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公開番号
2024146897
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-15
出願番号
2024055240
出願日
2024-03-29
発明の名称
KRAS阻害剤
出願人
イーライ リリー アンド カンパニー
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C07D
519/00 20060101AFI20241004BHJP(有機化学)
要約
【課題】がんの治療に有用なより強力で経口送達可能なKRas阻害剤を提供する。
【解決手段】以下の式:
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の化合物であって、式中、Aが、-C(H)-又は-N-であり、Zが、-C(R
3c
)-又は-N-であり、Gが、-C(R
3b
)-又は-N-であり、R
1
が、H等であり、R
2
が、H、ハロゲン、又はメチルであり、R
3b
、及びR
3c
が各々独立して、H、ハロゲン、又はメチルであり、R
4
が、N結合型環状アミン等である、化合物である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
以下の式:
TIFF
2024146897000474.tif
33
128
で示される化合物であって、
式中、
Aが、-C(H)-又は-N-であり、
Zが、-C(R
3c
)-又は-N-であり、
Gが、-C(R
3b
)-又は-N-であり、
R
1
が、H、又は以下の式:
TIFF
2024146897000475.tif
35
128
の基であり、
R
2
が、H、ハロゲン、又はメチルであり、
R
3b
、及びR
3c
が各々独立して、H、ハロゲン、又はメチルであり、
R
4
が、N結合型環状アミン又は以下の式:
TIFF
2024146897000476.tif
48
139
の基であり、
前記N結合型環状アミンが、N結合型の、
i.R
4a
及びR
4b
で置換されたアゼチジン、
ii.ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ジアゼパン、イミダゾール、若しくはピラゾールであって、これらの各々が、C
1~3
アルキレンによって任意選択的に架橋され、これらの各々が、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、-NR
6a
R
6a
、(1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ、任意選択的に-NR
6a
R
6a
で置換されたC
1~3
アルコキシ、任意選択的に1つ以上のハロゲン、-NR
6a
R
6a
、若しくはヒドロキシルで置換されたC
1~3
アルキル、任意選択的にメチルで置換されたイミダゾール、アゼチジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、オキサゼパン、若しくはジアゼパンから選択される単環式環、ヘキサヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール、オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロール、若しくはオクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジンから選択される二環、又は4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン、2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、若しくは2-アザスピロ[3.3]ヘプタンから選択されるスピロ環で任意選択的に置換され、前記単環式環が、C
1~3
アルキレンによって任意選択的に架橋され、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、-CN、C
1~3
アルコキシ、-NR
10
R
10
、シクロプロピル、オキセタン、-CO-C
1~3
アルキル、又はヒドロキシル、C
1~3
アルコキシ、-NR
10
R
10
、ハロゲン、若しくは-CF
3
で任意選択的に置換されたC
1~3
アルキルで任意選択的に置換され得るもの、又は
iii.2,6-ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、3,6-ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン、3-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、2-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、オクタヒドロ-1H-ピロロ[3,4-b]ピリジン、オクタヒドロ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン、オクタヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピラジン、オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン、オクタヒドロピロロ[3,2-b]ピロール、オクタヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン、オクタヒドロピロロ[3,4-b]ピロール、オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロール、テトラヒドロフロ[3,4-d]オキサゾール-2(3H)-オン、ヘキサヒドロ-1H-フロ[3,4-b]ピロール、オクタヒドロ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン、(3as,6as)-テトラヒドロ-1H,4H-3a,6a-(メタノオキシメタノ)ピロロ[3,4-c]ピロール、(R)-1,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、(S)-1,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、1,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、1,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2,5-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2,5-ジアザスピロ[3.5]ノナン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、4-アザスピロ[2.4]ヘプタン、5-アザスピロ[2.4]ヘプタンe、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタン、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタン、若しくは1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナンであって、これらの各々が、1つ以上のハロゲン、-NR
