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公開番号2024054971
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-18
出願番号2022161472
出願日2022-10-06
発明の名称熱処理方法及び熱処理炉
出願人大同プラント工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C21D 1/26 20060101AFI20240411BHJP(鉄冶金)
要約【課題】加熱処理による被処理物の残熱を利用し、金属組織の変態を伴う熱処理を施すことができる熱処理方法及び熱処理炉を提供する。
【解決手段】鉄系材料が用いられた被処理物の熱処理方法であって、加熱処理による残熱を有する被処理物を、第1冷却温度に冷却する第1工程と、第1工程後の被処理物を、第1冷却温度と同じ温度又は第1冷却温度よりも低温度である第1保持温度とした雰囲気中に保持する第2工程と、第2工程後の被処理物を、第1保持温度よりも低温度の第2冷却温度に冷却する第3工程と、第3工程後の被処理物を、第2冷却温度と同じ温度又は第2冷却温度よりも低温度である第2保持温度とした雰囲気中に保持する第4工程と、を備え、熱処理炉の炉本体11は、第1工程を行う第1冷却室21、第2工程を行う第1均熱室22、第3工程を行う第2冷却室23、及び第4工程を行う第2均熱室24を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
鉄系材料が用いられた被処理物の熱処理方法であって、
加熱処理による残熱を有する前記被処理物を、第1冷却温度に冷却する第1工程と、
前記第1工程後の前記被処理物を、前記第1冷却温度と同じ温度又は前記第1冷却温度よりも低温度である第1保持温度とした雰囲気中に保持する第2工程と、
前記第2工程後の前記被処理物を、前記第1保持温度よりも低温度の第2冷却温度に冷却する第3工程と、
前記第3工程後の前記被処理物を、前記第2冷却温度と同じ温度又は前記第2冷却温度よりも低温度である第2保持温度とした雰囲気中に保持する第4工程と、を備えることを特徴とする熱処理方法。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
前記加熱処理による残熱を有する前記被処理物の温度が1000℃以上1500℃以下である請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項3】
前記加熱処理は、熱間鍛造である請求項2に記載の熱処理方法。
【請求項4】
前記第2工程において、前記第1冷却温度が前記第1保持温度よりも10℃~70℃高い温度である請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項5】
前記第2工程は、前記鉄系材料の結晶粒の整粒化を促す工程である請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項6】
前記第2工程において、前記第1保持温度が850℃以上950℃以下である請求項5に記載の熱処理方法。
【請求項7】
前記第3工程において、前記第2冷却温度が前記第2保持温度よりも5℃~60℃高い温度である請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項8】
前記第4工程は、前記鉄系材料の等温変態を促す工程である請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項9】
前記第4工程において、前記第2保持温度が600℃以上800℃以下である請求項8に記載の熱処理方法。
【請求項10】
請求項1に記載の熱処理方法に用いられる熱処理炉であって、
鉄系材料が用いられ、加熱処理による残熱を有する被処理物を収容する炉本体を備え、
前記炉本体は、
残熱を有する状態の温度から第1冷却温度となるまで前記被処理物を冷却する第1冷却室と、
第1保持温度とした雰囲気中に前記被処理物を保持する第1均熱室と、
前記第1保持温度から第2冷却温度となるまで前記被処理物を冷却する第2冷却室と、
第2保持温度とした雰囲気中に前記被処理物を保持する第2均熱室と、を備えることを特徴とする熱処理炉。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄系材料が用いられた被処理物の熱処理方法、及びその熱処理方法に使用される熱処理炉に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
炭素鋼、合金鋼、鋳鍛鋼、特殊鋼などの鋼、あるいは鋳鉄などの鉄系材料が用いられた製品、部品等は、鉄系材料を熱間鍛造や鋳造等の加熱処理で所望の形状に形成した後、内部応力の除去、硬さの調整、加工性の向上などを目的とした熱処理を施される。
通常、熱処理は、鉄系材料を所望の金属組織に変態させる処理であり、加熱処理後に放冷等して略常温とした製品、部品等を被処理物とし、被処理物を加熱して高温度に熱し、その後、被処理物を急冷して前述の高温度よりも低い温度に冷やし、その温度で保持することで実行される。
近時の熱処理では、温室効果ガスの排出量の削減(カーボンニュートラル)への要請等から、被処理物の加熱に利用されるプロパンガス、ブタンガス等といった燃料の使用量の削減、つまり省エネルギー化を要求されている。こうした省エネルギー化への要求に関し、例えば、特許文献1、2には、熱間鍛造の熱を利用し、特許文献1であればローラーシェルへの焼入れ及び焼もどしを施す方法、特許文献2であればエンジンバルブの傘部鍛造等を施す方法が記載されている。
具体的に、特許文献1には、1回の温度サイクルを「常温-約1200℃-約800℃-約200℃-常温」とする熱間鍛造直接焼入れ自己焼もどしが記載され、詳しくは、熱間鍛造の熱を利用してローラーシェルの素材の表面部に焼入れを施し、その焼入れの冷却を途中で停止し、素材の芯部から表面部への熱伝導の熱を利用して表面部に低温焼もどしを施す方法が記載されている。
特許文献2には、母材を700~1200℃の高温度に加熱して熱間鍛造で粗形状まで鍛造し、すみやかに700~1000℃の範囲に冷却した後、残熱を利用して傘部を鍛造し、600~900℃に冷却して、その傘部鍛造後の残熱を利用し、600~900℃に保持して、時間変態を促進させる時効処理を施す方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2007-100193号公報
