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公開番号2025152814
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024054918
出願日2024-03-28
発明の名称プラスチックレンズ及びその製造方法、並びに眼鏡
出願人ホヤ レンズ タイランド リミテッド,HOYA Lens Thailand Ltd
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類G02C 7/00 20060101AFI20251002BHJP(光学)
要約【課題】優れた退色性を有し、且つ、熱変形が少ないプラスチックレンズ及びその製造方法、並びに前記プラスチックレンズを備えた眼鏡を提供する。
【解決手段】レンズ基材と、前記レンズ基材の一方の表面に形成された硬化被覆層と、を備え、前記硬化被覆層が、プライマー層、フォトクロミック層、及び保護層を有し、前記フォトクロミック層の表面硬度が、2.0kgf/mm2以下であり、前記レンズ基材の一方の表面に硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの度数と設計度数との差が0.12未満である、プラスチックレンズ。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
レンズ基材と、前記レンズ基材の一方の表面に形成された硬化被覆層と、を備え、
前記硬化被覆層が、プライマー層、フォトクロミック層、及び保護層を有し、
前記フォトクロミック層の表面硬度が、2.0kgf/mm

以下であり、
前記レンズ基材の一方の表面に硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの度数と設計度数との差が0.12未満である、プラスチックレンズ。
続きを表示(約 870 文字)【請求項2】
前記フォトクロミック層が、フォトクロミック層形成用重合性組成物を硬化させた層であり、
前記フォトクロミック層形成用重合性組成物が、
2種以上の(メタ)アクリレートと、
フォトクロミック化合物と、
を含む、請求項1に記載のプラスチックレンズ。
【請求項3】
前記2種以上の(メタ)アクリレートが、分子量500以上の多官能(メタ)アクリレートを少なくとも含む、請求項2に記載のプラスチックレンズ。
【請求項4】
前記フォトクロミック層の表面硬度が、0.5kgf/mm

以上である、請求項1に記載のプラスチックレンズ。
【請求項5】
前記硬化被覆層の厚さが、40~100μmである、請求項1に記載のプラスチックレンズ。
【請求項6】
前記レンズ基材は、中心部分の厚さが2mm未満であり、周縁部分が前記中心部分より厚い、請求項1に記載のプラスチックレンズ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のプラスチックレンズを備えた眼鏡。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載のプラスチックレンズを製造するプラスチックレンズの製造方法であって、
レンズ基材の一方の表面上にプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、
前記プライマー層の表面上にフォトクロミック層形成用重合性組成物を塗布し、前記フォトクロミック層形成用重合性組成物を光照射により硬化させてフォトクロミック層を形成するフォトクロミック層形成工程と、
前記フォトクロミック層の表面上に保護層を形成する保護層形成工程と、を含み、
前記光照射の強度は、150~350mW/cm

であり、
前記光照射の時間は、1~90秒であり、
前記光照射の暴露量は、0.15~31.5J/cm

である、プラスチックレンズの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、プラスチックレンズ及びその製造方法、並びに眼鏡に関し、特に、優れた退色性を有し、且つ、熱変形が少ないプラスチックレンズ及びその製造方法、並びに前記プラスチックレンズを備えた眼鏡に関する。
続きを表示(約 5,100 文字)【背景技術】
【0002】
所定の波長域の光の下(例えば、屋外)で発色し、所定の波長域外の光の下(例えば、屋内)では退色する性質(フォトクロミック性)を有するプラスチックレンズを備えた眼鏡は、屋内外の移動時に伴う眼鏡の付け替えが必要なくなる点で利便性が高い眼鏡である。プラスチックレンズにフォトクロミック性を付与する方法としては、フォトクロミック性を有するフォトクロミック化合物と重合性化合物とを含む組成物(フォトクロミック層形成用重合性組成物)の層をレンズ基材表面上に塗布し、塗布したフォトクロミック層形成用重合性組成物に光を照射して硬化させ、フォトクロミック性を有する硬化被覆層(フォトクロミック層)を形成する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2003/011967号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなフォトクロミック性を有するプラスチックレンズには、屋外等で光照射を受けて発色したプラスチックレンズが、屋内等で光照射を受けなくなった後、早く退色すること(退色性)が望まれる。
また、フォトクロミック層形成用重合性組成物を硬化するためには、通常、大量の光の照射を要し、その照射光により発生した熱によりレンズ基材が大きく変形し、使用に適さなくなることがある。よって、フォトクロミック性を有するプラスチックレンズには、フォトクロミック層を形成させつつも、熱変形が少ないことが望まれる。
【0005】
本開示の一様態は、優れた退色性を有し、且つ、熱変形が少ないプラスチックレンズ及びその製造方法、並びに前記プラスチックレンズを備えた眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、以下の〔1〕~〔8〕に関する。
〔1〕レンズ基材と、前記レンズ基材の一方の表面に形成された硬化被覆層と、を備え、
前記硬化被覆層が、プライマー層、フォトクロミック層、及び保護層を有し、
前記フォトクロミック層の表面硬度が、2.0kgf/mm

