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公開番号2024143854
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023056767
出願日2023-03-30
発明の名称ハニカム構造体の製造方法
出願人日本碍子株式会社
代理人アクシス国際弁理士法人
主分類C04B 38/00 20060101AFI20241003BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】ドーパントの分布の均一性が高いハニカム構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】炭化珪素粉末と、金属珪素粉末と、ドーパント源の水溶液とを含む成形原料を混錬し、坏土を作製する工程と、前記坏土を成形し、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第一端面から第二端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有するハニカム成形体を作製する工程と、前記ハニカム成形体を焼成し、ハニカム焼成体を作製する工程とを含み、前記ドーパント源が周期表の第13族元素及び第15族元素から選択される1種又は2種以上のドーパントを含有しており、前記ドーパント源の水溶液中の少なくとも1種の前記ドーパントの原子数が前記金属珪素の体積に対する前記ドーパントの原子数で表して1×1016~5×1020個/cm3である、ハニカム構造体の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
炭化珪素粉末と、金属珪素粉末と、ドーパント源の水溶液とを含む成形原料を混錬し、坏土を作製する工程と、
前記坏土を成形し、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第一端面から第二端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有するハニカム成形体を作製する工程と、
前記ハニカム成形体を焼成し、ハニカム焼成体を作製する工程と、
を含み、
前記ドーパント源が周期表の第13族元素及び第15族元素から選択される1種又は2種以上のドーパントを含有しており、前記ドーパント源の水溶液中の少なくとも1種の前記ドーパントの原子数が前記金属珪素の体積に対する前記ドーパントの原子数で表して1×10
16
~5×10
20
個/cm
3
である、
ハニカム構造体の製造方法。
続きを表示(約 730 文字)【請求項2】
前記ドーパント源が、前記ドーパントを含有する無機塩及び前記ドーパントを含有する有機化合物から選択される1種又は2種以上を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ドーパント源がPを含有する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記ドーパント源が、Pを含有する無機塩及びPを含有する有機化合物から選択される1種又は2種以上を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ドーパント源が、有機燐酸塩を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ドーパント源が前記ドーパントを含有する化合物を含み、当該化合物の20℃における水への溶解度が、1g/100gH
2
O以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ハニカム構造体の前記隔壁における金属珪素の含有率が20質量%以上である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ハニカム構造体の前記隔壁における金属珪素中の少なくとも1種の前記ドーパントの平均濃度が1×10
16
~5×10
20
個/cm
3
である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ハニカム成形体を焼成する前に、前記外周壁の外表面に、前記ハニカム成形体の中心軸を挟んでセルの延びる方向に帯状に延びるように一対の電極層形成ペーストを塗布し、電極層形成ペースト付きハニカム成形体を作製する工程を更に含む請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。とりわけ、本発明は電気加熱型担体として好適に利用可能なハニカム構造体の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
従来、コージェライトや炭化珪素を材料とするハニカム構造体に触媒を担持したものが、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いられている。ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要があるが、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題が従来生じていた。そこで、導電性セラミックス製のハニカム構造体に電極を配設し、通電によりハニカム構造体自体を発熱させることで、ハニカム構造体に担持された触媒をエンジン始動前又はエンジン始動時に活性温度まで昇温する電気加熱触媒(EHC)と呼ばれるシステムが開発されてきた。
【0003】
EHCは一般に、外周壁、及び、外周壁の内側に配設され、第一端面から第二端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁を有する導電性のハニカム構造部と、ハニカム構造部の外周壁に配設された一対の電極層とを備える。EHCを、例えば、自動車等に搭載して使用する場合、自動車等の電気系統に使用される電源が共通で使用される。このため、EHCに過剰の電流が流れると、電源回路が損傷するおそれがある。EHC用の電源には様々な電圧が使用されるため、使用される電圧ごとにEHC用ハニカム構造体の抵抗を調整して、過剰の電流が流れないように制御することが重要となる。
【0004】
特許文献1には、隔壁及び外周壁が、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有し、400℃における体積電気抵抗が1~40Ωcmであるハニカム構造体が記載されている。特許文献1には、炭化珪素粒子の平均粒子径を3~40μmとすることにより、ハニカム構造体の400℃における体積電気抵抗を1~40Ωcmにすることができると記載されている。当該ハニカム構造体は、400℃における体積電気抵抗が1~40Ωcmであるため、電圧の高い電源を用いて電流を流しても、過剰に電流が流れず、ヒーターとして好適に用いることができるとも記載されている。
【0005】
しかしながら、例えば、搭載する自動車の種類等によって、EHC用の電源には非常に広範囲の電圧が使用される。特に、EHC用の電源に、60V以下、例えば48Vといった低い電圧が使用される場合、過剰電流の発生を抑制するのに適切な体積抵抗率は、0.1Ωcm付近である。このように、広範囲の電圧が使用される近年のEHCにおいて、低電圧下で使用された場合であっても過剰電流の発生を良好に抑制する技術の研究・開発が望まれている。
【0006】
そこで、特許文献2、3では、EHCを構成する珪素中に含まれるドーパント量の範囲について規定している。特許文献2、3では、ハニカム構造体の隔壁及び外周壁を構成するセラミックス中の珪素中のドーパントの濃度が、1×10
16
~5×10
20
個/cm
3
であることが記載されている。
【0007】
特許文献2には、ドーパントを添加した珪素粉末、又は、当該ドーパントを添加したケイ素粉末に他のセラミックス材料を混合させた粉末に、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する工程と、得られた成形原料を混練して坏土を形成する工程と、坏土を押出成形して未焼成の柱状ハニカム構造体を作製する工程と、未焼成の柱状ハニカム構造体を焼成する工程とを実施することを含むハニカム構造体の製造方法が記載されている。
【0008】
特許文献3には、炭化珪素粉末を含むセラミックス粉末に、バインダ、界面活性剤、水等を添加して成形原料を作製する工程と、得られた成形原料を混練して坏土を形成する工程と、坏土を押出成形して未焼成のハニカム成形体を作製する工程と、得られたハニカム成形体を乾燥し、脱脂することでハニカム脱脂体を作製する工程と、ハニカム脱脂体に珪素(金属珪素)を含浸焼成する工程であって、ドーパントによりドープされている珪素、又はハニカム脱脂体中のドーパント源と共に含浸焼成する工程とを含むハニカム構造体の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許第5735428号公報
特開2020-204300号公報
特開2022-142543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2、3で提案されているように、ハニカム構造体の隔壁及び外周壁を構成するセラミックス中の珪素中のドーパントの濃度を制御することは、ハニカム構造体の体積抵抗率を調節する上で有用である。しかしながら、従来のハニカム構造体の製造方法ではハニカム構造体におけるドーパントの均一分布性という観点では改善余地が残されている。ドーパントをハニカム構造体中で均一に分布させることは、ハニカム構造体の品質安定性の観点から望ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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