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公開番号2025065888
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-22
出願番号2023175402
出願日2023-10-10
発明の名称ワイヤソー工法
出願人株式会社トータル環境
代理人個人
主分類E04G 23/08 20060101AFI20250415BHJP(建築物)
要約【課題】構造物の切断時における粉塵の発生を抑制できるワイヤソー工法を提案する。
【解決手段】切断の対象となる構造物1の周囲を管体200で囲む。管体200は、本体管210と本体管210を覆う弾性層220からなり、構造物1に対して押圧される。それにより弾性層220は弾性変形する。ワイヤソー400は管体200を貫通した状態で構造物1を囲む。その状態でワイヤソー400を構造物1の周囲で回転させることにより、管体200ごと構造物1を切断する。構造物1の切断の過程で生じた粉塵は、管体200の中に至ることはあっても管体200内に留まるので、外部環境へ流出するおそれが小さい。
【選択図】図7
特許請求の範囲【請求項1】
切断の対象となる構造物の周囲にかけ回した無端のワイヤソーを、張力をかけながら前記構造物の周囲で回転させることにより前記構造物を切断するワイヤソー工法であって、
前記構造物に、曲折可能な長尺の管である本体管と、前記本体管の外周面を被覆する弾性材料でできている弾性層とを有する管体を、前記弾性層を前記構造物の周囲に押圧させた状態で、且つ前記構造物の周囲を囲むようにして取付けるとともに、前記ワイヤソーを前記管体における前記本体管の中を通すことにより、前記本体管ごと前記構造物を切断する、
ワイヤソー工法。
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
前記ワイヤソーが前記構造物の周囲で回転しているときに、前記管体における前記本体管の中の空気を吸引する、
請求項1記載のワイヤソー工法。
【請求項3】
前記本体管として、その素材が塩化ビニルであるものを用いる、
請求項1記載のワイヤソー工法。
【請求項4】
前記弾性層を構成する前記弾性材料として、ゴム、樹脂製のスポンジ、又はウレタンを用いる、
請求項1記載のワイヤソー工法。
【請求項5】
前記構造物の周囲に沿う前記管体の予定された経路に沿う前記構造物の複数の位置のそれぞれに予め固定具を取付けるとともに、前記固定具を介して前記管体を前記構造物に取付ける、
請求項1記載のワイヤソー工法。
【請求項6】
前記固定具は、前記構造物に対して固定をなすことができ、且つ前記管体を係止可能な固定具本体と、前記構造物に対して遠い位置から近い位置に向けて移動可能として前記固定具本体に取付け可能となっている押圧体とを含んで構成されており、
前記管体を前記構造物に取付ける場合、
前記固定具本体を前記構造物に取付け、
前記固定具本体に前記管体を係止させ、
前記固定具本体に対して前記押圧体を、前記構造物に対して遠い位置から近い位置に移動させながら取付けることで、前記弾性層を前記構造物の周囲に押圧させた状態で、前記管体を前記構造物に取付ける、
請求項5記載のワイヤソー工法。
【請求項7】
乾式工法である、
請求項1記載のワイヤソー工法。
【請求項8】
前記構造物における切断位置が、地上から100m以上である、
請求項1記載のワイヤソー工法。
【請求項9】
前記構造物が煙突である、
請求項1又は8記載のワイヤソー工法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物を、ワイヤソーを用いて解体するワイヤソー工法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
構造物(本願では建築物を含む。)を解体するための工法は数多く存在するが、その中の1つにワイヤソー(一般的には、ダイヤモンドチップが連続して取付けられたワイヤ)を用いるワイヤソー工法がある。
ワイヤソー工法は、切断の対象となる構造物の周囲にかけ回した無端のワイヤソーを、張力をかけながら構造物の周囲で回転させることにより構造物を切断するというものである。
