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公開番号2024152920
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-25
出願番号2024140558
出願日2024-08-22
発明の名称新規の澱粉分解物
出願人松谷化学工業株式会社
代理人
主分類A23L 29/212 20160101AFI20241018BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】高DEでありながらその水溶液が、同じDEを有する一般的な澱粉分解物に比べて高粘性であって、老化耐性が適度に低い澱粉分解物を提供すること。
【解決手段】以下の(1)~(3)を満たす澱粉分解物:
(1)DE17.5~30、
(2)DP3~10の糖含有量が固形分当たり10~20%、
(3)分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり48~60%。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
以下の(1)~(3)を満たす澱粉分解物:
(1)DE17.5~30、
(2)DP3~10の糖含有量が固形分当たり10~20%、
(3)分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり48~60%。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
さらに、(4)Brix30の水溶液の30℃における粘度が13~21mPa・s、かつ(5)Brix30の水溶液の4℃・7日間静置後の濁度が1.0以上である、請求項1に記載の澱粉分解物。
【請求項3】
分子量5,000以上の糖組成物含有量が以下の数式1で算出されるY1(%)以上である、請求項1に記載の澱粉分解物:
(数式1)Y1=-0.743X+66.4(但し、XはDE値。)。
【請求項4】
分子量5,000以上の糖組成物含有量が以下の数式2で算出されるY2(%)以上である、請求項1に記載の澱粉分解物:
(数式2)Y2=-0.788X+70.6(但し、XはDE値。)。
【請求項5】
分子量5,000以上の糖組成物含有量が以下の数式3で算出されるY3(%)以下である、請求項1に記載の澱粉分解物:
(数式3)Y3=-0.368X+68.6(但し、XはDE値。)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の澱粉分解物を含有する、飲食品。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の澱粉分解物を含有する、呈味改善用組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の呈味改善用組成物を飲食品に適用する工程を含む、飲食品の製造方法。
【請求項9】
(i)澱粉をα-アミラーゼでDE4~7まで加水分解して液化物を調製する工程、及び、
(ii)前記液化物をグルコアミラーゼでDE17.5~30まで加水分解して澱粉分解物を調製する工程を含む、澱粉分解物の製造方法。
【請求項10】
前記工程(i)の途中で105℃以上にする工程を含む、請求項9に記載の澱粉分解物の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高DEでありながら水溶液粘度が比較的高く、加えて老化耐性の低い澱粉分解物に関し、食品にコクみを付与するにもかかわらず共存する素材の風味をマスキングしにくい澱粉分解物に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
澱粉分解物は、食品、医薬品、化粧品、工業品の各分野で広く用いられている。例えば、食品分野においては、甘味料用途のほか、コク味や濃厚感の付与、浸透圧の調整、保湿、粉末化基材などの各種用途に利用され、医薬品分野においては、経腸栄養剤の炭水化物源や薬剤の賦形剤として利用される。
【0003】
澱粉分解物は、甘味度、味質、浸透圧、粘性、吸湿性などの基本物性に応じて使い分けることが可能である。一般に、DE(澱粉の分解度)が高いものは甘味度や浸透圧が高いことから、甘味や水分活性の調整に利用されるが、吸湿しやすくハンドリングしづらいことから、長期保存される乾燥食品の原料や粉末化基材として利用されることは少ない。他方、DEが低いものは一般に甘味度が低く吸湿しにくいことから、マスキング・コク味付けといった呈味改善用途や粉末化基材に適するが、老化・白濁しやすいことから、透明性や食感が重視される飲食品の原料として利用されることは少ない。また、DEが低いものはコク味付与機能に優れるものの共存する素材の好ましい風味をマスキングするデメリットがあるため、風味を重視する場合は、粉末化基材としても利用しにくい場合がある。
