TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024146651
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023068107
出願日2023-03-31
発明の名称減塩干物製造方法及び減塩干物
出願人有限会社魚作商店
代理人
主分類A23B 4/03 20060101AFI20241004BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】現代人の食生活は塩分過剰が問題となっており、日本人の食事摂取基準2020年版では、1日当たりの塩分摂取量目標が、男性7.5g、女性6.5g未満、2019年国民健康栄養調査で、日本の塩分摂取量が平均10.4gと過剰状態であり、日本人の約3人に1人は高血圧患者と推定されている。年齢と共に高血圧患者比率が増し、健康上の理由で塩分を控える必要のある方に、塩分が少なくても美味しい干魚を食べて頂けるよう改善した減塩干物を提供する。
【解決手段】
従来と比較して、塩分(NaCl)含有率が1/2程度少ない塩水に、香酸柑橘類果汁を少量添加し、その香酸柑橘塩水に魚を塩漬し、塩漬け後の水洗いを無くすことで魚に塩分と旨味を含ませ、乾燥により水分を減らすことで、干物中のNaCl含有量が、従来の製造方法の場合の60~70%になると共に、一層の魚の旨味と塩味を充分引き出すことができる。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
魚を開いて内臓を取り除いた後、真水の摂氏約10度以下の冷水で血出しして血出し魚とする血出し工程と、冷水から前記血出し魚を取り出し水切りを行い水切り魚とする水切り工程と、真水に塩を添加したNaCl濃度3~5%の塩水に、香酸柑橘の範囲に入る「にいひめ」、「ゆず」、「すだち」、「じゃばら」、「かぼす」、「だいだい」からなる群から選択される一つ又は複数の混合果汁を、塩水に対して2~4%添加した香酸柑橘塩水に前記水切り魚を漬け込み、前記水切り魚の肉の中に香酸柑橘塩水を浸透させて漬け込み魚とする漬け込み工程と、前記漬け込み魚を水洗いせずに乾燥させて減塩干物とする乾燥工程を備えることを特徴とする減塩干物の製造方法。
続きを表示(約 360 文字)【請求項2】
前記漬け込み工程において、前記塩水における真水の代わりに、海洋深層水及び前記香酸柑橘塩水中のNaCl濃度3%~5%になるよう、必要に応じて塩を添加することを特徴とする請求項1に記載の減塩干物の製造方法。
【請求項3】
前記血出し工程において内臓を取り除く際に、大骨を除去することを特徴とする請求項1~2のいずれか一つに記載の減塩干物の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3の製造方法のいずれか一つで製造された減塩干物。
【請求項5】
「にいひめ」、「ゆず」、「すだち」、「じゃばら」、「かぼす」、「だいだい」からなる群から選択される一つ又は複数の混合果汁の果汁濃度が2%~4%であって、NaCl濃度が3%~5%である香酸柑橘塩水を含む減塩干物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、減塩しても干物の美味しさが味わえる減塩干物の製造方法及びこの方法で製造した減塩干物に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
図1に代表例として示すような従来の製法では、干物を保存食と位置づけ、塩を効かせて干すことで、塩味の効いた干物が主流となっていたが、近年の冷凍技術や冷風乾燥機、また流通過程の冷凍配送便の飛躍的な進歩と普及により、魚の素材の旨味を大切にした製造方法に変化してきた。
柑橘類の添加が、各種食品及び料理で旨味や塩味を呈することは、文献1~文献4で開示されている。
文献1では、食物や飲料の旨味と塩味を損なうことなく塩の添加量を少なくできる減塩を目指しているところは本発明と同じであるが、文献1では極めて広範囲の飲食品に対応できる塩味旨味増強剤を目指しているが、本発明では魚の干物に限定して、旨味と塩味を損なわない減塩方法を目指しているところが異なる。なお、本発明は、文献1に記載の方法では全くと言ってよいほど効果が無く、コスト面においても適切でなかったため、発明者は改めての研究開発を独自に行なったものである。
