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公開番号2025033685
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023139579
出願日2023-08-30
発明の名称数値制御装置、システム、制御方法、及びプログラム
出願人ブラザー工業株式会社
代理人個人,個人
主分類B23Q 3/155 20060101AFI20250306BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約【課題】積載条件が変更された場合に、その変更された積載条件に応じた時定数を自動で推定して工具マガジンの旋回動作に反映できる数値制御装置、システム、制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御部はNCプログラム実行中において積載条件設定リセットのマクロ変数を読み込んだ場合(S11:YES)、積載条件設定の値をリセットし、マガジンモータの加減速の時定数を基準時定数に変更する(S15)。基準時定数とは、工具の積載状態が基準積載状態の場合においてマガジンモータが動作できる時定数である。制御部はNCプログラム実行中において旋回動作を基準時定数で実行した結果に基づき、工具マガジンのイナーシャと偏荷重を推定し(S18)、推定結果を積載条件設定に反映させる(S20)。
【選択図】図11
特許請求の範囲【請求項1】
工具を積載可能であり、モータの駆動によって旋回動作することにより前記工具を所定位置へ搬送する工具マガジンを備える工作機械に対し、前記モータへの指令を出力する数値制御装置であって、
前記工具マガジンの旋回軸回りのイナーシャと偏荷重によって規定される積載条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記積載条件に応じて前記工具マガジンの前記旋回動作時における前記モータの加減速の時定数を演算する演算部と、
前記演算部が演算した前記時定数で前記工具マガジンの前記旋回動作を実行する旋回実行部と、
NCプログラム実行中において前記積載条件のリセットを指示するリセット情報を読み込んだ場合、前記積載条件をリセットすると共に、前記旋回動作時における前記時定数を、前記工具マガジンにおける前記工具の積載状態が基準積載状態の場合において前記モータが動作できる基準時定数に変更する変更部と、
NCプログラム実行中において前記旋回動作を前記基準時定数で実行した結果に基づき、前記工具マガジンの前記イナーシャと前記偏荷重を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果を前記記憶部に記憶された前記積載条件に反映させる反映部と
を備えたことを特徴とする数値制御装置。
続きを表示(約 3,200 文字)【請求項2】
前記リセット情報は、マクロ変数であること
を特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
【請求項3】
前記数値制御装置は、前記工具マガジンに対して前記工具の付け替えを行う工具付替装置に更に制御を行うものであって、
前記リセット情報は、前記工具付替装置による前記工具の付け替え後に最初に実行するNCプログラム中に設定されたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の数値制御装置。
【請求項4】
工具を積載可能であり、モータの駆動によって旋回動作することにより前記工具を所定位置へ搬送する工具マガジンを備える工作機械に対し、前記モータへの指令を出力する数値制御装置であって、
前記工具マガジンの旋回軸回りのイナーシャと偏荷重によって規定される積載条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記積載条件に応じて前記工具マガジンの前記旋回動作時における前記モータの加減速の時定数を演算する演算部と、
前記演算部が演算した前記時定数で前記工具マガジンの前記旋回動作を実行する旋回実行部と、
NCプログラム実行中、前記数値制御装置の制御を行うPLCから前記積載条件のリセットを指示するPLC信号を受信した場合、前記積載条件をリセットすると共に、前記旋回動作時における前記時定数を、前記工具マガジンにおける前記工具の積載状態が基準積載状態の場合において前記モータが動作できる基準時定数に変更する変更部と、
NCプログラム実行中において前記旋回動作を前記基準時定数で実行した結果に基づき、前記工具マガジンの前記イナーシャと前記偏荷重を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果を前記記憶部に記憶された前記積載条件に反映させる反映部と
