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公開番号2025009935
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2024100099
出願日2024-06-21
発明の名称ポリエステルの製造方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08G 63/183 20060101AFI20250109BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 エステル化触媒の添加をすることなくDEG量が少ないポリエステル樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】 主たる原料としてテレフタル酸とエチレングリコールを重縮合するポリエステルの製造方法であって、以下に記載する3つの工程を経ることにより解決される。
(1)エステル化反応槽[1]にテレフタル酸とエチレングリコールおよび第四級アンモニウム化合物のみを投入し、第四級アンモニウム化合物の濃度を0.10質量%以上0.80質量%以下とし、エステル化反応槽内の圧力を0.11MPa以上0.50MPa以下で、エステル化反応させることによって、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造する工程
(2)工程(1)の後、エステル化反応槽[1]に残存したエチレングリコールを留去した後に、テレフタル酸とエチレングリコールを投入し、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートの存在下で二段階目のエステル化反応させることによって、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造する工程
(3)エステル化反応槽[1]から、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートを重縮合反応槽[2]へ移送し、減圧下で重縮合をさらに進行させポリエチレンテレフタレートを製造する工程
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
主たる成原料してテレフタル酸とエチレングリコールを重縮合するポリエステルの製造方法であって、以下に記載する3つの工程を経ることを特徴とするポリエステルの製造方法。
(1)エステル化反応槽[1]にテレフタル酸とエチレングリコールおよび第四級アンモニウム化合物のみを投入し、第四級アンモニウム化合物の濃度を0.10質量%以上0.80質量%以下とし、エステル化反応槽内の圧力を0.11MPa以上0.50MPa以下でエステル化反応させることによって、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造する工程
(2)工程(1)の後、エステル化反応槽[1]に残存したエチレングリコールを留去した後に、テレフタル酸とエチレングリコールを投入し、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートの存在下で二段階目のエステル化反応させることによって、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造する工程
(3)エステル化反応槽[1]からビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートを重縮合反応槽[2]へ移送し、減圧下で重縮合をさらに進行させポリエチレンテレフタレートを製造する工程
続きを表示(約 560 文字)【請求項2】
工程(1)において、エステル化反応槽にエチレングリコールと第四級アンモニウム化合物を投入した後に、テレフタル酸またはテレフタル酸とエチレングリコールの混合スラリーを添加することを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
【請求項3】
第四級アンモニウム化合物が第四級アンモニウム水酸化物であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
【請求項4】
工程(1)におけるエステル化反応時の反応温度が200℃以上250℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
【請求項5】
第四級アンモニウム化合物の添加量が0.30質量%以上0.70質量%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
【請求項6】
工程(1)において、テレフタル酸とエチレングリコールおよび第四級アンモニウム化合物を投入した後の、下記式で算出されるテレフタル酸とエチレングリコールのモル比が1.4以上3.5以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
エステル化反応槽内モル比=(EG成分のモル量)/(テレフタル酸成分のモル量)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、DEG含有量が少ないポリエステルの製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある。)は、優れた機械的強度、化学的安定性、ガスバリア性等に優れることから、繊維、フイルム、ボトル等に成型され広く用いられている。一般にPETは、テレフタル酸などのジカルボン酸成分またはそのジエステル化合物とエチレングリコール(以下、EGと略記することがある。)から製造される。具体的には、まず、ジカルボン酸類またはそのジエステル化合物類とエチレングリコールとのエステル化反応によりPET低重合体を形成し、次いで重縮合触媒の存在下にこのPET低重合体を脱ジオール反応させて高分子量化している。なかでも、ジカルボン酸類を用いた場合は、ジカルボン酸が自触媒として反応に寄与するため、エステル化反応において触媒添加が不要となり、触媒起因の異物生成と色調悪化が抑制され好ましい。しかしながら、反応中に副反応が生じ、ジエチレングリコール(以下、DEGと略記することがある。)など種々の副生物が生成するという問題を有している。そのため、副生物の生成を抑制すべく、種々の製造方法が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、主たる成分としてテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応において、チタン化合物とアルカリ化合物を添加するポリステルの製造方法について提案されている。そして、このポリエステルの製造方法によれば、色調が良好でDEG含有量が少なくかつ紡糸性が良好となる旨、記載されている。
【0004】
特許文献2では、ナトリウム原子含有量が一定量以内のテレフタル酸を用いたポリエステルの製造方法について提案されており、DEG含有量が一定値以下で黄色味が少なく、溶融時の体積固有抵抗値が低いフイルムの高速製膜が可能なポリエステルが得られることが記載されている。
【0005】
特許文献3では、テレフタル酸ジアルキルエステルもしくはテレフタル酸ビスヒドロキシアルキルエステルとエチレングリコールを原料としたエステル交換反応においてチタン化合物を添加し、重縮合反応においてゲルマニウム化合物またはチタン化合物を添加するポリエステルの製造方法について提案されている。そして、このポリエステルの製造方法によれば、重縮合速度が速く色調が良好でDEG含有量が少なくなる旨、記載されている。
【0006】
特許文献4では、テレフタル酸を主とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主とするジオール成分とのエステル化反応において、リン酸エステルと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む化合物、およびアンモニウム化合物又はアミン化合物を添加するポリエステルの製造方法について提案されており、染色性が良好なポリエステルが得られることが記載されている。
【0007】
特許文献5では、ビスエチレンテレフタレートモノマーとテレフタル酸とのエステル化反応および重合反応によるポリエステルの製造方法について提案されている。そして、この製造方法によれば、DEG含有量が一定値以下であり多分散指数を一定値以内に制御することができる旨、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2004-231831号公報
特開2016-132733号公報
特開2011-26438号公報
特開2010-59232号公報
特開2020-66728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ポリエステル製造時の副反応で生じるDEGは、系外に留出することなくポリマー中に取り込まれるため、DEGの生成量に伴い、ポリマー融点の低下、耐加水分解性、耐熱性および耐光性の低下、さらには染色性の低下が生じる。そのため、ポリエステル製造時のDEG生成を抑制することが求められる。
【0010】
また、ポリエステル製造においては、触媒や添加物によって異物が生成し最終製品の品質低下をもたらす場合があるため、原料のテレフタル酸成分とグリコール成分以外の添加物の種類および添加量を減らすことが重要である。
(【0011】以降は省略されています)

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