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公開番号2024128923
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-24
出願番号2023171781
出願日2023-10-03
発明の名称積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B32B 27/36 20060101AFI20240913BHJP(積層体)
要約【課題】本発明は、再利用性が高く、離型層密着性と剥離性を両立する積層ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、水酸基を有する樹脂を含む層Xを介して、層Yが積層されてなる積層ポリエステルフィルムであって、以下の条件1を満たす積層ポリエステルフィルム。
条件1:
(1)スクラッチ試験機で測定される層Xと層Yの破壊強度が40mN以上80mN以下、かつ
(2)スクラッチ試験機で測定される層Xと層Yの硬さ指標が100以上300以下
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、水酸基を有する樹脂を含む層Xを介して、層Yが積層されてなる積層ポリエステルフィルムであって、以下の条件1を満たす積層ポリエステルフィルム。
条件1:
(1)スクラッチ試験機で以下の測定方法により測定される層Xと層Yの破壊強度が40mN以上80mN以下、かつ
(2)スクラッチ試験機で以下の測定方法により測定される層Xと層Yの硬さ指標が100以上300以下
<測定方法>
積層ポリエステルフィルムを4cm×4cmの正方形状に切りだし、スクラッチ試験機(レスカ社製CSR5000)の測定ステージに設置し、以下の条件にて層Y側表面のスクラッチ試験を行う。
装置:スクラッチ試験機(レスカ社製CSR5000)
測定条件:
スクラッチ速度:25μm/秒
励振振幅:50μm
励振周波数:45Hz
タッチ検出レベル:3.0mN
荷重条件:単調増加(+3.33mN/秒)
初期荷重:0mN
最大荷重:100mN
測定時間:30秒
触針:ダイヤモンド触針(スタイラス径15μm)
測定結果は、付属のソフトウェアによって解析され、横軸にプローブ押込強さ、縦軸にプローブの変位速度としてグラフ化される。そのグラフから、以下のように読み取る。
破壊強度:押込深さが最大値となるプローブ押込強さ[mN]
硬さ指標:プローブの変位速度の最大値
続きを表示(約 910 文字)【請求項2】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、水酸基を有する樹脂を含む層Xを介して、層Yが積層されてなる積層ポリエステルフィルムであって、以下の条件2を満たす請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
条件2:
(3)スクラッチ試験機で測定される層Xと層Yの破壊強度が45mN以上60mN以下、かつ
(4)スクラッチ試験機で測定される層Xと層Yの硬さ指標が200以上300以下
【請求項3】
前記水酸基を有する樹脂がビニルアルコール残基を有する樹脂である請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記ビニルアルコール残基を有する樹脂が、平均重合度が700~5000の樹脂である、請求項3に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記層Yがジメチルシロキサン残基を有する樹脂を含む請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記層Xの厚みXt(nm)と前記層Yの厚みYt(nm)が以下の条件3を満たす請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
条件3:10≦Xt≦500かつ20≦Yt≦1,000
【請求項7】
前記層Yが以下の条件4を満たす請求項5に記載の積層ポリエステルフィルム。
条件4:50≦ジメチルシロキサン残基を有する樹脂に対する白金触媒の含有量(質量ppm)≦4,000
【請求項8】
少なくとも積層セラミックコンデンサ(MLCC)製造工程用の離型フィルムの一部として用いられる請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項9】
前記層Yにおいて、層Xと接する面の反対面に被離型層が設けられてなり、層Yから被離型層を剥離する離型用途に用いられる請求項8に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項10】
層Yから被離型層を剥離した後、層Xと層Yが除去される用途に用いられる請求項8に記載の積層ポリエステルフィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
プラスチックは様々な分野に利用されている一方、マイクロプラスチックなど海洋汚染の原因物とされ、プラスチックによる環境負荷低減が急務となっている。また、近年、IoT(Internet of Things)の進化により、コンピュータやスマートフォンに搭載されるCPUなどの電子デバイスが急激に増加し、それに伴い、電子デバイスを駆動するために重要な積層セラミックコンデンサ(MLCC)の数も爆発的に増加している。MLCCの一般的な製造方法は、プラスチックフィルムを基材とし、該基材上に離型層を設けた離型フィルム上に、セラミックグリーンシートと電極を積層して乾燥して固めた後、該積層体を離型フィルムから剥離し複数層を積層し、焼成するというものである。この工程において、離型フィルムは、工程中で不要物として廃棄されることとなる。
【0003】
すなわち、近年のMLCC数量の爆発的増加で不要物として廃棄される離型フィルムが増えることによる環境への負荷が課題となりつつある。MLCCの製造工程で用いられる離型フィルムに含まれる離型層の成分は、離型性の観点から、一般的にはフィルムを構成する成分とは異なる組成であるため、離型層がついた離型フィルムをそのまま再溶融した場合、離型層の成分が異物として存在するため、再利用が難しい。
【0004】