を備えたことを特徴とする数値制御装置。
【請求項5】
前記PLCは、前記数値制御装置と、前記工具マガジンへの前記工具の付け替えを行う工具付替装置とに対して制御を行うものであって、
前記PLCは、前記工具付替装置による前記工具マガジンの前記工具の付け替え後に前記NCプログラムを実行する場合、前記PLC信号を前記数値制御装置に送信すること
を特徴とする請求項4に記載の数値制御装置。
【請求項6】
工具を積載可能であり、モータの駆動によって旋回動作することにより前記工具を所定位置へ搬送する工具マガジンを備える工作機械に対して前記モータへの指令を出力する数値制御装置と、前記数値制御装置に対して制御を行うPLCとを備えたシステムであって、
前記PLCは、前記工具マガジンへの前記工具の付け替え後に、前記数値制御装置に対してPLC信号を送信する信号送信部を備え、
前記数値制御装置は、
前記工具マガジンの旋回軸回りのイナーシャと偏荷重によって規定される積載条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記積載条件に応じて前記工具マガジンの前記旋回動作時における前記モータの加減速の時定数を演算する演算部と、
前記演算部が演算した前記時定数で前記工具マガジンの前記旋回動作を実行する旋回実行部と、
前記信号送信部が送信した前記PLC信号を受信した場合、前記積載条件をリセットすると共に、前記旋回動作時における前記時定数を、前記工具マガジンにおける前記工具の積載状態が基準積載状態の場合において前記モータが動作できる基準時定数に変更する変更部と、
NCプログラム実行中において前記旋回動作を前記基準時定数で実行した結果に基づき、前記工具マガジンの前記イナーシャと前記偏荷重を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果を前記記憶部に記憶された前記積載条件に反映させる反映部と
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記工具マガジンに対して前記工具の付け替えを行う工具付替装置をさらに備え、
前記PLCは、前記数値制御装置及び前記工具付替装置の夫々の制御を行うものであって、
前記PLCの前記信号送信部は、前記工具付替装置による前記工具の付け替え後に前記PLC信号を前記数値制御装置に送信すること
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
工具を積載可能であり、モータの駆動によって旋回動作することにより前記工具を所定位置へ搬送する工具マガジンを備える工作機械に対し、前記モータへの指令を出力する数値制御装置であって、
前記工具マガジンの旋回軸回りのイナーシャと偏荷重によって規定される積載条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記積載条件に応じて前記工具マガジンの前記旋回動作時における前記モータの加減速の時定数を演算する演算部と、
前記演算部が演算した前記時定数で前記工具マガジンの前記旋回動作を実行する旋回実行部と、
NCプログラム実行中、前記数値制御装置と通信可能なPCから前記積載条件のリセットを指示するコマンド信号を受信した場合、前記積載条件をリセットすると共に、前記旋回動作時における前記時定数を、前記工具マガジンにおける前記工具の積載状態が基準積載状態の場合において前記モータが動作できる基準時定数に変更する変更部と、
NCプログラム実行中において前記旋回動作を前記基準時定数で実行した結果に基づき、前記工具マガジンの前記イナーシャと前記偏荷重を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果を前記記憶部に記憶された前記積載条件に反映させる反映部と
を備えたことを特徴とする数値制御装置。
【請求項9】
工具を積載可能であり、モータの駆動によって旋回動作することにより前記工具を所定位置へ搬送する工具マガジンを備える工作機械に対して前記モータへの指令を出力する数値制御装置と、前記数値制御装置の制御を行うPCとを備えたシステムであって、
前記PCは、前記工具マガジンへの前記工具の付け替え後に、コマンド信号を送信する信号送信部を備え、
前記数値制御装置は、
前記工具マガジンの旋回軸回りのイナーシャと偏荷重によって規定される積載条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記積載条件に応じて前記工具マガジンの前記旋回動作時における前記モータの加減速の時定数を演算する演算部と、