以下であり、
前記レンズ基材の一方の表面に硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの度数と設計度数との差が0.12未満である、プラスチックレンズ。
〔2〕前記フォトクロミック層が、フォトクロミック層形成用重合性組成物を硬化させた層であり、
前記フォトクロミック層形成用重合性組成物が、
2種以上の(メタ)アクリレートと、
フォトクロミック化合物と、
を含む、上記〔1〕に記載のプラスチックレンズ。
〔3〕前記2種以上の(メタ)アクリレートが、分子量500以上の多官能(メタ)アクリレートを少なくとも含む、上記〔2〕に記載のプラスチックレンズ。
〔4〕前記フォトクロミック層の表面硬度が、0.5kgf/mm

以上である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
〔5〕前記硬化被覆層の厚さが、40~100μmである、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
〔6〕前記レンズ基材は、中心部分の厚さが2mm未満であり、周縁部分が前記中心部分より厚い、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
〔7〕上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のプラスチックレンズを備えた眼鏡。
〔8〕上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のプラスチックレンズを製造するプラスチックレンズの製造方法であって、
レンズ基材の一方の表面上にプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、
前記プライマー層の表面上にフォトクロミック層形成用重合性組成物を塗布し、前記フォトクロミック層形成用重合性組成物を光照射により硬化させてフォトクロミック層を形成するフォトクロミック層形成工程と、
前記フォトクロミック層の表面上に保護層を形成する保護層形成工程と、を含み、
前記光照射の強度は、150~350mW/cm