6a
R
6a
、又は-NR
6a
R
6a
若しくはヒドロキシルで任意選択的に置換されたC
1~3
アルキルで任意選択的に置換されているものであり、
続きを表示(約 5,600 文字)
【請求項2】
R
4
が、N結合型環状アミン又は以下の式:
TIFF
2024146897000478.tif
48
139
の基であり、
前記N結合型環状アミンが、N結合型の、
i.R
4a
及びR
4b
で置換されたアゼチジン、
ii.ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、イミダゾール若しくはピラゾールであって、これらの各々が、C
1~3
アルキレンによって任意選択的に架橋され、これらの各々が、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3
アルコキシ、-NR
6a
R
6a
、アゼチジン、ピペラジン、モルホリン、C
1~3
アルキル、若しくはメチルで任意選択的に置換されたイミダゾールで任意選択的に置換され、前記アゼチジンが、ヒドロキシル若しくはC
1~3
アルコキシで任意選択的に置換され、前記ピペラジンが、メチルで任意選択的に置換され、前記C
1~3
アルキルが、1つ以上のハロゲン、-NR
6a
R
6a
若しくはヒドロキシルで任意選択的に置換されているもの、又は
iii.2,6-ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、3,6-ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン、3-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、2-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、オクタヒドロ-1H-ピロロ[3,4-b]ピリジン、オクタヒドロ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン、オクタヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピラジン、オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン、オクタヒドロピロロ[3,2-b]ピロール、オクタヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン、オクタヒドロピロロ[3,4-b]ピロール、オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロール、テトラヒドロフロ[3,4-d]オキサゾール-2(3H)-オン、(R)-1,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、(S)-1,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、1,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、1,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2,5-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2,5-ジアザスピロ[3.5]ノナン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、4-アザスピロ[2.4]ヘプタン、5-アザスピロ[2.4]ヘプタン、若しくは2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタンであって、これらの各々が、1つ以上のハロゲン、-NR
6a
R
6a
若しくは-NR
6a
R
6a
で任意選択的に置換されたC
1~3
アルキルで任意選択的に置換されているものであり、
R
4a
が、NR
4c
R
4d
、シクロプロピル、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン又はイミダゾールであり、前記シクロプロピル、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、又はモルホリンが、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3
アルコキシ又は-NR
6a
R
6a
で任意選択的に置換され、
各R
6a
が、独立して、H、トリジュウテロメチル、C
3~5
シクロアルキル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル、又は1つ以上のヒドロキシル、メチル、メトキシ、ハロゲン、シクロプロピル、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、-CO-NHMe、若しくは-CO-NH
2
で任意選択的に置換されたC
1~3
アルキルであり、前記C
3~5
シクロアルキルが、1つ以上のヒドロキシル又はメチルで任意選択的に置換されている、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
4
が、N結合型環状アミン又は以下の式:
TIFF
2024146897000479.tif
53
144
の基であり、
前記N結合型環状アミンが、N結合型の、
i.R
4a
及びR
4b
で置換されたアゼチジン、
ii ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、イミダゾール若しくはピラゾールであって、これらの各々が、C
1~3
アルキレンによって任意選択的に架橋され、これらの各々が、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3
アルコキシ、-NR
6a
R
6a
、アゼチジン、C
1~3
アルキル、若しくはメチルで任意選択的に置換されたイミダゾールで任意選択的に置換され、前記アゼチジンが、ヒドロキシル若しくはC
1~3
アルコキシで任意選択的に置換され、前記C
1~3
アルキルが、ハロゲン-NR
6a
R
6a
若しくはヒドロキシルで任意選択的に置換されているもの、又は