前記演算部が演算した前記時定数で前記工具マガジンの前記旋回動作を実行する旋回実行部と、
前記信号送信部が送信した前記コマンド信号を受信した場合、前記積載条件をリセットすると共に、前記旋回動作時における前記時定数を、前記工具マガジンにおける前記工具の積載状態が基準積載状態の場合において前記モータが動作できる基準時定数に変更する変更部と、
NCプログラム実行中において前記旋回動作を前記基準時定数で実行した結果に基づき、前記工具マガジンの前記イナーシャと前記偏荷重を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果を前記記憶部に記憶された前記積載条件に反映させる反映部と
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項10】
複数の前記工作機械と、
前記複数の工作機械に対応する複数の前記数値制御装置と、
前記複数の工作機械の夫々の前記工具マガジンに対応し、前記工具マガジンへの前記工具の付け替えを行う複数の工具付替装置と
をさらに備え、
前記PCの前記信号送信部は、前記複数の数値制御装置の夫々に対して前記コマンド信号を送信すること
を特徴とする請求項9に記載のシステム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置、システム、制御方法、及びプログラムに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
工具を積載する工具マガジンを備えた工作機械において、工具マガジンの旋回軸周りのイナーシャを算出し、算出したイナーシャに応じて工具マガジンの旋回速度を変更するものが知られている。特許文献1には、ユーザの操作により工具マガジンの動作速度を調整できる工作機械が開示されている。工作機械は工具マガジンの動作速度をユーザが所望する動作速度に調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6603282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の工作機械において、工具の付替え等によって積載条件(イナーシャと偏荷重)が変更された場合、動作速度の調整を再実施してイナーシャや偏荷重を更新する必要がある。故に頻繁に積載条件が変わるような運用をしているユーザの場合、その都度機械の操作で調整を実施する必要があり手間である。調整の再実施を忘れた場合、工作機械は誤った条件で動作してしまう可能性がある。その結果、減速機の寿命悪化やトルク不足によるエラーでプログラム動作停止を引き起こす可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、積載条件が変更された場合に、その変更された積載条件に応じた時定数を自動で推定して工具マガジンの旋回動作に反映できる数値制御装置、システム、制御方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の数値制御装置は、工具を積載可能であり、モータの駆動によって旋回動作することにより前記工具を所定位置へ搬送する工具マガジンを備える工作機械に対し、前記モータへの指令を出力する数値制御装置であって、前記工具マガジンの旋回軸回りのイナーシャと偏荷重によって規定される積載条件を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記積載条件に応じて前記工具マガジンの前記旋回動作時における前記モータの加減速の時定数を演算する演算部と、前記演算部が演算した前記時定数で前記工具マガジンの前記旋回動作を実行する旋回実行部と、NCプログラム実行中において前記積載条件のリセットを指示するリセット情報を読み込んだ場合、前記旋回動作時における前記時定数を、前記工具マガジンにおける前記工具の積載状態が基準積載状態の場合において前記モータが動作できる基準時定数に変更する変更部と、NCプログラム実行中において前記旋回動作を前記基準時定数で実行した結果に基づき、前記工具マガジンの前記イナーシャと前記偏荷重を推定する推定部と、前記推定部の推定結果を前記記憶部に記憶された前記積載条件に反映させる反映部とを備えたことを特徴とする。例えば工具マガジンへの工具の付け替えがあった場合、工具の積載状況が変化するので、イナーシャ及び偏荷重等の積載条件に変更が生じる。工具の付け替え後に初回実施するNCプログラム内の所定位置にリセット情報を予め設定する。数値制御装置はリセット情報を読込んだ場合、基準時定数で旋回動作を実行する。数値制御装置はその結果に基づきイナーシャと偏荷重を自動で推定し、その結果を積載条件に反映させる。これにより、数値制御装置は次の工具マガジンの旋回動作時において、推定結果が反映された積載条件でモータの加減速の時定数を演算する。よって、数値制御装置は工具マガジンの現在の積載条件に合わせて、工具マガジンの旋回動作時の加減速を自動で最適に調整できる。さらに数値制御装置は、工具マガジンにおける工具付替え後の推定実施を忘れたことによる最適でない加速度での動作を防止できる。これにより数値制御装置は工作機械の故障や、モータのトルク不足によるエラーを防止できる。
