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公開番号2024042815
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-29
出願番号2022147686
出願日2022-09-16
発明の名称析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法
出願人株式会社プロテリアル
代理人
主分類C21D 6/00 20060101AFI20240322BHJP(鉄冶金)
要約【課題】 析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法において、製品として使用する際の時効処理後の強度を損ねることなく、優れた冷間加工性を得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】 析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の合金組成を有する鋼材に720~800℃で、0.5~4時間の加熱保持の後、冷却を行う第1時効処理工程と、前記第1時効処理工程後の鋼材に、630~680℃で、2~6時間の加熱保持の後、加熱保持温度から300℃までにおける平均冷却速度が700℃/h以下となる徐冷により、室温まで冷却する第2時効処理工程と、を含む、析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
【選択図】 図1


特許請求の範囲【請求項1】
析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の合金組成を有する鋼材に720~800℃で、0.5~4時間の加熱保持の後、冷却を行う第1時効処理工程と、
前記第1時効処理工程後の鋼材に、630~680℃で、2~6時間の加熱保持の後、加熱保持温度から300℃までにおける平均冷却速度が700℃/h以下となる徐冷により、室温まで冷却する第2時効処理工程と、
を含む、析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
続きを表示(約 110 文字)【請求項2】
前記第2時効処理工程後の析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼に含まれるオーステナイト量が、体積%で40.0%以上である、請求項1に記載の析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
SUS630(17-4PH)などの析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼は、優れた耐食性に加え、固溶化処理後の時効処理により析出硬化相が形成して高い強度を得られることから、シャフト、タービン、バルブ等に利用されている。
析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼は冷鍛、伸線、圧延等の冷間加工によって所望の形状に加工された後、溶体化処理と時効処理により、製品に求められる機械特性に調整される。そして、これに対し、溶体化処理や時効処理を行った後に、機械加工といった冷間加工を実施することが提案されている。この場合、冷間加工の際には優れた加工性を得るため硬さをできるだけ下げる必要がある一方で、製品として使用する際には高い強度が得られる必要がある。
【0003】
一般に17-4PHにおいて冷間加工に好適な熱処理条件として知られているものは、固溶化処理の他に、17-4PH相当鋼種のASTM A564 Type630に規定されているH1150Mと記された時効処理条件がある(非特許文献1)。H1150MはASTM A564 Type630に規定されている熱処理条件の中でも最も硬さが低く、760℃で2時間の保持を行った後に室温まで空冷する1段目の時効処理と、620℃で4時間の保持を行った後に室温まで空冷する2段目の時効処理から成り、析出硬化相であるε―Cu粒子の粗大化とオーステナイトの生成の効果により、固溶化処理後の状態よりも一層低い硬さを実現している。
【0004】
また特許文献1には、時効処理前において優れた冷鍛性を得ることのできる析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法を提供することを目的に、重量比にしてC:0.050%以下、Si:0.60%以下、Mn:0.80%以下、S:0.010%以下、Cu:2.5~4.0%、Ni:3.5~6.0%、Cr:14.00~16.00%、Nb:0.15~0.55%、N:0.030%以下を含有し、かつC+N:0.070%以下及びNb/(C+N)≧5.00を満足し、残部がFe及び不純物元素からなる鋼か、または耐食性改善のためのMo:0.3~2.0%と、熱間加工性改善のためのB:0.0005~0.0100%、Ca:0.0005~0.0100%、Mg:0.0005~0.0100%、REM:0.0005~0.0100%のうちの少なくとも1種の元素を前記鋼にさらに含有させた鋼を熱間圧延後室温まで冷却した後、980~1080℃まで加熱して15分~6時間温度を保持し、その後500℃/Hr以下の速度で800~880℃まで冷却し、前記温度にて1~16時間温度を保持した後、室温まで冷却することを特徴とする冷鍛性に優れた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平9-256041号公報
【非特許文献】
【0006】
ASTM A564/A564M Standard Specification for Hot-Rolled and Cold-Finished Age-Hardening Stainless Steel Bars and Shapes
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
H1150Mの熱処理を実施した17-4PHは一定の低い硬さが得られるものの、その硬さは約290~300Hvと冷間加工を容易に行うには不十分であり、更なる硬さの低下が望まれていた。また、特許文献1に記載されている析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法は、固溶強化によって硬さを上昇させる元素であるC及びNを極力低減し、さらにC+N量に応じてNbを適量添加して微量のC、Nを炭窒化物として析出させることで、硬さ低減を図ったものである。その硬さ低減効果は大きいものの、C、Nの低減は製品として使用する際の時効処理後の強度まで低下させ、さらに炭窒化物は減少し結晶粒が粗大化するため靭性の低下を招くおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法において、製品として使用する際の時効処理後の強度を損ねることなく、優れた冷間加工性を得ることができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述した課題を鑑みて17-4PHの熱処理条件を検討した。その結果、17-4PHにおいてオーステナイトの生成量が硬さに大きく寄与することを見出した。さらに、H1150Mにおける2段目の時効処理温度を上げ、加熱保持後の冷却速度を遅くすることにより、従来のH1150Mの熱処理条件よりもオーステナイトの生成量が増えて低い硬さが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち本発明は、
析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の合金組成を有する鋼材に720~800℃で、0.5~4時間の加熱保持の後、冷却を行う第1時効処理工程と、
前記の第1時効処理工程後の鋼材に、630~680℃で、2~6時間の加熱保持の後、加熱保持温度から300℃までにおける平均冷却速度が700℃/h以下となる徐冷により、室温まで冷却する第2時効処理工程と、
を含む析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法である。
好ましくは、上記の第2時効処理工程後の析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼に含まれるオーステナイト量が、体積%で40.0%以上である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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