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公開番号2024042776
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-29
出願番号2022147579
出願日2022-09-16
発明の名称製鋼用取鍋精錬炉
出願人個人
代理人個人
主分類C21C 7/00 20060101AFI20240322BHJP(鉄冶金)
要約【課題】 気密性を強化したLF法による取鍋精錬装置を提供する。
【解決手段】 取鍋上面と炉蓋下面との気密性向上のため前者にI型フランジ、後者にL型フランジを設けて密接させる。電極孔の気密性強化に対して、電極ホルダー下面と炉蓋上面間に電極棒を包囲して耐火ジャバラを設ける。耐火ジャバラ上面はガスケットにより気密化、下面は平面接触により気密性を持たせる。炉蓋内の通気が確実に防止され、精錬ガスの漏出のみとなって、高度の非酸化・還元性雰囲気が得られる。脱酸・脱硫・脱非金属介在物が高度になり、H,Nの吸収を防止する。黒鉛製電極棒の酸化消耗が抑制される。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
底部にポーラスプラグを具備する取鍋の上縁に鉄皮を持つ炉蓋を載置して取鍋を被覆し、該炉蓋を貫通する電極棒を該炉蓋の上方で電極棒支持設備により支持し、該電極棒支持設備を覆う集塵フードを上方に離間して配設してなるアーク加熱により溶鋼を還元精錬するための取鍋精錬装置において、断面I型のフランジを取鍋上部外周に設け、該フランジと密接する断面L型のフランジを水冷炉蓋下部外周に設けて水冷炉蓋と取鍋との隙間を密閉し、電極棒を把持する電極ホルダー下方に該電極棒を取り囲む耐熱ジャバラを設け、該耐熱ジャバラの上部フランジを該電極ホルダー下面に気密に接続し、該耐火ジャバラの下部フランジを炉蓋上面に密接するよう設けて電極棒貫通孔を実質的に密閉することを特徴とする取鍋精錬装置。
続きを表示(約 250 文字)【請求項2】
下記4条件、
1) 炉蓋に気密性を持つ開閉可能な作業孔を設けること、
2) 炉蓋下方に離間して出入可能な冷却水槽を設け、精錬終了・取鍋退避に対応して、該冷却水槽を搬入し、赤熱状態の黒鉛製電極棒を該冷却水槽に浸漬して冷却すること、
3) 冷却水に耐火モルタルを懸濁させること、
4) I型、L型の両フランジ間にパッキンを介在させて気密性を強化すること、
のうちどれか一つ以上を組み込んだことを特徴とする請求項1に記載した取鍋精錬装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電炉製鋼において精錬後半を担う取鍋精錬炉の機能改良とコスト主要因の一つである電極棒の耐久に関している。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
電炉製鋼法における現在の主流プロセスは、屑鉄を主原料とし、アーク炉によって該原料を溶解・酸化精錬し、次いで直ちに取鍋に出鋼し、通称LF(Ladle Furnace)によって取鍋内溶鋼をアーク加熱しつつ還元・仕上げ精錬を行う2段処理を経て連続鋳造に供される。今日前段の処理時間は連続鋳造の1ヒートと同等である1時間弱、後段は30分弱である。LFは温度調整・成分調整・時間調整に便利であって、後続の連続鋳造との整合性が良い。
一連の処理を熔解炉内において処理する旧来の方法と比較すると、溶解炉の生産能率は大きく向上し、熔解工程自体のコストは削減されるが、取鍋における再加熱設備・処理が必要となり、取鍋に精錬負担が上乗せされることから、コスト増加がかなり大きく、合計コストは両者にほとんど差が無いのが実態である。
【0003】
非特許文献1には取鍋精錬の1種であるLF法の開発経緯が開発当事者によって詳細に説明されている。開発目的は電炉の生産性向上と仕上精錬水準の向上である。