そこで離型フィルムを再利用する技術の例として、特許文献1では、離型層を有する離型用フィルムを金属ブラシを用いて洗浄し、離型層を除去したフィルムを再利用する方法が開示されている。また、特許文献2では、離型層とポリエステルフィルムの中間に水溶性樹脂の層を設け、水洗することで離型層を除去した後、再利用する方法が開示されている。さらに、特許文献3では、セラミックグリーンシート積層時の工程条件を規定することで平滑性と剥離性が良好なセラミックグリーンシートが得られ、離型層とポリエステルフィルムの中間に水溶性樹脂の層を設け、水洗することで離型層を除去した後、再利用する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2012-171276号公報
特開2004-050681号公報
特開2004-160773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のような、MLCC数量の爆発的増加に伴い、不要物として廃棄される離型フィルムが増えることによる環境への負荷を低減することが重要である。そのため、離型フィルムの基材に用いられる積層ポリエステルフィルムには、再利用性が必要である一方、離型フィルムとして、離型層密着性(溶剤などにより意図せず離型層がポリエステルフィルムから剥離することが少ないこと)や被離型物の剥離性が求められる。
【0007】
以上の要望に対し、本発明者らが前述の従来技術について確認したところ、特許文献1に記載の技術の場合は、剥離性は比較的良好である一方、離型層密着性に問題があり、また均一に離型層を除去できず、再利用する際に多くの手間がかかり、再利用性に問題があった。特許文献2に記載の技術の場合、再利用性に加え、離型層密着性と剥離性も改善の余地がある程度あった。また、特許文献3に記載の技術の場合、離型層密着性は比較的良好である一方、剥離性に改善の余地がある程度あり、再利用性にも改善の余地があった。
【0008】
以上の点から、本発明の課題は、再利用性が高く、離型層密着性と剥離性を両立する積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の積層ポリエステルフィルムの好ましい一態様は次の構成を有する。
<1>
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、水酸基を有する樹脂を含む層Xを介して、層Yが積層されてなる積層ポリエステルフィルムであって、以下の条件1を満たす積層ポリエステルフィルム。
条件1:
(1)スクラッチ試験機で以下の測定方法により測定される層Xと層Yの破壊強度が40mN以上80mN以下、かつ
(2)スクラッチ試験機で以下の測定方法により測定される層Xと層Yの硬さ指標が100以上300以下
<測定方法>
積層ポリエステルフィルムを4cm×4cmの正方形状に切りだし、スクラッチ試験機(レスカ社製CSR5000)の測定ステージに設置し、以下の条件にて層Y側表面のスクラッチ試験を行う。
装置:スクラッチ試験機(レスカ社製CSR5000)
測定条件:
スクラッチ速度:25μm/秒
励振振幅:50μm
励振周波数:45Hz
タッチ検出レベル:3.0mN
荷重条件:単調増加(+3.33mN/秒)
初期荷重:0mN
最大荷重:100mN
測定時間:30秒
触針:ダイヤモンド触針(スタイラス径15μm)
測定結果は、付属のソフトウェアによって解析され、横軸にプローブ押込強さ、縦軸にプローブの変位速度としてグラフ化される。そのグラフから、以下のように読み取る。
破壊強度:押込深さが最大値となるプローブ押込強さ[mN]
硬さ指標:プローブの変位速度の最大値
<2>
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、水酸基を有する樹脂を含む層Xを介して、層Yが積層されてなる積層ポリエステルフィルムであって、以下の条件2を満たす<1>に記載の積層ポリエステルフィルム。
条件2:
(3)スクラッチ試験機で測定される層Xと層Yの破壊強度が45mN以上60mN以下、かつ
(4)スクラッチ試験機で測定される層Xと層Yの硬さ指標が200以上300以下
<3>
前記水酸基を有する樹脂がビニルアルコール残基を有する樹脂である<1>または<2>に記載の積層ポリエステルフィルム。
<4>
前記ビニルアルコール残基を有する樹脂が、平均重合度が700~5000の樹脂である<3>に記載の積層ポリエステルフィルム。
<5>
前記層Yがジメチルシロキサン残基を有する樹脂を含む<1>または<2>に記載の積層ポリエステルフィルム。
<6>
前記層Xの厚みXt(nm)と前記層Yの厚みYt(nm)が以下の条件3を満たす<1>または<2>に記載の積層ポリエステルフィルム。
条件3:10≦Xt≦500かつ20≦Yt≦1,000
<7>
前記層Yが以下の条件4を満たす<5>に記載の積層ポリエステルフィルム。
条件4:50≦ジメチルシロキサン残基を有する樹脂に対する白金触媒の含有量(質量ppm)≦4,000
<8>
少なくとも積層セラミックコンデンサ(MLCC)製造工程用の離型フィルムの一部として用いられる<1>または<2>に記載の積層ポリエステルフィルム。
<9>
前記層Yにおいて、層Xと接する面の反対面に被離型層が設けられてなり層Yから被離型層を剥離する離型用途に用いられる<8>に記載の積層ポリエステルフィルム。
<10>
層Yから被離型層を剥離した後、層Xと層Yが除去される用途に用いられる<8>に記載の積層ポリエステルフィルム。
<11>
層Yから被離型層を剥離した後、層Xを膨潤させた後に層Xと層Yが除去される用途に用いられる<10>に記載の積層ポリエステルフィルム。
<12>
層Yから被離型層を剥離した後、層Xを膨潤させた後に層Xと層Yが物理的外力により除去される用途に用いられる<11>に記載の積層ポリエステルフィルム。
<13>
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、再利用性が高く、離型層密着性と剥離性を両立する積層ポリエステルフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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