ワイヤソー工法は、ワイヤソーをかけ回すことができる構造物であれば、複雑な形状の構造物でも、橋梁、ダム、煙突などの大きな構造物でも切断することができるという利点がある。また、ワイヤソー工法は施工時に生じる振動や音も比較的小さく、鉄筋コンクリート、大理石造り、レンガ造り等の様々な構造の構造物の切断が可能であるという利点もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのような利点を生じるワイヤソー工法ではあるが、改良すべき点もある。
ワイヤソー工法は、構造物を切断する際に粉塵を生じる。構造物の種類によっては、その内部に有害物質(例えば、アスベスト)を含む場合があるため、ワイヤソー工法で生じる粉塵に有害物質が交じることがある。
そのような点を踏まえると、粉塵の発生を抑制させながらワイヤソー工法の施工を行えるのが好ましい。
【0004】
ワイヤソー工法には乾式工法と湿式工法とがある。簡単にいうと、前者はワイヤソーを乾燥させたまま構造物の切断を行う工法であり、後者はワイヤソーを水で濡らした状態で構造物の切断を行う工法である。
乾式工法は、水を用いることが無いので、水を準備し、また排水を処理する手間、コストを省略できるという長所がある。しかしながら、ワイヤソーが高温になり切れやすくなるため、構造物の切断に時間がかかり、更に粉塵が発生しやすくなるという短所がある。
湿式工法は、ワイヤソーを水で濡らしながら構造物の切断を行うので、ワイヤソーが高温になりにくく、構造物の切断にかかる時間を短縮することができ、また、水に絡め取られることで粉塵が発生しにくいという長所がある。しかしながら、湿式工法には、水を準備し、また排水を処理する手間、コストが生じる。特に、構造物の切断箇所の高さが地上100mを超えるような高所である場合には、その高さまで水を上げることが事実上不可能であるような場合もあり、そのような場合には湿式工法の施工がそもそも不可能となることもある。
【0005】
上述のように、粉塵の発生の抑制という観点から乾式工法と湿式工法とを比べれば、湿式工法の方が優れている。
しかしながら、湿式工法にも上述したような短所があり、条件によってはそもそも利用することができない場合も存在する。
【0006】
本願発明は、構造物の切断時における粉塵の発生を抑制できるワイヤソー工法であって、乾式工法でも湿式工法でも応用可能なものを提案することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明は、切断の対象となる構造物の周囲にかけ回した無端のワイヤソーを、張力をかけながら、前記構造物の周囲で回転させることにより前記構造物を切断するワイヤソー工法である。ここまでは、従来のワイヤソー工法と変わらないか、又は従来のワイヤソー工法と同じで良い。
本願発明によるワイヤソー工法では、前記構造物に、曲折可能な長尺の管である本体管と、前記本体管の外周面を被覆する弾性材料でできている弾性層とを有する管体を、前記弾性層を前記構造物の周囲に押圧させた状態で、且つ前記構造物の周囲を囲むようにして取付けるとともに、前記ワイヤソーを前記管体における前記本体管の中を通すことにより、前記本体管ごと前記構造物を切断する。
本願発明によるワイヤソー工法では、管体を用い、管体の中を通したワイヤソーを、張力をかけながら、構造物の周囲で回転させることにより、管体ごと構造物を切断する。
ここで、管体は、曲折可能な長尺の管である本体管と、本体管の外周面を被覆する弾性層とを備えている。曲折可能な本体管は、例えば、樹脂、より詳細には、例えば塩化ビニールにより構成することができる。弾性層は、弾性材料でできており、弾性変形が可能なものとなっている。弾性層は例えば、ゴムや、樹脂製(例えば、ウレタン製)のスポンジ、ウレタンにより構成することができる。
