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公開番号2025040452
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-25
出願番号2023147268
出願日2023-09-12
発明の名称水電解用隔膜
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C25B 13/08 20060101AFI20250317BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】
高いイオン透過性を有し、かつ、高温高濃度のアルカリ水溶液中でもイオン透過性の耐久性と層間密着力の耐久性を有する、多孔質フィルムと多孔性支持体からなる積層体を提供する。
【解決手段】
ポリエチレンからなる多孔質フィルムとポリアリーレンスルフィドを主成分とする多孔性支持体が接合された積層体であって、前記多孔質フィルムはその表面および細孔表面において、ヒドロキシ基およびカルボキシル基の少なくとも何れか一方を含む親水基がポリエチレンに化学結合しており、前記多孔質フィルムの全体に含まれる炭素原子の含有量Aに対する前記多孔質フィルムの全体に含まれる前記親水基の含有量Bの比(含有量B/含有量A)は、前記多孔質フィルムの両面を構成する表面部における炭素原子の含有量Cに対する前記多孔質フィルムの両面を構成する表面部における前記親水基の含有量Dの比(含有量D/含有量C)よりも大きく、前記比(含有量B/含有量A)は、0.03~0.20であり、前記比(含有量D/含有量C)は、0.01~0.10であり、前記多孔性支持体と多孔質フィルムがスチレンブタジエンゴムで接合されていることを特徴とする積層体。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリエチレンからなる多孔質フィルムとポリアリーレンスルフィドを主成分とする多孔性支持体が接合された積層体であって、前記多孔質フィルムはその表面および細孔表面において、ヒドロキシ基およびカルボキシル基の少なくとも何れか一方を含む親水基がポリエチレンに化学結合しており、前記多孔質フィルムの全体に含まれる炭素原子の含有量Aに対する前記多孔質フィルムの全体に含まれる前記親水基の含有量Bの比(含有量B/含有量A)は、前記多孔質フィルムの両面を構成する表面部における炭素原子の含有量Cに対する前記多孔質フィルムの両面を構成する表面部における前記親水基の含有量Dの比(含有量D/含有量C)よりも大きく、前記比(含有量B/含有量A)は、0.03~0.20であり、前記比(含有量D/含有量C)は、0.01~0.10であり、前記多孔性支持体と多孔質フィルムがスチレンブタジエンゴムで接合されていることを特徴とする積層体。
続きを表示(約 240 文字)【請求項2】
前記多孔質フィルムが、界面活性剤を含み、前記多孔質フィルムを80℃の温水に100時間浸漬する前後での、前記界面活性剤の減少率が10%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることを特徴とする、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記スチレンブタジエンゴムはガラス転移温度が-30℃以下であることを特徴とする請求項1~3に記載の積層体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水電解用の隔膜に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
アルカリ水電解法は、高価な金属触媒を使用することなく、安価に水素を製造できる水電解法であり、昨今石油代替資源として水素に対する注目が高まりつつあることに伴い、アルカリ水電解法に対する注目も急速に高まってきている。
【0003】
アルカリ水電解法では、通常陰極と陽極を隔てるために隔膜が用いられており、隔膜には水電解装置の稼働に要する電圧を低減するために、高いイオン透過性が求められている。また、水電解の結果、陽極で発生する酸素ガスが陰極で発生する水素ガスに混入し、水素ガスの純度が低下してしまう問題を防止するために、隔膜には高いガス遮蔽性も求められる。
【0004】
上記のような高イオン透過性、高ガス遮蔽性といった隔膜への要求に応えるために、これまでに様々な発明がなされてきた。例えば、特許文献1では多孔質のフィルムに対して、イオン交換性の官能基を有するモノマーをグラフト重合することにより、イオン透過性を有する隔膜を得る方法が開示されている。当該発明では、多孔質フィルムを形成するポリマーが電解液で膨潤することを利用して、ガス遮蔽性を発現させている。
【0005】
一方、水電解装置の稼働に要する電圧の低減に対しては、隔膜の特性に加えて装置自体の設計変更による工夫もなされており、そのような設計として陰極と陽極が直接隔膜に接触したゼロギャップ構造が広まってきている。しかしながら、ゼロギャップ構造では電極との接触で隔膜が損傷してしまい装置が短絡する危険性があるため、その対応として、上記のような多孔質フィルムの表面を支持体で保護することが検討されている。例えば、特許文献2では多孔質フィルムの片面または両面に多孔性支持体を配置して、短絡を抑制する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2014-148709号公報
特開2014-148708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アルカリ水電解法では高いイオン伝導性を得るために電解液に高濃度のアルカリ水溶液(30wt%の水酸化カリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液)を用い、また電解速度を上げるために80~90℃程度の高温とするため、前記特許文献1に記載のような多孔質のフィルムにイオン交換性の官能基を有するモノマーをグラフト重合する方法では、グラフト重合成分の種類によってはその過酷な環境にグラフト重合成分が耐えることができず、時間の経過とともにグラフト重合成分が多孔質フィルムから失われてしまい、その結果、多孔質フィルムがイオン透過性を失ってしまう、という課題がある。また、特許文献2に記載のような多孔質フィルムの片面または両面に多孔性支持体を配置する方法では、多孔質フィルムと多孔性支持体の接合に用いるバインダー材料として、前記の高温かつ高濃度のアルカリ水溶液への耐性を示すものを選択しないと、使用中に多孔質フィルムと多孔性支持体の接合が解けてしまうため、アルカリ水電解装置のメンテナンス時になどの隔膜を装置から回収する際に、両者が分離してしまい、ハンドリングが煩雑となるという課題がある。
【0008】
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、高いイオン透過性を有し、さらに、高温かつ高濃度のアルカリ水溶液中でもイオン透過性の耐久性と形態保持性を有する、多孔質フィルムと多孔性支持体からなる積層体を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するため、次のような構成を採用する積層体である。すなわち、
(1)ポリエチレンからなる多孔質フィルムとポリアリーレンスルフィドを主成分とする多孔性支持体が積層されてなる積層体であって、前記多孔質フィルムはその表面および細孔表面において、ヒドロキシ基およびカルボキシル基の少なくとも何れか一方を含む親水基が前記ポリエチレンに化学結合しており、前記多孔質フィルムの全体に含まれる炭素原子の含有量Aに対する前記多孔質フィルムの全体に含まれる前記親水基の含有量Bの比(含有量B/含有量A)は、前記多孔質フィルムの両面を構成する表面部における炭素原子の含有量Cに対する前記多孔質フィルムの両面を構成する表面部における前記親水基の含有量Dの比(含有量D/含有量C)よりも大きく、前記比(含有量B/含有量A)は、0.03~0.20であり、前記比(含有量D/含有量C)は、0.01~0.10であり、前記多孔性支持体と多孔質フィルムがスチレンブタジエンゴムで接合されていることを特徴とする積層体、
(2)前記多孔質フィルムが、界面活性剤を含み、前記多孔質フィルムを80℃の温水に100時間浸漬する前後での、前記界面活性剤の減少率が10%以下であることを特徴とする、(1)に記載の積層体、
(3)前記界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることを特徴とする、(2)に記載の積層体、
(4)前記スチレンブタジエンゴムはガラス転移温度が-30℃以下であることを特徴とする(1)~(3)に記載の積層体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高いイオン透過性を有し、さらに、高温かつ高濃度のアルカリ水溶液中でもイオン透過性の耐久性と層間密着力の耐久性を有する、多孔質フィルムと多孔性支持体からなる積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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