特開2001-323323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1は、熱間鍛造直接焼入れ自己焼もどしに係る方法であり、特許文献2は、熱間鍛造の残熱を傘部の鍛造に利用することを主とする方法であるから、何れも被処理物への熱処理に関して適用できる用途が限られてしまい、汎用性に欠ける。
また、通常の熱処理は、加熱処理後の高温度から略常温になるまで冷やした被処理物を、再び加熱して高温度に熱する必要があるため、省エネルギー化への要求に応えることが難しい。
さらに、通常の熱処理で、特許文献1、2のように熱間鍛造等の加熱処理による残熱を利用しようとする場合、硬度のばらつきが生じやすく、安定した品質を保つことが難しい、という問題を有する。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有していた問題点を解決しようとするものであり、加熱処理による被処理物の残熱を利用し、金属組織の変態を伴う熱処理を施すことができる熱処理方法及び熱処理炉を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するべく、請求項1に記載の発明は、鉄系材料が用いられた被処理物の熱処理方法であって、
加熱処理による残熱を有する前記被処理物を、第1冷却温度に冷却する第1工程と、
前記第1工程後の前記被処理物を、第1保持温度とした雰囲気中に保持する第2工程と、
前記第2工程後の前記被処理物を、前記第1保持温度よりも低温度の第2冷却温度に冷却する第3工程と、
前記第3工程後の前記被処理物を、第2保持温度とした雰囲気中に保持する第4工程と、を備えることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記加熱処理による残熱を有する前記被処理物の温度が1000℃以上1500℃以下であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記加熱処理は、熱間鍛造であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1工程において、前記第1冷却温度が前記第1保持温度よりも10℃~70℃高い温度であることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第2工程は、前記鉄系材料の結晶粒の整粒化を促す工程であることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記第2工程において、前記第1保持温度が850℃以上950℃以下であることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第3工程において、前記第2冷却温度が前記第2保持温度よりも5℃~60℃高い温度であることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第4工程は、前記鉄系材料の等温変態を促す工程であることを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記第4工程において、前記第2保持温度が600℃以上800℃以下であることを要旨とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の熱処理方法に用いられる熱処理炉であって、
鉄系材料が用いられ、加熱処理による残熱を有する被処理物を収容する炉本体を備え、
前記炉本体の内部に、
残熱を有する状態の温度から第1冷却温度となるまで前記被処理物を冷却する第1冷却室と、
第1保持温度とした雰囲気中に前記被処理物を保持する第1均熱室と、
前記第1保持温度から第2冷却温度となるまで前記被処理物を冷却する第2冷却室と、
第2保持温度とした雰囲気中に前記被処理物を保持する第2均熱室と、を備えることを要旨とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記被処理物を加熱処理する加熱処理装置と、
前記加熱処理装置から前記炉本体へ前記被処理物を搬送する搬送装置と、をさらに備えることを要旨とする。
請求項12に記載の発明は、請求項10又は11に記載の発明において、前記第1保持温度は、850℃以上950℃以下であることを要旨とする。
請求項13に記載の発明は、請求項10又は11に記載の発明において、前記第1冷却温度は、前記第1保持温度よりも10℃~70℃高温度であることを要旨とする。
請求項14に記載の発明は、請求項10又は11に記載の発明において、前記第2保持温度は、600℃以上800℃以下であることを要旨とする。
請求項15に記載の発明は、請求項10又は11に記載の発明において、前記第2冷却温度は、前記第2保持温度よりも5℃~60℃高温度であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加熱処理による被処理物の残熱を利用し、金属組織の変態を伴う熱処理を施すことができる熱処理方法及び熱処理炉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施形態の熱処理炉の一例を示す説明図。
実施例の熱処理方法を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
[1]熱処理方法
本発明の熱処理方法は、鉄系材料が用いられた被処理物の熱処理方法であって、
加熱処理による残熱を有する前記被処理物を、第1冷却温度に冷却する第1工程と、
前記第1工程後の前記被処理物を、前記第1冷却温度と同じ温度又は前記第1冷却温度よりも低温度である前記第1保持温度とした雰囲気中に保持する第2工程と、
前記第2工程後の前記被処理物を、前記第1保持温度よりも低温度の第2冷却温度に冷却する第3工程と、
前記第3工程後の前記被処理物を、前記第2冷却温度と同じ温度又は前記第2冷却温度よりも低温度である第2保持温度とした雰囲気中に保持する第4工程と、を備えることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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