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公開番号
2024136385
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-04
出願番号
2023047491
出願日
2023-03-24
発明の名称
セメント混和材
出願人
太平洋セメント株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C04B
28/02 20060101AFI20240927BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約
【課題】セメントクリンカを原料として使用し、二酸化炭素が固定化されているため、混和材として用いた場合に、該混和材を含む混合セメントの二酸化炭素排出原単位を低減することができるセメント混和材を提供する。
【解決手段】鉱物組成として、カルシウムシリケート及びAl
2
O
3
含有鉱物相を含むセメントクリンカを炭酸化してなる炭酸化セメントクリンカの粉砕物を含むセメント混和材。上記セメントクリンカは、好ましくはカルシウムシリケートとしてビーライトを含み、Al
2
O
3
含有鉱物相としてゲーレナイトを含み、かつ、以下の(1)~(2)の条件を満たす焼成物である。
(1)ビーライト100質量部に対するゲーレナイトの量が10~100質量部であること
(2)セメントクリンカがアルミネート相を含まない、又は、ビーライト100質量部に対して15質量部以下の量で含むこと
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
鉱物組成として、カルシウムシリケート及びAl
2
O
3
含有鉱物相を含むセメントクリンカを炭酸化してなる炭酸化セメントクリンカの粉砕物を含むことを特徴とするセメント混和材。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
上記セメントクリンカが、XRD-リートベルト法による鉱物組成として、上記カルシウムシリケートを40質量%以上の割合で、かつ、上記Al
2
O
3
含有鉱物相を0.1質量%以上の割合で含むものである請求項1に記載のセメント混和材。
【請求項3】
上記セメント混和材の炭素の割合が0.5~10質量%である請求項1に記載のセメント混和材。
【請求項4】
上記カルシウムシリケートが、エーライト及びビーライトの中から選ばれる1種以上であり、上記Al
2
O
3
含有鉱物相が、アルミネート相、フェライト相、ゲーレナイト、アウイン、及びCaAl
2
O
4
の中から選ばれる1種以上である請求項1に記載のセメント混和材。
【請求項5】
上記セメントクリンカが、上記カルシウムシリケートとしてビーライトを含み、上記Al
2
O
3
含有鉱物相としてゲーレナイトを含み、かつ、以下の(1)~(2)の条件を満たす焼成物である請求項1に記載のセメント混和材。
(1)上記ビーライト100質量部に対する上記ゲーレナイトの量が10~100質量部であること
(2)上記セメントクリンカがアルミネート相を含まない、又は、上記ビーライト100質量部に対して15質量部以下の量で含むこと
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のセメント混和材とセメントを含む混合セメントであって、
上記混合セメント中、上記セメント混和材の割合が5~60質量%である混合セメント。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のセメント混和材を製造するための方法であって、
上記セメントクリンカを粗砕してなる粗砕物を炭酸化養生し粉砕して、または、上記セメントクリンカを粉砕してなる粉砕物を炭酸化養生して、上記セメント混和材を得る第一の炭酸化養生工程、
を含むセメント混和材の製造方法。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載のセメント混和材を製造するための方法であって、
上記セメントクリンカを粉砕してなる粉砕物と水を混練して、ペーストを得る混練工程と、
上記ペーストを炭酸化養生して、炭酸化してなるペーストの硬化体を得るペースト炭酸化工程と、
上記硬化体を粉砕して上記セメント混和材を得る粉砕工程、
を含むセメント混和材の製造方法。
【請求項9】
上記粉砕工程で得られた上記セメント混和材を炭酸化養生する第二の炭酸化養生工程、を含む請求項8に記載のセメント混和材の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント混和材に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)
【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化の抑制のため、二酸化炭素の排出量の低減が重要な課題になっている。
排ガスに含まれている二酸化炭素をセメント質硬化体に固定化して大気中への二酸化炭素の排出量を削減するための方法として、例えば、特許文献1には、セメント質硬化体に、350℃以上の温度を有する二酸化炭素含有ガスを接触させて、上記二酸化炭素含有ガスに含まれている二酸化炭素を、上記セメント質硬化体に固定化する接触工程を含むことを特徴とする二酸化炭素の固定化方法が記載されている。
また、コンクリート廃材から再生骨材を製造する際に副次発生する微粉末を、セメント原料の一部として再利用した微粉セメントとして、特許文献2には、水酸化カルシウムをほとんど含まない廃コンクリート微粉末を、セメントクリンカに微量添加したことを特徴とする微粉末セメントが記載されている。該微粉末セメントは、炭酸化の進行した材料である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2020-131074号公報
特開2010-254503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セメントクリンカは、原料として多量の廃棄物が使用されており、セメントクリンカを製造し、使用することは循環型社会の一翼を担う重要な機能を有している。
本発明の目的は、セメントクリンカを原料として使用し、二酸化炭素が固定化されているため、混和材として用いた場合に、該混和材を含む混合セメントの二酸化炭素排出原単位を低減することができるセメント混和材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カルシウムシリケート及びAl
2
O
3
