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公開番号
2024151423
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-25
出願番号
2023064707
出願日
2023-04-12
発明の名称
尿素の製造方法及び製造装置
出願人
東洋エンジニアリング株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C07C
273/04 20060101AFI20241018BHJP(有機化学)
要約
【課題】尿素合成率が比較的高く、エネルギー消費量が比較的少ない尿素の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】二酸化炭素を含むガス10を、吸収液であるリーン液20に吸収分離させてリッチ液11を得る二酸化炭素分離工程、このリッチ液11をストリッピングすることによって、高濃度の二酸化炭素を含むガス21を得るリッチ液ストリッピング工程、このガス21を用いてカーバメート液25を得る高圧吸収工程及びこのカーバメート液25を原料の一部として用いる尿素合成工程を有する尿素の製造方法;並びに、これら工程を行う為の二酸化炭素分離設備(CO
2
-AB)、リッチ液ストリッピング設備(RST)、高圧吸収設備(HA)及び尿素合成設備(R)を有する尿素の製造装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
二酸化炭素を含むガスを、低濃度の二酸化炭素、アンモニア及び水を含む吸収液であるリーン液に接触させることによって、該ガスに含まれている二酸化炭素を該リーン液に吸収分離させて、高濃度の二酸化炭素、アンモニア及び水を含む吸収液であるリッチ液を得る二酸化炭素分離工程、
前記二酸化炭素分離工程で得たリッチ液の少なくとも一部をストリッピングすることによって、二酸化炭素を優先的にガス化して高濃度の二酸化炭素を含むガスを分離し、該リッチ液を低濃度の二酸化炭素及びアンモニアを含む水溶液とするリッチ液ストリッピング工程、
前記リッチ液ストリッピング工程で分離したガスの少なくとも一部を、高圧下でアンモニアと接触させることによって、カーバメート液を得る高圧吸収工程、及び、
前記高圧吸収工程で得たカーバメート液を原料の一部として用い、尿素合成液を得る尿素合成工程
を有する尿素の製造方法。
続きを表示(約 2,600 文字)
【請求項2】
二酸化炭素分離工程で得たリッチ液のうち、リッチ液ストリッピング工程においてストリッピングするリッチ液以外の少なくとも一部のリッチ液から、高純度の二酸化炭素ガスを分離する再生工程をさらに有し、
尿素合成工程において、前記高純度の二酸化炭素ガスも併せて原料の一部として用い、尿素合成液を得る請求項1に記載の尿素の製造方法。
【請求項3】
尿素合成工程で得た尿素合成液から二酸化炭素とアンモニアを含む分離ガスを分離し、この分離後の精製尿素水溶液を得る分離・精製工程、並びに、該精製尿素水溶液から水と微量存在するアンモニア及び二酸化炭素とを蒸発させて濃縮尿素液を得、蒸発させた水、アンモニア、二酸化炭素及び蒸発ガスに同伴する尿素を水溶液として回収し、余剰な水は処理してクリーン処理水を得る濃縮工程をさらに有し、
高圧吸収工程において、分離・精製工程で分離した分離ガスに対して濃縮工程で分離した水溶液の一部を吸収溶媒として作用させ、得られたカーバメート液を尿素合成原料の一部として用いる請求項1に記載の尿素の製造方法。
【請求項4】
二酸化炭素を含むガスを、低濃度の二酸化炭素、アンモニア及び水を含む吸収液であるリーン液に接触させることによって、該ガスに含まれている二酸化炭素を該リーン液に吸収分離させて、高濃度の二酸化炭素、アンモニア及び水を含む吸収液であるリッチ液を得る為の二酸化炭素分離設備(CO
2
-AB)、
前記二酸化炭素分離設備(CO
2
-AB)で得たリッチ液の少なくとも一部をストリッピングすることによって、二酸化炭素を優先的にガス化して高濃度の二酸化炭素を含むガスを分離し、該リッチ液を低濃度の二酸化炭素及びアンモニアを含む水溶液とする為のリッチ液ストリッピング設備(RST)、
前記リッチ液ストリッピング設備(RST)で分離したガスの少なくとも一部を、高圧下でアンモニアと接触させることによって、カーバメート液を得る為の高圧吸収設備(HA)、及び、
前記高圧吸収設備(HA)で得たカーバメート液を原料の一部として用い、尿素合成液を得る尿素合成設備(R)
を有する尿素の製造装置。
【請求項5】
二酸化炭素分離設備(CO
2