であり、
前記光照射の時間は、1~90秒であり、
前記光照射の暴露量は、0.15~31.5J/cm

である、プラスチックレンズの製造方法。
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、フォトクロミック層の表面硬度、及びレンズ基材の一方の表面に硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの度数と設計度数との差を所定範囲とすることで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一様態によれば、優れた退色性を有し、且つ、熱変形が少ないプラスチックレンズ及びその製造方法、並びに前記プラスチックレンズを備えた眼鏡を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の一例に基づいて説明する。但し、以下に示す実施態様は、本開示の技術思想を具体化するための例示であって、本開示は以下の記載に限定されない。
本開示及び本明細書における記載事項を任意に選択した態様又は任意に組み合わせた態様も本開示に含まれる。
本開示及び本明細書において、好ましいとする規定は任意に選択でき、好ましいとする規定同士の組み合わせはより好ましいと言える。
本開示及び本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本開示及び本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。また、本開示及び本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示及び本明細書において、重合性組成物とは、重合性化合物を含む組成物を意味する。また、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物を意味する。
本開示及び本明細書において、「設計度数」とは、設計段階におけるプラスチックレンズの理想的な度数のことを意味する。「レンズ基材の一方の表面に硬化被覆層が形成されたプラスチックレンズの度数と設計度数との差」とは、実際に製造したプラスチックレンズ(レンズ基材の一方の表面に硬化被覆層が形成されたプラスチック)の度数と、設計段階におけるプラスチックレンズの理想的な度数との差を意味する。なお、上記設計度数としては、硬化被覆層を形成する前のレンズ基材の度数であってもよく、硬化被覆層を形成する前のレンズ基材の度数でなくともよい。
本開示及び本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートとを包含することを意味する。「アクリレート」とは、1分子中にアクリロイル基を1つ以上有する化合物である。「メタクリレート」とは、1分子中にメタクリロイル基を1つ以上有する化合物である。(メタ)アクリレートについて、官能数は、1分子中に含まれるアクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる基の数である。また、「メタクリレート」とは、(メタ)アクリロイル基としてメタクリロイル基のみを含むものをいうものとし、(メタ)アクリロイル基としてアクリロイル基とメタクリロイル基の両方を含むものは(メタ)アクリレートと呼ぶ。アクリロイル基はアクリロイルオキシ基の形態で含まれていてもよく、メタクリロイル基はメタクリロイルオキシ基の形態で含まれていてもよい。
本開示及び本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを包含する意味で用いられ、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基とを包含することを意味する。
本開示及び本明細書において、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1~6の直鎖アルキル基又は炭素数1~6の分岐アルキル基)、水酸基、アルコキシ基(例えば炭素数1~6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシ基、アリール基、ポリエーテル基等を挙げることができる。また、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味する。
本開示及び本明細書において、「直鎖アルキル基又は分岐アルキル基」は、シクロアルキル基を包含しない。直鎖アルキル基又は分岐アルキル基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。直鎖アルキル基又は分岐アルキル基が置換基としてシクロアルキル基(例えばシクロヘキシル基等)を有することは許容されるものとする。一形態としては、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基は、置換基としてシクロアルキル基を有さないことが好ましい。
本開示及び本明細書における「粘度」とは、温度25℃の大気雰囲気中で振動式粘度計によって測定される値である。
本開示及び本明細書における「全量」とは、溶剤を含む場合については、溶剤を除く全成分の合計量をいうものとする。
本開示及び本明細書における「レンズ基材の中心部分」とは、レンズ基材の中心から半径5mm以下の部分を意味する。
本開示及び本明細書における「レンズ基材の周縁部分」とは、レンズ基材の中心から半径15mm以上の部分を意味する。
本開示及び本明細書における「レンズ基材の中周部分」とは、レンズ基材の中心から半径5mm超15mm未満の部分を意味する。
本開示及び本明細書における「プラスチックレンズ」は、フィニッシュレンズであってもよく、セミフィニッシュレンズであってもよい。なお、セミフィニッシュレンズは、研磨や研削によって実使用されるレンズへと加工されるものである。
本開示及び本明細書における「フィニッシュレンズ」とは、セミフィニッシュレンズを、研磨や研削によって実使用されるレンズへと加工されているもの、又は、実使用されるレンズとしてレンズ成形されるものを意味する。
本開示及び本明細書における「レンズ基材の厚さ」とは、高機能ABSデジマチックインジケータ(株式会社ミツトヨ社製、ID-FNXシリーズ)を用いてレンズ基材の凸面と凹面とに端子を接続し測定された値を意味する。
本開示及び本明細書における「硬化被覆層の厚さ」とは、非接触膜厚測定器(株式会社システムロード社製、FF8シリーズ)を用いてサンプルの反射率(干渉波形)を測定し、FFT(高速フーリエ変換)によって膜厚値の解析から算出された値を意味する。
本開示及び本明細書における「光照射の強度」とは、光量計(株式会社USHIO社製、UIT―250)を用いて光源の中心から受光部(中心波長365mm)まで300mm離れたレンズ台座にて電灯することによって測定された値である。
本開示及び本明細書における「光照射の暴露量」とは、光量計(株式会社USHIO社製、UIT―250)を用いて光源の中心から受光部(中心波長365mm)まで300mm離れたレンズ台座にて電灯することによって測定された照射時間積算値(光照射の強度(mW/cm

)×照射時間(秒))である。
【0010】
[プラスチックレンズ]
以下に、本開示の一態様にかかるプラスチックレンズについて、更に詳細に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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