文献1では、添加物は、当初、「柑橘類の果皮抽出液、柑橘類の果汁、それらの混合物」と極めて広い範囲で出願されたが、何回にもわたる審査で、最終的に「グレープフルーツの果皮抽出液の減圧濃縮物、又は、レモンの果皮抽出液とレモンの果汁との混合物の減圧濃縮物を含有する出汁」と、大幅に減縮された。
この発明は、出来上がる塩味旨味増強剤濃縮液の質量で10倍以上のエタノールを加温してピールを添加し、加温した温度を保ったまま3時間浸漬抽出を行い、冷やした後に濾過してから減圧濃縮するといった、数多くの工程が必要な技術である。
このような工程で得られた塩味旨味増強濃縮液は、加工食品、例えば麺つゆに添加することにより、塩味や旨味が増すとされている。
しかし、この方法では、工程の複雑さや、製造コストの観点で、本発明の目的である「魚の干物において旨味を損なうことなく大幅に減塩できる」には実用性が全く見込まれない。
文献2に記載の方法では、塩味の付与が弱く、その意味で味覚において満足できない。
文献3に記載の塩味増強剤には、香辛料抽出物の一つとしてシナモン抽出物が含まれている。そのため、この塩味増強剤を添加すると、摂取した際にシナモンの味を感じる可能性が高く、魚の干物には適さない。
文献4に記載の酸化防止及び魚の臭み抑制では、柑橘系果物を微細粉末にし、寒天からなる保護被膜を形成させる、干物本体の表面をコーティングする方法は、本発明の果汁を浸透させる方法とは異なっている。
以上のように、魚の干物において旨味を損なうことなく大幅に減塩できる適切な方法はまだ報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2017-153380号公報
特開2011-4668号公報
特開2012-239398号公報
特開2006-325450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現代人の食生活は、塩分過剰が問題となっており、干物の保存性と旨味の観点から添加される塩分量は、高血圧患者において健康上の理由で干物を食べたくても食べられない方が日本人のおよそ3人に1人と推定されている。
日本人の食事摂取基準2020年版では、1日あたりの塩分摂取量の目標が、男性7.5g、女性が6.5g未満、2019年国民健康・栄養調査では、日本の塩分摂取量が平均10.4gと過剰状態であるといわれている。
魚は干物に適した、簡単な工程で、かつ低コストで、操作や作業が容易であることが必須条件であり、また、魚は鮮度が大切であるため、干物加工において、加温は避けなければならない。
干物は、食品として口にする際、煮込むこと無く、普通に焼くことが一般的であり、したがって、塩味や旨味を与えるために、文献1、2及び3のように調理前あるいは調理中に添加するタイプは適用できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の減塩干物製造について、第一の手段は、魚を開いて内臓を取り除いた後、真水であって摂氏約10度以下の冷水で血出しして血出し魚とする血出し工程と、冷水から前記血出し魚を取り出し水切りを行い水切り魚とする水切り工程と、真水に塩を添加したNaCl濃度3~5%の塩水に、香酸柑橘の範囲に入る、「にいひめ」、「ゆず」、「すだち」、「じゃばら」、「かぼす」、「だいだい」からなる群から選択される一つ又は複数の混合果汁を、塩水に対して2~4%添加した香酸柑橘塩水に前記水切り魚を漬け込み、前記水切り魚の肉の中に香酸柑橘塩水を浸透させて漬け込み魚とする漬け込み工程と、前記漬け込み魚を水洗いせずに乾燥させて減塩干物とする乾燥工程を備えることを特徴とする方法で製造される。
本発明の減塩干物製造について、第二の手段は、上記減塩干物の製造方法における前記漬け込み工程において、前記塩水における真水の代わりに、海洋深層水を使用して、前記香酸柑橘塩水中のNaCl濃度3%~5%になるよう、必要に応じて塩を添加したことを特徴とする方法で製造される。
本発明の減塩干物製造について、第三の手段は、前記発明における血出し工程前において開いて内臓を取り除く際に、大骨を除去することを特徴とする上に記載の方法で製造される。
