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公開番号
2024087388
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-07-01
出願番号
2022202188
出願日
2022-12-19
発明の名称
昆虫食およびその製造方法
出願人
国立大学法人大阪大学
代理人
弁理士法人アスフィ国際特許事務所
主分類
A23K
10/30 20160101AFI20240624BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約
【課題】本発明は、血圧低下作用や鎮静作用といった有効な作用を示す4-アミノ酪酸を多く含む昆虫食とその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る4-アミノ酪酸含量が多い昆虫食の製造方法は、1mg/100g以上の4-アミノ酪酸を含む飼料を昆虫に施餌する工程を含むことを特徴とする。また、本発明に係る昆虫食は、10mg/100g以上の4-アミノ酪酸を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
4-アミノ酪酸含量が多い昆虫食を製造するための方法であって、
1mg/100g以上の4-アミノ酪酸を含む飼料を昆虫に施餌する工程を含むことを特徴とする方法。
続きを表示(約 400 文字)
【請求項2】
前記飼料が、バナナ、ナス、キュウリ、トマト、及びニンジンから選択される1以上である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記飼料を1日間以上、7日間以下施餌する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記昆虫が、ミルワーム、ジャイアントミルワーム、フェニックスワーム、コオロギ、イナゴ、及びバッタから選択される1以上の昆虫である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
更に、前記飼料を施餌した後、前記昆虫を加工する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
10mg/100g以上の4-アミノ酪酸を含むことを特徴とする昆虫食。
【請求項7】
ミルワーム、ジャイアントミルワーム、フェニックスワーム、コオロギ、イナゴ、及びバッタから選択される1以上の昆虫由来のものである請求項6に記載の昆虫食。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧低下作用や鎮静作用といった有効な作用を示す4-アミノ酪酸を多く含む昆虫食とその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
4-アミノ酪酸はアミノ酸の一種であり、生体内では抑制性の神経伝達物質として働き、血圧低下作用や鎮静作用といった有効な作用を示すことが知られている。よって、4-アミノ酪酸含量を増やした食品や、食品中の4-アミノ酪酸を増加させる技術が種々開発されている。
【0003】
例えば特許文献1には、グルタミン酸から4-アミノ酪酸を生合成する酵素であるグルタミン酸デカルボキシラーゼをコードするDNA構築物を植物ゲノムに組み込むことにより、4-アミノ酪酸の産生を選択的に増す形質転換細胞の作製方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、バナナをグルタミン酸などに作用させることにより、グルタミン酸を4-アミノ酪酸に変換させた4-アミノ酪酸含有組成物が開示されている。
【0005】
特許文献3には、バナナにグルタミン酸、ピリドキサルリン酸および水を混合して、グルタミン酸を4-アミノ酪酸に変換させる、4-アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法が記載されている。
【0006】
特許文献4には、バナナにグルタミン酸と水を混合して得られたスラリーを20℃以下で保持することにより、グルタミン酸を4-アミノ酪酸に変換させる、4-アミノ酪酸を多量に含有する食品素材の製造方法が記載されている。
【0007】
ところで、近年、世界の食料危機への対策として、高栄養価や低環境負荷の観点から、昆虫食が注目を集めている。例えば昆虫食は、牛肉に比べて、タンパク質の質量あたりに必要な餌の量が圧倒的に少なく、温室効果ガスの生産量が少ないため、環境負荷が非常に低いといえる。例えば、1kgの牛肉の製造のためには約8~10kgの飼料が必要だと言われているのに対して、1kgのコオロギ肉の製造に必要な飼料は約2kgである。また、ウシは出荷までに約30ヵ月、ブタには約6ヵ月かかるのに対して、コオロギなどの昆虫には1週間から1ヵ月ほどと、生産開始から消費までの時間が非常に短い。更に、可食部1kgの生産に必要な農地の面積は、牛肉で約200m
2
であるのに対して、コオロギでは約15m
2
である。しかも、家畜の骨などは直接食することが難しかったり、家畜の脳などの一部組織は流通が難しかったりするが、昆虫はほぼ全体が可食部であるといえる。また、昆虫食に含まれるタンパク質のアミノ酸構成は哺乳動物の肉のタンパク質のアミノ酸構成に似ているといわれており、昆虫の血糖は栄養価の高いトレハロースであり、脂肪は現代人が日常的に食べる油に近く、ビタミンやミネラルも含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特表2005-506034号公報
特開2007-143487号公報
特開2008-245527号公報
特開2009-136207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、昆虫食は、高栄養価で低環境負荷の食品素材として注目されており、また、4-アミノ酪酸は、血圧低下作用や鎮静作用といった有効な作用を示すものとして知られている。
しかし、従来、4-アミノ酪酸を多く含む昆虫食は知られていなかった。4-アミノ酪酸を多く含む昆虫食であれば、高栄養価で低カロリーであるのみでなく、血圧低下作用や鎮静作用といった4-アミノ酪酸由来の有効な作用を示すものとして、非常に有用であると考えられる。
そこで本発明は、血圧低下作用や鎮静作用といった有効な作用を示す4-アミノ酪酸を多く含む昆虫食とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、家畜や昆虫などに特定の栄養素を多く与えても、その栄養素は生体内で代謝などされたり、過剰分は排出などされるため、筋肉などの組織に蓄積するとは限らないのに対して、昆虫に4-アミノ酪酸を多く含む飼料を施餌することにより、昆虫食中の4-アミノ酪酸含量を顕著に増加させ得ることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
(【0011】以降は省略されています)
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