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公開番号
2025028250
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-28
出願番号
2024220372,2022003016
出願日
2024-12-16,2022-01-12
発明の名称
船舶推進機の冷却装置
出願人
スズキ株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
B63H
21/38 20060101AFI20250220BHJP(船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品)
要約
【課題】バイパス通路を開閉するバルブを用いない場合でも微細物体の捕集能力を十分に確保できるようにする。
【解決手段】船外機の冷却装置において、排水通路の下流部27B、捕集器33が設けられた捕集通路32、およびバイパス通路34は、バイパス通路34から合流部36に流入する冷却水の流れ方向と合流部36から下流部27Bに流入する冷却水の流れ方向との相違が、捕集通路32から合流部36に流入する冷却水の流れ方向と合流部36から下流部27Bに流入する冷却水の流れ方向との相違よりも小さくなるように配置されている。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
船舶推進機に設けられ、前記船舶推進機外の水を前記船舶推進機内に取り込み、当該取り込んだ水を冷却水として前記船舶推進機の動力源の周囲または内部に流すことにより前記動力源を冷却し、前記動力源の周囲または内部を流れた後の冷却水を前記船舶推進機外に排出する船舶推進機の冷却装置であって、
前記動力源の周囲または内部を流れた後の冷却水を前記船舶推進機外へ排出するための排水通路と、
前記排水通路の上流部と下流部との間に介在し、前記排水通路の上流部と下流部との間を接続する捕集通路と、
前記捕集通路の途中に設けられ、前記捕集通路を通って前記排水通路の上流部から前記排水通路の下流部に向かって流れる冷却水に含まれる微細物体を捕集する捕集器と、
前記排水通路の上流部と下流部との間に前記捕集通路と並列に接続されたバイパス通路と、
前記排水通路の上流部が前記捕集通路と前記バイパス通路とに分岐する分岐部と、
前記捕集通路と前記バイパス通路とが前記排水通路の下流部に合流する合流部とを備え、
前記排水通路の下流部、前記捕集通路および前記バイパス通路は、前記バイパス通路から前記合流部に流入する冷却水の流れ方向と前記合流部から前記排水通路の下流部に流入する冷却水の流れ方向との相違が、前記捕集通路から前記合流部に流入する冷却水の流れ方向と前記合流部から前記排水通路の下流部に流入する冷却水の流れ方向との相違よりも小さくなるように配置されていることを特徴とする船舶推進機の冷却装置。
続きを表示(約 560 文字)
【請求項2】
前記捕集通路と前記排水通路の下流部とは、前記捕集通路から前記合流部に流入する冷却水の流れ方向と前記合流部から前記排水通路の下流部に流入する冷却水の流れ方向とが互いに相違するように配置され、
前記バイパス通路と前記排水通路の下流部とは、前記バイパス通路から前記合流部に流入する冷却水の流れ方向と前記合流部から前記排水通路の下流部に流入する冷却水の流れ方向とが互いに同一となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の船舶推進機の冷却装置。
【請求項3】
前記捕集通路は、前記捕集通路から前記合流部に流入する冷却水の流れ方向が鉛直とならないように配置され、
前記バイパス通路は、前記バイパス通路から前記合流部に流入する冷却水の流れ方向が下向きかつ鉛直となるように配置され、
前記排水通路の下流部は、前記合流部から前記排水通路の下流部に流入する冷却水の流れ方向が下向きかつ鉛直となるように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の船舶推進機の冷却装置。
【請求項4】
前記合流部において、前記捕集通路と前記バイパス通路とは互いに鋭角に交わっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の船舶推進機の冷却装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水、湖水等の水中に拡散した微細な物体を捕集する機能を備えた船舶推進機の冷却装置に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロプラスチック等の微細なゴミが海水、湖水、河川水等の水中に拡散することによって起こる海、湖、河川等の汚染が問題となっている。また、養殖に用いられた餌の滓等が海水、湖水、河川水等の水中に拡散することによって海、湖、河川等が汚染されることが知られている。このような汚染を抑制すべく、マイクロプラスチック等の微細なゴミ、餌の滓等(以下、これらを「微細物体」という。)を捕集して回収することが望まれている。
【0003】
下記の特許文献1には、微細物体を捕集する機能を備えた冷却装置が搭載された船外機が記載されている。当該冷却装置は、ポンプを利用して、海水または湖水等の水を船外機内に取り込み、取り込んだ水を、冷却水として、船外機のエンジンに設けられたウォータジャケットに供給する。ウォータジャケットに供給された冷却水は、ウォータジャケット内を流通し、これによりエンジンが冷却される。また、ウォータジャケット内を流通した後の冷却水は、排水パイプ内を流れ、排水パイプの途中に設けられたろ過装置内を通過し、その後、船外機外へ排出される。冷却水がろ過装置内を通過することにより、冷却水中の微細物体がろ過装置により捕捉され、冷却水から除去される。このように、当該冷却装置によれば、海水または湖水等を船外機内に取り込み、取り込んだ海水または湖水等に含まれる微細物体をろ過装置により捕集することができる。