本発明の減塩干物は、上記製造方法のうち何れか一つの方法で製造される。
本発明の減塩干物は、「にいひめ」、「ゆず」、「すだち」、「じゃばら」、「かぼす」、「だいだい」からなる群から選択される一つ又は複数の混合果汁の果汁濃度が2%~4%であって、NaCl濃度が3%~5%である香酸柑橘塩水を用いて製造される。
【0006】
「にいひめ」とは、新種の柑橘類であって、香酸柑橘のひとつである。タチバナと日本在来のマンダリン交雑実生と推定され、1997年に種苗登録されている。成分の特徴として、三重県農業研究所の紀南果樹研究室によるとヘスペリジンとノビレチン含有量が柑橘類で最も多いことが示されている。それが原因で、「にいひめ」特有の鋭い風味と苦味が魚の臭みを消し清涼感ある風味と塩味を引き出すと考えられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に至る研究では、効果の目的とする旨味と塩味を大きく損なわず、干物の減塩を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
従来の干物製造プロセスの代表例である。
本発明の干物製造方法の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の目的は、塩分過剰な現代人の食生活に、減塩した干物を提案することで、高血圧患者の食生活の選択肢を広げることである。ここで干物を選んだ理由は、干物は鮮魚で食べるよりも干すことで栄養価が高くなり、良質なタンパク質が摂取でき、また含有するドコサヘキサエン(DHA)は血液中の中性脂肪を減らし、カリウムは余分な塩分を排出し、セレンは抗酸化作用で老化防止といったように、干物に加工することで栄養価が上がるため、食を通じて健康な体作りに寄与するためである。
本発明の発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、以下の構成から成る解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
図1に示す従来の製造方法に加え、図2にその代表例を示す本発明の方法に対して、塩の添加量を減らして、何種類かの柑橘類の果汁を添加して製造した干物について官能試験を行った。
官能試験のための試製造には、新たな方法として、実施例1(真水+塩+柑橘)、実施例2(海洋深層水+柑橘)、実施例3(大骨除去、海洋深層水+柑橘)、の3種類の方法で行った。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

有限会社魚作商店
減塩干物製造方法及び減塩干物
2日前
群馬県
こんにゃく
2か月前
大正製薬株式会社
飲料
1か月前
個人
古代食品、醍醐味
16日前
個人
海苔簀張設具
1か月前
不二製油株式会社
発酵乳
6日前
不二製油株式会社
加工食品
23日前
大正製薬株式会社
固形組成物
2か月前
不二製油株式会社
高栄養冷菓
14日前
個人
コーヒー豆焙煎機
2か月前
池田食研株式会社
風味改善剤
1か月前
池田食研株式会社
風味改善剤
6日前
池田食研株式会社
灰汁抑制剤
1か月前
不二製油株式会社
チーズ様食品
2日前
ダイニチ工業株式会社
焙煎装置
2か月前
ソマール株式会社
魚肉加工食品
6日前
ダイニチ工業株式会社
焙煎装置
1か月前
ダイニチ工業株式会社
焙煎装置
2か月前
ダイニチ工業株式会社
焙煎装置
2か月前
長谷川香料株式会社
香味改善剤
1か月前
ダイニチ工業株式会社
焙煎装置
2か月前
エムケー精工株式会社
塗布装置
1か月前
SoPros株式会社
血圧改善剤
1か月前
不二製油株式会社
油脂の製造方法
7日前
日本メナード化粧品株式会社
飲料
2か月前
不二製油株式会社
被覆用油性食品
6日前
三井農林株式会社
紅茶葉の製造方法
13日前
株式会社ノエビア
免疫賦活用組成物
7日前
日本製紙株式会社
麺類
2日前
ヤマモリ株式会社
タイナス冷凍加工品
2か月前
不二製油株式会社
風味油脂の製造方法
1か月前
不二製油株式会社
茹で卵黄様食品素材
28日前
株式会社イツワ工業
海苔製造機
1か月前
日本製紙株式会社
畜肉様組成物
6日前
個人
フィッシュジャーキーの製造方法
20日前
不二製油株式会社
クリームチーズ様食品
6日前
続きを見る