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公開番号2025093299
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-23
出願番号2024201249
出願日2024-11-19
発明の名称層及び構造体
出願人ダイキン工業株式会社,国立大学法人 東京大学
代理人個人,個人,個人
主分類B32B 7/02 20190101AFI20250616BHJP(積層体)
要約【課題】本開示は、基板上における氷の成長を抑制することを目的とする。
【解決手段】本開示の層は、厚さが1ミリメートル以下であり、且つ、配列した氷核で構成される薄氷をその表面に形成させる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
厚さが1ミリメートル以下であり、且つ、配列した氷核で構成される薄氷をその表面に形成させる、層。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
気圧1,013hPa及び湿度80±5%RH、温度2±1℃の環境条件下で1分間保持した後、同環境条件下で-8±1℃に冷却した場合において、平均フェレ径が100μm以下である氷核をその表面に形成させる、請求項1に記載の層。
【請求項3】
気圧1,013hPa及び温度20℃から25℃の環境条件下、-25±5℃に冷却した場合において、平均フェレ径が100μm以下である氷核をその表面に形成させる、請求項1に記載の層。
【請求項4】
気圧1,013hPa及び温度20℃から25℃の環境条件下、-25±5℃に冷却して氷核を形成させた後、さらに-8±2℃で1時間保持した場合において、前記氷核の平均フェレ径を100μm以下に維持し得る、請求項1に記載の層。
【請求項5】
気圧1,013hPa及び湿度80±5%RH、温度2±1℃の環境条件下で1分間保持した後、同環境条件下で-8±1℃に冷却した場合において、平均膜厚が1mm以下である薄氷をその表面に形成させる、請求項1に記載の層。
【請求項6】
気圧1,013hPa及び湿度80±5%RH、温度2±1℃の環境条件下で1分間保持した後、同環境条件下で-8±1℃への冷却と22±3℃への加温の連続的な繰り返しを継続した場合において、その表面の95%以上に、配列した氷核で構成される薄氷を形成させる、請求項1に記載の層。
【請求項7】
配列した氷核で構成される薄氷を表面に形成させて、該薄氷を溶解させた後、再度、配列した氷核で構成される薄氷を表面に形成させる、請求項1に記載の層。
【請求項8】
配列した氷核で構成される薄氷を表面に形成させた後、該表面の一部又は全面を120時間水に浸漬して、再度、配列した氷核で構成される薄氷を表面に形成させた場合において、該水への浸漬後に形成させた薄氷の形状が、前記水への浸漬前に形成させた薄氷の形状と同じである、請求項1に記載の層。
【請求項9】
表面において、室温における水の着弾後1秒の時点で測定した静的接触角が、30°以上100°以下である、請求項1に記載の層。
【請求項10】
表面において、縦30μm及び横30μmの領域において測定した表面粗さの指標Ra値が、0.001μm以上1.500μm以下である、請求項1に記載の層。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、層及び構造体に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
ある種の重合体は、水中における氷結晶の成長や、基材における着氷霜を抑制し得ることが知られている。これらの重合体は、いわゆる氷結晶成長抑制剤や、着氷霜抑制剤として、蓄熱システム、熱交換器、航空機、電線、ビニールハウス、発電ターヴィン等に用いられ得る。特許文献1には、炭素鎖を主鎖とし、窒素原子を含有する官能基を側鎖に有する重合体を含む氷結晶成長抑制剤が記載されている。また、特許文献2には、両性ポリリジン誘導体を含む着氷霜抑制被膜が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2006-299108号公報
特開2022-187419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られる化合物では、基板上における氷の成長を充分に抑制することができない場合があった。本開示は、基板上における氷の成長を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の態様を含む。
[1]
厚さが1ミリメートル以下であり、且つ、配列した氷核で構成される薄氷をその表面に形成させる、層。
[2]
気圧1,013hPa及び湿度80±5%RH、温度2±1℃の環境条件下で1分間保持した後、同環境条件下で-8±1℃に冷却した場合において、平均フェレ径が100μm以下である氷核をその表面に形成させる、[1]に記載の層。
[3]
気圧1,013hPa及び温度20℃から25℃の環境条件下、-25±5℃に冷却した場合において、平均フェレ径が100μm以下である氷核をその表面に形成させる、[1]又は[2]に記載の層。
[4]
気圧1,013hPa及び温度20℃から25℃の環境条件下、-25±5℃に冷却して氷核を形成させた後、さらに-8±2℃で1時間保持した場合において、前記氷核の平均フェレ径を100μm以下に維持し得る、[1]~[3]のいずれか1つに記載の層。
[5]
気圧1,013hPa及び湿度80±5%RH、温度2±1℃の環境条件下で1分間保持した後、同環境条件下で-8±1℃に冷却した場合において、平均膜厚が1mm以下である薄氷をその表面に形成させる、[1]~[4]のいずれか1つに記載の層。
[6]
気圧1,013hPa及び湿度80±5%RH、温度2±1℃の環境条件下で1分間保持した後、同環境条件下で-8±1℃への冷却と22±3℃への加温の連続的な繰り返しを継続した場合において、その表面の95%以上に、配列した氷核で構成される薄氷を形成させる、[1]~[5]のいずれか1つに記載の層。
[7]
