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公開番号2024171973
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023089360
出願日2023-05-31
発明の名称アデノ随伴ウイルス結合性タンパク質の精製方法
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C07K 14/705 20060101AFI20241205BHJP(有機化学)
要約【課題】 アデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質を発現可能な遺伝子組換え宿主の培養物から、当該タンパク質を高収量かつ高純度に精製可能な方法を提供すること。
【解決の手段】 前記培養物中に含まれる遺伝子組換え宿主を溶解させる工程と得られた溶解液に終濃度0.08%(w/v)以上0.25%(w/v)以下のポリエチレンイミンを添加する工程とポリエチレンイミン添加で生じた沈殿物を除去しAAV結合性タンパク質を含む抽出液を取得する工程とを含む方法で前記宿主が発現したAAV結合性タンパク質を抽出した後、前記抽出液中に含まれる前記タンパク質を回収することで、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
アデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質を発現可能な遺伝子組換え宿主の培養物中に含まれる当該宿主が発現した前記タンパク質の抽出工程と、得られた抽出液中に含まれるAAV結合性タンパク質の回収工程とを含む、AAV結合性タンパク質の精製方法であって、
抽出工程が以下の(1)から(3)に示す工程を少なくとも含む、前記精製方法;
(1)前記培養物中に含まれる遺伝子組換え宿主を溶解させる工程
(2)得られた溶解液に終濃度0.08%(w/v)以上0.25%(w/v)以下のポリエチレンイミンを添加する工程
(3)ポリエチレンイミン添加で生じた沈殿物を除去し、AAV結合性タンパク質を含む抽出液を取得する工程。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
回収工程が、イオン交換クロマトグラフィ用担体に抽出液をアプライする工程と、前記担体から溶出したAAV結合性タンパク質を含む画分を回収する工程とを少なくとも含む、請求項1に記載の精製方法。
【請求項3】
宿主が大腸菌(Escherichia coli)である、請求項1に記載の精製方法。
【請求項4】
AAV結合性タンパク質が、以下の(i)から(iii)のいずれかから選択されるポリペプチドである、請求項1から3のいずれかに記載の精製方法;
(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち312番目のセリンから500番目のアスパラギン酸までのアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド、
(ii)配列番号1に記載のアミノ酸配列の312番目のセリンから500番目のアスパラギン酸までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該312番目から500番目までのアミノ酸残基において、1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、かつAAV結合活性を有するポリペプチド、
(iii)配列番号1に記載のアミノ酸配列の312番目のセリンから500番目のアスパラギン酸までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該312番目から500番目までのアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、かつAAV結合活性を有するポリペプチド。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中に含まれるアデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質の精製方法に関する。特に本発明は、AAV結合性タンパク質を発現可能な遺伝子組換え宿主の培養物から、当該タンパク質を工業的に製造するのに適した精製方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
アデノ随伴ウイルス(AAV)はパルボウイルス科(Parvoviridae)、ディペンドウイルス属(Dependovirus)に分類される非エンベロープウイルスである。AAV外殻粒子は3種類のタンパク質(VP1、VP2およびVP3)で構成されており、約60のタンパク質分子がおよそVP1:VP2:VP3=1:1:10の比率で混在し集合することで、直径20nmから30nmの正二十面体の形状をしている。
【0003】
AAVはヒトを含む広範な種の細胞に感染可能で、血球、筋、神経細胞などの分化を終えた非分裂細胞にも感染すること、ヒトに対する病原性がないため副作用の心配が低いこと、ウイルス粒子が物理化学的に安定であること、などから、先天性遺伝子疾患の治療を目的とした遺伝子導入用のベクターとしての利用価値が注目されている。
【0004】
AAVを簡便かつ高純度に精製する方法として、不溶性担体と当該担体に固定化したAAV結合性タンパク質(AAVへの結合活性を有したタンパク質)とを含むAAV吸着剤を用いたアフィニティクロマトグラフィで精製する方法が知られている(特許文献1)。前記方法でAAVを大量精製するには、AAV吸着剤のリガンドであるAAV結合性タンパク質を高純度かつ大量に製造する必要がある。
【0005】
AAV結合性タンパク質を遺伝子組換え技術を利用して製造する場合、AAV結合性タンパク質を発現可能な遺伝子組換え宿主を作製し、当該宿主を培養することで前記タンパク質を発現させた後、得られた培養物中に含まれる前記タンパク質を抽出し精製することで製造するが、精製収量と純度のさらなる向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
WO2021/106882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、アデノ随伴ウイルス結合性タンパク質を発現可能な遺伝子組換え宿主の培養物から、当該タンパク質を高収量かつ高純度に精製可能な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、アデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質を発現可能な遺伝子組換え宿主の培養物に含まれる前記宿主を溶解させた後、適切な添加物を添加し、当該添加で生じた沈殿物を除去した抽出液から前記タンパク質を回収することで、AAV結合性タンパク質を高収量、高純度かつ大量に精製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する:
[1]アデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質を発現可能な遺伝子組換え宿主の培養物中に含まれる当該宿主が発現した前記タンパク質の抽出工程と、
得られた抽出液中に含まれるAAV結合性タンパク質の回収工程とを含む、
AAV結合性タンパク質の精製方法であって、
抽出工程が以下の(1)から(3)に示す工程を少なくとも含む、前記精製方法;
(1)前記培養物中に含まれる遺伝子組換え宿主を溶解させる工程
(2)得られた溶解液に終濃度0.08%(w/v)以上0.25%(w/v)以下のポリエチレンイミンを添加する工程
(3)ポリエチレンイミン添加で生じた沈殿物を除去し、AAV結合性タンパク質を含む抽出液を取得する工程。
【0010】
[2]回収工程が、イオン交換クロマトグラフィ用担体に抽出液をアプライする工程と、前記担体から溶出したAAV結合性タンパク質を含む画分を回収する工程とを少なくとも含む、前記[1]に記載の精製方法。
(【0011】以降は省略されています)

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