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公開番号2024123994
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2023031861
出願日2023-03-02
発明の名称組換えFc結合性タンパク質抽出試薬
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C07K 14/735 20060101AFI20240905BHJP(有機化学)
要約【課題】 ヒト新生児Fcレセプター(FcRn)をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを用いて大腸菌を形質転換して得られる形質転換体を培養し、当該培養した形質転換体内から前記ヒトFcRnを抽出する際、当該ヒトFcRnを効率的に抽出可能な試薬、および前記試薬を用いたヒトFcRnの製造方法を提供すること。
【解決の手段】 前記抽出に用いる試薬のpHをpH6.8以上pH10.5以下とすることで、前記課題を解決する。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
遺伝子組換えタンパク質を発現可能な大腸菌の菌体内に発現した前記タンパク質を抽出する試薬であって、
前記遺伝子組換えタンパク質が以下の(i)から(iii)のいずれかから選択されるFc結合性タンパク質であり、前記試薬のpHがpH6.8以上pH10.5以下である、前記試薬;
(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド
(ii)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただしこれらアミノ酸残基において1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加のうち、いずれか1つ以上生じ、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド
(iii)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまで、および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸配列全体に対して70%以上の相同性を有し、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド。
続きを表示(約 870 文字)【請求項2】
非イオン界面活性剤、糖質分解酵素、および核酸分解酵素のうち、いずれか1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の抽出試薬。
【請求項3】
遺伝子組換えタンパク質を発現可能な大腸菌を培養する工程と、抽出試薬を用いて前記培養した大腸菌の菌体内に発現した前記タンパク質を抽出する工程と、前記タンパク質を単離する工程とを含む、遺伝子組換えタンパク質の製造方法であって、
前記遺伝子組換えタンパク質が以下の(i)から(iii)のいずれかから選択されるFc結合性タンパク質であり、前記抽出試薬が請求項1または2に記載の試薬である、前記方法;
(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド
(ii)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただしこれらアミノ酸残基において1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加のうち、いずれか1つ以上生じ、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド
(iii)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまで、および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸配列全体に対して70%以上の相同性を有し、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、Fc結合性タンパク質を発現可能な大腸菌の菌体内に発現した前記タンパク質を効率的に抽出可能な試薬、および前記試薬を用いたFc結合性タンパク質の製造方法に関する。特に本発明はFc結合性タンパク質がヒト新生児Fcレセプター(FcRn)である場合に、特に効率的な抽出が可能な試薬、および前記試薬を用いたヒトFcRnの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを用いて大腸菌を形質転換して得られる形質転換体を培養し、当該培養した形質転換体内から前記タンパク質を抽出する方法として、従来より超音波破砕処理やフレンチプレス処理等の物理的破砕による方法や、市販の抽出試薬を用いた化学的処理による方法が知られている。しかしながら、これらの方法を用いて、前記タンパク質を工業的に抽出しようとすると、物理的破砕による方法では超音波破砕装置やフレンチプレス等の破砕装置の設置に莫大な費用がかかる問題があり、化学的処理による方法では高価な抽出試薬を大量に用いる問題がある。
【0003】
前記タンパク質を抽出する方法としては、前述した方法以外にも、種々の界面活性剤を用いた方法が知られており、例えば非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤であるデオキシコール酸ナトリウムとを含んだ試薬で抽出する方法(特許文献1)や、陽イオン界面活性剤を含む試薬で抽出する方法(特許文献2)や、非イオン界面活性剤と陽イオン界面活性剤とを含む試薬で抽出する方法(特許文献3)が知られている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の抽出試薬は、陰イオン界面活性剤であるデオキシコール酸ナトリウムを含んでいるため、タンパク質の精製工程で一般的に用いられるイオン交換樹脂での精製が困難な場合がある、界面活性剤が除去しにくいという問題点があった。また、動物由来のデオキシコール酸ナトリウムを使用する場合、同一ロット確保の問題があるため、当該抽出試薬を用いることは、タンパク質の工業的生産に不向きである。
【0005】
また、特許文献2および3に記載の抽出試薬は、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)に代表される、陽イオン界面活性剤を含んでいるが、水生生物への毒性があることから、当該抽出試薬を用いることは、安全性の面でタンパク質の工業的生産に不向きである。
【0006】
さらに、前記タンパク質がFc結合性タンパク質である場合、pHがpH5.5以上pH6.5以下の抽出試薬を用いることで効率的に抽出できることが知られている(特許文献4)。しかしながら前記タンパク質がヒト新生児Fcレセプター(FcRn)である場合、特許文献4に記載の方法では効率的な抽出ができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2011-051943号公報
特開2006-320313号公報
特開2013-252099号公報
特開2022-099244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ヒト新生児Fcレセプター(FcRn)をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを用いて大腸菌を形質転換して得られる形質転換体を培養し、当該培養した形質転換体内から前記ヒトFcRnを抽出する際、当該ヒトFcRnを効率的に抽出可能な試薬、および前記試薬を用いたヒトFcRnの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、抽出試薬のpHを中性または弱塩基性にすることで、形質転換体内からヒト新生児Fcレセプター(FcRn)を効率的に抽出できることを見出した。
【0010】
すなわち本発明の第一の態様は、
遺伝子組換えタンパク質を発現可能な大腸菌の菌体内に発現した前記タンパク質を抽出する試薬であって、
前記遺伝子組換えタンパク質が以下の(i)から(iii)のいずれかから選択されるFc結合性タンパク質であり、前記試薬のpHがpH6.8以上pH10.5以下である、前記試薬である;
(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド
(ii)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただしこれらアミノ酸残基において1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加のうち、いずれか1つ以上生じ、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド
(iii)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち24番目のアラニンから297番目のセリンまで、および配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸配列全体に対して70%以上の相同性を有し、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド。
(【0011】以降は省略されています)

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