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公開番号2025009145
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023111944
出願日2023-07-07
発明の名称ジアミンおよびこれを用いた重合体
出願人JNC株式会社
代理人
主分類C07F 7/21 20060101AFI20250110BHJP(有機化学)
要約【課題】 芳香環構造を有しない全脂肪族籠状シルセスキオキサン構造を有するジアミンを提供する。籠状シルセスキオキサン構造を有する全脂肪族ジアミンから誘導されるポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドまたはポリアミドイミドの重合体を提供する。およびこれらの重合体からなる薄膜や自立膜である膜を使用した低誘電部材や光学部材を提供する。
【解決手段】 籠状構造頂点の置換基を芳香族から脂肪族、好ましくは脂環式へ変更することで、籠状構造を有するシルセスキオキサン全脂肪族ジアミンを得る。また、この脂肪族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させ、低誘電部材や無色透明なポリイミド材料に不可欠な全脂肪族籠状シルセスキオキサン構造、好ましくは全脂環式籠状シルセスキオキサン構造を主鎖に導入したポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、またはポリアミドイミドの重合体を得る。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
式(1)で表されるジアミン。
TIFF
2025009145000006.tif
41
86
式(1)中、Xは独立して炭素数1~12のアルキレンまたは炭素数4~8のシクロアルキレンであり;この炭素数1~12のアルキレンにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、Rは独立して炭素数1~45のアルキルまたは炭素数4~8のシクロアルキルであり;この炭素数1~45のアルキルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの-CH

-は-O-で置き換えられてもよく、炭素数4~8のシクロアルキレンにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素または炭素数1~3のアルキルで置き換えられてもよく;そしてR’は独立してメチルまたはシクロヘキシルである。ただし、Xが炭素数1~12のアルキレンであり;この炭素数1~12のアルキレンにおいて、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい、であるとき、Rが炭素数1~45のアルキルであり;この炭素数1~45のアルキルにおいて、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの-CH

-が-O-で置き換えられてもよい、であることはない。
続きを表示(約 600 文字)【請求項2】
Xがプロピレンまたはシクロヘキシレンであり;Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである請求項1に記載のジアミン。
【請求項3】
Xが1,4-シクロヘキシレンであり;Rがシクロヘキシルである請求項1に記載のジアミン。
【請求項4】
請求項1に記載のジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを含む原料を反応させて得られるポリアミック酸。
【請求項5】
請求項4に記載のポリアミック酸を脱水環化させて得られるポリイミド。
【請求項6】
請求項1に記載のジアミンとジカルボン酸またはその誘導体とを含む原料を反応させて得られるポリアミド。
【請求項7】
請求項1に記載のジアミンとトリカルボン酸またはその誘導体とを含む原料を反応させて得られるポリアミドイミド。
【請求項8】
請求項4に記載のポリアミック酸、請求項5に記載のポリイミド、請求項6に記載のポリアミドまたは請求項7に記載のポリアミドイミドからなる薄膜または自立膜である膜。
【請求項9】
請求項8に記載の膜を用いた絶縁膜。
【請求項10】
請求項8に記載の膜を用いた保護膜。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミンおよびこれを用いた重合体に関し、より詳しくはシルセスキオキサン骨格を有するジアミンおよびこれを用いた重合体に関する。さらに詳しくは、頂点脂肪族置換基、好ましくは頂点脂環式置換基を有する籠状シルセスキオキサン構造全脂肪族ジアミン、およびこれから誘導される主鎖に籠状シルセスキオキサン構造を有するポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドもしくはポリアミドイミドの重合体、ならびにこれらの重合体からなる薄膜や自立膜である膜を用いた保護膜、絶縁膜、低誘電部材および光学部材と、またはこれらの薄膜や自立膜である膜を使用した電子機器や光学装置に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、情報伝達の超高速化・大容量化の要求に伴い、信号周波数の高周波数化が進んでいる。高周波数化により、電子回路やアンテナの基板材料の伝送損失が大きくなり、プリント配線板の発熱や信号の減衰、遅延といった問題が生じる。伝送損失には、伝送回路を形成する導体によって生じる導体損失と絶縁体によって信号の電界エネルギーが消費されて起こる誘電損失が挙げられるが、高周波の領域では誘電損失の寄与が大きく、高周波回路のプリント配線板では絶縁体として誘電損失の低い低誘電損失材料が必要とされている。誘電損失は、基板材料や樹脂の誘電率の平方根や誘電正接に比例しているため、誘電損失の低減には誘電体である基板材料や樹脂の誘電正接の低減が最も効果的な方法と考えられる。
【0003】
従来から回路用基板など電子機器や電子部品には高い絶縁性および信頼性を有するポリイミドが多く用いられている。ポリイミドは極性基を多く含むことから低誘電損失化の達成が非常に難しい。フッ素の導入、ポリイミド多孔質化による誘電率や誘電正接を下げる方法が一般的に用いられている。
【0004】
近年、微細な空隙を有する籠状シルセスキオキサン(Polyhedral Oligomeric Silsequioxanes(POSS))が注目され、その構造をポリイミドに導入する種々の手法が提案されている。
西浦らの報告(例えば、特許文献1、2参照。)ではPOSSの部分開裂構造体をポリイミドと混合し用いて、従来のPOSSとポリイミド分散系におけるポリイミドフィルムの膜厚の均一性に欠ける問題を改善することで、誘電正接の低減に成功した。
また、低誘電材料組成物として籠状シルセスキオキサン構造を主鎖に導入したポリアミック酸とこれを脱水閉環反応させて得られるポリイミドなどの重合体も報告されていた。これらのポリアミック酸やポリイミドの合成に用いられていた籠状シルセスキオキサンジアミンは、いずれも籠状構造の頂点置換基がベンゼン環を有する芳香族ジアミンであることを特徴とする。この籠状シルセスキオキサンの芳香族ジアミンを用いて得られるポリアミック酸やポリイミドは、誘電損失の低い低誘電損失材料として用いることができるものの、更なる低誘電損失化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2012-107121号公報
特開2013-18806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の従来技術の有する問題点に鑑み、本発明の課題は、低誘電部材や透明性ポリイミド材料などの光学部材を提供することであり、このために、低誘電部材や光学部材を与える全脂肪族籠状シルセスキオキサンジアミンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、籠状構造頂点の置換基とアミノ基と直結する置換基を共に脂肪族置換基にすることで、籠状構造を有するシルセスキオキサン全脂肪族ジアミンを得ることに成功した。また、この脂肪族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させ、低誘電部材や無色透明なポリイミド材料などの光学部材に不可欠な全脂肪族籠状シルセスキオキサン構造、好ましくは全脂環式籠状シルセスキオキサン構造を主鎖に導入したポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、またはポリアミドイミドの重合体を得ることができた。さらに、これらの重合体から得られる硬化膜は誘電損失の改善に顕著な効果を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は以下の構成を含む。
[1] 式(1)で表されるジアミン。
TIFF
2025009145000002.tif
41
86
式(1)中、Xは独立して炭素数1~12のアルキレンまたは炭素数4~8のシクロアルキレンであり;この炭素数1~12のアルキレンにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、Rは独立して炭素数1~45のアルキルまたは炭素数4~8のシクロアルキルであり;この炭素数1~45のアルキルにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの-CH