配列した氷核で構成される薄氷を表面に形成させて、該薄氷を溶解させた後、再度、配列した氷核で構成される薄氷を表面に形成させる、[1]~[6]のいずれか1つに記載の層。
[8]
配列した氷核で構成される薄氷を表面に形成させた後、該表面の一部又は全面を120時間水に浸漬して、再度、配列した氷核で構成される薄氷を表面に形成させた場合において、該水への浸漬後に形成させた薄氷の形状が、前記水への浸漬前に形成させた薄氷の形状と同じである、[1]~[7]のいずれか1つに記載の層。
[9]
表面において、室温における水の着弾後1秒の時点で測定した静的接触角が、30°以上100°以下である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の層。
[10]
表面において、縦30μm及び横30μmの領域において測定した表面粗さの指標Ra値が、0.001μm以上1.500μm以下である、[1]~[9]のいずれか1つに記載の層。
[11]
窒素原子を含む官能基を有する重合体を含む、[1]~[10]のいずれか1つに記載の層。
[12]
窒素原子当量が70g/eq以下の繰り返し単位を有する重合体を含む、[1]~[11]のいずれか1つに記載の層。
[13]
表面に存在する窒素原子の量を炭素原子の量で除した比率が0.01以上0.33以下である、[1]~[12]のいずれか1つに記載の層。
[14]
前記窒素原子を含む官能基が、1級及び/又は2級アミノ基、若しくは、含窒素複素環基である、[1]~[13]のいずれか1つに記載の層。
[15]
前記窒素原子を含む官能基を有する重合体は、主鎖及び/又は側鎖に1級及び/又は2級アミノ基、若しくは、含窒素複素環基を含む、[1]~[14]のいずれか1つに記載の層。
[16]
前記窒素原子を含む官能基を有する重合体は、(メタ)アクリル(共)重合体、又は、(メタ)アクリルアミド(共)重合体である、[1]~[15]のいずれか1つに記載の層。
[17]
前記窒素原子を含む官能基を有する重合体の酸価は、100mgKOH/g以下である、[1]~[16]のいずれか1つに記載の層。
[18]
塗膜である、[1]~[17]のいずれか1つに記載の層。
[19]
水分子から構成される膜であって、
厚さが20Å以下であり、
気圧1,013hPa及び温度-8±1℃の条件下において、Ih相を呈しない、膜。
[20]
支持体と、[1]~[18]のいずれか1つに記載の層又は[19]に記載の膜とを備え、
前記層又は膜は、前記支持体の表面の一部又は全部を覆う、構造体。
[21]
前記層は、前記構造体の最表面に配置される、[20]に記載の構造体。
[22]
前記支持体と、前記層との間に配置される密着層をさらに備え、
前記層の平均膜厚が0.001μm以上20μm以下であり、
前記密着層の平均膜厚が0.001μm以上20μm以下である、[20]又は[21]に記載の構造体。
【発明の効果】
【0006】
本開示の層及び構造体によれば、基板上における氷の成長を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1-Iは、氷核の分子構造図である。図1-IIは、固体状態の重合体(B)の上にできる疑似氷層(C)の概念図である。図1-IIIは、本発明の層及び構造体を表す概念図である。図中の球は酸素原子を表す。A.支持体、B.塗膜(層)、C.疑似氷層(膜)、D.配列した氷核からなる薄氷。A+Bを構造体と称する。
図2は、試験片を冷却加熱ステージにセットするやり方を示す模式図である。
図3は、試験片の温度制御プログラムを表す概念図である。
図4は、温度制御プログラムを作動させてから0、1、2、3、3.5、4時間経過後のA.無加工のアルミの試験片ならびにB.ポリメントNK100PMの層を構築したアルミの試験片上に生成する氷の画像である。
図5は、温度制御プログラムに伴い、A.無加工のアルミの試験片ならびにB.ポリメントNK100PMの層を構築したアルミの試験片上に生成する氷を表す模式図である。○は湿度80%の環境に存在する水分子を表す。B.の四角は氷核を表す。
図6は、A.ポリアクリルアミドならびにB.ポリアクリル酸アンモニウムの層を各々構築したアルミの試験片上に生成する氷の画像である。
図7は、A.無加工のガラスの試験片上に生成する氷、ならびに厚さ10μmのB.ポリアクリルアミドとC.ポリアクリル酸アンモニウムの層を各々構築したガラスの試験片上に生成する氷の顕微鏡画像である。
図8は、厚さ10μmのA.ポリメントNK100PM、B.ポリLリジン、C.ε-ポリLリジン、およびD.エポミンSP-200の層を各々構築したガラスの試験片上に生成する氷の顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態:層)
本開示の層は、薄氷をその表面に形成させるものであり、該薄氷は、厚さが1ミリメートル以下であり、且つ、配列した氷核で構成される。
【0009】
0℃以下に冷却した凍結寸前の水中には、氷核と呼ばれる極めて小さな水分子の結晶が無数に自然発生する(図1-I)。この氷核が、結晶成長とランダムな融合を繰り返して塊になったものが氷である。約80%の高い相対湿度且つ約2℃の低温環境下で氷塊の凍結融解が繰り返されると、特にそのサイズが増大する。この様にして生成する氷塊が、支持体の劣化や破損を引き起こし、冷熱を利用する様々な装置の性能を低下させてしまうことが、産業や医学の分野で問題になっていた。
【0010】
ある種の重合体は、その水溶液中の氷核の結晶成長を抑制することが知られている。例えば、特許文献1には炭素鎖を主鎖とし、窒素原子を含有する官能基を側鎖に有する重合体の水溶液が、その液中の氷核の成長を抑制することが記載されている。また、特許文献2には、支持体上に塗布した両性ポリリジン誘導体が、その塗布面上で水の凍結が開始するまでの時間を遅らせることを記載している。しかし、支持体上での氷塊生成を抑制する為に重要な、高湿度且つ低温の環境下に於いても、氷塊の代わりに薄氷を形成させる物質とその方法については、全く明らかにされていなかった。
(【0011】以降は省略されています)

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