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公開番号2024059373
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-01
出願番号2022167011
出願日2022-10-18
発明の名称離型フィルム
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類B32B 5/18 20060101AFI20240423BHJP(積層体)
要約【課題】空洞発現剤としてポリオレフィン樹脂を主に含有し、環境対応性、軽量性、耐熱性、寸法安定性、製膜性、隠蔽性、白色度、および被接着物剥離体に対する離型性に優れた離型フィルムを提供する。
【解決手段】離型フィルムは、無機顔料を含有するポリエステル樹脂で構成される第1被覆層B1と、内部に空洞を含有する空洞含有層Aと、無機顔料を含有するポリエステル樹脂で構成される第2被覆層B2と、がこの順序に積層された積層体の少なくとも片面に離型層Cを塗布したフィルムである。この空洞含有層Aは、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂を含有する第1組成物からなる。離型層Cは、シリコーン樹脂を含有する第2組成物からなる。この離型フィルムの見かけ密度は0.80g/cm3以上1.20g/cm3以下である。第1被覆層B1及び第2被覆層B2中の無機顔料は例えば酸化チタンである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
無機顔料を含有するポリエステル樹脂で構成される第1被覆層B1と、内部に空洞を含有する空洞含有層Aと、無機顔料を含有するポリエステル樹脂で構成される第2被覆層B2と、がこの順序に少なくとも積層された積層フィルムと、積層フィルムの少なくとも片面に離型層Cとを有する離型フィルムであって、
空洞含有層Aは、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂を含有する第1組成物からなり、
離型層Cは、シリコーン樹脂を含有する第2組成物からなり、
見かけ密度が0.80g/cm

以上1.20g/cm

以下である、離型フィルム。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
シリコーン樹脂は、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を含有するポリジメチルシロキサンと、1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル基を含有するポリジメチルシロキサンとで構成される請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項3】
離型層Cにおいて、シリコーン樹脂の含有量が、離型層Cの全質量に対して90質量%以上100質量%以下である、請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項4】
空洞含有層A層に含有されるポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂が、下記要件(1)~(3)を満たす請求項1に記載の離型フィルム。
(1)前記ポリエステル樹脂の溶融温度280℃、せん断速度121.6sec
-1
における溶融粘度(η1)が90Pa・s以上400Pa・s以下である。
(2)前記ポリオレフィン樹脂の溶融温度280℃、せん断速度121.6sec
-1
における溶融粘度(η2)が300Pa・s以上700Pa・s以下である。
(3)前記ポリエステル樹脂と前記ポリオレフィン樹脂の溶融温度280℃、せん断速度121.6sec
-1
における溶融粘度比(η2/η1)が1.5以上4.5以下である。
【請求項5】
第1被覆層B1及び第2被覆層B2中の無機顔料が酸化チタンである、請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項6】
第1被覆層B1の厚み、空洞含有層Aの厚み及び第2被覆層B2の厚みの合計に対する第1被覆層B1の厚み及び第2被覆層B2の厚みの合計の比率は、6%以上40%以下である請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項7】
離型層C表面の常態剥離力が40mN/50mm以上500mN/50mm以下である請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項8】
ラベル用セパレーター又は工程用離型フィルムの用途に用いられることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に空洞を含有する離型フィルムに関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
紙と類似した機能を有するフィルムを得る方法として、微細な空洞をフィルム内部に多量に含有させる方法が知られている。
【0003】
この方法は、ポリエステル樹脂中に非相溶な熱可塑性樹脂(以下、非相溶樹脂と呼ぶ)を混合し、ポリエステル樹脂中に該非相溶樹脂を分散させたシートを得て、少なくとも1軸方向に延伸する。これによりこの方法は、ポリエステル樹脂と非相溶樹脂との間での界面剥離によって、空洞を発現させる。このような非相溶樹脂として例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂などのポリオレフィン樹脂(例えば、特許文献1~3参照)やポリスチレン樹脂(例えば、特許文献4、5参照)が提案されている。特に、これらの中で空洞発現性やコストパフォーマンスの点で、ポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0004】
ここで、ポリプロピレン樹脂を含むポリオレフィン樹脂を単純にポリエステル樹脂に分散させた場合、ポリオレフィン分散粒子の分散径が大きくなる。そのため、空洞は発現し易いが、一方で空洞が大きくなってしまい、十分な隠蔽性が得られず、また製膜性も悪くなる。そのため、ポリオレフィン樹脂を微分散化させる方法が採用されてきた。これまで、この微分散化させる方法として、界面活性剤やポリエチレングリコールなどの分散剤を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献6、7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開昭49-134755号公報
特開平2-284929号公報
特開平2-180933号公報
特公昭54-29550号公報
特開平11-116716号公報
特公平7-17779号公報
特開平8-252857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、界面活性剤やポリエチレングリコールなどの分散剤を添加した場合、ポリオレフィン樹脂に対して、微分散化効果はあるものの、加熱延伸工程や熱固定工程でポリオレフィン樹脂が変形してしまう。そのため、得られる空洞も潰れ易くなり、十分な軽量性やクッション性が得られない。また、界面活性剤やポリエチレングリコールは耐熱性に劣るため、ポリエステル樹脂に合わせた溶融押出工程において、熱劣化が生じ易く、得られるフィルムの白色度が低下してしまう。場合によっては、ポリエステル樹脂の劣化を促進し、製膜性が悪化する問題がある。
【0007】
近年、ディスプレイ構成部材の保護等に使用する離型フィルムや各種電子部品製造用工程フィルムにおいて、離型フィルムの剥離識別性が必要とされる場合がある。また各種電子部品製造工程においては熱処理工程を伴う場合もあり、工程用離型フィルムには耐熱性・寸法安定性が求められる場合がある。また近年、環境面から原材料の使用削減・軽量化や資源循環が求められている。無色透明なポリエステルフィルムで構成される離型フィルムにあっては、耐熱性や寸法安定性は十分に満足できるが、フィルムの剥離識性や原材料量の削減・軽量化を満足することが難しいという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を改善し、空洞発現剤としてポリオレフィン樹脂を主に含有し、環境対応性、軽量性、耐熱性、寸法安定性、製膜性、隠蔽性、白色度、および剥離体に対する離型性に優れた離型フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂の溶融粘度および溶融粘度比を特定の範囲内に調整した条件で製膜することで、ポリエステル樹脂中のポリオレフィン樹脂の分散粒子径を適切なサイズに制御でき、更に少なくとも積層フィルムの片面に離型層を有することで、軽量性、耐熱性、寸法安定性、製膜性、隠蔽性、白色度、および離型性に優れた空洞含有ポリエステル系フィルムが得られることを見出した。この離型性は、例えば粘着ラベル等である剥離体に対する離型性である。
【0010】
すなわち、本発明の離型フィルムは、以下の構成よりなる。
1.無機顔料を含有するポリエステル樹脂で構成される第1被覆層B1と、内部に空洞を含有する空洞含有層Aと、無機顔料を含有するポリエステル樹脂で構成される第2被覆層B2と、がこの順序に少なくとも積層された積層フィルムと、積層フィルムの少なくとも片面に離型層Cとを有する離型フィルムであって、
空洞含有層Aは、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂を含有する第1組成物からなり、
離型層Cは、シリコーン樹脂を含有する第2組成物からなり、
見かけ密度が0.80g/cm

