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公開番号2025067509
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-24
出願番号2023177552
出願日2023-10-13
発明の名称処理液
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類B41M 5/00 20060101AFI20250417BHJP(印刷;線画機;タイプライター;スタンプ)
要約【課題】記録媒体の浸透性を問わずに高い印刷品質を得ることができる、処理液、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】炭素数5以上12以下のα,β,ω-アルカントリオール(A)、多価金属塩及び多価アミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物(B)、及び水を含有する、処理液、〔2〕前記〔1〕の処理液と、着色材及び水を含有するインクとを含む、インクジェット記録用インクセット、及び、〔3〕前記〔1〕の処理液を用い、工程1:前記処理液を記録媒体に付与し、表面処理記録媒体を得る工程、及び、工程2:工程1で得られた表面処理記録媒体の処理面に、着色材及び水を含有するインクを用いてインクジェット記録方式により画像を形成する工程を含む、インクジェット記録方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
炭素数5以上12以下のα,β,ω-アルカントリオール(A)、多価金属塩及び多価アミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物(B)、及び水を含有する、処理液。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
前記多価金属塩を構成する多価金属イオンが、2価の金属イオンである、請求項1に記載の処理液。
【請求項3】
前記多価アミンが、少なくとも1つのアミノ基を有する重合性モノマー由来の構成単位を含むポリマーである、請求項1に記載の処理液。
【請求項4】
前記アルカントリオール(A)が、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,7-ヘプタントリオール、1,2,9-ノナントリオール、及び1,2,10-デカントリオールからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項5】
前記処理液中の前記アルカントリオール(A)の含有量が1質量%以上60質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項6】
前記処理液中の前記化合物(B)の含有量が1質量%以上40質量%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項7】
インクジェット記録に用いられる記録媒体の処理用である、請求項1~6のいずれか1項に記載の処理液。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の処理液と、着色材及び水を含有するインクとを含む、インクジェット記録用インクセット。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の処理液を用い、下記の工程1及び工程2を含む、インクジェット記録方法。
工程1:前記処理液を記録媒体に付与し、表面処理記録媒体を得る工程
工程2:工程1で得られた表面処理記録媒体の処理面に、着色材及び水を含有するインクを用いてインクジェット記録方式により画像を形成する工程

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、製版が不要であり、バリアブル(可変)印刷に対応しやすく、また、被印刷物に対して非接触という多くの利点があるため、オフィス用途、家庭用途等の広い分野で普及が進んでいる。近年では、印刷ボリュームが格段に大きい商業印刷用途、産業印刷用途への展開も試みられ、インクジェット記録方式は多様な材質の記録媒体への印刷が求められている。
このような要求に対して、記録媒体にインクを付着させる前に、色材、樹脂等のインク中に含まれる固体成分を意図的に凝集させる処理液を予め記録媒体に付与し、インク凝集層を記録媒体上に形成する方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、記録メディアに着色剤を含有する水性カラーインクを付与する前に、前記記録メディアに付与される前処理液であって、多価金属塩、カチオン化グアーガム、及び水を含有する前処理液が記載され、様々なメディア、特に浸透性の低い記録メディアに均一塗布することが可能で、保存安定性に優れ、該前処理液を塗布した記録メディアにカラーインクを付着させたときに、カラーブリードが生じない高画質な画像が得ることができると記載されている。そして、特許文献1の実施例では、硫酸マグネシウム、グリセリン、及び水を含有する前処理液が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2020-23174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、処理液を用いずにコート紙等の低浸透性の記録媒体にインクジェット記録方式により画像を形成する場合には、記録媒体上でインクドットが真円状に拡張せずにインクドットの形状に歪みが発生し、また、記録媒体上でインクドット同士が混ざりあい混色が発生して印刷物の画像均質性の低下を引き起こす傾向にある。一方、処理液を用いずに普通紙等の高浸透性の記録媒体にインクジェット記録方式により画像を形成する場合、インクが記録媒体内に浸透してしまうため、高い画像濃度が得られ難い傾向にある。
これに対して、処理液を用いて記録媒体上にインク凝集層を形成すると、インク凝集層の表面にインクを固定化させることができるため、印刷物の画像濃度及び発色性を向上させることができる。しかしながら、特許文献1の技術では、普通紙等の高浸透性の記録媒体に印刷する際に画像濃度が十分でなく、また、低浸透性の記録媒体に印刷する際にドット拡張性及び画像均質性が十分でないことが判明した。
本発明は、記録媒体の浸透性を問わずに高い印刷品質を得ることができる、処理液、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、炭素数5以上12以下のα,β,ω-アルカントリオール、多価金属塩及び多価アミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物、及び水を含有する処理液により、該アルカントリオールが記録媒体に多価金属塩及び多価アミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物を微小かつ均一に析出させることができることに着目し、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]~[3]を提供する。