【0004】
また、特許文献1に記載された冷却装置において、ろ過装置が設けられた排水パイプには、ろ過装置が目詰まりした場合に、ろ過装置を迂回して冷却水を流すためのバイパス通路が接続されている。また、当該冷却装置において、バイパス通路の上流端と排水パイプとの接続部分にはリリーフバルブが設けられている。リリーフバルブは、ろ過装置が目詰まりしていないときには閉弁し、排水パイプを流れる冷却水をろ過装置へ導き、ろ過装置が目詰まりしたときには開弁して、排水パイプを流れる冷却水を、ろ過装置を迂回してバイパス通路に導く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2020-163872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8(A)および(B)は、上記特許文献1に記載された従来の冷却装置の排水側の構成と同等の構成を示している。図8(A)および(B)において、133は排水通路である。排水通路133は、上記特許文献1に記載された冷却装置における排水パイプに対応するものである。また、135はろ過装置であり、145はバイパス通路であり、144はリリーフバルブである。ろ過装置135が目詰まりしていないときには、図8(A)に示すように、リリーフバルブ144が閉弁する。このとき、冷却水は、図8(A)中の矢印Vが示すように、ろ過装置135内を通るように排水通路133を流れる。一方、ろ過装置135が目詰まりしたときには、図8(B)に示すように、リリーフバルブ144が開弁する。このとき、冷却水は、図8(B)中の矢印Wが示すようにバイパス通路145を流れる。
【0007】
ところで、本出願の発明者は、例えば図8(A)および(B)に示すような冷却装置の排水側の構成からリリーフバルブ144を除去することを検討している。リリーフバルブ144を除去することにより、部品点数を減らして、冷却装置の製造コストを下げることができ、また、リリーフバルブ144の故障等の不具合の発生や、リリーフバルブ144のメンテナンスの負担をなくすことができる。しかしながら、冷却装置の排水側の構成からリリーフバルブ144を除去することにより、次のような問題が生じる。
【0008】
図9(A)は、図8(A)および(B)に示す冷却装置の排水側の構成からリリーフバルブ144を除去したものを示している。冷却装置の排水側の構成からリリーフバルブ144を除去した場合には、バイパス通路145の入口が排水通路133と常時連通した状態になる。したがって、図9(A)中の矢印X1およびX2が示すように、ろ過装置135が目詰まりしていないときでも、冷却水がバイパス通路145内に流入することがある。この現象は、図9(A)中の二点鎖線が示すように、排水通路133からバイパス通路145が分岐している分岐部分において、排水通路133からバイパス通路145に向かって伸長する直線状の流路が形成されており、そのため、排水通路133から分岐部分に流入する冷却水の流れ方向(矢印X1)と、分岐部分からバイパス通路145内に流入する冷却水の流れ方向(矢印X2)とが互いに同一になっている場合に起こり易い。このように、ろ過装置135が目詰まりしていないときでも、冷却水がバイパス通路145内に流入すると、ろ過装置135内を流れる冷却水の量が減少する。その結果、冷却装置の微細物体の捕集能力が低下する。
【0009】
また、図8(A)および(B)に示す冷却装置の排水側の構成からリリーフバルブ144を除去したものにおいては、バイパス通路145を流れた冷却水が、バイパス通路145の出口から流出した後に排水通路133を逆流することにより、ろ過装置135内に蓄積された微細物体が巻き上げられ、巻き上げられた微細物体が冷却水と共にバイパス通路145および排水通路133を順次流れて船外機外へ排出されることが懸念される。
【0010】
図9(B)は、図9(A)と同様に、図8(A)および(B)に示す冷却装置の排水側の構成からリリーフバルブ144を除去したものを示している。バイパス通路145を流れた冷却水は、通常、図9(B)中の矢印Y1およびY2が示すように、バイパス通路145の出口から流出した後、排水通路133を下方へ流れる。ところが、バイパス通路145を流れる冷却水の量が多い場合には、バイパス通路145を流れた冷却水が、バイパス通路145の出口から流出するときに、その流れが乱れ、冷却水が、図9(B)中の矢印Y3が示すように、排水通路133を上方へ逆流することがある。この逆流は、図9(B)中の二点鎖線が示すように、バイパス通路145が排水通路133に合流している合流部分において、バイパス通路145から排水通路133にかけての流路が屈曲しており、そのため、バイパス通路145から合流部分に流入する冷却水の流れ方向(矢印Y1)と、合流部分から排水通路133を下方へ流れる冷却水の流れ方向(矢印Y2)とが互いに相違している場合に生じ易い。冷却水が排水通路133を逆流すると、逆流した冷却水がろ過装置135内を下から上へ流れ、ろ過装置135内に蓄積された微細物体がこの冷却水により巻き上げられるおそれがある。リリーフバルブ144が除去された構成においては、バイパス通路145の入口が排水通路133と常時連通しているので、巻き上げられた微細物体が冷却水と共にバイパス通路145の入口からバイパス通路145内に入り、バイパス通路145および排水通路133を順次下方に流れて、船外機外へ排出される可能性がある。このような冷却水の逆流により、ろ過装置135に一旦蓄積された微細物体が船外機外へ排出されてしまう可能性があるのであるから、このような冷却水の逆流は、冷却装置の微細物体の捕集能力の低下に繋がる。
(【0011】以降は省略されています)
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