iii.2,6-ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、3,6-ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン、3-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、オクタヒドロ-1H-ピロロ[3,4-b]ピリジン、オクタヒドロ-6-ピロロ[3,4-b]ピラジン、オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン、オクタヒドロピロロ[3,2-b]ピロール、オクタヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン、オクタヒドロピロロ[3,4-b]ピロール、オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロール、テトラヒドロフロ[3,4-d]オキサゾール-2(3H)-オン、(R)-1,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、(S)-1,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、1,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、1,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2,5-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2,5-ジアザスピロ[3.5]ノナン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、4-アザスピロ[2.4]ヘプタン、若しくは5-アザスピロ[2.4]ヘプタンであって、これらの各々が、1つ以上のハロゲン、-NR
6a
R
6a
若しくは-NR
6a
R
6a
で任意選択的に置換されたC
1~3
アルキルで任意選択的に置換されているものであり、
R
4a
が、NR
4c
R
4d
、シクロプロピル、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、又はイミダゾールであり、前記シクロプロピル、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、又はモルホリンが、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3
アルコキシ、又は-NR
6a
R
6a
で任意選択的に置換され、各R
6a
が、独立して、H、トリジュウテロメチル、C
3~5
シクロアルキル、又はヒドロキシルで任意選択的に置換されたC
1~3
アルキルである、請求項1若しくは2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
3b
、及びR
3c
が、各々独立して、H又はハロゲンであり、R
4
が、N結合型環状アミン又は以下の式:
TIFF
2024146897000480.tif
53
144
の基であり、
前記N結合型環状アミンが、N結合型の、
i.R
4a
及びR
4b
で置換されたアゼチジン、
ii.ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、若しくはモルホリンであって、これらの各々が、C
1~3
アルキレンによって任意選択的に架橋され、これらの各々が、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、-NR
6a
R
6a
、イミダゾール若しくはC
1~3
アルキルで任意選択的に置換され、前記イミダゾールが、メチルで任意選択的に置換され、前記C
1~3
アルキルが、-NR
6a
R
6a
若しくはヒドロキシルで任意選択的に置換されているもの、又は
iii.オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン、オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロール、1,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、若しくは1,6-ジアザスピロ[3.4]オクタンであって、これらの各々が、1つ以上のハロゲン、若しくはC
1~3
アルキルで任意選択的に置換されているもの、であり、
R
4a
が、NR
4c
R
4d
、シクロプロピル、アゼチジン、ピロリジン、モルホリンであり、前記シクロプロピル、アゼチジン、ピロリジン又はモルホリンが、ハロゲン、又は-NR
6a
R
6a
で任意選択的に置換され、
R
4b
が、H、又はC
1~3
アルキルであり、
各R
6a
が、独立して、H又はC
1~3
アルキルであり、
E
2
、及びE
4
が、各々独立して、1つ以上のヒドロキシル又はハロゲンで任意選択的に置換されたC
1~3
アルキレンであり、E
2
及びE
4
が、結合又はC
1~3
アルキレンによって任意選択的に架橋されることができ、E
3
は、-O-、-CR
7
R
7
-、-NR
9
-、又は-CO-NR
6a
-である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
3b
、及びR
3c
が、各々独立して、H又はハロゲンであり、R
4
が、以下の式:
TIFF
2024146897000481.tif
54
144
の基であり、
E
1
が、1つ以上のハロゲンで任意選択的に置換されたC
1~3
アルキレンであり、
E
2
、及びE
4
が、各々独立して、1つ以上のヒドロキシルで任意選択的に置換されたC
1~3
アルキレンであり、E
2
及びE
4
が、結合又はC
1~3
アルキレンによって任意選択的に架橋されることができ、
E
3
が、-O-、-CR
7
R
7
-、-NR
9
-、又は-CO-NR
6a
-であり、
各R
6a
が、独立して、H又はC
1~3
アルキルであり、
各R
7
が、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~3
アルコキシ、又は1つ以上のハロゲン若しくはヒドロキシルで任意選択的に置換されたC
1~3
アルキルであり、
R
9
が、各々独立して、H、C
1~3
アルキル又は-CO-C
1~3
アルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Gが、-N-である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Gが、-C(R
3b
)-である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
3b
が、Fである、請求項7に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
Zが、-N-である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Zが、-C(R
3c
)-である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
