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公開番号2024081214
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-18
出願番号2022194671
出願日2022-12-06
発明の名称発酵生産プロセス支援方法
出願人花王株式会社
代理人個人
主分類C12N 1/00 20060101AFI20240611BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】発酵生産プロセスにおける培養時点ごとの適切な培養条件を取得することができる技術を提供する。
【解決手段】発酵生産プロセス支援方法では、一以上のプロセッサが、或る培養時点の培養情報を学習済みモデルに入力することにより複数種の培養状態指標を取得する第一予測工程及び次の培養時点の培養情報を取得する第二予測工程を含む予測サイクルを繰り返す工程と、培養時点ごとの最適化対象指標の集合であって各培養時点の最適化対象指標として当該複数種の培養状態指標の少なくとも一つがそれぞれ指定された制御方針トレンド情報を取得する工程と、第一予測工程で取得される複数種の培養状態指標のうちの制御方針トレンド情報において各培養時点の最適化対象指標として指定された培養状態指標が最適化されるように、各培養時点における特定培養条件の最適値をそれぞれ決定する工程とを実行する。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
微生物を培養する培養容器内で目的物が生成される発酵生産プロセスを支援する方法であって、
特定培養条件を少なくとも含む培養情報を入力して複数種の培養状態指標を出力する学習済みモデルを利用可能な一以上のプロセッサが、
或る培養時点の前記培養情報を前記学習済みモデルに入力することにより前記複数種の培養状態指標を取得する第一予測工程及び次の培養時点の前記培養情報を取得する第二予測工程を含む予測サイクルを所定培養時間内における培養時点ごとに繰り返す培養挙動予測工程と、
培養時点ごとの最適化対象指標の集合であって各培養時点の最適化対象指標として前記複数種の培養状態指標の少なくとも一つがそれぞれ指定された制御方針トレンド情報を取得するトレンド取得工程と、
前記第一予測工程で取得される前記複数種の培養状態指標のうちの前記取得された制御方針トレンド情報において各培養時点の最適化対象指標として指定された培養状態指標が最適化されるように、各培養時点における前記特定培養条件の最適値をそれぞれ決定する最適条件決定工程と、
を実行する発酵生産プロセス支援方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記一以上のプロセッサが、
目標品質情報を取得する目標取得工程と、
前記制御方針トレンド情報を複数生成する方針生成工程と、
生成された各々の前記制御方針トレンド情報に関して、前記最適条件決定工程で決定された各培養時点における前記特定培養条件の最適値をそれぞれ用いて前記培養挙動予測工程を実行することにより前記所定培養時間にわたる前記目標品質情報に対応する培養結果指標をそれぞれ取得する結果取得工程と、
各々の前記制御方針トレンド情報に関して取得された前記培養結果指標に基づいて、複数の前記制御方針トレンド情報の中から前記目標品質情報に適合する一以上の制御方針トレンド情報を選択する方針選択工程と、
を更に実行する請求項1に記載の発酵生産プロセス支援方法。
【請求項3】
前記方針生成工程では、前記一以上のプロセッサが、前記方針選択工程で選択された一以上の制御方針トレンド情報に基づいて、遺伝的アルゴリズムを用いて複数の前記制御方針トレンド情報を生成する、
請求項2に記載の発酵生産プロセス支援方法。
【請求項4】
前記最適条件決定工程において、前記一以上のプロセッサが、ベイズ最適化を用いて前記各培養時点における前記特定培養条件の最適値をそれぞれ決定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の発酵生産プロセス支援方法。
【請求項5】
前記一以上のプロセッサは、
前記第一予測工程では、前記特定培養条件及び前記目的物の濃度を含む前記培養情報を前記学習済みモデルに入力することにより前記目的物の生成速度を含む前記複数種の培養状態指標を取得し、
前記第二予測工程では、前記取得された複数種の培養状態指標に含まれる前記目的物の生成速度を少なくとも用いて前記次の培養時点の前記目的物の濃度を算出する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の発酵生産プロセス支援方法。
【請求項6】
前記特定培養条件は、前記培養容器内の温度及び前記培養容器内の培養液の水素イオン指数、並びに酸素供給速度若しくは酸素消費速度を含み、
前記一以上のプロセッサは、
前記第一予測工程において、前記目的物の濃度、前記温度、前記水素イオン指数、並びに前記酸素供給速度若しくは前記酸素消費速度を含む前記培養情報を前記学習済みモデルに入力することにより前記目的物の生成速度を含む前記複数種の培養状態指標を取得し、
前記第二予測工程において、前記次の培養時点における前記温度、前記水素イオン指数、並びに前記酸素供給速度若しくは前記酸素消費速度を取得する、
請求項5に記載の発酵生産プロセス支援方法。
【請求項7】
前記培養容器内では、少なくとも前記目的物、副生産物及び二酸化炭素が生成されかつ少なくとも基質が消費され、
前記複数種の培養状態指標は、前記目的物の生成速度、前記副生産物の生成速度、前記二酸化炭素の生成速度、及び前記基質の消費速度を含み、
前記制御方針トレンド情報で示される培養時点ごとの最適化対象指標には、前記目的物の生成速度、前記副生産物の生成速度、前記二酸化炭素の生成速度、又は前記基質の消費速度の指定が含まれる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の発酵生産プロセス支援方法。
