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公開番号
2024160432
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-14
出願番号
2023075400
出願日
2023-05-01
発明の名称
炭化金属被覆炭素材料
出願人
信越化学工業株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C04B
41/87 20060101AFI20241107BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約
【課題】高温環境下でのガスの発生を抑制できる炭化金属被覆炭素材料を提供する。
【解決手段】本発明は、炭素を主成分とする炭素基材と、炭素基材の少なくとも一部を被覆する炭化金属被覆膜とを含む炭化金属被覆炭素材料であり、炭化金属被覆膜を構成する金属炭化物は、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム及び炭化タングステンからなる群から選択される少なくとも1種の金属炭化物であり、炭素基材は、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、ケイ素、カルシウム、バナジウム、ニッケル、ナトリウム、カリウム及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、炭素基材におけるアルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、ケイ素、カルシウム、バナジウム、ニッケル、ナトリウム、カリウム及び硫黄のそれぞれの濃度の合計の濃度が10質量ppm以上10000質量ppm以下である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
炭素を主成分とする炭素基材と、前記炭素基材の少なくとも一部を被覆する炭化金属被覆膜とを含む炭化金属被覆炭素材料であって、
前記炭化金属被覆膜を構成する金属炭化物は、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム及び炭化タングステンからなる群から選択される少なくとも1種の金属炭化物であり、
前記炭素基材は、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、ケイ素、カルシウム、バナジウム、ニッケル、ナトリウム、カリウム及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、
前記炭素基材におけるアルミニウムの濃度、鉄の濃度、マグネシウムの濃度、チタンの濃度、ケイ素の濃度、カルシウムの濃度、バナジウムの濃度、ニッケルの濃度、ナトリウムの濃度、カリウムの濃度及び硫黄の濃度の合計の濃度が10質量ppm以上10000質量ppm以下である炭化金属被覆炭素材料。
続きを表示(約 710 文字)
【請求項2】
前記炭素基材における鉄の濃度が1質量ppm以上10000質量ppm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆炭素材料。
【請求項3】
前記炭素基材におけるチタンの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆炭素材料。
【請求項4】
前記炭素基材におけるマグネシウムの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆炭素材料。
【請求項5】
前記炭素基材におけるケイ素の濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆炭素材料。
【請求項6】
前記炭素基材におけるカルシウムの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆炭素材料。
【請求項7】
前記炭素基材におけるバナジウムの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆炭素材料。
【請求項8】
前記炭素基材におけるナトリウムの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆炭素材料。
【請求項9】
前記炭素基材におけるカリウムの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆炭素材料。
【請求項10】
前記炭素基材における硫黄の濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である請求項1に記載の炭化金属被覆炭素材料。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素基材表面に炭化金属被覆膜を被覆した炭化金属被覆炭素材料に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
SiCやGaNをはじめとしたWide Band Gap半導体は、Si半導体と比較して、高い絶縁破壊電界強度及び優れた耐熱性を有するとともに、低損失であるので、パワー半導体に適している。その一方で、Wide Band Gap半導体は、Si半導体と比較して、ウエハの製造コストが高い。このため、Wide Band Gap半導体のウエハの製造の低コスト化が求められている。
Wide Band Gap半導体の結晶成長工程やエピタキシャル成長工程にかかる費用が、Wide Band Gap半導体のウエハの製造コストに大きな影響を与えており、Wide Band Gap半導体のウエハの製造の低コスト化のためには、それらの工程の歩留り向上が求められている。
【0003】
Wide Band Gap半導体の結晶成長工程やエピタキシャル成長工程における歩留りを下げる要因はいくつか考えられるが、その一つとして、るつぼやガイド部材、サセプタとして使用する炭素基材からのガスの発生が挙げられる。炭素基材自体の昇華や炭素基材に吸着していた炭化水素系ガスの脱着によりガスが発生し、そのガスが原因で結晶成長中に結晶方位が変化してしまうことで歩留りが低下することが考えられる。
【0004】
その対策として、炭素基材を金属炭化物膜でコーティングする方法が挙げられる。炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化タングステンなどの金属炭化物は、融点が高く、化学的安定性、強度、靭性および耐食性に優れている。このため、金属炭化物で炭素基材をコーティングすることにより、炭素基材の耐熱性、化学的安定性、強度、靭性、耐食性を改善するとともに、ガスの発生を抑制することができる。
【0005】
また、炭素基材自体を高純度処理することでも、ガスの発生を抑制できることが知られている。実際に特許文献1では高純度処理された炭素基材が使用されており、非特許文献1では、炭素基材からの昇温脱離ガスが、炭素基材の高純度処理によって低減できることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第5502721号公報
【非特許文献】
【0007】
東洋炭素株式会社 特殊黒鉛製品 カタログ、インターネット:https://www.toyotanso.co.jp/Products/download/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の炭素基材及び非特許文献1に記載の炭素基材を金属炭化物膜でコーティングして、Wide Band Gap半導体の製造装置に使用した場合、結晶成長工程やエピタキシャル成長工程におけるガスの発生の抑制が不十分であった。
【0009】
そこで、本発明は、高温環境下でのガスの発生を抑制できる炭化金属被覆炭素材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、炭化金属被覆炭素材料の炭化基材中のアルミニウムの濃度、鉄の濃度、マグネシウムの濃度、チタンの濃度、ケイ素の濃度、カルシウムの濃度、バナジウムの濃度、ニッケルの濃度、ナトリウムの濃度、カリウムの濃度及び硫黄の濃度の合計の濃度を10質量ppm以上10000質量ppm以下にすることで、高温環境下での炭化金属被覆炭素材料からのガスの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]炭素を主成分とする炭素基材と、前記炭素基材の少なくとも一部を被覆する炭化金属被覆膜とを含む炭化金属被覆炭素材料であって、
前記炭化金属被覆膜を構成する金属炭化物は、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム及び炭化タングステンからなる群から選択される少なくとも1種の金属炭化物であり、
前記炭素基材は、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、ケイ素、カルシウム、バナジウム、ニッケル、ナトリウム、カリウム及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含み、
前記炭素基材におけるアルミニウムの濃度、鉄の濃度、マグネシウムの濃度、チタンの濃度、ケイ素の濃度、カルシウムの濃度、バナジウムの濃度、ニッケルの濃度、ナトリウムの濃度、カリウムの濃度及び硫黄の濃度の合計の濃度が10質量ppm以上10000質量ppm以下である炭化金属被覆炭素材料。
[2]前記炭素基材における鉄の濃度が1質量ppm以上10000質量ppm以下である上記[1]に記載の炭化金属被覆炭素材料。
[3]前記炭素基材におけるチタンの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である上記[1]又は[2]に記載の炭化金属被覆炭素材料。
[4]前記炭素基材におけるマグネシウムの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
[5]前記炭素基材におけるケイ素の濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
[6]前記炭素基材におけるカルシウムの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
[7]前記炭素基材におけるバナジウムの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
[8]前記炭素基材におけるナトリウムの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
[9]前記炭素基材におけるカリウムの濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
[10]前記炭素基材における硫黄の濃度が0.1質量ppm以上10000質量ppm以下である上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
[11]前記炭化金属被覆膜の膜厚が10μm以上100μm以下である上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
[12]前記炭化金属被覆膜の表面の算術平均粗さRaが0.1μm以上9.5μm以下である上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
[13]前記炭素基材の表面の算術平均粗さRaが0.1μm以上10.0μm以下である上記[1]~[12]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
[14]前記炭化金属被覆膜を構成する金属炭化物が炭化タンタルである上記[1]~[13]のいずれか1つに記載の炭化金属被覆炭素材料。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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