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公開番号2025026894
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-26
出願番号2024195075,2022512086
出願日2024-11-07,2021-03-25
発明の名称ポリオレフィン系樹脂フィルム
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類C08J 5/18 20060101AFI20250218BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】分子配向軸の歪みが大きい基材フィルムと積層した場合においても、その積層体から得られた包装袋は、直進カット性、引裂きやすさ、製袋加工性に優れ、レトルト後も落下時に破袋しにくく、かつ開封時にヒゲが発生しにくい、ポリオレフィン系樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂フィルムであって、エチレン含量が20~50重量部のプロピレンとエチレンとからなるプロピレンーエチレンブロック共重合体を40~97重量部、エチレン-プロピレン共重合エラストマー、プロピレン-ブテン共重合エラストマー、及びエチレン-ブテン共重合エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のエラストマーを3~10重量部を含有し、長手方向の熱収縮率が1%以上9%以下、屈折率から計算されるx軸配向係数ΔNxが0.0180以上0.0220以下である、ポリオレフィン系樹脂フィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂フィルムであって、プロピレンを主体とした重合体部分とエチレン含量が20~50重量部のプロピレンとエチレンとの共重合体部分からなるプロピレンーエチレンブロック共重合体を40~97重量部、プロピレン-αオレフィンランダム共重合体又はプロピレン単独重合体を0~50重量部、エチレン-プロピレン共重合エラストマー、プロピレン-ブテン共重合エラストマー、及びエチレン-ブテン共重合エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種以上のエラストマーを3~10重量部を含有し、長手方向の熱収縮率が1%以上9%以下であり、屈折率から計算されるx軸配向係数ΔNxが0.0180以上0.0220以下である、ポリオレフィン系樹脂フィルム。
続きを表示(約 290 文字)【請求項2】
少なくとも2層以上の複数層の構成からなる、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、及びポリプロピレン樹脂フィルムからなる群から選択される少なくとも1種の基材フィルムとの積層体。
【請求項4】
直進カット性が5mm以下である、請求項3に記載の積層体。
【請求項5】
請求項4に記載の積層体からなる包装体。
【請求項6】
レトルト用である、請求項5に記載の包装体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂フィルムに関する。また、ポリアミド樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、及びポリプロピレン樹脂フィルムからなる群から選択される少なくとも1種の基材フィルムとのに関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
包装袋は、主にポリアミド樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、あるいはポリプロピレン樹脂フィルムなどの基材フィルムとポリオレフィン系樹脂フィルムとの積層体の周辺部を、ポリオレフィン系樹脂フィルム面同士が接触する状態でポリオレフィン系樹脂フィルムの融点近くの温度で加熱圧着(以下、ヒートシール)することにより製造される。
食品包装袋においては、食品を充填した後の包装袋に、130℃程度の加圧水蒸気により殺菌を行う、食品を長期間保存するのに適した、いわゆるレトルトパウチというものが普及している。
近年、女性の社会進出、核家族化、あるいは高齢化の進行などの社会背景から、レトルトパウチへの需要が大きくなっており、同時に特性の向上がさらに求められている。
例えば、こういったレトルトパウチは、箱詰めされ、輸送して店頭販売される形態が近年多いため、その過程で落下しても破袋しにくいこと、特に冷蔵下で落下しても破袋しにくいことが求められている。
【0003】
また、包装袋、特にレトルトパウチから食品内容物を取り出す際は、包装袋の周辺のヒートシール部分に入れられた切込み部分、いわゆるノッチ部分から手で包装袋を引裂くことが多いが、従来の積層体を使用した場合、包装袋の一辺、通常は水平方向に対して平行に引裂くことができず、斜めに開封されてしまったり、包装袋の表面と裏面の積層体で裂けの進行方向が上下で逆になる現象、いわゆる泣別れが発生してしまい、食品内容物が取り出しにくくなり、食品内容物で手や服が汚れたり、内容物が加熱されていた場合は火傷などをしたりする恐れがあった。
【0004】
包装袋を包装袋の一辺に対して平行に引裂くことが困難である理由は、積層体に用いる基材フィルムに歪みがあること、すなわち基材フィルムの分子配向軸方向が包装体の一辺に対して平行でないからである。
【0005】
基材フィルムの分子配向軸方向を包装袋の引裂き方向と同じにすることができればこのような問題は発生しない。製造された広幅の延伸フィルムの幅方向中央部の分子配向軸方向はフィルムの走行方向と一致しており包装袋の一辺に対して平行に引裂くことが可能である。ところが、基材フィルムの幅方向端部では分子配向軸方向がフィルムの走行方向から傾いてしまい、フィルムの走行方向を包装袋の縦方向又は横方向と一致するように加工しても、包装袋の引裂き方向は基材フィルムの分子配向軸方向に傾いてしまう。フィルムの幅方向端部を使用した基材フィルムを完全に避けて調達することは現実的ではない上に、基材フィルムの生産速度高速化や広幅化に伴い、歪みの程度は従来よりもさらに大きくなる傾向にある。
そこで、基材フィルムと積層される、ポリオレフィン系樹脂フィルムの工夫により、こういった問題を解決することが、試みられている。
【0006】
特許文献1により、エチレン-プロピレンブロック共重合体とエチレン-プロピレン共重合体を含むポリオレフィン系樹脂シートを3.0倍以下で一軸延伸することにより得られたフィルムが知られている。しかし、引裂強度に改善の余地があり、また泣別れが発生しやすいという問題点があった。
【0007】
また、特許文献2及び特許文献3により、プロピレン-エチレンブロック共重合体あるいはプロピレン-エチレンランダム共重合体と、プロピレン-ブテンエラストマー及び/又はエチレン-ブテンエラストマーを含むポリオレフィン系樹脂シートを5倍程度で一軸延伸したフィルムが知られている。
しかし、熱に対する寸法安定性が悪く、レトルト処理の際にかかる熱により包装体が変形し外観を損ねるという問題と、低温で破袋しやすいという問題があった。
また、特許文献4により、プロピレン-エチレンブロック共重合体を主体とするポリオレフィン系樹脂シートを4倍程度で一軸延伸したフィルムが知られている。しかし、二軸延伸ポリアミドフィルムなどとの積層体から製造した四方シール袋などをノッチから引き裂き開封する際、ヒートシール際から糸状のフィルム片が分離してしまう(通称、ヒゲが発生する)問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許文献1:特許第5790497号公報
特許文献2:特開2014-141302号公報
特許文献3:特表2012-500307号公報
特許文献4:WO2019/123944A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムのような分子配向軸の歪みが大きい基材フィルムと積層した場合においても、その積層体から得られた包装袋は、直進カット性、引裂きやすさ、製袋加工性に優れ、レトルト後も落下時に破袋しにくく、かつ開封時にヒゲが発生しにくい、ポリオレフィン系樹脂フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィンランダム共重合体に加え、エチレン-プロピレン共重合エラストマー、プロピレン-ブテン共重合エラストマーを含むポリプリピレン系樹脂組成物からなり、かつ延伸により重合体分子を主に一方向に配向させるものの、それぞれの方向の熱収縮率を低減させ、かつ前記長手方向への分子鎖の配向を特定の範囲とすることにより、二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムのような分子配向軸の歪みが大きい基材フィルムと積層した場合においても、その積層体から得られた包装袋は、直進カット性、引裂きやすさ、製袋加工性に優れ、レトルト後も落下時に破袋しにくく、かつ開封時にヒゲが発生しにくい、ポリオレフィン系樹脂フィルムを得られることを見いだし、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、以下の態様を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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