【請求項8】
前記学習済みモデルは、前記培養情報のみを入力として前記複数種の培養状態指標のみを出力し、
前記培養情報及び前記複数種の培養状態指標は、示強変数若しくは無次元数、又はそれら両方のみで構成されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の発酵生産プロセス支援方法。
【請求項9】
メモリ及び前記一以上のプロセッサを少なくとも備える発酵生産プロセス支援装置であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の発酵生産プロセス支援方法を実行可能な発酵生産プロセス支援装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を培養する培養容器内で目的物が生成される発酵生産プロセスを支援する技術に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、細胞の培養やバイオプロダクションにおいて、実験を繰り返すことなく、最適な培養条件を探索可能とする細胞培養プロセス探索方法が開示されている。
この方法は、複数のプロセス条件を発生させるプロセス条件発生工程、当該複数のプロセス条件に対して細胞の培養予測結果を取得する培養結果予測工程、当該培養予測結果から最適なプロセス条件を見出す最適化プロセス条件取得工程を含む。培養結果予測工程は、プロセス条件取得工程と、取込制約条件取得工程と、最適化計算工程と、濃度変化計算工程とを有しており、最適化計算工程は、培地組成(培地成分濃度)及び取込制約条件に基づいて、細胞の代謝に関する数理モデル(代謝回路モデル)で代謝流速(消費速度)の計算を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2021/166824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の方法では、複数のプロセス条件が生成され、各プロセス条件についてそれぞれ培養予測結果が取得され、各培養予測結果から最適なプロセス条件が見い出される。
しかしながら、この方法では、発酵生産プロセスの全体を通じた適切なプロセス条件を取得することはできない。培地環境は経時で変化しており、微生物は外部環境に応答して逐次、代謝バランスを変化させるものであるところ、上述の方法では、プロセス条件の時間的要素を無視していると思われるからである。
もし仮に上述の方法を培養時点ごとに実行するとしても、計算量が膨大となることから、実現手法として非現実的である。
【0005】
本発明は、このような観点を考慮してなされたものであり、発酵生産プロセスにおける培養時点ごとの適切な培養条件を取得することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、微生物を培養する培養容器内で目的物が生成される発酵生産プロセスを支援する方法であって、特定培養条件を少なくとも含む培養情報を入力して複数種の培養状態指標を出力する学習済みモデルを利用可能な一以上のプロセッサが、或る培養時点の前記培養情報を前記学習済みモデルに入力することにより前記複数種の培養状態指標を取得する第一予測工程及び次の培養時点の前記培養情報を取得する第二予測工程を含む予測サイクルを所定培養時間内における培養時点ごとに繰り返す培養挙動予測工程と、培養時点ごとの最適化対象指標の集合であって各培養時点の最適化対象指標として前記複数種の培養状態指標の少なくとも一つがそれぞれ指定された制御方針トレンド情報を取得するトレンド取得工程と、前記第一予測工程で取得される前記複数種の培養状態指標のうちの前記取得された制御方針トレンド情報において各培養時点の最適化対象指標として指定された培養状態指標が最適化されるように、各培養時点における前記特定培養条件の最適値をそれぞれ決定する最適条件決定工程とを実行する発酵生産プロセス支援方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、メモリ及び上記一以上のプロセッサを少なくとも備える発酵生産プロセス支援装置であって、上記発酵生産プロセス支援方法を実行可能な発酵生産プロセス支援装置が提供可能である。
更に言えば、上記発酵生産プロセス支援方法をコンピュータに実行させるプログラムも提供可能であるし、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体も提供可能である。この記録媒体は、非一時的な有形の媒体を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発酵生産プロセスにおける培養時点ごとの適切な培養条件を取得する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
培養システムの例を示す模式図である。
第一及び第二実施形態に係る発酵生産プロセス支援方法を実行可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
第一実施形態に係る発酵生産プロセス支援方法を示すフローチャートである。
第二実施形態に係る発酵生産プロセス支援方法を示すフローチャートである。
実施例における培養挙動予測のデータフローを示す図である。
実証実験の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態の例(以降、本実施形態と表記する)について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は例示であり、本発明は以下に挙げる構成に限定されない。
(【0011】以降は省略されています)

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