以上1.20g/cm

以下である、離型フィルム。
2.シリコーン樹脂は、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を含有するポリジメチルシロキサンと、1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル基を含有するポリジメチルシロキサンとで構成される上記1.に記載の離型フィルム。
3.離型層Cにおいて、シリコーン樹脂の含有量が、離型層Cの全質量に対して90質量%以上100質量%以下である、上記1.に記載の離型フィルム。
4.空洞含有層A層に含有されるポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂が、下記要件(1)~(3)を満たす上記1.に記載の離型フィルム。
(1)前記ポリエステル樹脂の溶融温度280℃、せん断速度121.6sec-1における溶融粘度(η1)が90Pa・s以上400Pa・s以下である。
(2)前記ポリオレフィン樹脂の溶融温度280℃、せん断速度121.6sec-1における溶融粘度(η2)が300Pa・s以上700Pa・s以下である。
(3)前記ポリエステル樹脂と前記ポリオレフィン樹脂の溶融温度280℃、せん断速度121.6sec-1における溶融粘度比(η2/η1)が1.5以上4.5以下である。
5.第1被覆層B1及び第2被覆層B2中の無機顔料が酸化チタンである、上記1.に記載の離型フィルム。
6.第1被覆層B1の厚み、空洞含有層Aの厚み及び第2被覆層B2の厚みの合計に対する第1被覆層B1の厚み及び第2被覆層B2の厚みの合計の比率は、6%以上40%以下である上記1.に記載の離型フィルム。
7.離型層C表面の常態剥離力が40mN/50mm以上500mN/50mm以下である上記1.に記載の離型フィルム。
8.ラベル用セパレーター又は工程用離型フィルムの用途に用いられることを特徴とする上記1.に記載の離型フィルム。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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