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公開番号2024142561
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023054740
出願日2023-03-30
発明の名称免疫グロブリン吸着剤の製造方法
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C07K 1/22 20060101AFI20241003BHJP(有機化学)
要約【課題】 抗体の分取目的にも利用可能な高い抗体吸着量を有する免疫グロブリン吸着剤を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 不溶性担体に当該担体1gあたり50μmol以上100μmol以下の第一の官能基を導入した前記担体を取得する工程と、前記第一の官能基に対しヒトFcγRIIIa免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な第二の官能基を不溶性担体1gあたり5.0μmol以上20μmol以下となるよう導入する工程と、前記第二の官能基を介して前記ヒトFcγRIIIaを固定化させる工程とを含む方法で、前記吸着剤を製造することで、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
第一の官能基を導入した不溶性担体を取得する工程と、
前記第一の官能基に対し免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な第二の官能基を導入する工程と、
前記第二の官能基を介して前記タンパク質を固定化させる工程とを含む、免疫グロブリン吸着剤の製造方法であって、
免疫グロブリン結合性タンパク質がヒトFcγRIIIaであり、
第一の官能基の導入量が不溶性担体1gあたり50μmol以上100μmol以下であり、
第二の官能基の導入量が不溶性担体1gあたり5.0μmol以上20μmol以下である、前記方法。
続きを表示(約 560 文字)【請求項2】
第一の官能基がエポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基およびアミノ基のいずれかであり、第二の官能基がハロアセチル基またはマレイミド基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒトFcγRIIIaが、以下に示す(1)から(3)のいずれかから選択されるポリペプチドである、請求項1または2に記載の方法;
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含むポリペプチド、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、ただし当該17番目から192番目のアミノ酸残基において、1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加のうち、いずれか1つ以上をさらに有し、かつ免疫グロブリン結合活性を有するポリペプチド、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、ただし当該17番目から192番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、かつ免疫グロブリン結合活性を有するポリペプチド。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫グロブリン吸着剤の製造方法に関する。より詳しくは本発明は、不溶性担体に導入した、免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な官能基を介して、前記タンパク質を固定化させて、前記吸着剤を製造する方法に関する。
続きを表示(約 1,400 文字)【背景技術】
【0002】
抗体医薬品は生体内の免疫機能を担う分子である抗体(免疫グロブリン)を利用した医薬品である。抗体医薬品は抗体が有する可変領域の多様性により標的分子に対し高い特異性と親和性をもって結合する。そのため抗体医薬品は副作用が少なく、また、近年では適応疾患が広がってきていることもあり市場が急速に拡大している。
【0003】
抗体医薬品の製造は培養工程と精製工程とを含み、培養工程では生産性を向上させるために抗体産生細胞の改質や培養条件の最適化が図られている。また精製工程では、粗精製としてアフィニティークロマトグラフィーが採用され、その後の中間精製、最終精製、およびウイルス除去を経て製剤化される。
【0004】
前記アフィニティークロマトグラフィーでは抗体分子を特異的に認識するアフィニティー担体(免疫グロブリン吸着剤)が用いられる。抗体医薬品を低コストかつ大量に製造するには、免疫グロブリン吸着剤への抗体医薬品の吸着量を向上させる必要があり、そのためには、抗体医薬品と特異的に結合可能なリガンドを、適切な方法で不溶性担体に固定化した、前記吸着剤を製造する必要がある。
【0005】
従来より、前記リガンドの固定化に用いる不溶性担体を最適化することで抗体医薬品との吸着量が向上した免疫グロブリン吸着剤を作製する試みがなされている。例えば、特許文献1では、前記不溶性担体の構造に着目し、非多孔質の粒子ではなく、多孔質の粒子を用いることで抗体吸着量が向上した免疫グロブリン吸着剤を作製している。しかしながら、大量製造を目的とした場合、特許文献1記載の方法で作製した免疫グロブリン吸着剤では、抗体の吸着量が不十分であり、前記吸着剤を工業的な抗体医薬品の製造における抗体の分取目的に適用するのは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2020-125280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、抗体の分取目的にも利用可能な高い抗体吸着量を有する免疫グロブリン吸着剤を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な官能基の、不溶性担体への導入条件を最適化することで、従来よりも吸着量が向上した免疫グロブリン吸着剤を製造できた。
【0009】
すなわち、本発明は以下の[1]から[3]に記載の態様を包含する。
【0010】
[1]第一の官能基を導入した不溶性担体を取得する工程と、
前記第一の官能基に対し免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な第二の官能基を導入する工程と、
前記第二の官能基を介して前記タンパク質を固定化させる工程とを含む、
免疫グロブリン吸着剤の製造方法であって、
免疫グロブリン結合性タンパク質がヒトFcγRIIIaであり、
第一の官能基の導入量が不溶性担体1gあたり50μmol以上100μmol以下であり、
第二の官能基の導入量が不溶性担体1gあたり5.0μmol以上20μmol以下である、前記方法。
(【0011】以降は省略されています)

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