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公開番号2025105854
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-10
出願番号2025074437,2020164895
出願日2025-04-28,2020-09-30
発明の名称金属層一体型ポリプロピレンフィルム、フィルムコンデンサ、及び金属層一体型ポリプロピレンフィルムの製造方法
出願人王子ホールディングス株式会社
代理人個人,個人
主分類B32B 15/08 20060101AFI20250703BHJP(積層体)
要約【課題】100℃以上の高温下で高い電圧を負荷してもショートしない特性をフィルムコンデンサに対して付与できる、金属層一体型ポリプロピレンフィルムを提供する。
【解決手段】
ポリプロピレンフィルムと、前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に積層された金属層とを有する金属層一体型ポリプロピレンフィルムであって、
前記金属層一体型ポリプロピレンフィルムは、MDの方向に2MPaの静荷重を加えた状態で、25℃から10℃/分の昇温速度で加熱した場合に、25℃での伸長率を0%とすると、100℃での伸長率が0%以上1.8%以下であり、120℃での伸長率が0%以上2.3%以下であり、130℃での伸長率が0%以上2.7%以下である、金属層一体型ポリプロピレンフィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリプロピレンフィルムと、前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に積層された金属層とを有する金属層一体型ポリプロピレンフィルムであって、
前記ポリプロピレンフィルムは、面配向係数ΔPが0.010~0.016であり、
前記ポリプロピレンフィルムを構成する樹脂中の総灰分が50ppm以下であり、
金属層一体型ポリプロピレンフィルムは、MDの方向に2MPaの静荷重を加えた状態で、25℃から10℃/分の昇温速度で加熱した場合に、30℃から100℃までの伸長勾配が、0.010%/℃以上0.030%/℃以下であり、
コンデンサ用である、
金属層一体型ポリプロピレンフィルム。
続きを表示(約 600 文字)【請求項2】
前記金属層一体型ポリプロピレンフィルムは、MDの方向に2MPaの静荷重を加えた状態で、25℃から10℃/分の昇温速度で加熱して取得される、温度と伸長率との関係を示すグラフにおいて、変曲点の温度が130℃以上である、請求項1に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルム。
【請求項3】
厚さが0.8μm以上3.5μm以下である、請求項1又は2に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルム。
【請求項4】
巻回された請求項1~3のいずれか1項に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルムを有するか、又は、請求項1~3のいずれか1項に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルムが複数積層された構成を有する、フィルムコンデンサ。
【請求項5】
ポリプロピレンフィルムと、前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に積層された金属層とを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルムの製造方法であって、
前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属層を積層し、金属層一体型ポリプロピレンフィルムを得る金属層積層工程と、
前記金属層積層工程で得られた金属層一体型ポリプロピレンフィルムを、100℃以上130℃以下の温度で加熱する加熱工程と、
を備える、金属層一体型ポリプロピレンフィルムの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、金属層一体型ポリプロピレンフィルム、フィルムコンデンサ、及び金属層一体型ポリプロピレンフィルムの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンフィルムは、高い耐電圧性や低い誘電損失特性等の優れた電気特性を有し、且つ、高い耐湿性を有する。そのため、広く電子機器や電気機器に用いられている。具体的には、例えば、高電圧コンデンサ;コンバーター、インバーター等の電力変換回路のフィルター用コンデンサや平滑用コンデンサ等に使用されるフィルムとして利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平11-273991号公報
国際公開第2020/045482号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、熱収縮する特性を有している。例えば特許文献1のように、金属層を積層する前のポリプロピレンフィルムの熱収縮率を小さくするためには、なるべく熱収縮しないポリプロピレンフィルムを製造し得る原料樹脂を選択する必要がある。原料樹脂の選択の幅が狭くなるといった問題がある。
【0005】
また、熱収縮率の小さいポリプロピレンフィルム(金属層を積層する前のポリプロピレンフィルム)を得るためには、その製造条件、例えば、キャストシートの製造条件(例えば、原料樹脂の溶融温度、キャスト温度等)や、キャストシートを延伸してポリプロピレンフィルムを形成する際の延伸処理条件(例えば、延伸時の温度、延伸倍率、ニップ圧等))の条件が、非常に限定的なものとなり、その他の品質(例えば、絶縁破壊強度などの電気特性)との両立(バランス)が困難になる場合があり得る。また、ポリプロピレンフィルムの熱収縮率を小さくするための原料樹脂の選択も、他の特性(例えば、耐電圧特性等)を犠牲にすることになる場合もあり得る。
