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公開番号2024050662
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-10
出願番号2024008175,2022555877
出願日2024-01-23,2022-06-08
発明の名称還元鉄の製造方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人,個人
主分類C21B 13/00 20060101AFI20240403BHJP(鉄冶金)
要約【課題】酸化鉄から還元鉄を製造する際に、省エネルギー化の実現並びに、CO2排出量の削減が可能となる方法を提供する。
【解決手段】還元鉄の製造方法は、酸化鉄を還元炉へ充填する酸化鉄充填工程と、還元炉へ還元ガスを吹込む還元ガス吹込み工程と、還元炉内で還元ガスにより酸化鉄を還元する還元工程と、還元炉の炉頂から排出される炉頂ガスの一部と水素ガスとからメタンを主成分とするガスを合成するメタン合成工程と、メタンおよび炉頂ガスの残部を原料ガスとして、該原料ガスを加熱して還元ガスに改質するガス改質工程と、が相互に接続する循環系において、循環系での操業中に不足する炭素を、還元ガス吹込み工程、還元工程、メタン合成工程およびガス改質工程のいずれか1または2以上の工程、或いは還元ガス吹込み工程、還元工程、メタン合成工程およびガス改質工程のいずれか2以上の工程間の接続部において補填しながら操業を継続する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
酸化鉄を還元炉へ充填する酸化鉄充填工程と、
前記還元炉へ還元ガスを吹込む還元ガス吹込み工程と、
前記還元炉内で前記還元ガスにより前記酸化鉄を還元する還元工程と、
前記還元炉の炉頂から排出される炉頂ガスの一部を酸素ガスと混合して加熱用燃料とし、該加熱用燃料を燃焼させた排ガスと水素ガスとからメタンを主成分とするガスを合成するメタン合成工程と、
前記メタンおよび前記炉頂ガスの残部を原料ガスとして、該原料ガスを前記加熱用燃料の燃焼熱で加熱して前記還元ガスに改質するガス改質工程と、
が相互に接続する循環系において還元鉄を製造する方法であって、
前記循環系での操業中に不足する炭素を、前記還元ガス吹込み工程、前記還元工程、前記メタン合成工程および前記ガス改質工程のいずれか1または2以上の工程、或いは前記還元ガス吹込み工程、前記還元工程、前記メタン合成工程および前記ガス改質工程のいずれか2以上の工程間の接続部において補填しながら前記操業を継続する、還元鉄の製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記メタン合成工程および前記ガス改質工程のいずれか一方または両方の工程、或いは前記両方の工程に前記還元工程を加えた3つの工程の各接続部において、前記炭素の補填を行う、請求項1に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項3】
前記炭素は廃棄プラスチックの燃焼ガスである、請求項1または2に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項4】
前記炭素はバイオマスの燃焼ガスである、請求項1または2に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項5】
前記循環系内の窒素濃度が一定以上に上昇したら、前記メタン合成工程に供給される前記炉頂ガスの一部を前記循環系外に排出し、前記合成したメタンの代わりに天然ガスを供給して前記ガス改質工程を行う、請求項1または2に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項6】
酸化鉄を還元炉へ充填する酸化鉄充填工程と、
前記還元炉へ還元ガスを吹込む還元ガス吹込み工程と、
前記還元炉内で前記還元ガスにより前記酸化鉄を還元する還元工程と、
前記還元炉の炉頂から排出される炉頂ガスの一部から得られる主にCO、CO

、H

からなるガスと水素ガスとからメタンを主成分とするガスを合成するメタン合成工程と、
前記メタンおよび前記炉頂ガスの残部から得られる主にCO、CO

、H

からなるガスを原料ガスとして、該原料ガスをCO

フリー電力で又は加熱用燃料を併用して加熱して前記還元ガスに改質するガス改質工程と、
が相互に接続する循環系において還元鉄を製造する方法であって、
前記循環系での操業中に不足する炭素を、前記還元ガス吹込み工程、前記還元工程、前記メタン合成工程および前記ガス改質工程のいずれか1または2以上の工程、或いは前記還元ガス吹込み工程、前記還元工程、前記メタン合成工程および前記ガス改質工程のいずれか2以上の工程間の接続部において補填しながら前記操業を継続する、還元鉄の製造方法。
【請求項7】
前記メタン合成工程および前記ガス改質工程のいずれか一方または両方の工程、或いは前記両方の工程に前記還元工程を加えた3つの工程の各接続部において、前記炭素の補填を行う、請求項6に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項8】
前記炭素は廃棄プラスチックの燃焼ガスである、請求項6または7に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項9】
前記炭素はバイオマスの燃焼ガスである、請求項6または7に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項10】
前記循環系内の窒素濃度が一定以上に上昇したら、前記メタン合成工程に供給される前記炉頂ガスの一部を前記循環系外に排出し、前記合成したメタンの代わりに天然ガスを供給して前記ガス改質工程を行う、請求項6または7に記載の還元鉄の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
還元鉄の製造方法、特に竪型の還元炉を用いる還元鉄の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、製鉄所においては、地球環境問題や化石燃料枯渇問題を背景として、省エネルギー化が強く求められている。
さて、鉄の原料は主に酸化鉄であり、この酸化鉄を還元する、還元プロセスが必須となる。世界的に最も普及している、一般的な還元プロセスは高炉である。この高炉では、羽口においてコークスや微粉炭と熱風(1200℃程度に加熱した空気)中の酸素が反応し、COおよびH

