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公開番号2024104713
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-05
出願番号2023018753
出願日2023-01-24
発明の名称冷凍ヤーコン及び冷凍ヤーコンの製造方法
出願人個人
代理人
主分類A23L 19/10 20160101AFI20240729BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】 本発明の課題は、冷凍ヤーコン解凍後の残存酵素による褐変や腐食、ブランチング処理による水溶性の機能性成分の流出及び加熱によるフラクトオリゴ糖の分解といった現象を抑制し、さらに、機能性成分による苦味や泥臭さが直接舌に伝わることを抑制することにある。
【解決手段】 生のヤーコン塊根に対して、カット加工後、ヤーコンの葉抽出液と乳化剤と油を混合した乳化液に浸し、115~125℃で5~6分、または、135~145℃で3~4分、油を用いてブランチング処理を施し、その後急速冷凍することにより、同質量の生のヤーコン塊根と比較して、カットされた状態で、酵素残存量が3.5%以下、ヤーコン由来の総ポリフェノール量が150%以上、DPPHラジカル消去活性が100%以上、フラクトオリゴ糖が100%以上であり、表面層にヤーコン葉の成分(カフェオイル誘導体)、乳化剤成分及び油成分を含み、解凍後に褐変しない冷凍ヤーコンを製造する。
特許請求の範囲【請求項1】
同質量の生のヤーコン塊根と比較して、カットされた状態で、酵素残存量が3.5%以下、ヤーコン由来の総ポリフェノールが130%以上、DPPHラジカル消去活性が100%以上、フラクトオリゴ糖が100%以上であり、表面層にヤーコン葉の成分(カフェオイル誘導体)、乳化剤成分及び油成分を含むことを特徴とする冷凍ヤーコン。
続きを表示(約 210 文字)【請求項2】
生のヤーコン塊根に対して、カット加工後、ヤーコンの葉抽出液と乳化剤と油を混合した乳化液に浸し、115~125℃で5~6分、または、135~145℃で3~4分、油を用いてブランチング処理を施し、その後急速冷凍することを特徴とする請求項1に記載の冷凍ヤーコンの製造方法。
【請求項3】
前記乳化液は、ヤーコン葉濃縮液と油と乳化剤を混合することを特徴とする請求項2に記載の冷凍ヤーコンの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤーコンを主原料とする加工食品に関し、より詳細には、ヤーコン塊根をカットしてブランチングした後、急速冷凍させることにより得られる冷凍ヤーコン及び冷凍ヤーコンの製造技術に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
ヤーコンは、南米アンデス高地原産のキク科多年草の植物で、日本へは1984年にニュージーランドを経て渡来し、それ以降、各地で栽培されるようになった。ヤーコンに含まれる栄養素であるフラクトオリゴ糖には整腸作用が、ポリフェノールには抗酸化作用があり、食物繊維はダイエットや健康に有効であり、健康食品用の食材として有望である。ヤーコン特有の問題点としては、褐変しやすさ及び泥臭さが挙げられる。また、冷凍ヤーコンは、解凍すると酵素の働きによって褐変や腐敗が起こりやすく、その改善が行われていないために、市場に流通していない。
【0003】
長期保存のための冷凍加工を行う際には、褐変の対策として、例えば、特許文献1のように、湯を用いたブランチング処理により、酵素を失活させ、保存性を高めるのが一般的であり、湯を用いたブランチング処理は、褐変を防ぐ有効的な方法である。
【0004】
また、ヤーコンの苦みを軽減するため、例えば、特許文献2のように、短時間(3分間)の湯を用いたブランチング処理を行うことが効果的とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平11-178536号公報