含有鉱物相を含むセメントクリンカを炭酸化してなる炭酸化セメントクリンカの粉砕物を含むセメント混和材によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供するものである。
[1] 鉱物組成として、カルシウムシリケート及びAl
2
O
3
含有鉱物相を含むセメントクリンカを炭酸化してなる炭酸化セメントクリンカの粉砕物を含むことを特徴とするセメント混和材。
[2] 上記セメントクリンカが、XRD-リートベルト法による鉱物組成として、上記カルシウムシリケートを40質量%以上の割合で、かつ、上記Al
2
O
3
含有鉱物相を0.1質量%以上の割合で含むものである前記[1]に記載のセメント混和材。
[3] 上記セメント混和材の炭素の割合が0.5~10質量%である前記[1]又は[2]に記載のセメント混和材。
[4] 上記カルシウムシリケートが、エーライト及びビーライトの中から選ばれる1種以上であり、上記Al
2
O
3
含有鉱物相が、アルミネート相、フェライト相、ゲーレナイト、アウイン、及びCaAl
2
O
4
の中から選ばれる1種以上である前記[1]~[3]のいずれかに記載のセメント混和材。
[5] 上記セメントクリンカが、上記カルシウムシリケートとしてビーライトを含み、上記Al
2
O
3
含有鉱物相としてゲーレナイトを含み、かつ、以下の(1)~(2)の条件を満たす焼成物である前記[1]~[4]のいずれかに記載のセメント混和材。
(1)上記ビーライト100質量部に対する上記ゲーレナイトの量が10~100質量部であること
(2)上記セメントクリンカがアルミネート相を含まない、又は、上記ビーライト100質量部に対して15質量部以下の量で含むこと
【0006】
[6] 前記[1]~[5]のいずれかに記載のセメント混和材とセメントを含む混合セメントであって、上記混合セメント中、上記セメント混和材の割合が5~60質量%である混合セメント。
[7] 前記[1]~[5]のいずれかに記載のセメント混和材を製造するための方法であって、上記セメントクリンカを粗砕してなる粗砕物を炭酸化養生し粉砕して、または、上記セメントクリンカを粉砕してなる粉砕物を炭酸化養生して、上記セメント混和材を得る第一の炭酸化養生工程、を含むセメント混和材の製造方法。
[8] 前記[1]~[5]のいずれかに記載のセメント混和材を製造するための方法であって、上記セメントクリンカを粉砕してなる粉砕物と水を混練して、ペーストを得る混練工程と、上記ペーストを炭酸化養生して、炭酸化してなるペーストの硬化体を得るペースト炭酸化工程と、上記硬化体を粉砕して上記セメント混和材を得る粉砕工程、を含むセメント混和材の製造方法。
[9] 上記粉砕工程で得られた上記セメント混和材を炭酸化養生する第二の炭酸化養生工程、を含む前記[8]に記載のセメント混和材の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のセメント混和材は、二酸化炭素が固定化されているため、上記セメント混和材を含む混合セメントの二酸化炭素排出原単位を、上記セメント混和材を含まないセメントの二酸化炭素排出原単位と比較して、低減することができ、セメントを製造する際の二酸化炭素の排出量を低減することができる。
また、セメントクリンカを原料として使用しているため、本発明のセメント混和材を含む混合セメントについて、セメントクリンカの使用量を、上記セメント混和材を含まないセメントと同程度に維持することができ、セメントクリンカの原料としての廃棄物の有効利用を促進することができる。
さらに、本発明のセメント混和材は、該セメント混和材を含む混合セメントの強度発現性及び流動性を十分なものにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のセメント混和材は、鉱物組成として、カルシウムシリケート及びAl
2
O
3
含有鉱物相を含むセメントクリンカを炭酸化してなる炭酸化セメントクリンカの粉砕物を含むものである。
カルシウムシリケートの例としては、エーライト(3CaO・SiO
2
:「C
3
S」ともいう)及びビーライト(2CaO・SiO
2
:「C
2
S」ともいう)等が挙げられる。これらは1種が単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
Al
2
O
3
含有鉱物相の例としては、アルミネート相(3CaO・Al
2
O
3
:「C
3
A」ともいう)、フェライト相(4CaO・Al
2
O
3
・Fe
2
O
3
:「C
4
AF」ともいう)、ゲーレナイト(2CaO・Al
2
O
3
・SiO
2
:「C
2
AS」ともいう)、アウイン(3CaO・3Al
2
O
3
・CaSO
4
)、CaAl
2
O
4
(「CA」ともいう)等が挙げられる。これらは1種が単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
なお、上記鉱物相には、Na、Mg、Al、Si、P、S、Cl、K、Fe、Si、Cr等の成分が固溶していてもよい。
【0009】
セメントクリンカのカルシウムシリケートの割合は、本発明のセメント混和材を含む混合セメントの強度発現性、及び、該混合セメントの硬化前の流動性をより向上する観点からは、XRD-リートベルト法による鉱物組成として、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは65質量%以上である。上記割合は、セメントクリンカに固定される二酸化炭素の量をより多くする観点、及び、製造の容易性等の観点からは、XRD-リートベルト法による鉱物組成として、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。
なお、セメントクリンカが、カルシウムシリケートとして複数の種類の鉱物組成を含む場合、上記割合は、複数の種類の鉱物組成の割合の合計である。
【0010】
セメントクリンカがカルシウムシリケートとしてエーライトを含む場合、セメントクリンカ中のエーライトの割合は、本発明のセメント混和材を含む混合セメントの強度発現性、及び、該混合セメントの硬化前の流動性等の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは10~70質量%、特に好ましくは25~65質量%である。
セメントクリンカがカルシウムシリケートとしてビーライトを含む場合、セメントクリンカ中のビーライトの割合は、本発明のセメント混和材を含む混合セメントの強度発現性、及び、該混合セメントの硬化前の流動性等の観点から、好ましくは5~95質量%、より好ましくは10~90質量%、さらに好ましくは15~88質量%、特に好ましくは20~85質量%である。
(【0011】以降は省略されています)
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