ガス(還元ガス)を生成させて、これらの還元ガスにより炉中の鉄鉱石等の還元を行っている。近年の高炉操業技術の向上により、還元材比(溶銑1t製造あたりのコークス、微粉炭の使用量)は500kg/t程度まで低減したが、還元材比はすでにほぼ下限に達しており、これ以上の大幅な還元材比の低減は期待できない。
【0003】
一方、天然ガスが産出される地域では、竪型の還元炉に酸化鉄原料として焼結鉱、ペレット等の塊成化した鉄鉱石を充填し、水素及び一酸化炭素を含む還元ガスを吹き込んで酸化鉄原料を還元して還元鉄を製造する方法もよく用いられている。この方法では、還元ガスの原料ガスとして天然ガスなどが用いられる。原料ガスは、還元炉の炉頂から排出される炉頂ガスとともに加熱改質装置7内で加熱・改質されて還元ガスが生成される。生成された還元ガスは還元炉に吹き込まれ、還元炉の上部から供給される酸化鉄原料と反応し、酸化鉄が還元され、還元鉄となる。製造された還元鉄は還元炉の還元ガスが吹き込まれる位置よりも下部の領域において冷却された後、還元炉下部から排出される。
【0004】
なお、酸化鉄の還元に供した後のガスは、還元炉の炉頂から炉頂ガスとして排出され、集塵・冷却ののち、炉頂ガスの一部は改質ガスの原料として加熱改質装置7に送りこまれる。また、残り炉頂ガス(前記炉頂ガスの残部)は加熱・加熱改質装置7の燃料ガスとして用いられる。加熱・加熱改質装置7の燃料ガスとして用いられた前記残り炉頂ガスは、系外に排出されるのが一般的である。
【0005】
上記の還元鉄製造プロセスとして、例えば特許文献1には、還元炉の排ガスと天然ガスとを改質器にて改質し、主にCOとH

ガスからなる還元ガスを生成し、この還元ガスを還元炉に吹込み還元炉内の酸化鉄を還元し、還元鉄を製造することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2017-88912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の還元鉄製造方法では、還元ガス製造のために天然ガスを用いるため、高炉よりは低位ではあるものの、ある程度のCO

排出が避けられないという、問題がある。このように排出されたガスはCO

を一定程度含有するため、この還元鉄製造方法ではCO

排出量を一定程度低減することはできても、0にすることはできない。
【0008】
本発明は、上記の現状に鑑みなされたものであって、酸化鉄から還元鉄を製造する際に、省エネルギー化の実現並びに、CO

排出量の削減が可能となる方途を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、上記の還元鉄の製造方法において、CO

排出量を0にすることを目的として、還元炉からの排ガスである炉頂ガスに外部からCO

フリーの水素を供給して再生メタンを合成し、その再生メタンを用いて還元ガスを製造することによって、省エネルギー化並びにCO

排出量の削減が可能となることを見出した。すなわち、この還元鉄の製造手法では、還元炉の排ガスに含まれるCO

やCOといった全ての気体炭素源を、再生メタンを合成する工程を通じて循環・再利用する。そのため、還元炉への酸化鉄充填工程、還元炉への還元ガス吹込み工程、還元炉内での還元工程、還元炉の炉頂ガスから再生メタンガスを生成するメタン合成工程および、再生メタンガスと炉頂ガスから還元ガスを生成するガス改質工程によって構成される、循環(再利用)系の外へCO

として排出される炭素の排出量を0とすることが可能になる。
【0010】
さらに、発明者らは、上記の還元鉄の製造手法を実際に製鉄所に適用することを検討したところ、上記の循環(再利用)系(以下、単に系ともいう)における炭素の確保が必要になることを知見するに到った。すなわち、還元炉内における還元鉄への浸炭に費やされる炭素や、還元炉からの排ガス(炉頂ガス)に随伴し除塵機で該排ガスから除去される、ダスト中に含まれる炭素等、炭素は気体以外の形態で一定量が系外へ排出される。さらに、操業トラブル発生時等の非定常時は、還元炉の排ガスの大気放散等、定常操業では行われない形で炭素を系外へ排出する可能性もある。このような系外への炭素排出を考慮すると、系内を循環する炭素量は減少する傾向にある。その場合、還元炉内の酸化鉄還元反応に占めるCOによる酸化鉄還元反応の割合が減少し、H

による反応の割合が増加する。COによる酸化鉄還元反応が発熱反応であるのに対し、H

による酸化鉄還元反応は吸熱反応であるから、後者の反応が増加すると、還元炉において熱が不足し、還元率の十分高い還元鉄を得ることが困難になる。
(【0011】以降は省略されています)

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