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公開番号2024154817
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-31
出願番号2023068914
出願日2023-04-20
発明の名称多層フィルム
出願人信越化学工業株式会社
代理人弁理士法人牛木国際特許事務所
主分類B32B 27/00 20060101AFI20241024BHJP(積層体)
要約【課題】耐熱性に優れ、低誘電率、低誘電正接でありながら、銅との高い接着性を有する硬化物となる多層フィルムの提供。
【解決手段】
下記組成で表されるA層、B層及びC層を有する多層フィルムであって、A層、B層及びC層の順に積層されたものである多層フィルム。
A層
(a1):環状イミド化合物及び(a2):硬化触媒を含む層
B層
(b1):変性ポリフェニレンエーテル及び(b2):硬化触媒を含む層
C層
(c1):環状イミド化合物及び(c2):硬化触媒を含む層
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記組成で表されるA層、B層及びC層を有する多層フィルムであって、A層、B層及びC層の順に積層されたものである多層フィルム。
A層
(a1):下記式(1)で表される環状イミド化合物及び
(a2):硬化触媒を含む層
B層
(b1):変性ポリフェニレンエーテル及び
(b2):硬化触媒を含む層
C層
(c1):下記式(1)で表される環状イミド化合物及び
(c2):硬化触媒を含む層
TIFF
2024154817000023.tif
32
132
(式(1)中、Aは独立して環状構造を含む4価の有機基を示す。Qは独立してヘテロ原子を含んでもよい芳香族基を含まない炭素数6以上の2価の炭化水素基である。Bは独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6以上のアリーレン基である。Xは水素原子またはメチル基であり、nは0~200であり、mは0~200である。)
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
A層を構成する樹脂組成物とC層を構成する樹脂組成物とが同じ樹脂組成物である請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
式(1)中のAで示される有機基が下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである請求項1に記載の多層フィルム。
TIFF
2024154817000024.tif
129
139
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
【請求項4】
式(1)中のQで示される2価の炭化水素基が下記構造式で示される2価の炭化水素基及びダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基から選ばれるものである請求項1に記載の多層フィルム。
TIFF
2024154817000025.tif
90
148
(R
1
はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示す。p
1
及びp
2
はそれぞれ5以上の数であり、同じであっても異なっていてもよく、p
3
及びp
4
はそれぞれ0以上の数であり、同じであっても異なっていてもよく、p
5
及びp
6
はそれぞれ0以上の数であり、同じであっても異なっていてもよい。上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。)
【請求項5】
式(1)中のBで示されるアリーレン基が下記構造式で示されるアリーレン基のいずれかである請求項1に記載の多層フィルム。
TIFF
2024154817000026.tif
124
136
(R
2
はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、R
3
は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、Zは酸素原子、硫黄原子又はメチレン基である。上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。)
【請求項6】
(a)成分の環状イミド化合物が、式(1)中のmが0である環状イミド化合物である請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項7】
A層及びC層の厚さが、それぞれ0.1~20μmである請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項8】
B層の厚さが20~100μmである請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項9】
25~150℃におけるA層及びC層の最低溶融粘度が0.1~100Pa・sである請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項10】
25~150℃におけるB層の硬化物の線膨張係数が1~50ppm/Kである請求項1に記載の多層フィルム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、多層フィルム、特に、銅張積層板、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板の基材フィルム、カバーレイフィルム及び半導体封止材等に用いられる多層フィルムに関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話に代表される移動体通信機器、その基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワークインフラ機器、大型コンピュータ等の電子機器では、使用する信号の高速化及び大容量化が年々進んでいる。これに伴い、これらの電子機器に搭載されるプリント配線板には20GHz領域といった高周波帯が使用されるため、低誘電率、低誘電正接、低熱膨張率、高耐熱性、低吸水性など、プリント配線板用材料に求められる特性はますます高まっている。
【0003】
これらの特性を満たす可能性のある材料としては、変性ポリフェニレンエーテル樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる(特許文献1~2)。
しかしながら、変性ポリフェニレンエーテル樹脂は接着強度が低く、プリント配線板用の材料としての特性を十分に満たしていない。また、エポキシ樹脂は、接着強度は高いが、誘電率と誘電正接が高く、高周波帯での使用には不向きである。
【0004】
