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公開番号
2025179836
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-12-10
出願番号
2025088971
出願日
2025-05-28
発明の名称
親水性基を含有するフルオロアルカンを脱フッ素化する酵素および微生物ならびにそれらの使用
出願人
ダイキン工業株式会社
,
国立大学法人 東京大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12P
1/00 20060101AFI20251203BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】親水性基を含有するフルオロアルカン化合物を脱フッ素化すること。
【解決手段】親水性基を含有するフルオロアルカン化合物の親水性基に対してα-位のみならずβ-位のフッ素を脱フッ素化することができる酵素が提供される。また、かかる酵素を産生する微生物も提供される。したがって、本発明による酵素および微生物を用いて、効率的かつ簡便に、親水性基を含有する幅広い構造のフルオロアルカン化合物を脱フッ素化することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
親水性基、例えば、スルホン酸、カルボン酸、リン酸またはそれらの塩を含有し、そして酸素原子および/またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでもよい、フルオロアルカン化合物を脱フッ素化する方法であって、前記方法は、
下記アミノ酸配列:
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列、
(c)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~60個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されているアミノ酸配列、
(d)配列番号2に記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列、
(e)配列番号2に記載の塩基配列に対して少なくとも80%の同一性を有する塩基配列によりコードされるアミノ酸配列、または
(f)配列番号2に記載の塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
のいずれかを含む酵素を、前記フルオロアルカン化合物に作用させることを含む、脱フッ素化する方法。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記フルオロアルカン化合物のα-位のフッ素を脱フッ素化する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フルオロアルカン化合物のβ-位のフッ素を脱フッ素化する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フルオロアルカン化合物が、カルボン酸またはその塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フルオロアルカン化合物が、式I:
R1-COOH (I)
[式中、R1は炭素数1~2の酸素原子および/またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでもよいフルオロアルキル基を表す]
に示されるフルオロアルキルカルボン酸、またはその塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フルオロアルカン化合物に対する前記酵素の脱フッ素化する活性が、{(脱フッ素化処理後のフルオロアルカン水溶液中に含まれるフッ素イオン量)-(脱フッ素化処理前のフルオロアルカン水溶液中に含まれるフッ素イオン量)}/{脱フッ素化処理前のフルオロアルカン水溶液中に含まれる前記フルオロアルカン化合物に結合しているフッ素原子}>10%である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
カルボン酸またはその塩を含有し、そして酸素原子および/またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでもよい、フルオロアルカン化合物を脱フッ素化することができる酵素であって、前記酵素は、下記アミノ酸配列:
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列、
(c)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~60個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されているアミノ酸配列、
(d)配列番号2に記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列、
(e)配列番号2に記載の塩基配列に対して少なくとも80%の同一性を有する塩基配列によりコードされるアミノ酸配列、または
(f)配列番号2に記載の塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
のいずれかを含む、酵素。
【請求項8】
前記フルオロアルカン化合物のα-位のフッ素を脱フッ素化する、請求項7に記載の酵素。
【請求項9】
前記フルオロアルカン化合物のβ-位のフッ素を脱フッ素化する、請求項7に記載の酵素。
【請求項10】
前記フルオロアルカン化合物が、式I:
R1-COOH (I)