【0006】
また、特許文献2には、金属層を積層する前のポリプロピレンフィルムの熱収縮率と、金属層を積層した後の金属層一体型ポリプロピレンフィルムの熱収縮率とを所定の範囲内に設定することによって、メタリコン電極の剥離を抑制する技術が開示されている。
【0007】
これに対して、本発明者が検討したところ、ポリプロピレンフィルムは、そのコンデンサを作製する過程で、金属層を形成する工程、および、その後の巻回工程、エージング工程、メタリコン溶射工程等において、ポリプロピレンフィルムに熱履歴が少なからず加わるため、たとえポリプロピレンフィルムの熱収縮率を小さくしたとしても、それで得られた金属層一体型ポリプロピレンフィルムを利用してフィルムコンデンサを形成し、さらにフィルムコンデンサが高温雰囲気下に晒された時に、素子形状が変化し、巻回層間のギャップが変わったり、素子の扁平カーブ部の歪・シワ入りすることによって、耐電圧性及び絶縁性が低下しやすくなり、高電圧を負荷した際に、ショートが発生しやすくなるという問題が生じることを知得した。本発明者は、金属層一体型ポリプロピレンフィルムの高温下での伸長率に着目し、蒸着工程の後の金属化フィルムに、後工程(エージング工程)以上の熱(熱履歴)を、予め与えることによって、安定した熱-機械特性を有するフィルムを得ることを試みた。
【0008】
このような状況下、本発明は、100℃以上の高温下で高い電圧を負荷してもショートしない特性をフィルムコンデンサに対して付与できる、金属層一体型ポリプロピレンフィルムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、ポリプロピレンフィルムと、ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に積層された金属層とを有する金属層一体型ポリプロピレンフィルムにおいて、MDの方向に2MPaの静荷重を加えた状態で、25℃から10℃/分の昇温速度で加熱した場合に、100℃、120℃、及び130℃における各伸長率が、それぞれ0%以上の特定の範囲に設定されることにより、高温雰囲気下における高い耐電圧性及び高い絶縁性を有するフィルムコンデンサが得られることを見出した。すなわち、本発明では、特許文献2に記載された熱収縮ではなく、伸長率を0%以上の所定範囲に設定する(すなわち、熱収縮しない)ことにより、前記の課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明には、以下のものが含まれる。
項1. ポリプロピレンフィルムと、前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に積層された金属層とを有する金属層一体型ポリプロピレンフィルムであって、
前記金属層一体型ポリプロピレンフィルムは、MDの方向に2MPaの静荷重を加えた状態で、25℃から10℃/分の昇温速度で加熱した場合に、25℃での伸長率を0%とすると、100℃での伸長率が0%以上1.8%以下であり、120℃での伸長率が0%以上2.3%以下であり、130℃での伸長率が0%以上2.7%以下である、金属層一体型ポリプロピレンフィルム。
項2. 前記金属層一体型ポリプロピレンフィルムは、MDの方向に2MPaの静荷重を加えた状態で、25℃から10℃/分の昇温速度で加熱した場合に、30℃から100℃までの伸長勾配が、0.010%/℃以上0.030%/℃以下である、項1に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルム。
項3. 前記金属層一体型ポリプロピレンフィルムは、MDの方向に2MPaの静荷重を加えた状態で、25℃から10℃/分の昇温速度で加熱して取得される、温度と伸長率との関係を示すグラフにおいて、変曲点の温度が130℃以上である、項1又は2に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルム。
項4. 厚さが0.8μm以上3.5μm以下である、項1~3のいずれか1項に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルム。
項5. コンデンサ用である、項1~4のいずれか1項に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルム。
項6. 巻回された項1~5のいずれか1項に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルムを有するか、又は、項1~5のいずれか1項に記載の金属層一体型ポリプロピレンフィルムが複数積層された構成を有する、フィルムコンデンサ。
項7. ポリプロピレンフィルムと、前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に積層された金属層とを有する金属層一体型ポリプロピレンフィルムの製造方法であって、
前記ポリプロピレンフィルムの片面又は両面に金属層を積層し、金属層一体型ポリプロピレンフィルムを得る金属層積層工程と、
前記金属層積層工程で得られた金属層一体型ポリプロピレンフィルムを、100℃以上130℃以下の温度で加熱する加熱工程と、
を備える、金属層一体型ポリプロピレンフィルムの製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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