これらの問題を解決する方法として、異なる厚さないし粘度を有する層を有する複合フィルムであって、一方の層がポリイミド化合物と無機充填材とを含有し、もう一方の層が多官能エポキシ樹脂とフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂とを含有するものである複合フィルムが提案されているが(特許文献3~4)、これらの複合フィルムでも耐熱性及び接着強度が十分ではないことがわかってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2019-1965号公報
特開2018-28044号公報
特開2018-14388号公報
特開2018-12259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、耐熱性に優れ、低誘電率、低誘電正接でありながら、銅との高い接着性を有する硬化物となる多層フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究した結果、下記多層フィルムが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は下記の多層フィルムを提供するものである。
[1]
下記組成で表されるA層、B層及びC層を有する多層フィルムであって、A層、B層及びC層の順に積層されたものである多層フィルム。
A層
(a1):下記式(1)で表される環状イミド化合物及び
(a2):硬化触媒
B層
(b1):変性ポリフェニレンエーテル及び
(b2):硬化触媒
C層
(c1):下記式(1)で表される環状イミド化合物及び
(c2):硬化触媒
TIFF
2024154817000001.tif
35
137
(式(1)中、Aは独立して環状構造を含む4価の有機基を示す。Qは独立してヘテロ原子を含んでもよい芳香族基を含まない炭素数6以上の2価の炭化水素基である。Bは独立してヘテロ原子を含んでもよい炭素数6以上のアリーレン基である。Xは水素原子またはメチル基であり、nは0~200であり、mは0~200である。)
[2]
A層を構成する樹脂組成物とC層を構成する樹脂組成物とが同じ樹脂組成物である[1]に記載の多層フィルム。
[3]
式(1)中のAで示される有機基が下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである[1]又は[2]に記載の多層フィルム。
TIFF
2024154817000002.tif
130
139
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
[4]
式(1)中のQで示される2価の炭化水素基が下記構造式で示される2価の炭化水素基及びダイマー酸骨格由来の2価炭化水素基から選ばれるものである[1]~[3]のいずれか1項に記載の多層フィルム。
TIFF
2024154817000003.tif
92
151
(R
1
はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示す。p
1
及びp
2
はそれぞれ5以上の数であり、同じであっても異なっていてもよく、p
3
及びp
4
はそれぞれ0以上の数であり、同じであっても異なっていてもよく、p
5
及びp
6
はそれぞれ0以上の数であり、同じであっても異なっていてもよい。上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。)
[5]
式(1)中のBで示されるアリーレン基が下記構造式で示されるアリーレン基のいずれかである[1]~[4]のいずれか1項に記載の多層フィルム。
TIFF
2024154817000004.tif
126
137
(R
2
はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、R
3
は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、Zは酸素原子、硫黄原子又はメチレン基である。上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(1)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。)
[6]
(a)成分の環状イミド化合物が、式(1)中のmが0である環状イミド化合物である[1]~[5]のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[7]
A層およびC層の厚さが、それぞれ0.1~20μmである[1]~[6]のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[8]
B層の厚さが20~100μmである[1]~[7]のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[9]
25~150℃におけるA層及びC層の最低溶融粘度が0.1~100Pa・sである[1]~[8]のいずれか1項に記載の多層フィルム。
[10]
25~150℃におけるB層の硬化物の線膨張係数が1~50ppm/Kである[1]~[9]のいずれか1項に記載の多層フィルム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の多層フィルムは、耐熱性に優れ、低誘電率、低誘電正接でありながら、銅との高い接着性を有する。したがって、本発明の多層フィルムは銅張積層板、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板の基材フィルム、カバーレイフィルム、半導体封止材等の用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<多層フィルム>
本発明の多層フィルムは、下記組成で表されるA層、B層及びC層を有し、少なくともA層、B層及びC層がこの順に配されたものであり、好ましくはA層、B層及びC層がこの順に互いに隣接して配されたものであり、例えば、A層又はC層の最外層側にさらに支持体又は保護フィルム等の他の層を有していてもよい。
A層
(a1):下記式(1)で表される環状イミド化合物及び(a2):硬化触媒を含む層
B層
(b1):変性ポリフェニレンエーテル及び及び(b2):硬化触媒を含む層
C層
(c1):下記式(1)で表される環状イミド化合物及び(c2):硬化触媒を含む層
A層は(a1)及び(a2)を含有する樹脂組成物から形成される層であり、本明細書において、該樹脂組成物を「A層を構成する樹脂組成物」又は「A層の樹脂組成物」と記載する場合がある。同様に、B層は(b1)及び(b2)を含有する樹脂組成物から形成される層であり、該樹脂組成物を「B層を構成する樹脂組成物」又は「B層の樹脂組成物」と記載し、C層は(c1)及び(c2)を含有する樹脂組成物から形成される層であり、該樹脂組成物を「C層を構成する樹脂組成物」又は「C層の樹脂組成物」と記載する場合がある。
本発明の多層フィルムにおいて、A層、B層及びC層を構成する各樹脂組成物はそれぞれ独立に未硬化状態又は半硬化したB-stage状態である。
(【0011】以降は省略されています)

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