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公開番号2024142554
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023054731
出願日2023-03-30
発明の名称偏心芯鞘複合ポリエステル繊維
出願人東レ株式会社
代理人
主分類D01F 8/14 20060101AFI20241003BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】 本発明は、従来の仮撚加工糸やポリエステル系捲縮発現性複合繊維で問題となっている、嵩高性、ストレッチ性およびシボ立ちなどによる表面品位の低下に対し、複合比率に応じた単繊維間の捲縮形態差および複合界面の湾曲率の制御により、ストレッチ性に優れながらも嵩高性および上品な表面品位を有する素材を提供すること。
【解決手段】 固有粘度が異なるポリエステル成分で構成された偏心芯鞘複合繊維からなるマルチフィラメントであり、単繊維の複合断面において、複合界面の湾曲率が15%以下、芯成分と鞘成分の複合面積比が80:20~20:80の範囲であり、かつ複合面積比の異なる3種以上の単繊維群から構成される偏心芯鞘複合ポリエステル繊維。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
固有粘度が異なるポリエステル成分で構成された偏心芯鞘複合繊維からなるマルチフィラメントであり、単繊維の複合断面において、複合界面の湾曲率が15%以下、芯成分と鞘成分の複合面積比が80:20~20:80の範囲であり、かつ複合面積比の異なる3種以上の単繊維群から構成される偏心芯鞘複合ポリエステル繊維。
続きを表示(約 200 文字)【請求項2】
総単繊維数に対する各単繊維群の単繊維数割合が50%未満である請求項1に記載の偏心芯鞘複合ポリエステル繊維。
【請求項3】
前記複合界面の湾曲率のCV値が0.40以下であることを特徴とする請求項1に記載の偏心芯鞘複合ポリエステル繊維。
【請求項4】
単繊維繊度が0.3~7.0dtexである請求項1~3のいずれかに記載の偏心芯鞘複合ポリエステル繊維。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シボ、シワのない上品な表面品位を有しながらも嵩高性・ストレッチ性に優れた布帛を提供できる偏心芯鞘複合ポリエステル繊維に関するものである。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
ポリエステルは力学的特性、寸法安定性をはじめ、様々な優れた特性を有しているため、衣料用途、産業資材用途など様々な分野で利用されている。とりわけ衣料用途では、着用時のフィット性や動作追従性に優れることからストレッチ素材への要求が高く、さらに嵩高性、風合いなどといった着用快適性も兼備する高機能ストレッチ繊維の開発が盛んに行われている。
【0003】
布帛を構成する原糸にストレッチ性を付与する方法は様々提案されており、例えば、織編物中にポリウレタン系の弾性繊維を混用し、ストレッチ性を付与する方法がある。しかしながら、ポリウレタン系繊維を混用した場合、ポリウレタン固有の性質として風合いが硬く、織編物の風合いやドレープ性が低下するとともに、ポリエステル系染料には染まり難いために染色工程が煩雑になるなどの問題がある。
【0004】
また、ポリエステル繊維に仮撚加工を施し、加撚/解撚トルクを発現させた繊維を用いることにより、織編物にストレッチ性を付与する方法がある。しかしながら、このトルクは織物に使用した際に織物表面にシボ、シワを発生し、織物欠点となり易い問題がある。このため、熱処理やS/Z撚りとすることでトルクバランスを取り、シボ、シワの発生を抑制することも行われているが、ストレッチ性が低いという課題がある。
【0005】
これらの課題に対し、収縮特性または固有粘度の異なる重合体をサイドバイサイド型や偏心芯鞘型に複合紡糸した捲縮発現性複合繊維が種々提案されている。ここで言う捲縮発現性複合繊維とは、熱処理などを施すことで、左右に貼り合わせたポリマー間の収縮率差により、コイルのような3次元的なスパイラル捲縮が発現し、このコイル状の捲縮が伸び縮みすることで、伸縮性を有した繊維となる。
【0006】
特許文献1では固有粘度差あるいは極限粘度差を有するポリエチレンテレフタレート(PET)のサイドバイサイド型複合繊維、特許文献2にはポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とPETを利用したサイドバイサイド型複合繊維といった捲縮発現性複合繊維が提案されている。
【0007】
捲縮発現性複合繊維の嵩高性を高める技術として、特許文献3では高粘度ポリエステル成分と低粘度ポリエステル成分をサイドバイサイド型に接合させる際に複合比率が単繊維間で異なるようにすることでランダム感を付与させ、また高粘度ポリエステル成分、低粘度ポリエステル成分のみの各単繊維を混在させる方法が提案されている。
【0008】
さらに、このような捲縮発現性複合繊維のストレッチ性を向上させる手法の一つとして、特許文献4では複合界面の湾曲率を制御することが提案されており、湾曲度合いが小さいほどコイル径の大きな捲縮が発現するため、ストレッチ性に優れた繊維を得ることが出来ると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開平4-308271号公報
特開2005-113369号公報
特開2008-75224号公報
WO2018-235754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1および特許文献2で提案されている捲縮発現性複合繊維は、構成する単繊維すべてが同じ複合断面を有しているため、おのずと単繊維が発現する捲縮形態が隣り合う単繊維どうしで同様なものとなる。このため、単繊維どうしが噛み合うように絡まり、複数本の単繊維が撚糸されたような、嵩高性の低い捲縮発現性複合繊維となる場合がある。このようなマルチフィラメントからなる糸束は単繊維が集束していることで、そのままで布帛とした際には、嵩高になりにくく、さらにシボ立ちなどにより表面品位や触感も低下したものになる場合があった。
(【0011】以降は省略されています)

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