プロセスの要件は、1)レードル内溶鋼のアークによる再加熱、2)大気侵入を遮断した還元性雰囲気下のスラグ精錬(脱酸・脱硫の高度化)、3)ガスバブリングによる脱ガス(脱H)であって、設備は精錬空間の気密性を不可欠とし、当初は真空機能も保有していた。
【0004】
幾多の試験精錬により判明したことは、
1) 特殊な気密構造により気密が確実であったから、真空にしなくても長時間のガスバブリングにより真空処理と同等の脱ガス(H)効果が得られた。以後、真空処理は除外された。
2) 同理由により外気起因の有害なNの吸収が無かった。
3) 雰囲気が充分な還元性になり脱酸・脱硫が高水準に達し、清浄鋼が得られた。
4) コスト面では、電力・電極棒の消費は想定内であったが、レードル耐火物の損傷がひどく、難問が続いた。
【0005】
その後耐火物問題もほぼ解決され実用可能となる。電炉ミルにおいては、温度調整・成分調整・時間調整に便利であって、後続の連続鋳造と相性が良く、品質をあまり問題としない量産普通鋼を対象に急速に普及した。
他方品質面では装置全体の気密性保持(外気の侵入防止)が困難であって本来の効果が得られず、普通鋼では品質向上を諦め、LF機能を加熱・保持のみに限定することとなる。 他方高級鋼や特殊鋼では真空処理等の付加による3段処理へ向かっている。
【0006】
気密不備はアーク起因のガス膨張によって大量の外気を吸引し、排出するので望ましい雰囲気制御が不能になるだけでなく、吸引冷却による電力増、空気酸化による電極棒損を誘発し、さらに一部のLFではアーク加熱固有の粉塵生成による大気汚染への対策(排ガスの直接吸引)を要することになり、吸引がさらに外気吸引を増幅すると言う悪循環となる。
【0007】
消費原単位は、電力25~50kWh/t,電極棒0.25~0.5kg/tである。 ここで注意すべきは後者電極棒の電力量に対する消費比率は溶解炉におけるそれの2倍であって、消耗の増加原因が問題となる。
電極棒の形状の観察『全体的な先細り』から側面消耗が主となっていることが解る。
理由は、電極棒は約30分の稼働中は約1600℃の雰囲気に曝され、その後約30分は空冷放置される。稼働中の空気酸化と空冷中の空気酸化が重なるからである。
取鍋精錬のコスト低減が本願発明の課題の一つであり、具体的には電極棒の消耗を抑制することである。
【0008】
特許文献1には、LF法の本来の精錬効果を確保するため気密性を改良する策が開示されている。それによると、従来のレードル頂部に鉄皮と耐火物内張とから成る炉蓋を単純に載置する方法では両者間の隙間発生が避けられず、気密困難との問題を、上下の傾斜フランジ接合方式とすることによって当該問題を解決している。
具体的には、レードル上部の外周に形状が円錐台側面である1種のフランジを設け、炉蓋外周にも同形状のフランジを設ける。嵌り込むように接合して気密化がなされる。気密の重要性が強調されている。
【0009】
本方法の問題の一つは、円錐台面は平面と同様わづかな熱変形でも気密性が低下し易いこと、他は、レードルと炉蓋間の密閉ができても3本の電極棒と電極孔との間隙が放置されていて、該環状孔を通して多量の熱排ガスの噴出と外気吸引とが併行し、期待したような雰囲気制御にならないことである。
さらに、作業孔を一つでも設けると一層吸引・噴出が激しくなる。本来の品質を確保するため、電極孔の間隙をどのようにして気密化するかと言うことは本願発明のもう一つの解決すべき課題である。
【0010】
特許文献2には、LFにおけるN吸収を防止する方法が開示されている。大気汚染対策と外気吸引によるN含有量増加の抑制を両立させるため、1)電極孔上部に3本の電極棒を取り囲んで吸引ダクトを設け、電極孔から噴出する粉塵を適切に吸引処理する。2)吸引過剰は外気を吸引してNの増加となるので、その対策として発煙の一部をレードル上部と炉蓋下面との間隙から噴出させ、粉塵量を粉塵センサーで測定して吸引力を必要最小に調節する。
(【0011】以降は省略されています)

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