特開2004-173684号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の製造方法は、褐変を防ぐ有効的な方法であるが、フラクトオリゴ糖や、その他の含有成分であるポリフェノールや、ビタミンCなどの機能性成分は水溶性であるため、湯を用いたブランチング処理の時点で機能性成分の多くが失われてしまう。また、フラクトオリゴ糖は熱によって分解が促進されるという問題を有している。さらに、特許文献1においては、油を用いて、135℃で6分間、105℃で44分間の計50分間のフライ処理を行っている。しかし、高温で長時間加熱することにより、フラクトオリゴ糖が果糖などに分解され、かつ、油加工することにより、ヤーコンが油を吸収してカロリーが高まり、かつ、油の酸化を防ぐ対策が必要であると考えられる。
【0007】
特許文献2に記載されている製造方法では、ヤーコン塊根をそのまま100℃の熱湯で3分間ブランチングし、冷却後にカットする方法が用いられている。しかし、水溶性成分が湯によって流出している欠点に加え、カットをしない状態では、塊根への熱の通りが悪く、3分間の処理では十分な酵素の失活を行うことができず、カット後に残存酵素による褐変が発生すると考えられる。
【0007】
本発明の課題は、上記のごとく、残存酵素による褐変、ブランチング処理による水溶性の機能性成分の流出及び加熱することによるフラクトオリゴ糖の分解といった現象を抑制し、さらに、機能性成分による泥臭さを抑制することにあり、本発明は、上記課題を解決することにより、解凍後も褐変が抑制され、泥臭さがなく、生のヤーコン本来の栄養価を十分に有している冷凍ヤーコン及び冷凍ヤーコンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
生のヤーコン塊根に対して、カット加工後、ヤーコンの葉抽出液と乳化剤と油を混合した乳化液に浸し、115~125℃で5~6分、または、135~145℃で3~4分、油を用いてブランチング処理を施し、その後急速冷凍することにより、同質量の生のヤーコン塊根と比較して、カットされた状態で、酵素残存量が3.5%以下、ヤーコン由来の総ポリフェノール量が130%以上、DPPHラジカル消去活性が100%以上であり、フラクトオリゴ糖が糖全体の100%以上を占め、表面層にヤーコン葉の成分(カフェオイル誘導体)、乳化剤成分及び油成分を含み、解凍後に褐変しない冷凍ヤーコンを製造する。
【発明の効果】
【0009】
冷凍した後、解凍しても褐変が抑制され、苦味や泥臭さが直接舌に伝わることを抑制し、生のヤーコン本来の栄養価を十分に有している冷凍ヤーコン及び冷凍ヤーコンの製造方法を提供することができる。
詳細には、油加工によって、褐変をもたらす酵素を十分に失活させ、ポリフェノールや糖の流出を防ぎ、また、ヤーコン葉の成分添加によってさらにポリフェノールを増加させ、油の酸化をより抑制させ、保存性が高める。さらに、乳化剤による被膜効果により、余分な油の吸収が抑制し、カロリーの増加を抑制する。
【発明を実施するための最良の形態】
【】
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の製造方法の概略を示す図である。
本発明の工程6後のカットヤーコン及び、その他の条件におけるカットヤーコンの、ペルオキシダーゼ酵素活性度の比較を示す図である。
本発明の工程6後のカットヤーコン及び、その他の条件におけるカットヤーコンの、総ポリフェノール量の比較を示す図である。生鮮カットヤーコンの総ポリフェノール量がグラフの縦軸の100%に相当する。
本発明の工程6後のカットヤーコンと、本発明の工程1、2、4を省いたヤーコン葉濃縮液を含まないカットヤーコンとの、総ポリフェノール量の比較を示す図である。
本発明の工程1、2、4を省いたヤーコン葉濃縮液を含まないカットヤーコンの温度上昇によるDPPHの変化と、生鮮のカットヤーコンのDPPHの比較を示す図である。
本発明の工程6後のカットヤーコンと、本発明の工程1、2、4を省いたヤーコン葉濃縮液を含まないカットヤーコンとのDPPHの比較を示す図である。
生鮮のカットヤーコンと、湯100℃で6分加熱したカットヤーコンと、本発明の工程6後のカットヤーコンのフラクトオリゴ糖の量の比較を示す図である。
官能評価における、苦味に対する結果を示す図である。
官能評価における、泥臭さに対する結果を示す図である。
本発明の冷凍ヤーコンを流水で10分解凍し、10分常温においた写真である。
ブランチング施していない冷凍ヤーコンを流水で10分解凍し、10分常温においた写真である。
(【0011】以降は省略されています)

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