[式中、R1は炭素数1~2の酸素原子および/またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでもよいフルオロアルキル基を表す]
に示されるフルオロアルキルカルボン酸、またはその塩である、請求項7に記載の酵素。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性基を含有するフルオロアルカン化合物を脱フッ素化する酵素および微生物、ならびにそれらの使用に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)
【背景技術】
【0002】
低エネルギーで環境負荷が少なく、かつ高効率で有機フッ素化合物を分解除去できる技術の開発が必要とされている。微生物あるいはそれが有する酵素による分解は、自然の生態系の能力を生かした省エネルギー的かつ環境適合性のある技術であると考えられている。有機フッ素化合物を分解する酵素としては、Burkholderia属の微生物から単離されたハロアセテートデヒドロゲナーゼが知られている(非特許文献1等)。しかし、公知の有機フッ素化合物の分解/脱フッ素化する酵素はα-位の脱フッ素化のみであり、β-位の脱フッ素化が可能である酵素は報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
Keiji Jitsumori et.al., JOURNAL OF BACTERIOLOGY,Apr.2009,p.2630-2637 Vol.191,No.8 "X-Ray Crystallographic and Mutational Studies of Fluoroacetate Dehalogenase from Burkholderia sp. Strain FA1"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は幅広い構造の有機フッ素化合物を脱フッ素化する新たな酵素を提供することを目的とする。特に、有機フッ素化合物のβ-位のフッ素を脱フッ素化する酵素を提供することを目的とする。本発明はさらに、有機フッ素化合物を効率的かつ簡便に脱フッ素化するための、新たな方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、環境微生物から親水性基を含有するフルオロアルカン化合物を脱フッ素化する酵素および微生物を単離し、その酵素が、親水性基に対してα-位のみならずβ-位のフッ素を脱フッ素化することを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下を提供する:
[1] 親水性基、例えば、スルホン酸、カルボン酸、リン酸またはそれらの塩を含有し、そして酸素原子および/またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでもよい、フルオロアルカン化合物を脱フッ素化する方法であって、前記方法は、
下記アミノ酸配列:
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列、
(c)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~60個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されているアミノ酸配列、
(d)配列番号2に記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列、
(e)配列番号2に記載の塩基配列に対して少なくとも80%の同一性を有する塩基配列によりコードされるアミノ酸配列、または
(f)配列番号2に記載の塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
のいずれかを含む酵素を、前記フルオロアルカン化合物に作用させることを含む、脱フッ素化する方法。
[2] 前記フルオロアルカン化合物のα-位のフッ素を脱フッ素化する、[1]に記載の方法。
[3] 前記フルオロアルカン化合物のβ-位のフッ素を脱フッ素化する、[1]に記載の方法。
[4] 前記フルオロアルカン化合物が、カルボン酸またはその塩を含む、[1]に記載の方法。
[5] 前記フルオロアルカン化合物が、式I:
R1-COOH (I)
[式中、R1は炭素数1~2の酸素原子および/またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでもよいフルオロアルキル基を表す]
に示されるフルオロアルキルカルボン酸、またはその塩である、[4]に記載の方法。
[6] 前記フルオロアルカン化合物に対する前記酵素の脱フッ素化する活性が、{(脱フッ素化処理後のフルオロアルカン水溶液中に含まれるフッ素イオン量)-(脱フッ素化処理前のフルオロアルカン水溶液中に含まれるフッ素イオン量)}/{脱フッ素化処理前のフルオロアルカン水溶液中に含まれる前記フルオロアルカン化合物に結合しているフッ素原子}>10%である、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] カルボン酸またはその塩を含有し、そして酸素原子および/またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでもよい、フルオロアルカン化合物を脱フッ素化することができる酵素であって、前記酵素は、下記アミノ酸配列:
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列、
(c)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1~60個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加されているアミノ酸配列、
