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公開番号
2024065050
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-05-14
出願番号
2023182943
出願日
2023-10-25
発明の名称
積層フィルム
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
B32B
27/36 20060101AFI20240507BHJP(積層体)
要約
【課題】本発明は、画面に適用したときの視認性に優れ、耐屈曲性に優れたフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】異なる複数の熱可塑性樹脂層が51層以上1001層以下積層された積層フィルムであって、前記積層フィルムの長手方向と幅方向のヤング率の平均値が4.0GPa以上5.5GPa以下であり、前記積層フィルムの厚みが10μm以上30μm未満であり、前記積層フィルムを透過する透過光のb*値が5以上50以下である、積層フィルムを提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
異なる複数の熱可塑性樹脂層が51層以上1001層以下積層された積層フィルムであって、前記積層フィルムの長手方向と幅方向のヤング率の平均値が4.0GPa以上5.5GPa以下であり、前記積層フィルムの厚みが10μm以上30μm未満であり、前記積層フィルムを透過する透過光のb*値が5以上50以下である、積層フィルム。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記積層フィルムを透過する透過光の波長440nmから470nmまでの帯域における平均透過率が55%以上85%以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記異なる複数の熱可塑性樹脂層の相対的に結晶性の高い熱可塑性樹脂層をA層、相対的に結晶性の低い熱可塑性樹脂層をB層としたときに、前記A層と前記B層が交互に積層され、前記積層フィルムの両面の最表層が前記A層であり、積層フィルムの厚みを100%としたときに、前記最表層に位置するA層の合計厚みが10%以上40%以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記積層フィルムは下記の耐屈曲性試験後の回復角度が158度以上180度以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
<耐屈曲性試験>積層フィルムの長さ方向中央に1mm幅の底面を設けて、積層フィルムの両側の面を前記底面に対して90度に折り曲げて、その後に0度に戻し平面に広げる。折り曲げ曲率半径は1.0mmとする。折り曲げて広げる動作を常温で20万回繰り返した後、積層フィルムを広げた状態で静置する。積層フィルムの長さ方向中央を頂点とする折れ曲がり角度を測定する。試験前の積層フィルム平面を180度とし、試験後の折れ曲がり角度を回復角度とする。
【請求項5】
前記積層フィルムの長手方向の厚みばらつきが1.5%以下である請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記A層が結晶性のポリエチレンテレフタレートを50質量%を超え100質量%以下の割合で含み、前記B層が非晶性の共重合ポリエステルを含む、請求項3に記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記B層の非晶性の共重合ポリエステルにおいて、共重合成分がイソソルベート、スピログリコール、およびシクロヘキサンジメタノールから選択される少なくとも1つを含む、請求項6に記載の積層フィルム。
【請求項8】
前記B層が、前記非晶性の共重合ポリエステルを10質量%以上50質量%未満の割合で含む、請求項6に記載の積層フィルム。
【請求項9】
請求項1または2に記載の積層フィルムがコアに巻かれた積層フィルムのロール体であって、長さ方向の50mの厚みばらつきが1.5%以下である積層フィルムロール。
【請求項10】
請求項1または2に記載の積層フィルムを備える表示画面保護フィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面に適用したときの視認性と耐屈曲性に優れたフィルムに関する。
続きを表示(約 2,900 文字)
【背景技術】
【0002】
最近の研究により、可視光領域の中でも大きなエネルギーを有する青色波長光(ブルーライト)は、人間の眼に有害である可能性が示唆されている。一方、スマートフォンやタブレット式パソコンに使用されるLEDディスプレイが発する光には、ブルーライト波長域での強い発光を示すという特徴を持つ。このような背景から、LEDディスプレイから発せられるブルーライトを軽減する機能を有するブルーライトカットフィルムが求められている。ブルーライトカットフィルムは、LEDディスプレイ等の画面において、LED光源とは反対側に配置され、LED光源から発せられた光を透過させ、外部へ発せられるブルーライトを低減するのが一般的である。
【0003】
また近年では、スマートフォンやタブレット式パソコンの中でもディスプレイの一部が屈曲することができるフレキシブルなディスプレイが注目されている。かかる状況においてブルーライトカットフィルムの要求も高度化してきており、十分にブルーライトをカットしつつ、フレキシブルなディスプレイに対しても、繰り返しの折り曲げ使用に対して実用的に問題なく使用できるフィルムが求められている。
