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公開番号2024154884
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-31
出願番号2023069089
出願日2023-04-20
発明の名称動物の腸内環境改善用組成物及びその使用
出願人ロート製薬株式会社
代理人個人,個人
主分類A23K 10/38 20160101AFI20241024BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】
本発明の目的は、未利用資源を有効利用しつつも、肉質や脂肪の質に優れた食用肉を得るために、動物の腸内環境を改善すると共に健全な肥育を促進し得る組成物を提供することにある。
【解決手段】
上記目的は、酒類の醸造粕を含む組成物等により解決される。また、当該組成物においては、酒類の醸造粕が、泡盛の醸造粕であることが好ましい。さらに、当該組成物は、酒類の醸造粕と固形飼料とを含む発酵原料が発酵処理に供された発酵物であることが好ましい。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
酒類の醸造粕を含む、動物の腸内環境改善用組成物。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
酒類の醸造粕を含む、動物の脂肪質改善用組成物。
【請求項3】
酒類の醸造粕を含む、動物の腸内短鎖脂肪酸産生促進用組成物。
【請求項4】
酒類の醸造粕を含む、動物の腸内細菌叢中の短鎖脂肪酸産生菌増加用組成物。
【請求項5】
酒類の醸造粕を含む、動物の肥育促進用組成物。
【請求項6】
前記酒類の醸造粕が、泡盛の醸造粕である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記酒類の醸造粕と固形飼料とを含む発酵原料が発酵処理に供された発酵物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記短鎖脂肪酸が、酢酸、酪酸及びプロピオン酸からなる群から選択される少なくとも1種の短鎖脂肪酸である、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項9】
前記短鎖脂肪酸産生菌が、
Clostridium
属、
Roseburia
属、
Prevotella
属、
Ruminococcus
属、
Copracoccus
属、
Butyrivibrio
属、
Eubacterium
属、
Bifidobacterium
属、
Anaerobutyricum
属及び
Bacteroides
属からなる群から選択される少なくとも1種の細菌である、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
前記動物は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、トリ、ウマ及びシカからなる群から選ばれる少なくとも1種の動物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酒類の醸造粕を含む動物の腸内環境改善用組成物及びその使用に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
食用肉の肉質を改良する方法は、食肉加工を改善する方法と、食用肉となる家畜の飼育方法を改善する方法とに大別される。家畜の飼育方法を改善するために、家畜に給餌する飼料がしばしば見直される。
【0003】
例えば、ウシの飼料としては、稲ワラ、牧草などの繊維質が多く含まれる粗飼料と、デンプン、タンパク質などの栄養素を多く含み、栄養価が高い穀物主体の濃厚飼料とがある。粗飼料及び濃厚飼料の配合割合を変えること、濃厚飼料に含まれる栄養素を変えることなどにより、飼育方法を介してウシの肉質の改良が試みられている。
【0004】
また、粗飼料及び濃厚飼料に加えて、ウシの成長及び肉質を改良する成分を添加物として使用する方法がある。例えば、ウシの成長促進を目的として、テトラサイクリン、アボパルシン等の抗生物質を添加物として飼料に添加する方法がある。しかし、これらの抗生物質は、ウシの体内において突然変異による耐性菌を誘発するおそれがあるだけでなく、ウシの体内に残留して食肉等を介して人体に取り込まれる危険性がある。
【0005】
このような状況下から、添加物を使用する場合は、抗生物質とは別の添加物を使用することが望ましい。そのような添加物の一つとして、家畜の腸内環境の改善効果を期待した添加物がある。例えば、ヒトの食品や家畜の飼料に対してオリゴ糖等のプレバイオティクスを添加し、腸内細菌叢を改善することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
腸内細菌叢は、腸内フローラともいわれ、腸内の細菌が構成する体内の生態系である。腸内細菌叢は、腸管上皮を介して宿主と相互作用しており、例えば、便秘、下痢、感染症、アレルギー性疾患、炎症性腸疾患、肥満及び糖尿病などの種々の疾患に関係することが明らかになっている。
【0007】
腸内細菌が生産する物質の一つとして、短鎖脂肪酸がある。短鎖脂肪酸は、有機酸の一種であり、腸内細菌が腸内で消化されにくい食物繊維やオリゴ糖を発酵することにより生成される。腸内細菌によって生成された短鎖脂肪酸は、腸の粘膜上皮から吸収され、腸上皮細胞の増殖や粘液分泌の促進を図り、腸上皮細胞のエネルギー源として利用される。短鎖脂肪酸の一部は、血流に乗って全身に運ばれ、肝臓や腎臓、筋肉等の組織でエネルギー源として利用され、脂肪を合成する材料として利用される。さらに、短鎖脂肪酸が生成することによって腸内のpHが低下し、病原性微生物が生育しにくい環境が生まれ、腸内細菌叢のバランスが整えられる。その他、腸管上皮細胞のバリア機能の強化や感染防御の手助けとなること、腸管を刺激して腸の蠕動運動を高めて便通を促すことなどが知られている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
【0008】
このような短鎖脂肪酸の効果に着目して、短鎖脂肪酸の産生量に対する家畜動物の生産性の関係性を検証した研究も行われている(例えば、非特許文献3及び4参照)。
【0009】
一方で、酒類の製造工程においては、副産物として醸造粕が産生される。このような醸造粕は、昨今の持続可能な開発目標(SDGs)の観点から、廃棄ロスの削減のため、有効利用が求められている。しかし、例えば、泡盛の醸造粕である泡盛粕は、沖縄県内で年間約4万tが排出され、そのうちの30%にあたる1.2万tが利用されずに廃棄物処理されている(例えば、非特許文献5参照)。泡盛粕は、クエン酸などの有機酸や必須アミノ酸が豊富に含まれているため、圧搾ろ過などの固液分離に供して得られる液体が「もろみ酢」として利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特表2018-509176号公報
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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