【0007】
請求項2の数値制御装置の前記リセット情報は、マクロ変数であってもよい。リセット情報はマクロ変数なので、NCプログラム内に積載情報のリセットを容易に設定できる。
【0008】
請求項3の数値制御装置は、前記工具マガジンに対して前記工具の付け替えを行う工具付替装置に更に制御を行うものであって、前記リセット情報は、前記工具付替装置による前記工具の付け替え後に最初に実行するNCプログラム中に設定されてもよい。工具付替装置による工具マガジンへの工具の付け替えがあった場合、工具の積載状況が変化するので、イナーシャ及び偏荷重等の積載条件に変更が生じる。ここで、次に実行するNCプログラムにはリセット情報が設定されている。故に数値制御装置は、工具付け替え後に最初に実行するNCプログラムにおいてリセット情報を読み込んだ場合、基準時定数で旋回動作を実行する。数値制御装置はその結果に基づきイナーシャと偏荷重を自動で推定し、その結果を積載条件に反映させることができる。従って、数値制御装置は、工具マガジンにおける工具付け替え後の推定実施を忘れたことによる最適でない加速度での動作を防止できる。これにより数値制御装置は工作機械の故障や、工具マガジンとモータの間に接続された減速機の寿命悪化を防止できる。
【0009】
請求項4の数値制御装置は、工具を積載可能であり、モータの駆動によって旋回動作することにより前記工具を所定位置へ搬送する工具マガジンを備える工作機械に対し、前記モータへの指令を出力する数値制御装置であって、前記工具マガジンの旋回軸回りのイナーシャと偏荷重によって規定される積載条件を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記積載条件に応じて前記工具マガジンの前記旋回動作時における前記モータの加減速の時定数を演算する演算部と、前記演算部が演算した前記時定数で前記工具マガジンの前記旋回動作を実行する旋回実行部と、NCプログラム実行中、前記数値制御装置の制御を行うPLCから前記積載条件のリセットを指示するPLC信号を受信した場合、前記旋回動作時における前記時定数を、前記工具マガジンにおける前記工具の積載状態が基準積載状態の場合において前記モータが動作できる基準時定数に変更する変更部と、NCプログラム実行中において前記旋回動作を前記基準時定数で実行した結果に基づき、前記工具マガジンの前記イナーシャと前記偏荷重を推定する推定部と、前記推定部の推定結果を前記記憶部に記憶された前記積載条件に反映させる反映部とを備えたことを特徴とする。例えば工具マガジンへの工具の付け替えがあった場合、工具の積載状況が変化するので、イナーシャ及び偏荷重等の積載条件に変更が生じる。そのような場合、PLCから積載情報のリセットを指示するPLC信号が数値制御装置に送信される。数値制御装置はPLC信号を受信した場合、基準時定数で旋回動作を実行する。数値制御装置はその結果に基づきイナーシャと偏荷重を自動で推定し、その結果を積載条件に反映させることができる。従って、数値制御装置は、工具マガジンにおける工具付け替え後の推定実施を忘れたことによる最適でない加速度での動作を防止できる。これにより数値制御装置は工作機械の故障や、工具マガジンとモータの間に接続された減速機の寿命悪化を防止できる。
【0010】
請求項5の数値制御装置において、前記PLCは、前記数値制御装置と、前記工具マガジンへの前記工具の付け替えを行う工具付替装置とに対して制御を行うものであって、前記PLCは、前記工具付替装置による前記工具マガジンの前記工具の付け替え後に前記NCプログラムを実行する場合、前記PLC信号を前記数値制御装置に送信してもよい。PLCは工具付替装置による工具の付け替えをトリガーとして、PLC信号を数値制御装置に送信する。数値制御装置はPLC信号を受信したことにより、基準時定数で旋回動作を実行し、さらに工具付け替え後の積載条件を推定し、その結果を記憶部に記憶された積載条件に反映させることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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