-は-O-で置き換えられてもよく、炭素数4~8のシクロアルキレンにおいて、少なくとも1つの水素はフッ素または炭素数1~3のアルキルで置き換えられてもよく;そしてR’は独立してメチルまたはシクロヘキシルである。ただし、Xが炭素数1~12のアルキレンであり;この炭素数1~12のアルキレンにおいて、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい、であるとき、Rが炭素数1~45のアルキルであり;この炭素数1~45のアルキルにおいて、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの-CH

-が-O-で置き換えられてもよい、であることはない。
[2] Xがプロピレンまたはシクロヘキシレンであり;Rがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである[1]に記載のジアミン。
[3] Xが1,4-シクロヘキシレンであり;Rがシクロヘキシルである[1]または[2]に記載のジアミン。
[4] [1]~[3]のいずれか1項に記載のジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを含む原料を反応させて得られるポリアミック酸。
[5] [4]に記載のポリアミック酸を脱水環化させて得られるポリイミド。
[6] [1]~[3]のいずれか1項に記載のジアミンとジカルボン酸またはその誘導体とを含む原料を反応させて得られるポリアミド。
[7] [1]~[3]のいずれか1項に記載のジアミンとトリカルボン酸またはその誘導体とを含む原料を反応させて得られるポリアミドイミド。
[8] [4]に記載のポリアミック酸、[5]に記載のポリイミド、[6]に記載のポリアミドまたは[7]に記載のポリアミドイミドからなる薄膜または自立膜である膜。
[9] [8]に記載の膜を用いた絶縁膜。
[10] [8]に記載の膜を用いた保護膜。
[11] [8]に記載の膜を用いた低誘電部材。
[12] [8]に記載の膜を用いた光学部材。
[13] [9]に記載の絶縁膜を用いた電気的固体装置。
[14] [10]に記載の保護膜を用いた電気的固体装置。
[15] [11]に記載の低誘電部材と;
高周波を発信、変換、伝達、および信号処理する能力
からなる群から選択される少なくとも1つの能力を有する電子デバイスと;を備えた、
電子機器。
[16] [12]に記載の光学部材を用いた光学装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明のジアミンは芳香環構造を有しない全脂肪族ジアミンであり、籠状シルセスキオキサン構造を有している。本発明のジアミンを用いることで、主鎖にシルセスキオキサン構造が導入されたポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドまたはポリアミドイミドの重合体(以下、本発明の重合体ということがある。)を得ることができる。上記ポリアミック酸主鎖に籠状シルセスキオキサン構造および脂肪族構造、好ましくは脂環式構造を有する重合体を硬化させて得られる硬化膜は、低誘電率および低誘電正接や透明性を示す。このため、本発明の重合体から得られる硬化膜を用いれば、低誘電基板、低誘電基板用層間絶縁膜、または低誘電被覆材などの低誘電部材、およびこれらを用いた電子回路、センサー、アンテナ、レーダーなどの電子デバイス、またはこれらの低誘電部材および電子デバイスを使用した電子機器や、透明性が必要とされる光学部材を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、[合成例1]で合成した本発明のジアミンである、ジ[9,19-メチル(4-アミノシクロヘキシル)]-1,3,5,7,11,13,15,17-オクタシクロヘキシルペンタシクロ[11.7.1.1
3,11
.1
5,17
.1
7,15
]デカシロキサン(化合物2)のIRスペクトル図である。なお、化合物2は、上記式(1)において、Xが1,4-シクロヘキシレンであり、Rがシクロヘキシルであり、そしてR’がメチルである化合物に相当する。
図2は、[合成例1]化合物2の合成に用いた化合物1である、ベンゼンアミン,4,4’-(9,19-ジメチル-1,3,5,7,11,13,15,17-オクタフェニルペンタシクロ[11.7.1.1
3,11
.1
5,17
.1
7,15
]デカシロキサン-9,19-ジイル)ビス-のIRスペクトル図である。なお、化合物1は、JNC(株)製商品名:XQ1251であり、上記式(1)において、Xが1,4-フェニレンであり、Rがフェニルであり、そしてR’がメチルである化合物に相当する。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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