背景技術
MAPK/ERKシグナル伝達経路は、細胞外刺激を核に伝え、それにより、細胞増殖、分化、及びアポトーシスを含む多様な細胞応答を調節する。KRasタンパク質は、MAPK/ERKシグナル伝達経路を開始させるものであり、細胞分裂の誘導に関与するスイッチとして機能する。その非活性状態では、KRasは、グアノシン二リン酸(guanosine diphosphate、GDP)に結合し、負のシグナルを効果的に送り、細胞分裂を抑制する。細胞外シグナルに応答して、KRasは、アロステリックに活性化され、GDPとグアノシン三リン酸(guanosine triphosphate、GTP)のヌクレオチド交換を可能にする。そのGTPに結合した活性状態では、KRasは、成長因子誘導性シグナル伝達の伝播に必要なタンパク質、並びに他の細胞シグナル伝達受容体を動員し、活性化する。KRas-GTPによって動員されるタンパク質の例は、c-Raf及びPI3キナーゼである。GTPアーゼとしてのKRasは、結合したGTPを変換してGDPに戻し、それにより、それ自体を非活性状態に戻し、再びシグナルを伝播して細胞分裂を抑制する。KRas機能獲得型変異は、GTP結合の程度の増加及びGTPをGDPに変換する能力の低下を呈する。その結果、がん性細胞の増殖を促進するMAPK/ERKシグナルが増加する。コドン12のKRasのミスセンス変異は、最も一般的な変異であり、GTPアーゼ活性を著しく低下させる。
続きを表示(約 5,100 文字)
【背景技術】
【0002】
発がん性KRas変異は、ヒトがんのおよそ30%で確認されており、複数の下流シグナル伝達経路を活性化することが実証されている。KRas変異の有病率にもかかわらず、それは困難な治療標的となっている。(Cox,A.D.Drugging the Undruggable RAS:Mission Possible? Nat.Rev.Drug Disc.2014,13,828-851;Pylayeva-Gupta,y et al.RAS Oncogenes:Weaving a Tumorigenic Web.Nat.Rev.Cancer 2011,11,761-774)。
【0003】
これまでに、KRas G12C変異体阻害剤に焦点を当てた研究が行われており(例えば、国際公開第2019/099524号、国際公開第2020/081282号、国際公開第2020/101736号、国際公開第2020/146613号、及び国際公開第2021/118877号は、KRas G12C阻害剤を開示している)、一方で、国際公開第2021/041671号は、KRas G12D小分子阻害剤を開示しており、国際公開第2017/011920号は、KRas G12C、G12D、及びG12V小分子阻害剤を開示している。
【0004】
代替の小分子KRas阻害剤を提供する必要性が依然として存在する。具体的には、がんの治療に有用なより強力で経口送達可能なKRas阻害剤を提供する必要性が存在する。より具体的には、KRas GTP活性を特異的に阻害する小分子阻害剤を提供する必要性が存在する。更に、より良好な薬物動態特性/薬力学的特性を呈するKRas阻害剤を提供する要求が存在する。また、有害な若しくは望ましくない効果が減少した又は最小限に抑えられた、有効性の増加を呈するより強力なKRas阻害剤を提供する必要性が存在する。更に、KRas野生型よりもKRas G12D変異体を優先的に阻害する選択的阻害を呈するより強力なKRas阻害剤を提供する必要性が存在する。更に、HRAS又はNRASよりもKRas G12C、G12D、及び/又はG12V変異体を優先的に阻害する選択的阻害を呈するより強力なKRas阻害剤を提供する必要性も存在する。また更に、HRAS又はNRASよりもKRas G12C、G12D、及びG12V変異体を優先的に阻害する選択的阻害を呈するより強力なKRas阻害剤を提供する必要性も存在する。これらのpanKRas阻害剤は、KRas野生型阻害剤であってもよく、又はKRas野生型よりも選択的であってもよい。本発明は、新規KRas阻害剤を提供することにより、これらの必要性のうちの1つ以上に対処する。
【発明の概要】
【0005】
式I:
TIFF
2024146897000001.tif
39
128
で示される化合物であって、
式中、
Aが、-C(H)-又は-N-であり、
Zが、-C(R
3c
)-又は-N-であり、
Gが、-C(R
3b
)-又は-N-であり、
R
1
が、H、又は以下の式の基であり、
TIFF
2024146897000002.tif
35
128
R
2
が、H、ハロゲン、又はメチルであり、
R
3b
、及びR
3c
が各々独立して、H、ハロゲン、又はメチルであり、
R
4
が、N結合型環状アミン又は以下の式:
TIFF
2024146897000003.tif
54
144
の基であり、
N結合型環状アミンが、N結合型の、
i.R
4a
及びR
4b
で置換されたアゼチジン、
ii.ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ジアゼパン、イミダゾール、若しくはピラゾールであって、これらの各々が、C
1~3
アルキレンによって任意選択的に架橋され、これらの各々が、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、-NR
6a
R
6a
、(1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ、任意選択的に-NR
6a
R
6a
で置換されたC
1~3
アルコキシ、任意選択的に1つ以上のハロゲン、-NR
6a
R
6a
、若しくはヒドロキシルで置換されたC
1~3
アルキル、任意選択的にメチルで置換されたイミダゾール、アゼチジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、オキサゼパン、若しくはジアゼパンから選択される単環式環、ヘキサヒドロ-1H-フロ[3,4-c]ピロール、オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロール、若しくはオクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジンから選択される二環、又は4,7-ジアザスピロ[2.5]オクタン、2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、若しくは2-アザスピロ[3.3]ヘプタンから選択されるスピロ環で任意選択的に置換され、単環式環が、C
1~3
アルキレンによって任意選択的に架橋され、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、-CN、C
1~3
アルコキシ、-NR
10
R
10
、シクロプロピル、オキセタン、-CO-C
1~3
アルキル、又はヒドロキシル、C
1~3
アルコキシ、-NR
10
R
10
、ハロゲン、若しくは-CF
3
で任意選択的に置換されたC
1~3
アルキルで任意選択的に置換され得るもの、又は