本願発明のワイヤソー工法では、上述したように、ワイヤソーにより、管体ごと構造物を切断していく。ここで、ワイヤソーが通過することによって生じた構造物の切込みの両側において、構造物の表面に押圧された管体の弾性層は、構造物と隙間なく密接した状態となっている。したがって、ワイヤソーによって構造物が切断されることによって生じた粉塵は、ワイヤソーによって切断された管体(弾性層と本体管)の切込みを通って管体の中(より詳細には、本体管の内部の空間内)に入り込むことはあるかもしれないが、少なくとも管体の両端を除けば管体から外部に漏れ出すことはない。
したがって、本願発明のワイヤソー工法では、構造物の切断時における粉塵の発生を抑制することができる。この効果は、ワイヤソー工法が湿式工法のときであっても乾式工法のときであっても変わらない。乾式工法の場合であっても、構造物の切断時における粉塵の発生を抑制できるというのは、従来のワイヤソー工法からは得られにくい効果であるといえる。
もちろん、本願発明のワイヤソー工法を湿式工法として施工する場合の方が、粉塵の発生を、乾式工法として施工した場合よりも抑制することができるが、湿式工法には、既に述べたように、手間、コストがかかり、また場合によっては利用できない場合があるという短所がある。それらの短所を受け入れてもなお、粉塵の発生の抑制という効果をより強力に欲する場合には、本願発明のワイヤソー工法を湿式工法として施工することも可能である。
【0008】
本願のワイヤソー工法では、前記ワイヤソーが前記構造物の周囲で回転しているときに、前記管体における前記本体管の中の空気を吸引してもよい。
上述したように、本願のワイヤソー工法では、ワイヤソーが構造物を切断することによって生じた粉塵は、構造物を囲む管体の中、より詳細には、管体に含まれる本体管の内部の空間内に入り込む。したがって、本体管の中の空気を吸引することにより、空気とともに本体管の内部の空間に存在している粉塵を吸引すれば、管体の外部への粉塵の漏れ出しをより効果的に抑制することができることになる。
【0009】
本願発明によるワイヤソー工法では、上述したように、管体を構造物に対して取付ける。
管体の構造物に対する取付け方は、管体の弾性層が構造物の周囲に押圧させられている、管体が構造物の周囲を囲んでいる、という2つの条件が充足する限り基本的には自由である。
例えば、前記構造物の周囲に沿う前記管体の予定された経路に沿う前記構造物の複数の位置のそれぞれに予め固定具を取付けるとともに、前記固定具を介して前記管体を前記構造物に取付けることが可能である。
上述のごとき固定具を用いることにより、管体を構造物に簡単に取付けられるようになる。
固定具を介して管体を構造物に取付ける場合、本願発明によるワイヤソー工法は更に以下のようなものとすることができる。
つまり、前記固定具は、前記構造物に対して固定をなすことができ、且つ前記管体を係止可能な固定具本体と、前記構造物に対して遠い位置から近い位置に向けて移動可能として前記固定具本体に取付け可能となっている押圧体とを含んで構成されていてもよい。そして、前記管体を前記構造物に取付ける場合、前記固定具本体を前記構造物に取付け、前記固定具本体に前記管体を係止させ、前記固定具本体に対して前記押圧体を、前記構造物に対して遠い位置から近い位置に移動させながら取付けることで、前記弾性層を前記構造物の周囲に押圧させた状態で、前記管体を前記構造物に取付けてもよい。
【0010】
本願のワイヤソー工法で切断される対象となる構造物の種類は問わない。例えば、橋梁、煙突等であっても良いし、ビルディング、マンション等であっても良い。
また、構造物における本願のワイヤソー工法による切断位置は、高所、例えば、地上から100m以上であっても構わない。そのような高所でワイヤソーを用いて構造物を切断する場合には、地上からその高さまで一定以上の量の水を上げることが難しいか、コストが過大になりやすいので、湿式工法を用いることが極めて難しくなることが多い。そのような場合に、乾式工法として実行することが可能な本願のワイヤソー工法は効果を発揮しやすい。もちろん、既に述べたように、そのような高所であっても、湿式工法を利用することが可能ではある。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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