型シートを、環境負荷を削減しつつ提供する。
【解決手段】天然原料由来であり、繊維長/粒子径の割合が大きい繊維状であるセルロースナノファイバーを窒化ホウ素粒子のバインダーとして用いることにより、厚みが薄くても十分な保形強度を有する離型シートとする。また、該離型シートに、カーボン粒子を含有させることにより、還元性雰囲気中で製品を製造する場合の還元をより適切に行うことを可能にする。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
窒化ホウ素粒子及びセルロースナノファイバーを含む離型シート。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
前記窒化ホウ素粒子を、前記離型シートの空隙部を除く体積割合で、40%以上95%以下含む、請求項1に記載の離型シート。
【請求項3】
カーボン粒子を、前記離型シートの空隙部を除く体積割合で、1%以上20%以下含む、請求項2に記載の離型シート。
【請求項4】
膜厚が1μm以上200μm以下である、請求項1に記載の離型シート。
【請求項5】
窒化ホウ素粒子及びセルロースナノファイバーを含みカーボン粒子を含まない二層の間に、窒化ホウ素粒子とカーボン粒子とセルロースナノファイバーを含む層が介在する三層構造である、請求項1に記載の離型シート。
【請求項6】
セラミック部材の製造に用いる請求項1~5のいずれか1項に記載の離型シート。
【請求項7】
前記セラミック部材が非酸化物系セラミック部材である、請求項6に記載の離型シート。
【請求項8】
窒化ホウ素粒子及びセルロースナノファイバーを含む水系スラリーから水分を除きシート状に成形する工程を含む、窒化ホウ素粒子及びセルロースナノファイバーを含む離型シートの製造方法。
【請求項9】
前記水系スラリーがさらにカーボン粒子を含む、請求項8に記載の離型シートの製造方法。
【請求項10】
前記水分を除きシート状に成形する工程が、前記スラリーを非吸水性基板に流して乾燥させる工程である、請求項8又は9に記載の離型シートの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、離型シート、その製造方法、及び該離型シートを用いるセラミック部材の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
セラミック部材を焼成して製造する際の部材間又は部材と治具間の焼き付き防止や、プレス製品、鋳造製品等の金型表面への貼り付き防止のために、離型材が用いられている。離型材としては、固体潤滑材としての機能も有する窒化ホウ素が多く用いられている。
窒化ホウ素(BN)はかさが高くふわふわした粒子であり、乾燥状態でのハンドリングが難しい。そのため、部材や金型等に固体で塗布する場合、粒子が飛び散り、均等な膜ができない、表面への付着量が少ない等の問題がある。そこで、溶媒を加えた液状物にして、スプレーや刷毛塗で焼き付き防止部や摺動部に塗布したり(特許文献1参照)、シート状に成形して焼成前の成形体間又は焼成前の成形体と治具の間に挟み込んだり(特許文献2、3)して、部材間の焼き付きや貼り付きを防止することが一般的である。
【0003】
特許文献1には、金型の内表面にBN粒子を溶媒に分散させた潤滑離型剤を塗布した後に、前記金型を用いて鋳造することにより、金型表面への貼り付きを防止することが記載されている(請求項1)。
【0004】
特許文献2には、BN粒子と有機バインダー(エチルセルロース、コーンスターチ、アクリル系樹脂等)を含む水溶液をシート状に成形して乾燥させた離型シートを、焼成前の予備成形体間に挟むことで離形剤層を形成することが記載されている(請求項1、段落[0017]、[0028]、[0031])。
【0005】
特許文献3には、焼成前のセラミック成形体を、BN粒子、バインダーであるポリビニルブチラール(PVB)、及び分散媒を含むスラリーをシート状に成形した一対の離型シートで挟んでホットプレス焼成し、配向セラミック焼結体を得ることが記載されている(請求項1,3、10、実験例1,3)。
【0006】
一方、セルロースナノファイバー(CNF)は、天然由来の素材であり、環境負荷が小さく、軽量、高強度、低熱膨張等の特性を有することから、種々の用途が検討されている素材である。特許文献4には、BN粒子とCNFの複合材からなる放熱材について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2009-297754号公報
特開2001-240476号公報
特許第6490881号公報
特許第6470539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されるように、BN粒子に溶媒を加えた液状物を金型等に塗布する場合、スプレーの液滴、刷毛塗の筋などができやすく、不均一なむらが生じ、むらが製品表面に転写されるという問題が発生する。
また、焼成前のセラミック成形体のような多孔質部材の表面に液状物を塗布すると、多孔質内部に液が染み込み、悪影響を及ぼす恐れがある。さらに、表面に転写されたむらが、製品のそり発生につながってしまう。
【0009】
特許文献2、3には、BN粒子を含む離型シートを用いてセラミック部材を製造することが記載されている。しかし、BN粒子のバインダーとして実施例において使用しているのは、ポリビニルブチラール(PVB)、アクリル樹脂等の樹脂系合成品であり、有機系の分散媒を用いたスラリーから離型シートを作製しているため、カーボンニュートラルの要請に反し、環境負荷が大きい。
また、シート状物には、シートとしての形状を保って取り扱いを容易にするための強度(以下、「保形強度」という。)が必要である。しかし、樹脂系合成品のバインダーでは、BN粒子との結合力が大きくないため、保形強度を満たすために多量のバインダーを必要とする。したがって、薄いシート状物を得ることが難しく、限られた容積を有する製造装置内で離型シートの占める体積が大きくなってしまう(スペースファクターが劣る。)。
【0010】
特許文献2の段落[0031]、特許文献3の段落[0013]には、エチルセルロースやコーンスターチ等、天然原料由来のバインダーも例示されており、これらの使用によって、一定の環境負荷削減の効果が期待できる。しかし、これらのバインダーも、樹脂系合成品のバインダーと同じく、保形強度を確保するためには一定以上の含有が必要であるから、厚みを薄くすることができず、スペースファクターが改善されないという課題があった。
(【0011】以降は省略されています)

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