iii.2,6-ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、3,6-ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン、3-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、2-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン、オクタヒドロ-1H-ピロロ[3,4-b]ピリジン、オクタヒドロ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン、オクタヒドロ-6H-ピロロ[3,4-b]ピラジン、オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン、オクタヒドロピロロ[3,2-b]ピロール、オクタヒドロピロロ[3,4-b][1,4]オキサジン、オクタヒドロピロロ[3,4-b]ピロール、オクタヒドロピロロ[3,4-c]ピロール、テトラヒドロフロ[3,4-d]オキサゾール-2(3H)-オン、ヘキサヒドロ-1H-フロ[3,4-b]ピロール、オクタヒドロ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン、(3as,6as)-テトラヒドロ-1H,4H-3a,6a-(メタノオキシメタノ)ピロロ[3,4-c]ピロール、(R)-1,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、(S)-1,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、1,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、1,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2,5-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2,5-ジアザスピロ[3.5]ノナン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、4-アザスピロ[2.4]ヘプタン、5-アザスピロ[2.4]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタン、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクタン、若しくは1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナンであって、これらの各々が、1つ以上のハロゲン、-NR
6a
R
6a
、又は-NR
6a
R
6a
若しくはヒドロキシルで任意選択的に置換されたC
1~3
アルキルで任意選択的に置換されているものであり、
R
【0006】
がんの治療、具体的には、肺がん、膵臓がん、子宮頸がん、食道がん、子宮内膜がん、卵巣がん、胆管がん、及び結腸直腸がんの治療のために、式Iの化合物、それらの薬学的に許容される塩、及びその薬学的組成物を使用する方法も本明細書に提供される。方法は、治療有効量の式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0007】
療法に使用するための、式Iの化合物、及びその薬学的に許容される塩が本明細書に更に提供される。がんの治療、具体的には、肺がん、膵臓がん、子宮頸がん、食道がん、子宮内膜がん、卵巣がん、胆管がん、及び結腸直腸がんの治療に使用するための、式Iの化合物、及びその薬学的に許容される塩が、本明細書に追加的に提供される。また、がんの治療用、具体的には、肺がん、膵臓がん、子宮頸がん、食道がん、子宮内膜がん、卵巣がん、胆管がん、及び結腸直腸がんの治療用の薬剤の製造における、式Iの化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩の使用も本明細書に追加的に提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
KRas機能獲得型変異G12C、G12D、及び/又はG12Vの新規阻害剤が、本明細書に記載される。これらの新規化合物は、肺がん、結腸直腸がん、膵臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、胆管がん、又は食道がんなどのがんの治療における、機能獲得型変異体におけるKRas GTP活性の阻害剤の必要性に対処することができる。これらの新規KRas阻害剤化合物のうちのいくつかは、野生型KRas(及び恐らくG12C又はG12Vなどの他の変異型)よりもKRas G12D変異体に対して選択的である。追加的に、これらの新規KRas阻害剤化合物のうちのいくつは非選択的であり、野生型KRasとKRas G12D変異体の両方(及び/又は恐らくG12C若しくはG12Vなどの他の変異型)を阻害する。また、これらの新規KRas阻害剤化合物のうちのいくつかは非選択的であり、野生型KRasとKras G12C、G12D、及び/又はG12V変異体の両方を阻害する。
【0009】
本発明は、式I:
TIFF
2024146897000005.tif
39
128
で示される化合物であって、
式中、A、Z、G、R
1
、R
2
、及びR
4
が上に定義されるとおりである、化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
本明細書で使用される場合、ハロゲンという用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、又はヨード(I)を意味する。本明細書で使用される場合、アルキルという用語は、1個~特定の数の炭素原子の飽和直鎖又は分岐鎖一価炭化水素ラジカル、例えば、「C
1~4
アルキル」又は「C
1~3
アルキル」を意味する。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、1-プロピル、イソプロピル、ブチル、及びイソ-ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、アルキレンという用語は、1個~特定の数の炭素原子の飽和直鎖又は分岐鎖二価炭化水素ラジカル、例えば、「C
1~3
アルキレン」を意味する。アルキレンの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、1-プロピレン、及びイソプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。C
1~3
アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-プロポキシ、及びイソプロポキシが挙げられるが、これらに限定されない。
(【0011】以降は省略されています)
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