[1]炭素数5以上12以下のα,β,ω-アルカントリオール(A)、多価金属塩及び多価アミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物(B)、及び水を含有する、処理液。
[2]前記[1]に記載の処理液と、着色材及び水を含有するインクとを含む、インクジェット記録用インクセット。
[3]前記[1]に記載の処理液を用い、下記の工程1及び工程2を含む、インクジェット記録方法。
工程1:前記処理液を記録媒体に付与し、表面処理記録媒体を得る工程
工程2:工程1で得られた表面処理記録媒体の処理面に、着色材及び水を含有するインクを用いてインクジェット記録方式により画像を形成する工程
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録媒体の浸透性を問わずに高い印刷品質を得ることができる。具体的には低浸透性の記録媒体を用いる印刷では良好なドット拡張性と優れた画像均質性とを両立した高画質な印刷物を得ることができ、高浸透性の記録媒体を用いる印刷では高い画像濃度を有する印刷物を得ることができる、処理液、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[処理液]
本発明の処理液は、炭素数5以上12以下のα,β,ω-アルカントリオール(A)、多価金属塩及び多価アミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物(B)、及び水を含有する。
なお、本発明において、「炭素数5以上12以下のα,β,ω-アルカントリオール(A)、多価金属塩及び多価アミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物(B)、及び水を含有する」とは、「炭素数5以上12以下のα,β,ω-アルカントリオール(A)、多価金属塩及び多価アミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物(B)、及び水を配合してなる」ことをも意味する。
本発明の処理液は、インクジェット記録方式による画像形成において、記録媒体の浸透性を問わずに高い印刷品質の印刷物を得ることができる観点から、インクジェット記録に用いられる記録媒体の処理に用いられることが好ましい。すなわち、本発明の処理液は、インクジェット記録用前処理液として用いることが好ましい。
【0009】
本発明によれば、記録媒体の浸透性を問わずに高い印刷品質を得ることができる。その理由は、必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
本発明の処理液に含まれるα,β,ω-アルカントリオールは、炭素数が5以上12以下であり、かつ、α位及びβ位の2つの水酸基とω位の1つの水酸基とが炭素数2以上の距離で離れているため、両末端の水酸基の配向の自由度が高く、本発明の処理液で処理された記録媒体にインクジェット記録用インクが着弾した時に該水酸基がインクとの親和性を容易に発揮でき、インクのドットを拡張させることができると考えられる。
また、前記α,β,ω-アルカントリオールは、炭素数が5以上であり、インクジェット記録用インク中に樹脂成分が含まれる場合には、本発明の処理液で処理された記録媒体に着弾した該インクが拡張する際に、該インク中の樹脂成分を膨潤させる効果があり、該インクのドット全体の均一な増粘を促進させて均一な凝集を生起させることができ、記録媒体の表面状態のミクロな不均一性に起因するドット拡張挙動の振れも抑制することができるため、画像均質性が向上すると考えられる。また、前記α,β,ω-アルカントリオールは分子内に3つの水酸基を有することで水を溶媒とする処理液中に任意の割合で混合することが可能であるため、前述のドットを拡張させる効果と画質均質性を向上させる効果とを更に高めることができると考えられる。
また、本発明の処理液は、記録媒体に付与した後においては、前記α,β,ω-アルカントリオールの高い界面活性効果により、多価金属塩及び/又は多価アミンの析出物が記録媒体に微小かつ均一に存在する状態になると考えられる。そのため、本発明の処理液を用いて処理されてなる低浸透性の記録媒体に、インクジェット記録方式によるインクが付着すると、該インク中に含まれる水系媒体が記録媒体に供給されて多価金属塩及び/又は多価アミンの再溶解がドット内で均一に起こることにより凝集効果が均一に発現すると共にインクの増粘が進行し、ドットの歪みの発生及び混色が抑制されて、画像均質性を更に向上させると考えられる。
また、記録媒体に付与した後において、多価金属塩及び/又は多価アミンの析出物が記録媒体に微小かつ均一に存在することにより、インク中に含まれる水系媒体が記録媒体に供給されることによる多価金属塩及び/又は多価アミンの再溶解が急速に起こり、記録媒体に付着したインクを速やかに増粘させると考えられ、インクが高浸透性の記録媒体の内奥部に浸透することによる画像濃度の低下を抑制することができ、高い画像濃度を有する印刷物を得ることができると考える。
なお、本発明において、記録媒体が低浸透性であるか高浸透性であるかは、記録媒体と純水との接触時間100m秒における該記録媒体の吸水量により判定される。該吸水量は、自動走査吸液計(例えば、熊谷理機工業(株)製 KM500win)を用いて、23℃、相対湿度50%の条件下で、純水の接触時間100m秒における転移量として測定できる。
「低浸透性」とは、低浸透性及び非浸透性を含む概念であり、前記吸水量が0g/m
2
以上7g/m
2
以下であることを意味する。「高浸透性」とは、前記吸水量が7g/m
2
超であることを意味する。
【0010】
<α,β,ω-アルカントリオール(A)>
本発明の処理液は、炭素数5以上12以下のα,β,ω-アルカントリオール(A)(以下、「アルカントリオール(A)」ともいう)を含有する。
本発明の処理液は、アルカントリオール(A)を含有することにより、低浸透性の記録媒体に対するインクの濡れ性を制御することができ、また、多価金属塩及び多価アミンからなる群から選ばれる1種以上の化合物(B)との特異的な相互作用を発現させることにより、低浸透性の記録媒体を用いる際に良好なドット拡張性と優れた画像均質性とを両立した高画質な印刷物を得ることができ、高浸透性の記録媒体を用いる際に高い画像濃度を有する印刷物を得ることができる。
アルカントリオール(A)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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