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公開番号2024013655
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-01
出願番号2022115909
出願日2022-07-20
発明の名称クロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法
出願人株式会社プロテリアル
代理人
主分類C21D 9/00 20060101AFI20240125BHJP(鉄冶金)
要約【課題】クロムモリブデンバナジウム鋼の規格鋼種について、その棒鋼の断面径が大きいときの機械的特性を向上する。
【解決手段】質量%で、C:0.35~0.50%、Si:0.40%以下、Mn:0.40~0.85%、P:0.040%以下、S:0.040%以下、Cr:0.80~1.20%、Mo:0.45~0.65%、V:0.25~0.35%、残部Feおよび不純物でなる成分組成を有し、断面の大きさが円相当径で170~330mmの棒鋼に、880~1050℃の焼入れ温度で、この焼入れ温度から550℃までの冷却速度を棒鋼の断面の中心温度で0.4~1.1℃/秒とする焼入れを行うクロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法である。そして、上記の焼入れを行った後、455~730℃の焼戻し温度で焼戻しを行うクロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法である。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、C:0.35~0.50%、Si:0.40%以下、Mn:0.40~0.85%、P:0.040%以下、S:0.040%以下、Cr:0.80~1.20%、Mo:0.45~0.65%、V:0.25~0.35%、残部Feおよび不純物でなる成分組成を有し、断面の大きさが円相当径で170~330mmの棒鋼に、880~1050℃の焼入れ温度で焼入れを行うクロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法において、
前記焼入れは、前記焼入れ温度から550℃までの冷却速度を、前記棒鋼の断面の中心温度で0.4~1.1℃/秒とすることを特徴とするクロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法。
続きを表示(約 84 文字)【請求項2】
前記焼入れを行った後、455~730℃の焼戻し温度で焼戻しを行うことを特徴とする請求項1に記載のクロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、クロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
従来、クロムモリブデンバナジウム鋼には、その焼入れ焼戻し後の耐力、引張強さ、伸び、絞り、靭性といった機械的特性が要求され、多くの規格鋼種が提案されている。
【0003】
例えば、JIS-G-4107(高温用合金鋼ボルト材)の「SNB16」は、質量%で、C:0.36~0.44%、Si:0.20~0.35%、Mn:0.45~0.70%、P:0.040%以下、S:0.040%以下、Cr:0.80~1.15%、Mo:0.50~0.65%、V:0.25~0.35%、残部Feおよび不純物でなる成分組成を有する。そして、焼入れ後には650℃以上の焼戻し温度で焼戻しが行われ、断面の直径が180mm以下の棒鋼として提供される。
また、SNB16に対応するASTM-A193の「Grade B16」は、質量%で、C:0.36~0.47%、Si:0.15~0.35%、Mn:0.45~0.70%、P:0.035%以下、S:0.040%以下、Cr:0.80~1.15%、Mo:0.50~0.65%、V:0.25~0.35%、残部Feおよび不純物(Al:0.015%以下を含む)でなる成分組成を有する。そして同様に、焼入れ後に650℃以上の焼戻し温度で焼戻しが行われ、例えば、断面の直径が100mmを超え180mm以下の棒鋼として提供される。
そして、SNB16に対応するDIN17240の「40CrMoV4-7」であるならば、質量%で、C:0.36~0.44%、Si:0.40%以下、Mn:0.45~0.85%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:0.90~1.20%、Mo:0.50~0.65%、V:0.25~0.35%、残部Feおよび不純物でなる成分組成を有する。そして、880~930℃の焼入れ温度で焼入れ(油冷または水冷)を行った後、670~730℃の焼戻し温度で焼戻しが行われて提供される。
【0004】
その他、JIS-G-4108(特殊用途合金鋼ボルト用棒鋼)には「SNB21」が規格化され、これは、質量%で、C:0.36~0.44%、Si:0.20~0.35%、Mn:0.45~0.70%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Cr:0.80~1.15%、Mo:0.50~0.65%、V:0.25~0.35%、残部Feおよび不純物でなる成分組成を有する。また、これに対応するASTM-A540の「Grade B21」は、質量%で、C:0.35~0.44%、Si:0.15~0.35%、Mn:0.45~0.70%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Cr:0.80~1.15%、Mo:0.50~0.65%、V:0.25~0.35%、残部Feおよび不純物(Al:0.015%以下を含む)の成分組成を有する。
これらの規格鋼種は、焼入れ後に455℃以上の焼戻し温度で焼戻しが行われて、例えば、5種(Class5)の場合、断面の直径が150mmを超え200mm以下の棒鋼として提供される。
【0005】
さらに、AMSでは「6304」が規格化されていて、これは、質量%で、C:0.40~0.50%、Si:0.15~0.35%、Mn:0.40~0.70%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Cr:0.80~1.10%、Mo:0.45~0.65%、V:0.25~0.35%、残部Feおよび不純物(Ni:0.25%以下、Cu:0.35%以下を含む)でなる成分組成を有する。6304は、例えば、断面積が36in

(約232cm

。円相当径で約170mm)以上133in

(約858cm

。円相当径で約330mm)以下の棒鋼としても提供される。そして、焼入れ性の評価条件として、954±14℃の焼入れ温度で焼入れ(空冷)を行った後、593±8℃の焼戻し温度で焼戻しを行うことが規定されている。
【0006】
上記の規格鋼種の成分組成は概ね同一であるところ、近年、これら規格鋼種の焼入れ焼戻し後の各種機械的特性を向上させるために、上記の規格鋼種の改良に加え、上記の規格鋼種自体にも様々な焼入れ焼戻しが行われている。そして、そのときの焼入れ焼戻し条件は上記の規格に拘らず、例えば、焼入れ温度を1050℃にして油冷したり、940℃にしたりしている。そして、焼戻し温度であれば、525~700℃の広い範囲の中で選択されている(特許文献1~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2021-179222号公報
特開2021-092289号公報
特開2003-328032号公報
特開2000-119818号公報
特開平06-158170号公報
特開昭61-130456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
クロムモリブデンバナジウム鋼の機械的特性は、理想的には、その焼入れ焼戻し組織を完全マルテンサイト化させることで、その向上が見込まれる。そして、このことは、上記した既存の規格鋼種であっても同じである。しかし、焼入れされるクロムモリブデンバナジウム鋼が大きくなると、その焼入れ焼戻し後の機械的特性が低下する場合があった。
本発明の目的は、上記の規格鋼種を対象にして、それの断面径が大きい棒鋼の機械的特性を向上できるクロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.35~0.50%、Si:0.40%以下、Mn:0.40~0.85%、P:0.040%以下、S:0.040%以下、Cr:0.80~1.20%、Mo:0.45~0.65%、V:0.25~0.35%、残部Feおよび不純物でなる成分組成を有し、断面の大きさが円相当径で170~330mmの棒鋼に、880~1050℃の焼入れ温度で焼入れを行うクロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法において、上記の焼入れは、焼入れ温度から550℃までの冷却速度を、棒鋼の断面の中心温度で0.4~1.1℃/秒とするクロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法である。
そして、上記の焼入れを行った後、455~730℃の焼戻し温度で焼戻しを行うクロムモリブデンバナジウム鋼の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クロムモリブデンバナジウム鋼の規格鋼種について、その断面径が大きい棒鋼の、機械的特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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