(d)配列番号2に記載の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列、
(e)配列番号2に記載の塩基配列に対して少なくとも80%の同一性を有する塩基配列によりコードされるアミノ酸配列、または
(f)配列番号2に記載の塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
のいずれかを含む、酵素。
[8] 前記フルオロアルカン化合物のα-位のフッ素を脱フッ素化する、[7]に記載の酵素。
[9] 前記フルオロアルカン化合物のβ-位のフッ素を脱フッ素化する、[7]に記載の酵素。
[10] 前記フルオロアルカン化合物が、式I:
R1-COOH (I)
[式中、R1は炭素数1~2の酸素原子および/またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでもよいフルオロアルキル基を表す]
に示されるフルオロアルキルカルボン酸、またはその塩である、[7]に記載の酵素。
[11] 下記ヌクレオチド:
(a)配列番号2に記載のヌクレオチド、
(b)配列番号2に記載の塩基配列に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド、または
(c)配列番号2に記載の塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド
を含む発現ベクター。
[12] [11]に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
[13] [12]に記載の宿主細胞を培養することを含む、カルボン酸またはその塩を含有し、そして酸素原子および/またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでもよい、フルオロアルカン化合物を脱フッ素化することができる酵素の製造方法。
[14] 該酵素が前記フルオロアルカン化合物のβ-位のフッ素を脱フッ素化する、[13]に記載の方法。
[15] 該酵素が前記フルオロアルカン化合物のα-位のフッ素を脱フッ素化する、[13]に記載の方法。
[16] 前記フルオロアルカン化合物が、式I:
R1-COOH (I)
[式中、R1は炭素数1~2の酸素原子および/またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでもよいフルオロアルキル基を表す]
に示されるフルオロアルキルカルボン酸、またはその塩である、[13]に記載の方法。
[17] 受領番号NITE ABP-04122または受託番号NITE BP-04122としてNITEに寄託された微生物。
[18] [17]に記載の微生物が産生する、フルオロアルキルカルボン酸を脱フッ素化することができる酵素。
[19] [17]に記載の微生物を培養することを含む、フルオロアルキルカルボン酸を脱フッ素化することができる酵素の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、親水性基を含有するフルオロアルカン化合物の親水性基に対してα-位のみならずβ-位のフッ素を脱フッ素化することができる酵素が提供される。また、本発明によれば、かかる酵素を産生する微生物も提供される。したがって、本発明による酵素および微生物を用いて、効率的かつ簡便に、親水性基を含有する幅広い構造のフルオロアルカン化合物を脱フッ素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、配列番号:1の配列を示す。
図2は、配列番号:2の配列を示す。
図3は、DYG4株の菌体によるモノフルオロ酢酸の分解実験の結果を示すグラフである。
図4は、DYG4株の菌体によるジフルオロ酢酸の分解実験の結果を示すグラフである。
図5は、DYG4株の菌体によるクロロフルオロ酢酸の分解実験の結果を示すグラフである。NCは微生物添加なしを示す。DYG4はDYG4微生物の添加ありを示す。
図6は、DYG4株の菌体によるクロロフルオロ酢酸に関してのグリオキシル酸の産生量の結果を示すグラフである。NCは微生物添加なしを示す。DYG4はDYG4微生物の添加ありを示す。
図7は、実施例1で得られたDYG4株の、国際寄託当局によってブタベスト条約に基づく規則7.1に従い発行された受託証の写しを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、1の態様において、親水性基を含有するフルオロアルカン化合物を脱フッ素化する酵素を、前記フルオロアルカン化合物に作用させることを含む、前記フルオロアルカン化合物を脱フッ素化する方法を提供する。
【0010】
本明細書において、「親水性基を含有するフルオロアルカン化合物を脱フッ素化する酵素を、前記フルオロアルカン化合物に作用させる」とは、前記酵素と前記フルオロアルカン化合物を接触させて、前記フルオロアルカン化合物が脱フッ素化されるようにすることをいう。典型的には、このことは水性媒体中で行われる。例えば、前記酵素および前記フルオロアルカン化合物を水性媒体に添加して一定時間反応させてもよい。温度、pH、所望により反応系に補足する因子、反応時間などの反応条件は、当業者が適宜選択することができる。前記酵素は、精製されていてもよく、粗酵素または部分精製されたものであってもよく、微生物の抽出液であってもよく、微生物の培養液であってもよい。また、前記酵素として、微生物細胞自体を用いてもよい。前記酵素は、遊離の状態で用いてもよく、担体に固定化して用いてもよい。
(【0011】以降は省略されています)
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