-AB)で得たリッチ液のうち、リッチ液ストリッピング設備(RST)においてストリッピングするリッチ液以外の少なくとも一部のリッチ液から、高純度の二酸化炭素ガスを分離する再生設備(CO
2
-D)をさらに有し、
尿素合成設備(R)において、前記高純度の二酸化炭素ガスも併せて原料の一部として用い、尿素合成液を得る請求項4に記載の尿素の製造装置。
【請求項6】
尿素合成設備(R)で得た尿素合成液から二酸化炭素とアンモニアを含む分離ガスを分離し、この分離後の精製尿素水溶液を得る分離・精製設備(D)、並びに、該精製尿素水溶液から水と微量存在するアンモニア及び二酸化炭素とを蒸発させて濃縮尿素液を得、蒸発させた水、アンモニア、二酸化炭素及び蒸発ガスに同伴する尿素を水溶液として回収し、余剰な水は処理してクリーン処理水を得る濃縮設備(EV)をさらに有し、
高圧吸収設備(HA)において、分離・精製設備(D)で分離した分離ガスに対して濃縮設備(EV)で分離した水溶液の一部を吸収溶媒として作用させ、得られたカーバメート液を尿素合成原料の一部として用いる請求項4に記載の尿素の製造装置。
【請求項7】
既存の尿素の製造装置の改良方法であって、
既存の尿素の製造装置に対して、少なくとも、
二酸化炭素を含むガスを、低濃度の二酸化炭素、アンモニア及び水を含む吸収液であるリーン液に接触させることによって、該ガスに含まれている二酸化炭素を該リーン液に吸収分離させて、高濃度の二酸化炭素、アンモニア及び水を含む吸収液であるリッチ液を得る為の設備である二酸化炭素分離設備(CO
2
-AB)と、
高濃度の二酸化炭素、アンモニア及び水を含む吸収液であるリッチ液をストリッピングすることによって、二酸化炭素を優先的にガス化して高濃度の二酸化炭素を含むガスを分離し、該リッチ液を低濃度の二酸化炭素及びアンモニアを含む水溶液とする為の設備であるリッチ液ストリッピング設備(RST)を追加することにより、
二酸化炭素を含むガスを、低濃度の二酸化炭素、アンモニア及び水を含む吸収液であるリーン液に接触させることによって、該ガスに含まれている二酸化炭素を該リーン液に吸収分離させて、高濃度の二酸化炭素、アンモニア及び水を含む吸収液であるリッチ液を得る二酸化炭素分離工程、
前記二酸化炭素分離工程で得たリッチ液の少なくとも一部をストリッピングすることによって、二酸化炭素を優先的にガス化して高濃度の二酸化炭素を含むガスを分離し、前記リッチ液を低濃度の二酸化炭素及びアンモニアを含む水溶液とするリッチ液ストリッピング工程、
前記リッチ液ストリッピング工程で分離したガスの少なくとも一部を、高圧下でアンモニアと接触させることによって、カーバメート液を得る高圧吸収工程、及び、
前記高圧吸収工程で得たカーバメート液を原料の一部として用い、尿素合成液を得る尿素合成工程
を有する尿素の製造方法を可能とする、既存の尿素の製造装置の改良方法。
【請求項8】
二酸化炭素分離設備(CO
2
-AB)で得たリッチ液のうち、リッチ液ストリッピング設備(RST)においてストリッピングするリッチ液以外の少なくとも一部のリッチ液から、高純度の二酸化炭素ガスを分離する再生設備(CO
2
-D)をさらに追加することにより、
二酸化炭素分離工程で得たリッチ液のうち、リッチ液ストリッピング工程においてストリッピングするリッチ液以外の少なくとも一部のリッチ液から、高純度の二酸化炭素ガスを分離する再生工程、及び、
尿素合成工程において、前記高純度の二酸化炭素ガスも併せて原料の一部として用い、尿素合成液を得ることを可能とする、請求項7に記載の既存の尿素の製造装置の改良方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素合成率が比較的高く、エネルギー消費量が比較的少ない尿素の製造方法及び製造装置に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、排気ガスから二酸化炭素を吸収分離する為の様々な技術が知られている。例えばその技術の一つとして、排気ガスをアンモニア水(吸収液)に接触させることによって、排気ガスに含まれている二酸化炭素をアンモニア水に吸収分離させる方法がある。そしてこの吸収分離によって、高濃度の二酸化炭素、アンモニア及び水を含む吸収液(リッチ液)が生成する。
【0003】