【0004】
特許文献1には干渉反射によりブルーライトをカットする機能を有するフィルムが開示されている。特許文献2には干渉反射により紫外線領域の光をカットする機能を有するフィルムが開示されている。また、ブルーライトカットフィルムではないが、特許文献3には繰り返しの折り曲げ耐性に優れるハードコート層を有するハードコートフィルムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2015-27746号公報
国際公開第2016/080342号
特開2022-115882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や2が開示する有機材料を交互に数10層以上積層して干渉反射により紫外線領域やブルーライトをカットするフィルムでは、紫外線領域やブルーライトを選択的にカットすることができるものの、繰り返しの折り曲げ耐性には優れておらず、フィルムが屈曲したり割れたりするなどの不具合が発生することがあった。そのため、繰り返しの折り曲げ使用を想定したフレキシブルなディスプレイの画面保護フィルムには適していないといった課題がある。
【0007】
また、特許文献3が開示する繰り返しの折り曲げ耐性に優れるハードコートフィルムは、ハードコートの材料を改良することにより、繰り返し折りの曲げ使用時の耐久性を高める技術は開示しているものの、フィルムにハードコート層を付与するためにコストが増加したり、ディスプレイ等に使用した際にブルーライトを低減する機能が十分でなかったり、表示画面の視認性が悪化するという課題がある。
【0008】
本発明はかかる従来技術の欠点を改良し、表示装置の画面に適用したときの視認性に優れ、耐屈曲性に優れたフィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。すなわち、
(1)異なる複数の熱可塑性樹脂層が51層以上1001層以下積層された積層フィルムであって、前記積層フィルムの長手方向と幅方向のヤング率の平均値が4.0GPa以上5.5GPa以下であり、前記積層フィルムの厚みが10μm以上30μm未満であり、前記積層フィルムを透過する透過光のb*値が5以上50以下である、積層フィルムである。
(2)前記積層フィルムを透過する透過光の波長440nmから470nmまでの帯域における平均透過率が55%以上85%以下である、(1)に記載の積層フィルムである。
(3)前記異なる複数の熱可塑性樹脂層の相対的に結晶性の高い熱可塑性樹脂層をA層、相対的に結晶性の低い熱可塑性樹脂層をB層としたときに、前記A層と前記B層が交互に積層され、前記積層フィルムの両面の最表層が前記A層であり、積層フィルムの厚みを100%としたときに、前記最表層に位置するA層の合計厚みが10%以上40%以下である、(1)または(2)に記載の積層フィルムである。
(4)前記積層フィルムは下記の耐屈曲性試験後の回復角度が158度以上180度以下である、(1)~(3)のいずれかに記載の積層フィルムである。
<耐屈曲性試験>積層フィルムの長さ方向中央に1mm幅の底面を設けて、積層フィルムの両側の面を前記底面に対して90度に折り曲げて、その後に0度に戻し平面に広げる。折り曲げ曲率半径は1.0mmとする。折り曲げて広げる動作を常温で20万回繰り返した後、積層フィルムを広げた状態で静置する。積層フィルムの長さ方向中央を頂点とする折れ曲がり角度を測定する。試験前の積層フィルム平面を180度とし、試験後の折れ曲がり角度を回復角度とする。
(5)前記積層フィルムの長手方向の厚みばらつきが1.5%以下である(1)~(4)のいずれかに記載の積層フィルムである。
(6)前記A層が結晶性のポリエチレンテレフタレートを50質量%を超え100質量%以下の割合で含み、前記B層が非晶性の共重合ポリエステルを含む、(3)~(5)のいずれかに記載の積層フィルムである。
(7)前記B層の非晶性の共重合ポリエステルにおいて、共重合成分がイソソルベート、スピログリコール、およびシクロヘキサンジメタノールから選択される少なくとも1つを含む、(6)に記載の積層フィルムである。
(8)前記B層が、前記非晶性の共重合ポリエステルを10質量%以上50質量%未満の割合で含む、(6)または(7)に記載の積層フィルムである。
(9)(1)~(8)のいずれかに記載の積層フィルムがコアにまかれた積層フィルムのロール体であって、長さ方向の50mの厚みのばらつきが1.5%以下である積層フィルムロールである。
(10)(1)~(8)のいずれかに記載の積層フィルムを備える表示画面保護フィルムである。
(11)(1)~(8)のいずれかに記載の積層フィルムの少なくとも一方の表面にハードコート層を有することを特徴とする積層体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層フィルムは、ディスプレイ等に使用した際にLED光源から発せられるブルーライトを低減することができ、かつ繰り返し折り曲げて使用しても折りぐせや割れなどの不具合の発生が抑制される。すなわち、表示画面に適用したときの視認性に優れ、耐屈曲性に優れた積層フィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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