【0004】
例えば、低DEでありながら老化・白濁しにくい澱粉分解物を得る方法として、DE14.1以上のコーンスターチの液化液に枝付け酵素を作用させる方法(特許文献1、実施例)や、DE0.6~16.5のコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ又は甘藷澱粉の液化液に枝付け酵素を作用させる方法(特許文献2、実施例)が提案されている。
他方、高DEでありながら液粘度が高く、老化しにくい澱粉分解物を得る方法として、25質量%粘度が10~250mPa・sとなるまで澱粉を液化酵素で分解し、さらに糖化酵素でDEが18超え27以下となるまで分解する方法が提案されている(特許文献3)。
【0005】
しかし、高DEでありながら液粘度が高いというだけでなく、さらに低老化耐性を達成する澱粉分解物については開示されておらず、また、そのような澱粉分解物がコク味付与機能に優れるだけでなく原料素材の好ましい風味をマスキングしにくいことはこれまで開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2003-144187号公報
特開2008-222822号公報
特開2019-089932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高DEでありながら、同じDEを有する一般的な澱粉分解物と比べて水溶液粘度が高く、老化耐性が適度に低い澱粉分解物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討したところ、例えば、タピオカ澱粉を液化酵素でDE4~7の液化物を調製し、次いで液化物をグルコアミラーゼでDE17.5~30となるまで加水分解することによって得られる特定のパラメーターを有する澱粉分解物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、以下の[1]~[12]の態様を含む。
[1]
以下の(1)~(3)を満たす澱粉分解物:
(1)DE17.5~30、
(2)DP3~10の糖含有量が固形分当たり10~20%、
(3)分子量5,000以上の糖組成物含有量が固形分当たり48~60%。
[2]
さらに、(4)Brix30の水溶液の30℃における粘度が13~21mPa・s、かつ(5)Brix30の水溶液の4℃・7日間静置後の濁度が1.0以上である、[1]に記載の澱粉分解物。
[3]
分子量5,000以上の糖組成物含有量が以下の数式1で算出されるY1(%)以上である、前記[1]又は[2]に記載の澱粉分解物:
(数式1)Y1=-0.743X+66.4(但し、XはDE値。)。
[4]
分子量5,000以上の糖組成物含有量が以下の数式2で算出されるY2(%)以上である、前記[1]又は[2]に記載の澱粉分解物:
(数式2)Y2=-0.788X+70.6(但し、XはDE値。)。
[5]
分子量5,000以上の糖組成物含有量が以下の数式3で算出されるY3(%)以下である、前記[1]~[4]のいずれか1つに記載の澱粉分解物:
(数式3)Y3=-0.368X+68.6(但し、XはDE値。)。
[6]
[1]~[5]のいずれか1つに記載の澱粉分解物を含有する、飲食品。
[7]
前記[1]~[5]のいずれか1つに記載の澱粉分解物を含有する、呈味改善用組成物。
[8]
[7]に記載の呈味改善用組成物を飲食品に適用する工程を含む、飲食品の製造方法。
[9]
(i)澱粉をα-アミラーゼでDE4~7まで加水分解して液化物を調製する工程、及び、
(ii)前記液化物をグルコアミラーゼでDE17.5~30まで加水分解して澱粉分解物を調製する工程を含む、澱粉分解物の製造方法。
[10]
前記工程(i)の途中で105℃以上にする工程を含む、[9]に記載の澱粉分解物の製造方法。
[11]
[9]又は[10]に記載の方法によって製造された澱粉分解物を飲食品に適用する工程を含む、飲食品の製造方法。
[12]
[1]~[5]のいずれか1つに記載の澱粉分解物、又は[9]若しくは[10]に記載の製造方法で調製された澱粉分解物を飲食品に適用することを含む、飲食品の呈味改善方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高DEでありながら比較的高粘性かつ低老化耐性の澱粉分解物を提供することができる。また、本発明の澱粉分解物を飲食物に利用すれば、原料素材の風味立ちの抑制を避けつつ濃厚感(コク味、厚み、ボディー感、マウスフィールなど)を付与することができ、特に、流動性ある飲食物において保形性向上に寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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