一方、尿素合成プロセスにおいては、通常、二酸化炭素及びアンモニアを高温高圧下で反応させて尿素合成液を得る。このような尿素合成プロセスにおいて、上述した二酸化炭素を吸収した後の吸収液(リッチ液)を、尿素合成の原料の一部として利用する方法が知られている。特許文献1にはそのような方法が記載されている。具体的には、特許文献1においては、アンモニア製造プラントと尿素製造プラントを統合し、アンモニア製造プラントにおける燃焼により生じた排気ガス中の二酸化炭素をアンモニア水(吸収液)に吸収させて、そのリッチ液を尿素合成の原料の一部として利用する方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1の図1においては、アンモニア製造プラント1における燃焼により生じた排気ガス流5がCAP吸収塔10に供給される。また、混合流11(二酸化炭素の濃度が低い吸収液であるリーン液流24に対してアンモニア製造プラント1で製造されたアンモニア流9を混合した液)もCAP吸収塔10に供給される。そして、このCAP吸収塔10において、排気ガス流5中の二酸化炭素が、混合流11の溶液(吸収液)に吸収分離される。二酸化炭素を吸収した後の溶液(高濃度の二酸化炭素を含むリッチ液流13)は、尿素合成セクション15に供給される。また、アンモニア製造プラント1で製造したアンモニア流8、並びに、アンモニア製造プラント1で生成した合成ガスから分離された二酸化炭素流7も尿素合成セクション15に供給される。そして、これらが尿素合成の原料として使用される。
【0005】
特許文献1の図2においては、排気ガス流25がスチーム改質器14から低圧吸収塔29に供給される。また、リーン液流42も低圧吸収塔29に供給される。そして、この低圧吸収塔29において、排気ガス流25中の二酸化炭素が、リーン液流42の溶液(吸収液)に吸収分離される。二酸化炭素を吸収した後のリーン液流42の溶液(比較的高濃度の二酸化炭素を含むセミリッチ溶媒流30)の部分流31は尿素製造プラント38に供給され、他の部分流はリーン液流42の部分流32と共に高圧吸収塔33に供給される。また、水素/二酸化炭素流28も高圧吸収塔33に供給される。そして、この高圧吸収塔33において、水素/二酸化炭素流28中の二酸化炭素が、セミリッチ溶媒流30の部分流及びリーン液流42の混合溶液(吸収液)に吸収分離される。二酸化炭素を吸収した後の混合溶液の一部であるリッチ液流37は、尿素製造プラント38に供給される。アンモニア生成ユニット41で生成したアンモニア流43も、尿素製造プラント38に供給される。そして、これらが尿素合成の原料として使用される。
【0006】
特許文献1の図3においては、図2に示される高圧吸収塔33と尿素製造プラント38の間に再生塔44が追加されている。高圧吸収塔33で二酸化炭素を吸収した後の混合溶液の一部であるリッチ液流37は再生塔44に供給される。再生塔44においては、リッチ液流37の溶液から二酸化炭素が分離精製され、高純度の二酸化炭素が得られる。この高純度の二酸化炭素流45は、尿素製造プラント38に供給される。アンモニア生成ユニット41で生成したアンモニア流43も尿素製造プラント38に供給される。そして、これらが尿素合成の原料として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
米国特許第9428449号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、尿素合成の際に水が多量に存在する場合、水は反応平衡上、尿素合成を阻害するため、尿素合成率が著しく低下することが知られている(例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Fifth, Completely Revised Edition, 1996, Vol. A27, "Urea" p. 333-365 を参照)。したがって尿素合成率の点から、尿素合成における水の量はある程度少ないことが必要である。その水の量の目安として、通常、水と二酸化炭素のモル比H/C(水/二酸化炭素)が使用される。具体的には、尿素合成におけるH/Cは1.5未満の低いモル比であることが望ましい。
【0009】
一方、二酸化炭素に対する吸収液としてアンモニア水を使用する場合は、たとえ二酸化炭素を吸収した後のリッチ液であっても多量の水を含んでいる。例えば、特許文献1に記載のリッチ液中のアンモニアの濃度は2~12mol/L(約3~12質量%)、二酸化炭素の濃度は1~10mol/L(約4~27質量%)であり、これらの質量比から水の濃度は約56mol/L(約61~93質量%)と推定される。
【0010】
そして特許文献1の図2に記載の方法において、尿素製造プラント38への二酸化炭素の供給源はリッチ液(セミリッチ溶媒流30の部分流31及びリッチ液流37)のみである。したがって、リッチ液に含まれる水分(リッチ液組成として約56mol/L[約61~93質量%])の共存下で尿素を合成する場合のH/Cは約4.1と推定され、尿素合成率は著しく低下すると推定される。
(【0011】以降は省略されています)
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